ブルーアーカイブ~~キヴォトスに舞い降りる嵐≪ストーム≫~~ 作:ジョージ
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自分たちの銃を探すため、ガンショップを訪れた俺たちは店員のアンドロイドと相談し、FDP-9と呼ばれる折り畳み式の銃と、いくつかの装備品を購入。そして午後、早瀬と守月から連絡があり、俺は彼女達の仲介で開発者とウィングダイバーの名付け親に会いに行く事となった。
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キヴォトスに来て、3日目の朝が来た。起床後、身なりを整え昨日コンビニで買っておいたサンドイッチを腹に入れ、オフィスへと向かう。
今日も俺が一番乗りだ。少しして他の3人もやってきたが……。
「それでは隊長。自分たちは」
「あぁ。分かった」
あいつらはすぐに出発の準備をすると、俺より先にシャーレのビルを出た。あいつらは、今日はそれぞれ受注した依頼をこなすため現場に向かった。依頼の内容は、破損したインフラの復旧工事だったり、予算が限られている中でどれを優先するか、意見が欲しいという事で会議の意見役だったりする。
とは言え、未だに混乱から立ち直り切れておらず、公共交通機関の一部はまだ復旧していない。なので、ビルの駐車場に搬入されていたハンヴィーと類似した多目的車両が今の俺たちの足だ。ハンヴィーモドキの数は4台。2台は常用として残り2台は予備だ。銃撃戦がデフォルトのキヴォトスではいつ壊れるか分からないからな。
3人は1台のハンヴィーに乗り、途中でそれぞれの現場に降りる形で向かう。シャーレのオフィスから、ビルより出ていくハンヴィーを見送った後、俺は席に戻った。ルートは事前に調べてあるし、少し調べてから行くか。
その後、俺は少しだけ調べものをしてから、シッテムの箱を持ち、ハンヴィーに乗りシャーレを出た。最初に向かうのはミレニアムサイエンススクールだ。
道すがら、ミレニアムについて調べた事を、頭の中で整理する。
『ミレニアムサイエンススクール』は元々、千年難題、と呼ばれる7つの難題を解こうとした技術者集団を端とする学園だ。学園としては比較的新しい新興の学校らしいが、元々が技術者の集まり。サイエンスの名の通り、このキヴォトスで最先端と呼ばれる技術の大半はこのミレニアムで生み出された物らしい。その技術的な影響力の高さから、新興の学園でありながら、ゲヘナ、トリニティと並んでキヴォトス三大学園の一翼を担っているようだ。
しかし、とふと思う。
ミレニアムが技術集団だと仮定して、どうやってウィングダイバーユニットを開発した?ウィングダイバーの飛行ユニット自体は俺たちの世界であれば、民間用のモデルが生産され流通している程には、ありふれた存在だ。しかしそれは『俺たちの世界なら』という前提条件が付く。
シャーレを出る前に調べる中で、アロナがウィングダイバーの画像をネットから拾ってきてくれた。それを見たが、見た目ははっきり言って、プライマーとの戦争開始時に配備されていたウィングダイバーユニットとそっくりだった。翼の大型化など、少なからず差異はあったが、それでも大まかな構造は同じだった。
やはり開発者が元EDFの関係者なのか?或いは、どこからかEDFの技術データを入手しそれをベースに開発したのか?……いや、今ここでそのことを考えても仕方ないな。
そう考える頃には、ミレニアムサイエンススクール近くの、来客用と書かれた看板がある駐車場に到着した。そこにハンヴィーを止め、車内で装備を確認する。アーマーの上に装備したハーネス型ホルスターからFDP-9を抜き、一旦変形。チャンバーチェックを行い、弾が入っていない事を確認すると、再び変形させホルスターに戻す。
その上にジャケット型の防弾装具を纏うと、俺はハンヴィーを降りた。車にロックをかけ、ミレニアムサイエンススクールに向かって歩き出す。ミレニアムに向かう道のりに、生徒の姿はほぼ無かった。遅刻したのか、慌てた様子でぜぇぜぇと息を切らしながら走る数人がいるが、それだけだ。確か、エンジニア部の部室があるビルに、一番近い入り口で七瀬が待っているはずだ。先ほど近くまで来たとモモトークでメッセージを送ったが、おっ?
待ち合わせ場所の入り口が見えて来たが、そこには見知った菫色の髪の生徒が。彼女は端末に向かって何かを操作しているようだった。
「早瀬ッ」
「あっ、先生ッ」
彼女に近づき声をかけると、彼女は顔を上げて俺に気づき、端末をポケットにしまう。
「すまん、待たせてしまったか?」
「いえっ、私もちょうど来た所です。所定の入り口の前でお待ちしています、とメッセージを送ろうとした所でしたので」
「そうか。っと、改めて俺の我儘を聞いて貰ってすまないな。ミレニアムもまだまだ忙しいんじゃないか?」
「まぁ、多少は忙しいですが。でも、先生たちが行政権を回復してくれたおかげで今は回復の兆しが見えてきています」
「そうか。それは何よりだ」
早瀬と話しながら歩く。が……。
「ん?あっ、ねぇあれ」
「えっ?……嘘ッ、あれ、人間の、男の人?」
「あの姿、人工皮膚、とかじゃないよね?もしかして、本物の大人の男性ッ?」
「ま、マジでっ!?」
何やら、周囲からやたらと視線を感じるな。
「見られているな。そんなに俺が珍しいのか?」
念のために周囲に視線を走らせつつ、早瀬に声をかける。
「そうでしょうね。このキヴォトスで先生たち以外の、ヘイローを持たない、それも男性の大人というのは、恐らく居ないと思われますから」
「ッ。そうなのか?」
「はい」
町中ではロボットや動物の住人しか見ないため、まさかとは思って居たが。
「だから、彼女達にしてみれば先生が物珍しく見えてしまうんだと思います」
「俺は動物園の珍獣じゃないんだがなぁ」
奇異の視線にさらされ、ため息交じりに言葉を漏らしながら、早瀬の後に続く。
「そう言えば、早瀬はそのエンジニア部の、ウィングダイバーユニットの開発者とは親しいのか?」
「え?いえ。特別親しい訳ではありません。友人、というより知人や見知った相手、くらいですね」
「そうか。ならそんな早瀬から見て、その開発者の生徒はどんな感じだ?早瀬の主観で良い。教えてくれると助かる」
会う前に、出来れば開発者の情報を少しでも収集しておきたい。ネットではあくまでも公開されているプロフィール以上のことは分からなかったからな。
「そうですねぇ。一言で言えば、ナルシスト、自信過剰、ですかね?」
「ほう?それで?」
「え~っと、自分の技術に絶対の自信を持っているタイプ、ですね。まぁだからと言って傍若無人って訳でもなくて、自分の作る物に愛着や責任を持つタイプでもあります。一言、と言えるか分かりませんが、自身の技術に裏打ちされた自信家、と言った所ですね」
「成程」
その後も、エンジニア部について色々聞きつつ、その部室に向かって歩いていた。っと、そうだ。
「あぁ早瀬。もし可能であれば、例の開発者と話をした後、セミナーによっても構わないか?」
「え?別に大丈夫ですけど、何かございますか?」
「あぁ。今後はシャーレの先生としてやっていくわけだからな。学園の代表に挨拶を、と思ったのだが」
「あぁ。成程」
早瀬は、頷きつつも難しい顔をしていた。もしかして、タイミングが悪かったか?
「あぁ、無理そうなら今日でなくても良いんだが……」
「そうですね、正直今日中に、というのは無理ですね。会長、あぁ、3年生の『調月リオ』先輩の事なんですが。やっぱり忙しいみたいで。しかも最近、私は避けられてるようで」
「避けられてる?喧嘩でもしたのか?」
「いえ。少なくとも私にはそう言った認識は無いんですが。会長、少し前からスタンドプレーと言うか、秘密主義的というか。とにかく、周囲に相談せず自分で決めて自分で行動する事が多いんです。おかげで少なからず反発されて敵も居るみたいで。おかげで『ビッグシスター』、なんてあだ名まで出来ちゃうくらいで。……正直に言うと、今日会長がミレニアム校内にいるかも分からないんです」
「そうだったのか」
今のユウカは、調月を心配するような、或いはどこか不安そうな表情を浮かべていた。
学校自体は、何も問題ないように見える。はた目にはどこも壊れていないように見える。だがそれは外見だけだ。中には問題を抱えている生徒がいるかもしれない。ただ表面を見るだけではなく、その内側にまで目を向け、そして幾多の生徒たちを助ける事。
それはきっと、先達でありそして先生である、俺の仕事なのだろう。
「最近の会長は、少し焦っているような気がして。声をかけて、聞いても『大丈夫』の一点張りで。正直、見ていられないんです。会長の事が」
「……そうか」
俺は、不安そうな早瀬の肩にを手を置いた。
「先生?」
彼女が振り返り、俺を見上げる。
「心配するな早瀬。もしもの時は、俺が手を貸す。戦う事くらいしか教えられる事の無い、こんなロートルだが、伊達にお前たちの倍以上は生きて来た訳じゃない。何より今の俺は、先生だからな。やれることはやってやるさ」
生徒たちを、彼女達を助け教え導く。それが俺の今の仕事だ。
「先生、ありがとうございます」
俺の言葉で、多少は安堵したのか早瀬は笑みを浮かべてくれた。
「あぁ。だから早瀬、もしその調月に会えたら伝えてくれ。『もし相談したい事があったらいつでも受け付けるから』、とな」
「分かりましたっ!」
彼女は静かに頷いた。
「あっ、そうだ先生。もしよろしければ、私の事は苗字じゃなくて、名前で、ユウカって呼んでください」
「良いのか?」
「はいっ、名字だけじゃ、何て言うか他人行儀と言うか。これから、もしかしたら色々依頼を出す事になるかもしれませんし」
少し顔を赤くする早瀬。いや、ユウカ。まぁ確かにいつまでも苗字で呼ぶのは他人行儀、か?まぁ本人の希望なのだから良いのだろう。
「分かったユウカ。これで良いか?」
「ッ、はいっ!」
彼女は再び笑みを浮かべる。しかし苗字から名前呼びに変わったのが嬉しいのか?最近の若い娘は分からんなぁ。
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その後、ユウカと共に俺はエンジニア部の部室へとやってきた。
「すみませ~ん」
ユウカが『コンコンッ』とノックしつつ声をかける。
「早瀬です。シャーレの先生をお連れしました」
「あぁ、どうぞ」
中から聞こえる少女の声。
「失礼します」
ユウカがドアを開けて入り、俺がそれに続く。中にいた生徒は、全部で4人。
薄紫のロングヘアが特徴的な少女。あれは犬耳か?黒髪に犬耳、頭にゴーグルを備えた少女。眼鏡に金髪、紅い瞳と、なぜか胸元が開いているシャツを着崩した少女。そして俺を見るなり、僅かに目を見開いたオレンジ色の髪をミドルへアで揺らす少女。この計4人。
「お待ちしておりました、先生」
4人の中で薄紫の髪の少女が一歩前に出る。
「エンジニア部へようこそ。私はこのエンジニア部の部長、『白石ウタハ』と申します。初めまして」
そう言って恭しく礼をする白石。
「こちらこそ。急な来訪、申し訳ない。一昨日付けで連邦生徒会直属、連邦捜査部シャーレの顧問として赴任した、一ノ瀬だ。本当ならあと3人、部下も先生をやっているのだが、仕事の関係でな、今日は俺だけだ。改めて、よろしく頼む」
「はい。あぁそうそう。私の後ろの彼女達が、残りのエンジニア部の部員です」
白石はそう言って振り返り、残りの3人に目線で挨拶を促す。
「はじめまして、エンジニア部の1年。『猫塚ヒビキ』です」
まず犬耳黒髪の少女、もとい猫塚が挨拶をする。
「お初にお目に掛かりますっ!同じくエンジニア部の1年ッ!『豊見コトリ』ですっ!SNSでシャーレビル奪還作戦のご活躍は聞いておりますっ!よろしくお願いしますねっ!」
猫塚の寡黙な印象とは反対に、豊見は快活だ。
「あぁ、よろしく」
その恰好の大胆さ等から、正直豊見は目のやり場に困る。が、ここで変な動きをしていては先生としての沽券にかかわる。とりあえず平常心だ、平常心。
「で、そちらの最後の彼女が?」
「はい。先生がお探しの、ウィングダイバーユニットの開発者。正確にはその設計を行った者です。一応ユニットの開発や生産などは、私達エンジニア部名義となっていますが、その設計のほぼすべてを担当したのが、彼女です」
白石の説明を聞き、改めてオレンジ色の髪の少女と向き合う。だが、俺は彼女を知らない。少なくとも知人の娘に、あんな髪色の子は居なかった。EDFの技術の研究開発チームに若き天才が居たという話も聞いた事が無い。ではEDFの、それも技術に携わった者の子供、か?
「はじめまして、だな。シャーレ顧問の1人、一ノ瀬だ。君の名前は?」
俺の問いかけに、彼女は……。
「……」
ん?何だ?無言で、肩を震わせている?何かに、怒っているのか?
「く、くくっ」
いや、違うな。これは、笑うのを堪えているのか?だがなぜ?そう、思った時。
「はははははははっ!!」
「「「ッ!?」」」
「と、トドロキ……ッ!?」
突然の高笑いに白石以外の3人が息を飲み、白石も戸惑い彼女に声をかけている。俺も突然の事に、理解が追い付かない。
「いやぁ、すまない。何分、『懐かしい顔』だったものだから、笑いをこらえきれなかったんだよ」
「な、懐かしい、顔?」
彼女は、俺を知っている?だが変だ。俺は彼女など、知らない。一体これは?
「おいおい、どうした鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして?」
そう言って目の前の少女はニヤニヤと笑みを浮かべている。だが、本当に分からん。
「酷い男だ。かつて共に死地を潜り抜けた戦友だというのに」
「戦、友?お前が?」
バカな。こんな髪色の戦友など、スプリガンにだっていなかったぞっ!?ダメだ、頭の中が混乱でいっぱいだ。思考が上手く回らず、ただ茫然と立ち尽くしてしまう。
「まぁ、この姿で出会うのは今日が初めてだからな。分からんのも無理はない、か」
「なに?」
この姿で、と今彼女はそう言ったのか?だが、どういう意味だ?
問いかけようとしたその時、彼女の表情が真剣みを帯びる。そして同時に、踵を揃え、陸軍式の敬礼をしてきた。
「お久しぶりです。大尉」
「君は、一体?」
俺の問いかけに、彼女は再び、フッと軽く笑みを浮かべる。
「EDF、混成独立遊撃部隊、ストームチーム所属、ストーム5、と言えばお分かりになりますか?大尉」
「ッ!!ストーム、5……?!」
ストームチームには、5つのコールサインがある。あいつだけに与えられた、『ストーム1』。俺たちレンジャー小隊のストーム2。フェンサーの精鋭グリムリーパーの『ストーム3』。ウィングダイバーの精鋭スプリガンの『ストーム4』。そして、ストームチームただ一人の
「し、しかしお前はっ!?」
「『アイテール』の二つ名、お忘れとは言わせませんよ、大尉」
「ッ!?」
女だろう、と言いかけた言葉を制したのは、彼女の言葉だった。その名を、俺は知っている。
アイテール。ギリシア神話に登場する大気を神格化した神であり。そしてプライマーとの戦時中、様々な空爆プランを巧みに使い分け、幾多の巨大生物やエイリアンの地上部隊を屠って来たエアレイダーに、その二つ名が与えられた。
空からの攻撃を自在に操る姿から、アイテールの二つ名を与えられたエアレイダー。そしてその男は、ストームチームに招聘され、俺たちと共に戦った。
自らを『戦場の指揮者』と豪語する自信家で、よくスプリガンやグリムリーパーの連中と戦果を競っては口喧嘩をしていた男だった。無論、その腕も優秀で何度彼の空爆に助けられたことか。だが、本当に?
「本当に、お前は。あのアイテール、なのか?」
信じられなかった。アイテールは、男だ。だが目の前にいるのは少女だ。男から、女になったのか?しかも若返っている?な、なぜだ?まさか、俺たちと同じように?
いや。そんな考えは、俺の願望にしか過ぎない。
それに、冷静になってみれば、アイテールの名前はそこそこ知れていた。だから知っているから名乗っているだけかもしれない。ストームチームの活躍は戦中・戦後を通して大々的に公表されていた。その名をかたるだけなら、誰だって出来る。
だからこそ……。ギュッと、拳を握り締める。
「……その言葉、本当なんだろうな?」
「疑っているのですか?」
「……その名前は、苦楽を共にし、戦場という地獄を共に生き延びて来た、大事な戦友が名乗った名だ。だから……」
「ひっ」
後ろから、悲鳴が聞こえる。ユウカの、だろうか?だがすまないユウカ。もしこいつが、その名を、大切な戦友の名を『騙っている』のだとしたら、俺はこいつを、許せそうにないっ。
「もしお前があいつの名前を騙る偽物だとしたら、生徒であろうと俺は貴様を許さん。戦友の名を汚されて黙っていられる程、俺は気が長くないぞ……ッ!」
偽物が、あいつの名を騙り、その名に泥を塗るような事をしたならば、俺はこいつに、手加減など出来るはずもない。
軍隊における絆は、時として家族との、血の絆よりも深くなる。それは数多くの、死と隣り合わせの環境で戦い、共に生き残って来たからだ。死力を尽くし、生き残った喜びと、大切な仲間を失った悲しみを共有するからこそ、強い結束が生まれる。
故に、偽物があいつの名を騙る事など、許せるはずがない。
「もし嘘なら今のうちにそう言ってくれ。でないとお互い、取り返しがつかなくなるだろう」
それが脅迫に近い言葉だという事は俺自身分かっていた。だが、それでもこいつは、笑った。
「かつての戦友に、そこまで言われては、悪い気はしませんね。大尉」
「……お前の言葉は、嘘ではない、と?」
俺の言葉に、こいつは真剣な表情で、自分の心臓を右手の親指で指し示す。
「この魂に刻まれた、EDF兵士としての誇りにかけて」
そしてこいつの目は、真っすぐ俺を見据えている。……嘘、をついているようには見えない。ならば本当に、こいつは……。
「……本当にお前は、あのアイテール、なんだな?」
「あぁ。まぁ正確に言うのであれば、俺の魂や記憶、性格などを引き継いだ生まれ変わり、と言えば良いだろうか?」
そう言って彼女、いや、アイテールは苦笑交じりに肩をすくめた。
「あのナルシストが、随分な美少女に生まれ変わったものだ。人生、何があるか分からんな」
「それは俺も思ったよ。野郎からいきなり美少女だ。しばらくは生活になれなくて苦労したさ」
そう言ってお互いに笑う俺とアイテール。やがて俺の方から歩み寄り、少し態勢を下げ、アイテールと抱擁を交わし、お互いの背を軽く叩く。
「どんな形であれ、また会えてうれしいよ、戦友」
「俺もだ、戦友」
俺とアイテールはそれだけ言葉を交わすと、互いに離れた。
そして……。
「さて、では戦友である大尉への諸々の説明と、その大尉の後ろで混乱の真っただ中にある早瀬や部長たちにも、色々説明しないとな」
「ッ、そうだったっ!」
慌てて振り返ると、そこには放心した様子の白石、猫塚、豊見、ユウカの姿が。しかも4人とも、俺を見るなり少し怯えている様子だった。
やってしまった、と内心思った時には遅い。
「す、すまないっ!お前たちを、怯えさせてしまったっ!申し訳ないっ!」
咄嗟にその場で謝罪をし、90度頭を下げる。
「あ、う、え、えっと」
しかしユウカからは脈絡のない言葉だけが帰って来る。そしてエンジニア部の白石たちは、戸惑っているのかいまだに呆然としたままだ。
「はいはいっ、全員落ち着け。これからいろいろ話があるから、早く復活してくれ」
そう言ってアイテールは、俺の横を通り過ぎ、ユウカや白石たちを次々と手近な椅子に座るように促す。
「あっ!?ちょっ!?トドロキッ!?」
「安心しろ。先生が怒ったのはお前たちに対してじゃないし、その問題も解決済みだ。誰だって、自分の親友の名を騙って、更にその名前に泥を塗るような事してたら、許せないだろ?」
「そ、それはまぁ……」
戸惑うユウカを椅子に座らせるアイテール。
「さっきの先生もそれと同じさ。ほら部長たちも。さっさと座って」
「あ、あぁ」
アイテールに促されるまま、混乱しつつも適当な椅子に着席する白石や猫塚、豊見。
それから俺とアイテールでとにかくユウカや白石たちを宥めた数分後。
「さて。では改めて」
アイテールが座っていた椅子から立ち上がる。
「俺は元EDF、混成独立遊撃部隊、ストームチーム所属、チームでのコールサインはストーム5。これでも『アイテール』の二つ名持ちだ。そして戦中は同じくストームチームに所属していた先生こと大尉たちと共に戦った男……」
そこでアイテールは一度言葉を区切り、笑みを浮かべた。
「……の、魂を受け継いで転生したのが今の俺、ミレニアム2年、磐井トドロキ、という訳だ」
ニヤリと笑みを浮かべるアイテール、もといトドロキ。
「ち、ちょっと待って。えぇっと、つまり?」
ユウカが混乱した様子で額に手を当てたままトドロキに問いかける。
「早い話、俺は転生者、という奴だ。その転生前の立場というのが先生の同僚であり戦友だった、という事さ」
「……頭痛くなってきた」
「奇遇だねユウカ。私もだよ」
眉を顰め、疲れた様子で言葉を漏らすユウカに白石が同意し、猫塚と豊見の2人もうんうん、と頷いている。
「……しかし、転生者だというのなら、説明できる事もある」
ん?白石がそう言ってため息をついた。
「トドロキの設計したウィングダイバーユニットは、画期的な物だった。だが本来技術や道具というのは、地道に設計開発、試作と実験、改良という進化を重ねていく物だ。しかし君の作ったあれは、設計段階で既に高い完成度を誇っていた。プロトタイプや概念実証機も無いというのに。それはつまり……」
「あぁ。『前世で同じものを見ていたからこの世界でも作れた』。それが、俺がウィングダイバーユニットを設計できた理由だ。それに俺の属していた兵科、エアレイダーは戦場の工兵でもあったからな。よく無茶をする仲間のウィングダイバーたちの、ユニット整備をやっていて色々覚えたのさ」
白石の言葉にトドロキは説明をしながら頷く。
「だからこの世界でもウィングダイバーユニットを設計出来た、という訳ですね」
「あぁ」
「……ねぇ、一つ聞いて良い?」
豊見の言葉にトドロキは頷くが、猫塚が何やら神妙な表情でトドロキを見つめながら問いかける。
「なんだ?」
「その、転生した、って事はつまり、前世で『死んだ』って事だよね?それってまさか、戦場で……?」
「いや。戦争は生き残ったさ。そして終戦後、老衰で子供やら孫やら看取られて永眠。……と思ったらなぜかキヴォトスで生まれ変わった、という訳さ」
「そう」
戦場で散った、という訳ではないトドロキの実情を聞き、ホッとした様子で息をつく猫塚。
「転生後は前世での経験を生かそうと思ってな。元々戦後は技術関係の職に移ってたし、何か技術系の勉強でもしようと考えたんだ。そうなると選択肢はミレニアム一択だからな。ここに入学して、後は部長たちや早瀬の知る通りだ」
「成程ね。トドロキが先生の事とかに詳しかったのは、元同僚だったから。ウィングダイバーユニットを設計出来たのも、元工兵で整備とかに関わってたから、と」
「まぁ要約すればその通りだな」
「しかし、トドロキはどこか、発言や行動が男性的だと思った時が何度かあるが、そもそも前世で男だった、という事か」
ため息交じりに白石が問いかける。
「あぁ。おかげで転生してからしばらくは、女の体に慣れるのに苦労したがな。何分男とは大違いだ。まっ、刺激的な経験ではあるが」
そう言って笑みを浮かべるトドロキ。
「でも、どうして転生なんて非現実的な事が?それに、先生たちは?」
そう言えば、そうだな。なぜアイテールがトドロキとして転生。性別も変わっているのに、対する俺たちは若返った姿でこの世界に招かれた。この違いは、一体?
「正直そこばかりは分からん」
トドロキも、真剣な様子で眉を顰めつつ答えた。
「俺は最後の瞬間、自分の命の炎が消えていく感覚をその身で味わっていた。しかし、完全な眠りについたと思った次の瞬間、こちらの世界で赤子として生を受けたんだ。神や、それと似たような超常の存在との邂逅なども無い。正直、生まれた当初は『なぜ自分は転生したのか?』という話題について色々考えた。しかし仮説を立ててもそれを証明する事は出来ない。俺に理解できたのは『自分が転生した』という事実だけだ」
「そう。……それじゃまるで、悪魔の証明、ね」
ユウカはポツリと言葉を漏らすが、悪魔の証明?それは……。
「悪魔の証明とは、どんなものだったかな?」
俺が問いかけると、何故かユウカがゲッ、と言わんばかりの表情をした。な、なぜ?と思った直後。
「説明しましょうっ!」
うぉっ!?急に豊見が声を上げたっ!?
「そもそも悪魔の証明とはっ!中世ヨーロッパのローマ法の元で当時の法学者が、土地や物品等の所有権が誰に帰属するのか過去に遡って証明することの困難さを、比喩的に表現した言葉が由来でして、あっ、ちなみに悪魔の由来は……」
「はいはい、ストップ」
「もががっ!?」
何か、ノンストップでしゃべり始めた豊見を横にいた猫塚が、口をふさぐ事で止めに入った。
「すまんな大尉。こいつは解説とか説明に取りつかれたお喋り魔人でな。説明し始めたらそうそう止まらいんだ」
「そ、そうか」
苦笑交じりのトドロキの言葉に頷く。
「まぁ、悪魔の証明を分かりやすく言えば、例えば神様などが、『存在しない』と証明する事が不可能に近いから、逆説的に存在する、というものだ」
「えぇ」
トドロキの言葉にユウカが頷く。
「しかしそれは、逆の事も言えます。存在すると証明する事は殆ど不可能です。だから存在しない、ともいえる」
「神も、その存在が観測されるまでは居るかどうか分からない。まるで、観測されるまで生死が確定していない、シュレディンガーの猫だね」
白石の言葉に、俺はふとある物が脳裏に浮かんだ。……プライマーの神。あの龍のような敵船から現れた、巨大な一つ目の化け物。時間を越える程の技術を持った、俺たちの敵だった物。
もしかしたら、レンジャー3が以前言ったように、本当に奴が、プライマーの神が関わっているのか?
そう思うと、嫌な汗が背中を伝う。が……。
「はいはい。この話題はこれでおしまいだ。おしまい」
手を叩きながらトドロキが俺の前に立つ。
「どうせ神様なんて、いるかどうかも分からいし、転生した理由だってはっきりした物は無いんだ。今ここに俺みたいな転生者や先生がいる。それ以上でも、以下でもない。今はそれでいいじゃないか」
「……そうね。神様だなんだと言った所で、どうせ証明は出来ないでしょうし。今は、あくまでも現実を見るべきね」
トドロキの言葉にユウカが続く。そして白石や猫塚、豊見も静かに頷いた。
「と、言う訳で、大尉。いや、この場合、お互いの今の立場を考えて先生、と呼ぶべきでしょうが。改めて俺の今後について説明したいと思う。俺は今後もミレニアムの、エンジニア部の生徒として、学園生活を送る。ただし、いざという時は頼ってくれて構わない」
「良いのか?トドロキとしての学園生活があるのだろう?」
「ははっ、何を言う。同じ釜の飯を食い、地獄の戦場を生き延びて来た戦友の頼みだぞ?断る理由などあるものか」
そう言って笑みを浮かべるトドロキ。
そう言えばそうだった。こいつは、表面的には自信家でナルシストだが、友人や戦友と認めた相手にはめっぽう義理堅い。そんな男だったな。
「頼もしいな。ならば、何かあれば頼らせてもらうとしよう。それに、トドロキたちも何か手が欲しい時は俺や部下たち、つまりシャーレを頼ってくれ。今の俺たちの立場は、生徒たちからの依頼を受ける、何でも屋みたいなものだ」
「ほう?捜査部、なんて大仰な名前が付いているのにか?」
「あぁ。そんな肩書がついていても、実態はそんなもんだ」
トドロキの言葉に答える。
「そう言えば大尉。つまり先生たちは今後どうするんだ?目標設定とかはあるのか?」
「今の所は特にない、というのが本音だな。何しろ、創設者の連邦生徒会長は失踪。生徒会幹部の七神たちも、生徒会長が作った事や、顧問として俺たちが呼ばれた以上の事は知らんようだ。加えて、現時点でもこれと言った目標は設定されていないそうだ。おかげで、今は連邦生徒会に寄せられる依頼の下請けみたいなもんだ」
思わず苦笑しながら首を振る。
「そもそも、今はキヴォトスでの生活や仕事に慣れるのが最優先だからな。目標などそうそう決められる状況ではない、という感じだ」
「それもそうだな。まぁ、これでとりあえず、俺が何者か、という話し合いは終わりという訳だ。何か聞きたい事は?」
「今の所特には無いな。とりあえず連絡用にモモトークの交換をしたいくらい、か?」
「そうか。まぁ、聞きたい事があればモモトークでメッセージを送ってくれればそれでいい」
「了解した。……ん?どうしたユウカ?」
トドロキと話をしていると、何故かユウカが頭を抱えていた。
「あぁすみません。なんて言うか、先生と生徒、のはずのトドロキがため口で話をしているのが凄い違和感と言いますか。トドロキ、外でその口調で先生と話してたら、絶対何かあるって疑われるわよ?」
苦言を呈すユウカの横で白石たち3人がウンウン、と頷いている。
「っと、それもそうだな」
「確かに」
ユウカの指摘にトドロキと俺が頷く。
「お願いだから外で第3者が居る時は、敬語や生徒と先生、という立ち位置を意識して会話してくださいね?」
「了解した」
「分かった、心がけよう」
ユウカの言葉に俺とトドロキが答える。
「と言うか、トドロキはすんなり私達の前で自分の過去を喋ってしまったが、良かったのかい?」
「ん?そりゃまぁ、部長たちや早瀬なら、こういう話を吹聴するようなタイプじゃない事は分かるし。別に今隠したとしても、俺と先生の関係を勘ぐられて間違った噂でも流れ始めたら、そっちの方が困るしな。だったらいっそ素直に喋っちゃっても良いかな、と。それに、元々部長は俺の事を疑っていたのだろう?」
そう言ってトドロキが問いかけると、白石は少し間を置き、『まぁね』、と頷いた。
「……正直に言うとね。なぜこれほどの技術や知識があるのか、謎だったんだ。私達がどれだけ探しても、基礎理論すらない技術や知識を、どこでどうやって得ていたのか、長く疑問の種だったのだが、それも今日解消されたよ。異世界の技術体系、だとは流石に考え付かなかったけどね」
そう言って白石は苦笑を浮かべている。
「疑問が晴れたなら何よりだ。……っと、そうだ。部長たちや早瀬は口が堅いし、分かってると思うが、俺が転生者だって事はここだけの秘密で頼む。皆に話したのは、変な勘ぐりされないため、ってのもあるが、ある程度付き合いのある、信頼に足る相手だと思ったから話したんだ。変な相手にバレて、とっ捕まって解剖なんてのはごめんだからな」
「分かってるわよ。と言うか、言っても信じられないでしょうけど」
「そうだね。けれどトドロキの技術知識の凄さは多くの生徒が知っているから、あながち本当かもしれない、と思われるかもね」
「じゃあ、やっぱり話せない?」
「そうですねぇ」
早瀬の言葉に白石が頷き、更に小首をかしげる猫塚と頷く豊見。
「そうだな。とりあえず、ここにいる面々には色々知らせる形となってしまったが、基本的にトドロキが『アイテール』。俺の元同僚で転生者だった、という事実はここにいるお前たちの胸の中に留めてもらえると助かる」
「「「「はい」」」」
俺の言葉にトドロキ以外の4人が頷く。
「アイテール。いや、トドロキも他の生徒の目がある内は、俺たちはあくまでも先生と生徒として接してほしい」
「OKだ、大尉。っと、じゃないな。分かりました、先生」
そう言って、答えを改めるトドロキ。
「もし、装備や銃器で何か相談があれば遠慮なく連絡してください。エンジニア部はそういった装備の開発も請け負っていますから」
「……お前の中身がアイテールだと思うと、敬語にめちゃくちゃ違和感を感じるな」
「そうですか?なら、ため口でも?」
「……もうそれでいい」
「OKだ、先生」
俺がため息交じりに伝えると、トドロキはニヤリと笑みを浮かべた。
「さて。では、俺はそろそろお暇するよ」
「なんだ?もう帰るのか?」
「いや、午後にトリニティの、トドロキにユニット開発を依頼したという生徒に会いに行くんだが。正直、それが誰なのか心当たりがあってな」
「ふふっ、だろうな」
俺の言葉にトドロキは笑みを浮かべる。
「ネタバラシはしないでおく。会って直接確かめると言い」
「あぁ。そうさせてもらう」
そう言って、俺は席を立ち、トドロキの前に。するとトドロキも立ち上がる。
俺が右手を差し出せば、トドロキも握手で答える。
「これからよろしく頼む。先生と生徒、としてだけじゃない。かつては共に戦った戦友として」
「あぁ。何かあればいつでも頼ってこい。お前たちは俺が居ないとダメだからな」
「ふっ、随分な物言いじゃないか?」
お互い、軽口をたたき合う。
「戦場でお前たちが酷使した銃火器を整備していたのは、誰だっけな?」
「そうだった。いつも世話になっていたな、俺たちは」
ニヤニヤと笑みを浮かべるトドロキ。
あぁ、そうだったな。今になって思い出す。決して楽な戦場ではなかったが、それでも俺たちは、力を合わせ、プライマーどもを撃退したのだ。あの時の光景が脳裏に浮かぶ。
「また世話になるぞ、アイテール。いや、『磐井トドロキ』」
「あぁ。任せろ。『先生』」
そうして俺たちは固い握手をしてから、分かれた。
~~~~~~
握手ののち、大尉はユウカに連れられてエンジニア部の部室から退室した。それを見送るトドロキと、ウタハ達。
「ふぅ」
椅子に座り息をつくトドロキ。そして彼女は、徐に近くにあったデスクトップPCを引き寄せ、起動した。
「トドロキ?何をしているんだい?」
「ん?いやなに。こいつのデータが、無駄にならなくて良かったな、と思ってな」
PCのキーボードをたたき、出て来た画像。そこには、大型のロボットの物と思われる設計図があった。その設計図の隅に掛かれた『簡易量産型コンバットフレーム・概念実証機』の単語。
「これは?」
「俺が設計していた、新型機動兵器。のプロトタイプの設計図だ」
「機動兵器?それはつまり、トドロキが設計した『コンバットフレーム』の後継機、なのか?」
もし、この場に大尉が残っていたら、きっと驚いた事だろう。
『コンバットフレーム』とは、かつてEDFに配備されていた二足歩行、つまり人型の機動兵器だ。両腕と背面にハードポイントを持ち、武装を変更する事で多種多様な作戦に従事可能なロボットだ。
そしてエンジニア部は、トドロキによってもたらされた技術をもとに、それを開発し、生産していた。もちろん民間市場には流していない。存在自体も超一級の機密だ。この存在を知っているのは、エンジニア部の4人と、セミナーの生徒。そしてミレニアムの治安維持を任されている、ある組織のリーダーだけだ。
「後継機、ではないな。確かにキヴォトスでもコンバットフレームの開発や生産は出来た。だがコストがかかり過ぎている。あれでは量産には向かない」
「そうですねぇ。我々が作り上げた『グラビス型コンバットフレーム』のお値段、1機でも相当ですからねぇ」
トドロキの言葉にコトリが頷く。
「うん。値段を見たユウカが白目をむいたのを今でも覚えているよ」
「先輩、立ったまま気絶してた」
ウタハとヒビキも、あの時のユウカを思い出しながら頷く。
「あれでも、ニクス型より旧式でコストは安い方なんだがな。まぁ、そんな訳でもっとコストを抑えられないか、と思ってな。そこで、コンバットフレーム関係の技術をベースに、コストを抑えた簡易量産型がこいつだ」
そう言って画面を指さすトドロキ。
そこに映っていたのは、人間に似たスタイリッシュなコンバットフレームとは異なり、どっしりとした、手足は太く短めで、頭部も殆ど胴体と一体化しているような、そんなロボットだった。
「成程ね。それで、このロボットの名称とかは考えてあるのかい?」
「あぁ」
ウタハの問いかけにトドロキは頷く。
「コンバットフレーム技術を応用した、新型二足歩行兵器シリーズ。型式は『BMシリーズ』。BMは『バトルマシン』の頭文字から取った」
「BMシリーズか。……これはまた、忙しくなりそうだねぇ」
そう呟くウタハは、しかし楽しそうであった。
彼女は、浪漫という言葉に魅せられた女だ。この手で浪漫の塊ともいえる、人型ロボットを作る喜びは、饒舌に尽くしがたい。
「でも、そう言えば先輩。なんで作ったばかりのグラビス型、『アビドス高校』なんて、無名な所に渡したの?それも、『砂漠地帯での駆動系のテスト』なんて表向きの理由で、その上で無期限貸与、整備無料、なんて条件まで付けて」
「そりゃぁ、戦友に頼まれたらなぁ」
「「「……えっ!?」」」
トドロキの言葉に、3人は揃って声を上げた。それを見たトドロキは面白そうに笑う。
「居るんだよ、アビドスにも。……精鋭たるストームチームの中にあって、本物の『エースオブエース』。かつて『ストーム1』と呼ばれた、俺たちの更に上を行く、伝説の男がな」
もし大尉が彼と出会ったら、どんな反応をするだろうか、と。そんなことを考えながら、彼は笑みを浮かべつつ、PCに視線を落とす。
その隅の一つには、小さく、このBMシリーズのペットネームの候補が書かれていた。
『ベガルタ』、と。
第9話 END
長い。まぁという事で、エンジニア部のオリキャラは、これまでゲーム本編には登場しなかった、ストームチーム所属のエアレイダーであるオリキャラ、ストーム5ことアイテールでした。彼女(彼?)は今後ミレニアム編で活躍したり、技術面で先生である大尉たちをサポートします。
そしてEDFシリーズからバトルマシン、ベガルタシリーズが出てきます。……仕方ないんや、俺コンバットフレームも好きだけどベガルタも好きやねん。どうしても出したかったんや。
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