勇者が死ぬまでの物語   作:めめねめ

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皆さん!初めまして
私は南の勇者が好きなんですけど…
南の勇者を主人公として書いている人が少なかったので書かせていただきました!
二次創作を書くこと自体初めてなので,みにくかったりめちゃくちゃなところもあると思いますが,
ぜひ読んでください!! 


第1話 未来は既に見えている

「――あ、これ死んだわ」

それが、この世界で最初に抱いた感想だった。

確か、俺は寝ていたはずだ。深夜、読み返していた『葬送のフリーレン』を枕元に置いて。 なのに、目が覚めたら見知らぬ場所に立っていた。 足の裏から伝わる石造りの床の冷たさと、体にのしかかる身に覚えのない金属の重み。 混乱しながら目の前の鏡を覗き込み――俺は、硬直した。

 

鏡の中に映っているのは、見事なまでに鍛え上げられた男の体だ。 腰には鈍い光を放つ二本の剣。その佇まいからは、素人目にも分かるほどの圧倒的な「強者のオーラ」が漏れ出している。

――南の勇者。 人類最強の勇者。「全知のシュラハト」と「七崩賢」を相手に相打ちで散り、そして勇者ヒンメルに人類を託したカッコ良すぎる男である。

 

なぜ目を開けたら南の勇者になっているのか、俺にはさっぱりわからなかった。
確かに俺は『葬送のフリーレン』の中でも南の勇者が一番好きだった。だが、それは「なりたい」という意味ではない。

好きと、なりたいは別物だ。
好きだからこそ、俺はこの男がこの先どんな壮絶な戦いに挑み、そして死ぬのかを知っている。

――まさか、転生したのか?
いや、待て。フリーレンの世界に転生するなら、普通は魔族とかオリジナルのキャラクターじゃないのか? なんでだよ! 俺も人間の感情がわかる魔族とかが良かった!!

そんなことを考えながら、俺は思わず愚痴をこぼしそうになった。

 

その時だった。視界が、突然ぐらりと歪んだ。

脳内に直接、見知らぬ「記憶」が流れ込んでくる。 雪の降り積もる北端の地。立ち塞がると、八人の魔族。 幾千もの剣が交差し、魔法が吹き荒れ、そして――俺の心臓が貫かれる。「……っ!!」

今の、は何だ。 冷たい。痛い。熱い。死ぬ瞬間の感覚が、あまりにも鮮明に脳に刻みつけられた。 南の勇者が持つ能力「未来視」。 それが最悪な形で発動し、俺に突きつけてきた。 一年後の冬。俺がどう足掻いても辿り着く、「相打ち」という名の終着駅。 今の未来視で分かってしまった。ここは決戦のちょうど一年前。物語が始まる、その当日なのだと。

 

「逃げ出すか…? いや今逃げ出してもシュラハトが逃すわけがないよな…

えっマジで俺死ぬの…?夢…だよな」

そう思い頬をつねって見るが無慈悲にも痛みが返ってくるだけだった。

 

そうして絶望していると、コンコン、とドアが叩かれた。

「勇者様。……国王陛下がお待ちです。出陣の儀の準備が整いました」

重々しい声が部屋の外から響く。 出陣の儀。つまり、これから王都の連中に見送られながら、魔王を倒す旅に出るということか。 初っ端に殺されるという最悪のケースは免れたようだが、それでも死ぬのが一年後である事実に変わりはない。

 

俺は震える手で二本の剣を握りしめた。 いや、震えているのは心だけで、南の勇者の肉体は鋼のように安定している。それが余計に恐ろしかった。

 

部屋を出て、長い回廊を歩く。 壁際に並ぶ騎士たちは、儀礼に従って直立不動の姿勢をとっていた。だが、その場を支配しているのは敬意ではない。

俺が通り過ぎる際、静寂を破るように、隠す気のない低い囁きが耳を打った。

「……今度の男はどのくらい持つだろうな」 「さあな。また田舎から出てきたハッタリ野郎だろう。これまでに何人死んだと思っているんだ」 「全くだ。こんな奴らに与える金が無駄だよ。その分を俺たちの給金に回してほしいものだ」

 

そんな陰口がはっきり聞こえてくる。 さっき目が覚めたばかりで、わけもわからず死ぬことが確定したというのに、この仕打ちだ。できることなら今すぐ装備も金も返して逃げ出したい。 だが、俺の意志とは裏腹に、外面は微動だにせず、悠然と騎士たちを圧しながら歩を進めている。

 

そうこうしていると広間についた。

 

玉座に座る国王の瞳には、かつての威厳など欠片も残っていない。度重なる勇者たちの敗北に、国を治める者としての心はとうに折れているのだろう。そこにあるのは、形式上の儀式を早く終わらせたいという投げやりな義務感だけだった。

「……そなたに問う。魔王を討つ覚悟はできているか?」

心にもない、形式上の問い。

 

そのような形式上な問いでも声が出なかった。当然だ。普通に生きていた人間に、

命をかけて魔王を倒せるかと聞かれて答えられるわけがない

だが、その沈黙が逆に空気をつかんだらしい。何も語らぬまま王を凝視する俺の姿が、どうしようもない圧となって場を支配していく。何か言わないとと思いとっさに声を出した。

 

「私はただ、道を切り拓くだけだ。……人類が魔王を倒すための。」

 

 ――最悪だ。 一年後に死ぬという自分への絶望を吐き出したつもりが、外に漏れたのは、勝利を一切疑わず礎となることを当然と受け入れた、あまりに完成された勇者の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

見渡す限り広がる草原。吹き抜ける風。  背後には、遠ざかっていく王都の巨大な門が見える。「……あー、マジでどうすんだよこれ」

 ようやく出た「俺自身の言葉」は、あまりにも情けなく空に消えた。

こうして、歴史上最強の勇者と呼ばれ、死が確定している男の旅が始まった。




書くの難しい…
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