蠱毒の女 作:マコーラの方陣になりたい人生だった。
蠱毒――、中国華南(南部)の少数民族の間で受け継がれている御三家、下手したら両面宿儺よりも古くからある呪術であり、
犬神や猫鬼に並ぶ動物を用いた呪術である。
一般的な蠱毒とは、小さな容器の中に百足や蛇、蛙等の大量の生き物をぶち込んで共食いさせ、最後に残った1匹を呪詛の媒体に用いると言う、とてつもなく割とマジでエグい呪術である。
作者は調査中、興奮した。
「………マジでどうしよう」
ベットに沈みながら、無駄に血色の良い顔を手で覆いながら、少女は思案していた。
少女の名は、古賀 尚美。佐賀県生まれの至って普通の小学1年生
………約15分程前に蠱毒を発現するまでは。
蠅頭とかいうクソ雑魚ナメクジを発見した瞬間、尚美は前世の記憶を思い出すと同時に、蠱毒を発現させた。
この世界の蠱毒とは、浴と呪霊操術を掛け合わせて更に変化させた術式である。呪霊を胎内に取り込み、一匹になるまで共食いさせ、生き残った一匹を抽出し式とする。蠱毒は縛りにより、"女性しか発動する事はできない。"
一、蠱毒を発動できるのは女性のみである。
一、蠱毒の術式を有する者は性別に関係なく生殖能力を失う。
一、術者の精神が乗っ取られた場合、蠱毒は強制的に中止される。
3つの縛りによって蠱毒という術式は完成されている。
「羂索に見つかったらヤバイよなぁ………」
尚美が最も危惧しているのは羂索との接触である。何故かは、説明するまでもないだろう。史上最凶のマッドサイエンティストこと、
最悪、器にされる可能性もある。
「……取り敢えず、蠱毒についてまとめよ」
尚美が選択したのは、術式の情報を整理する事だった。
「ノート良し、鉛筆良し」
尚美は鉛筆を用いてノートに情報を精査していく。
➀蠱毒は6日と12時間行われる。
②蠱毒を開始するには最低でも蠅頭が5匹必要。
③蠱毒終了後、胎内にいる呪霊を式神として抽出するか、自分の呪力と身体能力に還元するかを選ぶことができる。
④動物の死骸や人間の死体を用いると効果が上がる。
⑤呪いの等級に関わらず、特級から四級まで蠱毒に投入できる。
⑥二級から四級までは無条件で贄にできる。
⑦胎内に呪力を与える事で共食いをより加速、呪霊を強化する事ができる。
(………こんなところかな)
蠱毒の情報を精査した尚美は改めて理解した。
蠱毒、キモイのに強くね?と……。
実際、呪いが供給できれば無限に式神を作れると考えればかなりのアタリ術式である。
……まあ、術式の内容を考えればこのくらいの強さが妥当な気はするが……。
そんな些細なことはさておき、蠱毒よりも重要な問題を尚美は抱えていた。
(明日の学校……どうしようかな…)
学校。現代日本において漫画、アニメ、ドラマ、映画の舞台に採用される程一般的であり、日本国民の9割が通った事がある教育機関。そして、負の感情が生まれ、滞留しやすい場所でもある。
学校という場所は、人々の"妬み"、"憎悪"、"憐憫"、"劣等感"、"優越感"という感情を発生させ、より増長させる場所である。
尚美も下校中、チラッと学校の様子を見たが、呪力が渦巻いておどろおどろしい雰囲気になっていた。
(いるんだろうな……呪い)
蠱毒は6日後まで――今日が月曜日であるため日曜日の午前中まで――強制的に執り行われる。だが、今の尚美の胎内にいるのは少し強いだけの蠅頭である。
こんなものでは、五条悟の様な強者に勝つ事は不可能、殺されるだけである。故に、少女は決意した。
(……死にたくない。殺されたくない。なら……私が
何処ぞのドブカスみたいな事を言いながら、尚美は決意した。呪いが廻る世界に、自ら足を踏み入れる覚悟を。
そして、行動の指針も決まった。
「まずは、呪力操作の鍛錬からか……んで、昼休みにこいつを探そう。」
尚美が手に握っているプリントには、こう書かれていた。
最近、学校近くでの蜂の目撃情報が増えています。保護者の皆様からも、児童への注意喚起をよろしくお願いいたします。
質問コーナー!
Q➀.トランスジェンダーの方が蠱毒を発現する事は出来ますか?
A.無理です。術者の性別を判断するにあたり、"肉体としての性別"と"魂(自身の性の認識)としての"が完全に一致していなければ発動する事はできません。
また、蠱毒を発現した者が死ぬまで他の術者は蠱毒を発現する事は不可能です。
Q②.尚美って呪術師の家系なの?
A.部分的にそう。一応、2000年以上前に大陸から渡ってきた"謎の壺"を持った女呪術師の弟が祖先にあたる。
あくまで祖先にいるだけであり、高専も術師の家系としては認識してない。