良くあるゲームトリップものじゅじゅ風味   作:かりん2022

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入学

 道化師のシャドウを操っていた教師はニコニコと飲み物を渡してくる。

 

「おはよ、空也。真影。君達が入学してくれて嬉しいよ」

「は?」

「部屋はもう寝れる状態にはなってるから安心して。荷物運ぶの手伝うよ」

「は?」

「あ、言ってなかった? これ、魔技理中高大一貫校のバスだよ。退魔組織直属の」

「えー!!」

「よろしくね。と言っても君等は特殊ケースだから、明日、君等の授業について相談しよう。今日はゆっくり休んで。お疲れさま」

 

 こ、これは……!

 

「嵌められたな。とりあえず、腹減ったし眠いからパン食って寝るわ」

 

 空也が欠伸をした。ダーリン大物!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼。

 寝過ごした俺はぼんやりしながら起き上がった。

 どこだここ。歯磨きしよ。

 

 

 あー。

 

 

 だんだん頭がはっきりしてきた。

 俺、退魔組織に入っちゃったんだ。

 

 そして、燦然と輝くクエスト。

 

 身支度を整えると、空也に電話する。

 空也も起きたようで、二人で机の上にあった学校の見取り図の乗ったパンフレットを見ながら食堂に向かう。食券綴りも置いてあった。

 

 食券を消費し、日替わりメニューを選び、食事をモソモソと食べていると、教師が来た。

 

「お疲れー! 僕は月谷 雷矢。この学校の教師だよ。あはは、ほんとに疲れてるみたいだね。生徒達は張り切って訓練してるよ。強くなれたって大喜びさ、ありがとうね」

「皆、元気だなー」

「若いからね! 空也はまだ、半分寝てるねー。カリキュラムについて相談したいんだけど、大丈夫かな? 資格取りたいって聞いてるけど」

「ああ。ヴァーチャル・リアリティ・ゲームみたいなのを作りたいんだよ。手始めは昨日みたいなのをゲーム内で出来るようにしたい。凄いエンターテイメントになる」

「……本気?」

「本気。空也はプレイヤー第一号」

「それは本当に凄い夢だね。じゃあ、シャドウ学を受け持ってもらうことは可能かな?」

「何故そうなる」

 

 そしてなんだシャドウ学。新たな科目を創設するな。

 

「もったいないでしょ。昨日だって、全員大幅にレベルアップさせてみせたんだ。君らの天職は教師だよ。ゲーム? の実験台もするからさ」

「まあ、良いけどさ。俺ら、独学だからこの業界の常識とか何も知らねーよ?」

「それについては生徒として習ってもらうさ。代わりに、資料も講師も、設備だって融通するからさ」

「ホントでござるかぁ? ゲーム作るのに必要な設備に掛かる金額知ってんの?」

「ほんとほんと。大丈夫だって。研究時間も多少は配慮するよ。任務の量は優遇するし、教師としての給料だって出す。生徒の成長に貢献してもらえるなら、喜んで出すさ。少なくとも、他の大学の設備のレンタルぐらいは保証する」

 

 設備優遇とはどでかい話だ。そうしてもらえるなら本当に嬉しい。

 クエストでも教師になろうってあったし、これはオーケーせねば。

 

「空也。一緒に教師しようぜ」

「おー」

 

 そして空也は寝てしまった。

 

「今はこんなだけど、多分大丈夫だと思う。あっ でも、昨日みたいなのは本当に特別なんだからな。貴重な魔石を大量に使っちゃったし」

「魔石ってあの魔法陣に載せてた石だよね? お金でどうにかできるもの?」

「いやー。無理。俺が手ずから育てたものだし」

「じゃあ、人手があればどうにかなる?」

「グイグイ来るな……」

「あれがあれば強くなれるんでしょ? そりゃグイグイ行くって。何より、あのモンスター? カメラに写ってたしね」

「手間がかかるし、危険なんだけど……ま、俺が元気な間に人材が育たなければ処分すればいい、かな?」

「人材育成に協力できることなら何でもするよ」

「んー。パンフレットだと全然わからなかったから、まずはカリキュラムとか聞こうかな。スケジュール立てたいし」

 

 結果、シャドウ学は一学年一週間一コマで、それが中高大の10学年で毎日2コマとなった。土曜はなし、日曜は特別授業を一コマ。

 今、え? と思った人は正しい。この学校、休みがないでやんの……。

 

 ブラックぅぅぅぅ!!

 

 授業とかも、任務の合間に入るらしい。ただし、俺の授業は特別で生徒が全員出られるよう配慮されるそうだ。

 そこまで期待されても困るんだが……。ええ。ブラックさの衝撃が激しい……。

 

 そもそも、10学年で6人の教師ってのがおかしい。足りてないやん。

 よっぽど人手がないんだな……。

 生徒は98人らしいから、一クラス10人いないんだな。

 京都にも同様の学校があるらしいが、そっちはもう少しいるらしい。

 出張でそっちに行くこともあるそうだ。

 

 戦闘任務の開始が4月7日。

 それまでに、新入生に戦闘訓練を詰め込むわけだ。

 おいおい、まじかよ……。

 

 

 

 

 

 4月3日。

 打ち合わせを終えた翌日、学校が所有している森にダンジョンコアを設置しに来ていた。

 今日は空也も元気で手伝ってくれる。突然の事なのに、お偉いさんが沢山見学に来た。

 

「さあ、坊や。すくすく育つんだぞ?」

「俺とハニーの愛で大きく育てよー」

 

 ダンジョンコアに二人で魔力を注ぐ。

 魔物はダンジョンから出られないように設定。

 ダンジョンコアは、順調に周辺のものを吸収して育っていく。

 一時間して、無事洞窟を作り出した。

 リアルでは初めてなのだし、しばらく交代でつきっきりで様子を見るつもりだ。

 本当は最初の一日は二人で籠もりたかったが、お偉方の相手もあるので空也に任せて洞窟を出る。

 洞窟を出る頃には、魔物のポップがもう始まっていた。

 一匹試しに倒すと、ちゃんと魔石が出る。

 お偉いさんはそれを見てほうほう。

 

「これをこうして、再度魔物に戻して倒すと強さを吸収できるようにできるんです。あ、魔石はふとした時に魔物に戻ってしまうので、勝手に魔石を持ち出さないでくれますか」

「なるほど。この後、シャドウについても試させてもらえるとか」

「ええ」

 

 魔法陣を描き、順番に指定位置に立ってもらうとシャドウが出現する。

 シスターのシャドウが一番印象的だった。美しい天使で、本人も感動してた。

 

「ふむ。確かに、このシャドウを出すと一層自分の力の理解が深まる気がする」

「潜在能力の具現化ですからね。本来はあくまでも修行の集大成を確認するためのもので、常用や実戦にはお勧めしません」

「週イチでも十分と?」

「むしろ多すぎですかね。10年鍛えた後に一回試すくらいで十分だと思います。雷矢先生ぐらいの年齢で一回試すのが一番伸びるかな。スキルの付与も最初の一回はほぼ定着しますが、その後定着率が落ちていきますし。でもまあ、生徒の皆さん、忙しい中、絶対授業を受けてくれるそうなので、その価値のある授業を考えておきます。では、次は突破すれば強くなる、シャドウ試験の実験を……雷矢先生」

「待った! 雷矢先生は一度試されているやないか。自分も雷矢先生と同年齢。せやったら、自分が試すほうがええんちゃう?」

「わかりました」

「ええ!? 僕、超強いモンスターと戦えるって楽しみにしてたのに!?」

「待ってください! 私も試したいです! このリリーの力を!」

 

 シャドウに名前をつけるな。うーん。若い人は雷矢先生以外ではこの二人だけか。後は子供が一人である。

 

「あー。道具が貴重ですし、実験なので今回だけですよ? では、まず俺と手合わせしましょう。その実力に合わせて、特別な魔石を使わせていただきます。ただ実力を見るだけなので、皆さんの方が強いと思いますし、とどめを刺すのはなしですよ? シャドウが死ねば命に関わります」

「わかりました」

「よかろう」

 

 シャドウを顕現させる。俺のシャドウは影を操る黒き魔女である。

 まずは京都校の先生。

 

 随分と雅なシャドウが出てきたな。平安時代の貴族みたい。

 扇と風が武器か。軽く打ち合う。この人は速さかな。

 

「そこまで! 次、リリーさんの強さをみます」

 

 リリーは……うん。もっとパワーが有ると、更に強くなりそう。

 

 そういうわけで、順番にスピードタイプとパワータイプの魔石を出した。

 

「片方は倉木先生が戦ったやつ?」

「そう、勝つと速さが上がります」

「月谷先生は瞬間移動ができるようになったと聞いたが」

「やー。あれは凄く強いからさー。蛟先生には無理じゃないかな?」

「私のは?」

「勝つと力が上がります」

「私はもっと強いのを倒せる」

「私だって!」

「いや、実力と更に強くなる為に考えた結果これなんですが。強いの倒せばいいってものでは……」

「ちなみに僕だったら何を選んでた?」

「んー。正式な修行では、一つ格上の速さ、力、防御、スキル、総合力の順の魔石で対戦させるんですが。今回はデモンストレーションなので安全のため、二つ格下を使ってます。俺、空也と比べて戦いの見積もり甘いんで、やっぱり三つ格下かも。前回は一つ格下。で、雷矢先生はスキルでした」

「えっ そんな。格下だったのあれ」

「ずるい」

「二個格下て。しかも前座やんか。せめて適正レベルにしてや」

「あー、本来は限界まで鍛えた人がワンランク上に行くのを想定した修行のものですから」

 

 何せGS美神のアニメの名シーンのパクリアイテムである。

 

「あー。僕、後で正式な修行お願いしようかな」

「ずるいわ、自分かて正式版がええわ」

「わ、私のリリーとて、負けません!」

「トップレベルの魔石を三人分とか勘弁して」

「では、三人とも正式版で後日頑張ってもらうとして、若輩者の僕はコレで勝負させてください。蛟先生の三つ格下なら、僕でもなんとかなりそうです」

 

 少年がニコリとスピードタイプの魔石を取った。

 漁夫の利である。

 

 少年のシャドウは難なく勝って、少年はスピードを手に入れた。

 

 その後、五回依頼無料券を発行してもらい、3人に正式に修行をつけることになってしまった……。適性の強さをご所望だが、俺の見積もりだと死にかねないので、空也にお願い案件である。後で俺も何でも言うこと聞く券を発行せねば……。

 




マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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https://odaibako.net/u/karin2022v
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