私はツィオーネ王国の王侯貴族のウトン(Uton)家当主のロベリ(Roveli)公爵という。ウトン家はツィオーネ王国三大貴族の一派で、王都の東側一帯を治めている。三大貴族ということもあり、金・女・権力に何不自由なく過ごせる。父は流行病で死に私は26歳の時に当主となった。王族を除けば頂点の存在である。無礼を働いた者は処刑すれば良いし、女に飽きたら新しいものを奴隷商から仕入れれば良い。
そんな中エパナスタシ暦1927年6月17日、ツィオーネ王国内で革命が起こった。私は革命が起きたこの日、民から巻き上げた高額な税金を使い1人の女奴隷を買って我が家で遊んでいた。その女奴隷はオッドアイで体つきもまぁまぁ良かった。しかし私は奴隷のくせにうっすら希望を持っていたことにムカついていた。
私は屋敷へ帰るとすぐにガタイのいい付き人を1人と奴隷を私の寝室に連れていく。女奴隷の目にはまだうっすらと希望をもっている。助かるとでも思っているのだろうか、それとも貴族の私に抱かれることを喜んでいるのだろうか…
「おい、女。私に買われたのだから嬉しいだろ」
そう言ってひざまづいている女奴隷の顔を覗く。すると女奴隷の目線は床ではなく、彼女の手首に注がれている。その手首には、そこら辺に落ちているような閃緑岩で紡がれたアクセサリーをつけていることに気づく。
「そのアクセサリーはなんだ?」
高圧的な態度で女奴隷に問う。
「…こっ、これは故郷の友人から貰ったものでございます…」
震えながらも正直に答える女奴隷を見て、私は女奴隷が未だに希望を持っている理由がこれだと確信し、ニヤリと笑い、身につけたアクセサリーを手首から強引に奪う。女奴隷は「返して」という目線で訴えてくるが、私は無視してそれを床に叩きつけ、踏みにじり粉々に砕く。女奴隷の顔に見えたうっすらした希望が完全に消えたのが分かる。
「女はやはりこうやって遊ぶのが面白い。なんせ我が公爵家に並ぶ貴族連中の女はプライドを多少持ち合わせて十分に楽しめないが、奴隷の傷ついた女はプライドも何も無い!やはり唆るなっ!」
高揚感。奪うことはやはり気持ちが良い。
舐めた視線で私は女奴隷を見下す。女奴隷は「やめてください」というような目線で私に訴えかけてくるが、ダメだねと突っぱねる。
「さて、そろそろこいつを使うか。」
私は付き人を呼び鞭と焼印を持ってこさせる。
「さて、まずはお前を犯す前に俺の所有物である証をつけようか。」
焼印をストーブに近づけ、温度を高める。鉄の焼印は赤くなり肌を焼くのに丁度いい。奴隷の目からあふれ出てくる絶望・喪失感なんて素晴らしい。私の前立腺を大いにそそらせてくれる。アドレナリンッ!アドレナリンッ!が脳から滝のようにあふれ出てくる。さぁ、この状態でメインディッシュといこう!彼女の背中に焼き印を押し付けようとしたその瞬間、寝室のドアから鈍い音が聞こえてくる。なんだとドアに注目すると、黒いローブに身を包んだ奴が私の部屋のドアを壊し入ってくる。「貴様、誰の許可を得て私の寝室へ」なんて考えていると、黒いローブに身を包んだ奴は一言も話すことなく、こじ開けた扉から私を呆然と眺めて一雫の涙を流す。「なぜ涙を流すのか?」と考えながらも私は付き人に侵入者を殺れと指示をする。付き人は黒いローブの奴に向かって殴りかかろうとするが、一歩踏み込んだところで付人の首は跳ね飛ばされ、断面から血しぶきをあげて胴体がゴトンと崩れ落ちる。黒いローブの奴は付人の踏み込みの一歩と同時に腰に据えた鞘から抜刀し、一筋でとどめを刺した。
一瞬で状況を理解した。さっきまであふれていたアドレナリンは水の枯渇した井戸のような状態になる。その代わりに冷や汗が間欠泉の様に湧き出る。
「近づくな!!」
生存本能からでる私の声。女奴隷を左腕で近寄せ私の前に盾とする。一歩・二歩と後ずさりする…だが、黒いローブの奴はお構いなく歩みを進めてくる。
「…これが罪だ。」
その言葉とともに首を刎ねる鈍い音がする。そう認識した時にはもう既に私の頭は奴隷の女の足元に転がっていた。
「…くそ、ふざけあがって…こんな私に金を献上することしか能がない奴に殺られるなんて…」
頭の中で黒いローブに身を包んだ男か女か分からない奴を憎む。
「…お前は私たちを金を貢ぐおもちゃとしか思っていないだろう…それは違う、私たちがどんな苦労をしてるのか思い知れ…これは過去との決別だ…」
ローブに身を包んだそれは、そう言って私の脳天に剣を突き立てる。
「…私は…私は…」
唸りながら私は目を覚ます。