ハルはこれまでの4ヶ月の話を全てスプリングへ語り、自らの立場を振り返る。だがそれを聞いて同情を覚えるスプリングは、ハルを守る事を約束すると共に、強くなろうとする彼の意を尊重する様子を見せたのだった………
ハルがレボナガシへ滞在するようになり数日。ハルはスプリングに城の外へ呼び出され、魔法の事について教わる事となった。
「おはよう、ハルくん」
スプリングはハルの顔を見ると共に挨拶をする。
「おはようございます、スプリングさん」
ハルも恭しく頭を下げる。
「突然呼び出してごめんね。けれど貴方が能力者であり魔法も使えるって聞いてたから少し授業をしたくて」
スプリングはハルに魔法の才がある事から彼に教えたい事が生まれた様子だった。
「ありがとうございます、しかし授業とは………?」
ハルは首を傾げながらスプリングの言葉の意味を問いかける。
「………現代の魔法の仕組みについてはどこまで知ってるかしら?」
スプリングは少しして授業の内容に入ったのか、ハルに対して現代魔法の原理を問いかける。
「えっと………確か現代魔法は身体に刻まれた術式に魔力を流し込むオートマチック式と聞いています。俺は魔法がほぼ独学なのでこのやり方について直感任せですが………」
ハルは現代魔法の仕組みを口にする。とは言えハルが魔法を習得したのは独学であり、現代魔法の感覚についてはよく分かっていなかったようだ。
「………それは好都合。そもそも魔法の契約は身体に魔法の術式を刻み、それが定着した者だけ扱えるようになる儀式。そして術式を持つ魔法使いはそれに適量の魔力を流し込むだけで詠唱を必要とせず魔法を使える。それが現代の魔法なの。しかしこれにもデメリットはあるわ。魔力を流し込むだけというのは簡単だけど、魔力による威力の振れ幅は極端に落ちる。つまり1級と5級が同じ魔法を使ってもそこまで威力は変わらないって事ね。その影響で現代魔法はオートマ式の台頭によって大魔法などの上位魔法を切り札として扱う魔法使いもかなり増えたわ」
スプリング曰く、現代のオートマチック式の魔法詠唱は簡単に魔法を実現できる反面で威力が固定される難がある事を指摘する。
「極大魔法も………ですか?」
ハルは極大魔法も切り札の1つとして定着しているのかを問いかける。
「………いえ、極大魔法にはオートマ式は存在しない………というより出来ないと言うのが正しいべきかしら」
だがスプリングはそれを否定する。何故ならオートマ式の極大魔法は存在しないためである。
「出来ない………?」
ハルはまたしても首を傾げた。
「極大魔法は自分の本質を魔力で体現する世界。言ってしまえばそれぞれ個に1つしか存在しない。だからオートマ式では作れない………実現させるには所謂旧式と呼ばれるマニュアル式………魔力の量と詠唱を自分で構築するやり方しかないの」
スプリング曰く、極大魔法は旧式と呼ばれるマニュアル式でしか有り得ない事であり、つまり極大魔法と現代の大魔法までの詠唱術は根本的に違う事を明かすのだった………
スプリングからの魔法に対する授業において、現代の詠唱と旧式の詠唱を知る事となった。そして、彼女からの授業はまだ少し続く事となったのだった………
To Be Continued………
次回予告
旧式詠唱は現代詠唱と比較して面倒なものであるが、同時に威力の底上げや極大魔法に必要な技術であった。その事からスプリングはハルに対して旧式詠唱での魔法詠唱を勧める言葉をかけるのだった………
次回「旧式詠唱の利点」