幻想魔戦史録   作:Uさんの部屋

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前回までのあらすじ
スプリングから旧式詠唱の利点とデメリットを教えられたハル。そしてハルはこの旧式詠唱を習得する事で更に強くなる事を自身の目標として自覚するのであった………


第30話 難解式の詠唱技術

それから1週間程経ち、ハルはスプリングから旧式詠唱………所謂マニュアル式の詠唱手順について教えられていた。現代の魔法は契約の段階で刻まれる術式をただなぞるだけで扱えるようになった事もあり、マニュアル式の習得は難解を極める。

 

「ふうっ………{エンチャントフィジカルアビリティ}!」

 

だがハルはほぼ感覚で魔法を動かしていた事もあり、オートマ式があまり定着しておらず、マニュアルへの矯正にはそう時間がかからない様子を見せていた。だが彼をしても難しい技術である事に変わりはなく、まだこの時ハルは身体強化魔法エンチャントフィジカルアビリティしかマニュアル式での詠唱を成功させていない。

 

「………随分と難しいですね。1から術式を構築するとは………」

 

ハルをして難しいと思わせしめる1からの術式構築。

 

「昔はそうでも無かったようだけどね。マニュアル式が浸透していた時は1から魔法を組み立てる事は当たり前の行動だった。それが現代では便利な技術が発達しちゃったのもあって、生まれてくる人間の感覚や教えもオートマ式に寄ってしまった。だから難しく感じるのよ」

 

だがその点はオートマ式が浸透している現代故の感覚とスプリングは指摘していた。この指摘についてはハル自身もよく分からなかったが………

 

「それよりもハルくん、今の身体強化魔法、前よりも出力や効力が上がっている事を感じてないかしら?」

 

その中でスプリングはオートマ式には無い魔法の出力や効力の上昇がハルの身体から行われている事を口にする。ハルは軽く身体を動かしてみると、これまで以上のスピードで動けるようになり、試しに近くの地面へ拳を打ち付けてみると、そのまま大きな穴を空けてしまった。

 

「っ………!? (これまでとは全く違う威力とスピード………! これが旧式………マニュアル式の術式構築のアドバンテージか………!!)」

 

ハルはこれまでに無い自身への恩恵に思わず声を漏らした。

 

「………どう? かなり心地良いでしょう?」

 

スプリングはハルに対して心地良さを問いかける。

 

「………ええ、確かにこれは心地良いですね………」

 

ハルはどこか嬉しそうにそう呟く。だがその直後、ハルの身体から魔法の効力が消失した。

 

「あら………魔法が消えるスピードが速いわね………?」

 

スプリングもこれには首を傾げながら問いかける。

 

「ええ………実は子供の頃から俺の魔法はそんなに長続きしないらしく………付与魔法ですら持って10秒とかですね」

 

ハルは昔から魔法の付与において持続時間が持たない欠点を自覚していた。それを聞いたスプリングはそれを考えると………

 

「つまりオートマですら発生していたって事よね………ハルくん、貴方、能力は何を持っていたかしら?」

 

そう言って、ハルの能力を確認するように問いかける。

 

「え? ………えっと、俺か俺に触れた者へダイレクトに魔法を付与する『直接魔法付与(ダイレクトマジックエンチャント)』ですが………」

 

ハルは自身の能力を説明する。それを聞いたスプリングは………

 

「多分なんだけど、能力の制約上………かしらね?」

 

自身の考察を交えた上でその原因を口にするのだった………

 

 

 

ハルはマニュアル式の詠唱の恩恵を学ぶと共に、自身の魔法が長続きしない原因をスプリングから指摘される。果たして、彼女が指摘した能力の制約とは………?

To Be Continued………




次回予告
スプリング曰く、能力を成立させる足し引きの関係で能力者に一部条件が無意識に課されてしまっている事例が存在していた。だがそれは何もマイナスだけではない事を口にするのだった………
次回「足し引きの代償」
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