ブルーアーカイブ~~キヴォトスに舞い降りる嵐≪ストーム≫~~ 作:ジョージ
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これからの事を話し合い、大尉たち4人はキヴォトスで先生として生きていく事を決めた。一方、ミレニアムとトリニティに籍を置く2人の生徒。そんな二人と先生たちが出会う時は、近い。
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俺たちがキヴォトスにやってきた翌日。適当に空いていた部屋をそれぞれで使い、昨日の夜は眠りについた。そして朝早くに目覚めて思った。
『夢、ではなかったか』
正直、現実離れした事が多すぎて、俺は死ぬ間際に夢でも見ていたんじゃないかと思った。だが違った。寝起きの少し気だるい体も。肉体の感触も、枕の柔らかさも。全て現実だ。
『これはまごう事無き現実か。ならば、昨日決めた通り、先生として頑張るしかないか』
そう自分に言い聞かせ、ベッドより起きる。身支度を整え、昨日買ってあったゼリー飲料を朝食代わりに流し込む。少しばかりストレッチをした後、それしかないのもあるが、EDFのアーマーを身にまとい、そこでシッテムの箱を思い出し、手に取って起動してみた。
「くぅ、くぅ。……むにゃ」
その中では、アロナが机に突っ伏した状態で眠っていた。……起こしては可哀そうか。俺は声をかける事無く、シッテムの箱を持ったままオフィスに向かった。
俺は、一番乗りのようだな。誰もまだ来ていない。改めてオフィスを見回す。今日から、ここが俺の、いや、俺たちの職場になるのか。
そう思いつつ、適当な机の上にシッテムの箱を置いてから周囲を見回していると、ガンラックに昨日俺たちが使っていたM16が立てかけてあるのが見えた。しまった。
あれは七神からの、正確に言えば連邦生徒会からの借り物だったな。返却した方が良いのだろうか?……しかしキヴォトスでは昨日のような銃撃戦があるかもしれない。そう思うと銃は必要だろう。七神に、後で相談してみるか。こいつを引き続き借りられるだろうか?
……そう言えば、早瀬たちの銃はどこで手に入れた物なんだ?あれだけ銃が流通している事を考えると、各地にガンショップでもあるのだろうか?少ししたらモモトークで七神に連絡してみるか。
「おはようございます、大尉」
「ん?あぁおはよう」
レンジャー2が俺と同じようなアーマー姿でオフィスに現れた。
「ガンラックを見つめていたようでしたが、何かあったのですか?」
「あぁ。そう言えばこの銃は連邦生徒会からの借り物だったな、と思って居たところでな」
「あっ。言われてみれば確かにそうでしたね」
レンジャー2も言われて思い出したのか、声を上げる。
「銃社会のキヴォトスですから、正直丸腰は避けたい所ですが」
「俺もそれには同意見だ。しかし早瀬たちは銃を持っていたな。だとすればどこかに銃を購入できる場所があるはずだ。それを七神に問い合わせてみようと思う。こいつの返却を指示されては、流石に俺たちでも満足に戦えんからな。」
「そうですね。場合によっては昨日いただいたお金でそれを購入しなければならないでしょうし」
「そうだな」
そう、2人で話をしていたところに。
「ふぁ~~。おはようございま~す」
「うぃ~っす」
欠伸混じりのレンジャー4とまだ少し眠そうなレンジャー3が同時にやってくる。
「あぁ、お前たちも起きたか」
「さて。キヴォトスでの二日目の始まりですね」
「あぁ」
レンジャー2の言葉に頷きながら、俺はオフィスから見えるキヴォトスの町並みへと目を向ける。さて、仕事の始まりだ。
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朝。あの後、最後に起きたアロナも交えて色々話し合った。業務の分担はどうするか?それは基本的には4人で分担するのが決まった。
業務には基本的に4人全員で当たる。一方休みとして週に2回、前半と後半に一回ずつ、休息日を創る事に。休息日は、基本的に二人一組となり、片方が業務を行い、残りのもう片方が休みとなる。それを交互に繰り返す。こうすれば、少なくとも週1で休みが取れる。後は当日の忙しさを見て、適宜休みを取って行く感じにした。また、俺が休みの時はシッテムの箱にアクセスできる者がいなくなってしまうため、レンジャー2達もシッテムの箱に登録を行った。
業務関係のやりくりは、キヴォトスでの先生業務をやってみて後から修正していけばいいだろう。とそんな話をしていると。
「ん?」
何やら物音に気付いてそちらに目を向けた。見ると備え付けのFAXが動き出し、何枚もの書類を吐き出していた。
「なんだ?」
「何か送られてきましたね」
それに気づいてレンジャー3と4も声を上げ、皆そちらに歩み寄る。今も次々と送られてくる書類の数々。
「あっ。イチノセ先生。連邦生徒会の七神リンさんからメッセージが届いています」
「ん?メッセージ?読み上げてくれるか?」
FAXの方を見ていると、手元のシッテムの箱からアロナの声が聞こえて来たので、そちらに目を向ける。
「はい。え~っと。『先日お話しした問題に関する書類をお送りいたします。その書類の中から先生方が解決出来る、対応できると思った物で構いません。キヴォトスの問題解決のため、ご助力をお願いいたします』、だそうです」
「そうか。……アロナ、七神に返事のメッセージを送っておいてくれ。『書類は受け取った。俺たちに出来る範囲で仕事を開始させてもらう』、とな」
「分かりましたっ!」
画面の中でビシッとアロナが敬礼をする。
「しかしこれは。随分とまた、大量ですね」
レンジャー2の苦笑交じりの声が聞こえ、視線をFAXに戻すと、大量の書類が吐き出されていた。だがこれも、連邦生徒会の抱える問題の一部なのだろう。……一部でこれか。
「それだけ連邦生徒会は大忙し、という事だろう」
レンジャー2と共に、書類の多さに苦笑しつつ、とりあえず適当な書類を4人で手にしてみる。
「こっちは、『成績がイマイチなので勉強を教えて欲しい』、か。これはありきたりだな」
「これはそうでもないぜ。『射撃について競うために競技会を開催してほしい』、だとよ」
俺が見つけた物は、言い方は悪いがありきたりだ。が、レンジャー3が見つけたのは射撃についてか。何ともキヴォトスらしい。
「こっちは。『学園の生徒会に部活動の申請を出したが予算がおりませんでした。どうすれば予算を貰えるか知恵を貸してください』、か」
「これは、『稼げるアルバイトを探しています。何か良い情報は無いか教えて欲しい』、ですか」
レンジャー2と4が見つけた物は、まぁ学生らしいと言えばらしいが。
「なんつぅか。一部ヤバそうなのもあるが、それ以外は概ね平和だな」
「ですね。学生らしいというか」
「そうだが、そうでもないのもあるぞ」
レンジャー3と4の会話を聞きつつ、俺は別の書類に目を通していた。
「こっちは、『戦闘で破損した建物の修理に人手が足りないから人員を派遣してほしい』、だそうだ。それにこっちは、『学園の通学路の近くで不良たちが屯していて通学が怖いからどうにかしてほしい』、だそうだ」
「平和そうではないですね。こちらの嘆願書も、『学園の治安維持に人手が足りず、人員への負担が大きい、手を借りたい』、と言った内容です」
俺とレンジャー2が見つけた依頼書は、平和的、とは到底言えない類の物であった。成程、七神が『千差万別』と言ったのも納得だな。
一見、いかにも学生からの相談と言わんばかりの平和そうな依頼もあれば、いかにも銃撃戦が当たり前のキヴォトスならではの、危険そうな依頼まである。しかし、如何せん数が多い。依頼書だけでどれだけあるんだ?
「とりあえず、まずは分担して嘆願書に目を通すぞ。その上で各々対応を急ぐべきと判断した物と、そうでない物に分類してくれ。今はとにかく、優先順位を付ける」
「「「了解」」」
それから、俺たちは書類の山を4つに分け、それぞれ書類の整理を始めた。とにかく最優先に処理するべきものとそうでない物に分けていく。
とは言え、それでも重要度の高そうな物は多い。通学路付近で不良がたむろしている、などまだ可愛い方だ。
インフラの破損とその修復依頼に、混乱に乗じて火事場泥棒を行った不良集団の捜索と捕縛、可能であれば盗難にあった物品の回収などなど。専門的な技能が求められる物や、戦闘の可能性が高い物まである。
「どこかしこも、たくさんの問題を抱えていますね」
「あぁ。確か、早瀬が『連邦生徒会長が何週間も姿を見せない』、とタワーで出会った時に言っていた」
アロナと話しつつ、タワーで早瀬たちを見かけたときの事を思い出す。
「そう言えば、確かにそんな事を言っていましたね」
レンジャー2が頷く。
「管理者が失踪して数週間だ。破損したインフラの修理すらままならない状況が半月以上は続いて、更に問題が蓄積してしまったのだろう。特にキヴォトスでは不良が銃を持って暴れもするんだ。見ると、不良共が各校のインフラ施設を占領して拠点にしている、との苦情がいくつかあるな」
「修理をするにも、施設の奪還を想定した兵力が必要ですが、今は悪化した治安維持に力を割いている学園が多そうですね。そのため施設奪還もままならず、治安維持のための一時的な人員派遣の依頼もかなりありますよ」
レンジャー2が書類の山を見つめながら呟く。
「キヴォトスは銃社会ですから、治安維持も簡単ではないですからね」
そう呟くアロナの言葉に、静かに頷く。例えばの話だが、インフラ整備をAとするなら、AをするためにBをしなければならず、BをするためにCが……。と言った具合なのだろう。
「既に色々、前途多難な気がするぜ」
気だるげにつぶやくレンジャー3の言葉を、俺や他の2人とアロナは、否定する事が出来なかった。
その後、とりあえず書類の分類を終えた俺たちは、昨日のうちに買いだめしておいた市販のお茶でのどを潤しつつ、今後について話し合いをしていた。ちなみにアロナも、シッテムの箱の中の教室で、何かを飲んでいる。
「しっかし、優先順位を絞ってもこれかよ」
レンジャー3が書類の束を前にため息をつくが、正直俺もため息をつきたかった。他の二人も、重要度の高い、として分類した書類の山。更にそれ以外、として弾かれた倍以上の高さの書類にげんなりした様子で息をついている。
「正直、とてもじゃないですが4人で捌ききれる量じゃないですよ」
「そうだな」
レンジャー4の言葉にレンジャー2が同意する。
「七神が、生徒を際限無く加入させられる、と言っていたが。要は生徒たちをたくさん雇って力を貸してもらえ、という事だったのかもしれないな」
「しかし大尉。我々には生徒たちの協力を取り付けられるような『伝手』なんてありませんよ?」
「そうだなぁ」
レンジャー2の指摘も、最もだ。俺たちに今伝手のある生徒と言えば、早瀬や羽川、守月や火宮、あとは七神くらいだ。しかし、彼女達だって各々の学園の事があるだろう。昨日今日で混乱から立ち直れる訳が無い。他所に手を貸している余裕があるとも思えんな。
「正直、今はこの4人でやって行くしかないだろう」
「……マジかよ」
げんなりとした様子でレンジャー3が肩を落とす。
「仕方ないだろう。俺たちには頼れる生徒の当てもない。それに、彼女達だってそれぞれの学園で仕事があるはずだ。どこもまだ、混乱から立ち直れては居ないだろうしな。そんな彼女達を無理やり引っ張り出す訳には行かんだろう」
「となると、とりあえず仕事をしつつ、信頼を築いて行って、後々手伝ってもらえるようにする、と言った所ですか?」
「大まかには、その通りだろう」
レンジャー3の言葉に頷きつつも、座っていた椅子の背もたれに寄り掛かる。
「その『信頼を築いて行って』という所が難しいのと、『後々手伝って』、というのが何時になるのかが最大の問題ですね」
「いうだけなら簡単だぜ、ホント」
レンジャー2とレンジャー3がため息交じりに呟いている。
「だがやるしかないだろう。仕事は忙しいが、プライマーどもと地獄の殺し合いをするよりかは、マシだろう」
「まぁ、それは確かに」
レンジャー2の返事の言葉に、他の二人も静かに頷く。
「とにかく次だ。重要度の高い案件から、俺たちに出来そうな物をピックアップしていく。連邦生徒会長の失踪後、行政管理が行き届いていなかったようだな。破損したインフラの整備も追い付いていない。それどころか、悪ガキどもが暴れたせいで壊れた、もしくは学園に対する人質のような物として占拠された設備も多いらしい。今は、生活基盤の復旧を最優先。それに関する依頼の中で、俺たちでも力に慣れそうな物を更にピックアップしていく」
「「「了解」」」
その後、俺たちは更に嘆願書を選別。結局午前中は、俺たちが明日以降受けるであろう依頼の選別だけで終わってしまった。その後、ゼリー飲料で簡単な昼食を取った後だった。
午後は更に依頼を絞る。インフラ整備の中でも、俺たちでも力になれそうな物、且つ重要性が殊更高い物を探す。そして受ける物を決めて七神にその旨を伝達。更に書類を提出した者の連絡先が書類に添付されていたので、それを頼りに連絡を取り、依頼を受ける旨を伝えよう、と考えていたのだが。
「あっ。そう言えば隊長。七神に銃の件で話をしておきたいと仰っていませんでしたか?」
「ん?あぁ、そう言えばそうだったな」
レンジャー2に指摘されて思い出した。そうだった。書類の整理に集中していて忘れてしまっていた。
「銃の事?何の話ですか?」
「あのM16の事さ。あれは連邦生徒会からの借り物だったからな。このまま俺たちが使い続けて良い物かと思ってな。七神に確認したかったんだ」
「あぁ。そういやそうだったな」
レンジャー4の言葉に答えていると、レンジャー3も思い出したように頷いている。
「すまん。ちょっと七神に電話をしてくる」
「分かりました。では我々は依頼の選択を進めています」
「頼む」
レンジャー2達は、それぞれ受けられそうな依頼を探し始める。俺は一度オフィスを出て、廊下で通信端末を手に七神の電話番号を選択し、電話をかけた。
≪はい。七神です≫
10回ほどのコールの後、七神が電話に出た。
「突然の電話、すまないな七神。今は大丈夫か?」
≪はい。少しだけであれば。何かご用ですか?≫
「あぁ。実は昨日借りた銃、M16の事についてなんだ。あれは連邦生徒会からの借り物だったからな。返すべきかと、ふと思ってしまってな。あれはどうすれば良い?」
≪あぁ。そのことでしたら、返却は不要です。先生方は連邦生徒会の組織に属している訳ですから、当然連邦生徒会の銃器を使った所で、何も問題はありません≫
「そうか。ありがとう。実は今、送られてきた依頼書の山と総出でにらめっこしていてな。一先ずインフラ整備関係の依頼を優先して受けたいと思う。それで構わないか?」
≪そうですね。その類の物を優先していただいて構いません。お願いいたします≫
「分かった。では受ける依頼を決めたら、今日中にはどの依頼を受けるかをそちらに連絡する」
≪分かりました。……そうだ。先生、銃の事に関してなのですが≫
「ん?何だ?」
≪キヴォトスは銃社会でもありますから、銃を持ち歩く事自体は問題ありません。ですが、剥き身の銃を持ち歩いては、生徒たちが先生に対し、警戒心を抱いてしまう可能性があります。そうなれば、生徒たちと先生方の間に壁が出来てしまう恐れも≫
「ッ、それはそうだな」
確かに。初対面で『君たちの依頼を聞いて来た』と言っても、相手が銃で武装していたら少なからず警戒されてしまうだろう。まして俺たちは昨日キヴォトスで活動を始めたばかり。出だしから相手に警戒されてしまうのは避けたい。何事も最初が大事だと言うしな。
≪もちろん、戦闘が予想されるような状況であればライフル等の銃器の装備は致し方ありません。……ですが、平時であれば。生徒たちを無暗に刺激してしまうライフルは……≫
「まぁ、持って出歩かない方が賢明だろうな」
≪はい。ですが、かといって銃火器を装備していなければ、先生方はご自身を守れません≫
「……一対一で近距離なら、格闘戦にはそこそこ自身があるんだが、撃ちあいとなると流石に武器無しではどうにもならんな」
プライマーとの戦争前は、対人戦闘を想定した訓練をしていた。当然、格闘訓練も含まれる。悪ガキ1人くらいなら難なく制圧できるだろうが、流石に相手が複数で距離を取られてはな。
≪分かります。ですので、出来れば先生方には、平時に携帯できる自衛用の銃火器の入手をお願いしたいのです≫
「つまり、
≪はい。或いは、フルサイズのライフルほど威圧感の無い、小型の銃、と言った所でしょうか≫
「ふぅむ」
銃の中には、隠し持つ事を想定した小さい物もある。銃の存在を秘匿したまま保持する事を『コンシールドキャリー』と言う。転じて、そう言った目的に特化した銃や武器を含めて、『コンシールドキャリーウェポン』と呼ぶ。それに七神の言う小型の銃だが……。
この場合、この目的に合った銃火器となると、拳銃に限られる。それもズボンのポケットに差し込んでも携帯出来るような、小型化されたハンドガンや38口径などの
「そうなると選択肢はハンドガンくらいになってしまうが。ここでは皆ライフルクラスの銃を持っているのだろう?それを相手にハンドガンで撃ちあうとなるとなぁ」
キヴォトスでは生徒たちは当たり前のように銃火器で武装している。RFやSMG、場合によってはMGまで出てくる可能性がある。そんな相手にHGで勝てるのは、ゲームや漫画の主人公、後はストーム1くらいだ。
≪はい。その点は気を付けなければなりませんが……≫
「片方を上げると、片方を下げなければならない。両立は難しいか」
≪はい≫
申し訳なさそうな七神の返事が聞こえる。だが彼女の言い分も正しい。生徒を必要以上に刺激しない、となるとまさかライフルを持っていくわけにもいかないだろう。その上で生徒たちを無暗に威圧しない事を優先すると、目立たないコンシールドキャリー可能な銃、つまり小型のハンドガンなどが望ましい。
しかし撃ちあいの事を考慮すると、ハンドガンでは少々心もとない。
小型で秘匿する事も可能な、それでいて銃撃戦に発展してもある程度は戦える銃。だが、相反する要素を併せ持つ銃など、早々無い。
≪幸い、というべきか。キヴォトスは銃社会ですから、あちこちに銃火器や防具、タクティカルギアなどを扱うショップがあります。もしお時間があるようでしたら、その辺りを覗かれるのも良いかもしれません≫
「そうか。……分かった。銃の確保は重要だからな。この後、あいつらと一緒に近くのガンショップを調べて行ってみる」
≪分かりました。では≫
「あぁ。また何かあれば連絡する。ではな」
七神との通話を終えた俺は、端末をしまいオフィスへと戻り、事の次第を3人に説明した。
「成程。しかし、難しいですね。生徒たちを威圧しないために出来るだけ小型で、コンシールドキャリーできるような、その上で尚且つある程度銃撃戦を想定するとなると」
「そんな便利な銃があるのかねぇ」
「そうですね。フルオートかバースト射撃が可能なマシンピストルか、拳銃より少し大きい程度の、小型のSMGかPDW。これくらいでしょうか?」
「そうだな。それが妥当な選択肢だろう」
レンジャー2は俺の言葉に難しい顔を浮かべ、レンジャー3はあきれ顔。そしてレンジャー4の提案だが、正直こいつの言う通りだ。恐らく選べる銃の種類は、今彼が上げた物がせいぜいだろう。それ以上となると、生徒たちに威圧感を与えてしまうかもしれん。
さて、そうなると。
「とにかく。午後に予定していた作業はいったん中断だ。先に銃や関連装備の入手を優先する」
「「「了解」」」
「そう言う訳だアロナ。周辺に適当なガンショップが無いか調べてくれるか?出来るだけ品揃えが多い所が良い」
「了解ですっ!」
アロナはビシッと敬礼を決めると、画面からフェードアウトしていった。
と、言う事で俺たちはアロナに周辺の様子を調べてもらい、ガンショップの位置情報を確認。念のためオフィスを施錠してからビルを出た。
「品数が多く、尚且つシャーレのビルから近いお店となると、ここですね」
アロナが画面の一部に、どこかのガンショップの物らしいホームページを映し出す。
「『スミスガンショップ』、か。ここは今やっているのか?」
「はい。ホームページを確認しましたが、今日から営業再開、との事でした。ただ……」
「ん?どうした?」
アロナの言葉の歯切れが悪い。気になって問いかけてみる。
「このお店、オープンしてからそんなに時間が経っていないようでして。ネットを検索してもレビューとかが無いので、ホームページ以上の情報は無いみたいです」
「良くも悪くも無名の店、という事か」
「はい」
悪い話は無いが、一方で良い話も聞かない店という事か。
「まぁとにかく行ってみよう。ダメそうなら別の店を当たる」
「分かりましたっ!」
その後、俺たちはアロナの案内の元、目的の店に向かった。未だにあちこちで戦闘の爪痕などが残っていたが、それでも多少は住人が出歩いていた。少しずつだが、現状は回復しつつある、か。
そんな様子を横目に見つつ、目的地にたどり着いた。
「スミスガンショップ。ここですね」
「そのようだ」
ガンショップ、というだけあって防備はしっかりしているのだろう。よく見ると壁の周辺に銃弾が撃ち込まれたような弾痕があるが、窓ガラスなどには傷1つ付いていない。恐らく防弾ガラスか何かなのだろう。
「入るぞ」
「「「「了解」」」」
俺の言葉に3人とアロナが返事を返す。そして俺は、ドアを開けて中に入る。
ドアを開けると、上に備え付けられていた鈴がカランカランと音を立てる。
「おっ!いらっしゃいお客さんっ!」
中に居たには、男性の声で話すロボット型のキヴォトス人だった。そんな彼(?)が元気よく声をかけ歩み寄って来る。
「すまんが、銃を見せてもらえるか?」
さて。どんな銃があるやら。しかしキヴォトスに来て二日目にガンショップとはな。そう思うと、少しだけ苦笑が漏れた。まぁそのことは良い。
こうして俺たちは銃を買うために、ショップを訪れたのだった。
第7話 END
楽しんでいただければ幸いです。感想や評価など、お待ちしております。