良くあるゲームトリップものじゅじゅ風味   作:かりん2022

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高みへ

 産まれたばかりの弟は、すぐに家を出された。

 無能力者だったから。

 笑ってしまう。

 

 その、無能力のはずだった弟は。

 男を侍らせ、髪の毛を真っ赤に染め、チンピラみたいな言葉遣いで……東京の魔技理校を生徒教師の区別なく纏めて撫で斬りにしている。

 

 蛮族のような格好のシャドウはとても格好良く、二刀流である。

 

 弟に会うまで、自分には守り癒やすしか能がないと思っていた。

 そんな自分を憐れんでいた。

 

 甘えだった。

 

 自分と全く同じ癒やしの力を使う弟は、自分の生命力を分け与えるのではなく、相手から生命力を奪い、それを使って癒やしていた。野球バットでぶん殴って生命力を強引に奪い取り、自らの力とする。

 健康そうなその様子に、悲壮感は欠片もなく、男を侍らせ髪を染め、自由そうにしている。結界について聞いたら、性に合わないと笑って切って捨てられた。

 自分が惨めになった。

 政略結婚が決まっていて、早く子供を作れと言われていて、死を目の前にした自分とはあまりにも掛け離れていた。

 

 あの後、私も修行をして、エナジードレインという秘技を物にしていた。

 私のシャドウは、聖騎士だ。私の心は、剣を持っている。戦える。戦いたい。それはすとんと私の心に落ちた。剣で生命力を吸って、返す。未だ、シャドウでしかできないけれど。いつかはモノにしてみせる。

 

 私の番が来た。弟に指南を願う。

 それが悔しくすら思えないほど、弟は高みにいる。

 

「お、光也。強くなった?」

「多少はね」

「見せてもらうぜ」

「見せてあげるよ」

 

 空也。君の心はバーサーカーなんだね。美しき蛮族。

 私は、君が羨ましい。

 

 剣と剣が交わる。

 エナジードレインを発動させる。

 

「っ 上手く出来るようになったじゃねーか! でも遠慮すんな! 思いっきりやれ! C!」

「ありがとう」

 

 確信。シャドウが出来るなら、私も出来る。空也が出来るなら、私も出来る。

 いずれ、空也は我が家に戻ってくる。

 そのときに、ただ黙って当主の座を奪われるなんて絶対に嫌だ。

 

 そして、先生の番が来る。

 雷矢先生のシャドウは別格だ。

 私のペンダントを貸して、事前に訓練もしている。

 今初めてシャドウを操る大多数の生徒とは違う。

 流石に空也も……。そこで私は目を見張った。

 

「シールド」

 

 今までの対戦者の技を使った!?

 

「ここからは、絡め手も入れてくな。出ないと実力見る前にこっちがやられる」

「ダーリン、格好いいー♡」

「……へぇ。じゃあ、胸を借りるとしようか!」

 

 スキル、ドレイン。

 辛そうだったのは、100人近くものスキルを奪って保持していたから?

 どこまで、君は……いいや!

 空也が出来るのなら、僕にも出来る!

 

 絶対にスキルドレインを、ものにしてみせるよ、空也!!

 

 結局、最弱の家の、武器を持たない家の生まれの空也は、一度も膝をつかなかった。

 東京校の先生生徒全員を相手にして。

 

 それは、鮮烈に皆の、私の眼に刻まれた。

 いつか必ず、その高みへ登ってみせる。

 どんなに地べたを這ってでも、頂へ。




マシュマロ
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https://odaibako.net/u/karin2022v
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