ハルの力で危機を脱したメイルは、彼と共に森を脱出する。そしてメイルはそんな生命の恩人であるハルへのお礼として、彼を自身の元へ置く事を口にするのだった………
数十分後、メイルは任務の報告の為ウズクチョへと帰還。そのまま城の中へと入る。その際にハルは別室へと通されており、メイルのみが国王へ任務の報告を行った後、メイルはハルの元へとやってきた。
「待っててくれてありがとうね、ハル。それにしても陛下、今日は一段と機嫌が悪そうで………ハルの事お話出来なかったわ………」
しかしメイルは国王の機嫌の悪さに頭を悩ませる様子を見せていた。
「仕方ありませんよ、それにメイルさんの評価になった方が事は穏便に済むでしょうし」
ハルは大人の様子を見せながらメイルを宥める。
「よくそんな難しい言葉知ってるわね………本当に私より歳下?」
メイルはハルの大人びた雰囲気に首を傾げてしまっていた。先程、
会話を続ける中でメイルはハルが歳下である事を知らされたが、彼の様子を前にどこか信じられない様子だった。そんな中、外から部屋の扉をノックする音が聞こえ………
「はい………!」
メイルは部屋の扉の前へと駆けつけ扉を開ける。
「っ!? あ、貴方は………!!」
その際にメイルは動揺の声を漏らした。
「………? メイルさん?」
ハルは首を傾げながらメイルの先へ視線を向ける。するとそこには………
「………邪魔するよ」
白髪で青い目をし、黒いロングコートを身に付けた青年が立っていた。
「ゆ、U様………!?」
メイルは恐れ多い様子を見せながらその人物の名を口にする。
「U………様?」
一方でハルはUの事を知らないようで、思わず首を傾げながら問いかける。
「………驚いた。僕の事を知らない人間がいるとは………別の出身かな?」
Uは自分を知らないハルに対して興味を感じたのか、彼へ出身を問いかける。
「………放浪の旅人の身でした。先程メイル様の元でお世話になるお約束を致しました」
ハルはすぐに恭しい様子で頭を下げ、自身が旅人である事を語る。
「旅人かぁ………そりゃ珍しい。この辺の人間は嫌でも僕の事を知っている奴等しかいなかったから僕の事を知らない人間が現れたのは実に貴重だ」
Uはどこか嬉しそうな様子でそう呟くと、ハルの目の前にあったソファーへと腰掛ける。
「………なら自己紹介をしないとだな。僕はU、ウズクチョを見守る為にこの国に滞在している。君、名前は?」
Uは自身の自己紹介をハルへ始める。それと同時にハルの名を問いかける。
「………ハルと申します」
ハルは自身の名をUへと語る。
「ハルくん………かぁ。よろしく頼むよ」
Uはハルに対して優しく挨拶の言葉をかける。その直後、Uはハルの身体から魔力が漏れ出ている事に気付くと共に、彼が近くに置いていた剣から小さく魔力の残穢が残っている事を察知し………
「………君、能力者だろ?」
Uは少ない判断材料からハルが能力者である事を指摘する。
「………よく分かりましたね」
ハルは少し警戒したのか、間を置いて返事をする。
「………おっと、悪かった。あまり能力の事を聞くのは野暮だったね」
Uもそれを察知したのか、この話を早々に切り上げようとする。
「………俺の能力は剣に炎の魔法を纏わせる能力です。そんなに強くないですよ」
だがハルはその中で自分から能力を開示した。
「………へぇ」
それを聞いたUは意外そうながら、どこか面白そうにそう呟いた。その一方でメイルは表情が硬直していた。
「(剣に炎の魔法を纏わせる能力………? でもそれじゃあ、あの時の魔力の残穢は何………? 多分ハルが作ったものなのはあの時の剣技を見たからハッキリと断定できるけど………他の属性の魔力が明らかに混じっていた………)」
と言うのも、あの時目の当たりにしたハルのものと思われる攻撃の残穢には炎以外の魔力が明らかに混じっており、これでは攻撃の残穢か説明できなくなるか、ハルが嘘をついているという状況になっていたからだ。ハル本人もメイル本人が混乱に陥っているのはよく分かっていたのか、どこか優しそうな視線を向けるのだった………
ウズクチョの城にて帰還報告を終えたメイル達の前に現れる白髪の人物U。そして彼こそ、ウズクチョで名の知れた有名人であるものの、流浪の旅人であるハルにとっては初めて出会う人物であったのだった………
To Be Continued………
次回予告
Uはハルに疑われていると察したのか、その場を離れる選択を取る。そして、ハルの能力に混乱するメイルに対し、ハル自身は嘘をついていた事を明かすのだった………
次回「真の能力」