立ちて死すとも心火は消えず   作:巌颪

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投稿が遅くなり申し訳ないです。

次回はもう少し早く出来たらなと思います。

というわけで2話目、お楽しみください。



新たな戦場へ

「君、何者?」

 

突如として目の前に現れた謎の男はそう重國に問いかけてきた。

 

重國は警戒心を緩めることなく様子見という形を取り言葉を返す。

 

重國「人に何者かを問う時はまず自分の素性を先に明かすのが筋じゃろう?」

 

重國の返しが予想外だったのかキョトンと呆けた顔をする男。そして次の瞬間、何かを確信したかのように口角を上げて笑った。

 

謎の男「話した感じ術師ではなさそうだね。」

 

重國「どういう意味じゃ?」

 

謎の男「いやこっちの話。気にしないで。それより少しだけお話ししない?物騒な刀から手を引いてさ。」

 

どうやら目の前の男にはすぐにでもこちらをどうこうする気はなさそうだった。さらには先ほど気になる単語も出てきたため重國は一旦、男と話し合ってみることにした。

 

謎の男「そういえば自己紹介がまだだったね。僕の名前は五条悟。それで改めて君の名前は?」

 

重國「柳田重國。」

 

五条「重國。随分、古風な名前だね。」

 

重國「名前など今はどうでもいい。それより聞きたいことが2つある。」

 

五条「何かな?」

 

重國「1つ目はこのバケモノの正体。2つ目は貴様の素性だ。」

 

五条「まぁそりゃあ知りたいよね。」

 

重國「貴様、先ほど『術師』と言ったな?このバケモノと何か関係があるのか?」

 

五条「そんな一遍に聞かないでよ。でも勘が鋭いね。答えを先に言うと僕たちはそのバケモノの正体を知っている。」

 

重國「ほう・・・。」

 

五条「そいつらの正体は呪霊さ。」

 

重國「呪霊?」

 

五条「そう呪霊さ。呪霊に関しての詳しい説明はここで出来ないから省くけどとにかく僕たち術師はその呪霊を祓う仕事をしている。」

 

呪霊を祓う術師に虚を斬る死神。

 

対象が違うだけでどちらも似たようなものだと結論づけ納得する重國。

 

五条「最近、この地区での呪霊目撃率が異常なほど高かった。他の地区と比べても5〜10倍、呪霊の目撃情報が出ていた。」

 

重國「なるほど、要するに貴様らはその呪霊を祓うためにここに来たわけじゃな?」

 

五条「いやちょっと違う。」

 

重國「何?」

 

重國の言葉を否定する五条。

 

五条「術師の権力者つまり総監部が目をつけたのは呪霊の目撃率なんかじゃない。被害の少なささ。他の地区より5〜10倍の目撃率を記録しながらもその間、人への被害は全くなかった。普通なら何人か殺されていても不思議じゃない。だから総監部はこう結論づけた。呪霊を祓える力を持つ何者かがいるってね。」

 

重國「つまり狙いは・・・」

 

五条「君ってわけ!」

 

重國「じゃがそう結論づけたのであれば何故、お主1人なのじゃ?周りに人がいる気配はない。同じ術師を相手することを想定するならば複数人で来るべきではないのか?」

 

その質問に五条は笑って返した。

 

五条「何せ僕、最強だから。」

 

重國「最強?」

 

五条「そ、術師の頂点って言ったら良いのかな?凄いでしょ、僕。」

 

確かに五条から感じられる力は普通の人間とは逸脱しているもののように感じる。どうやらあながち間違いでもないようだ。

 

重國「質問を変えるとしよう。では何故、その最強がこの任務を請け負っているのじゃ?」

 

重國の質問に五条は自信満々な表情から一転して呆れた感じでため息をつき答えた。

 

五条「術師には特級を最高に1〜4級まで階級があって本来ならこの任務は1、2級の術師が請け負うはずだったんだけど総監部が見落としてたことがあってね。」

 

重國「見落としていたこと?」

 

五条「君の力の強大さだよ。前に2級術師が実際に現場に来た時、君の戦闘の跡つまり呪力の残穢を見つけた。見つけたのは良いんだけど思った以上に君の残穢が大きな力を放っていた。大きな呪力の残穢は呪霊を寄せ付けない働きをするけど時にその強い力に惹かれて呪霊が寄ってくることがある。そして最終的に君の力の大きさを考えてこれは特級案件に認定されて僕が来たってわけ。」

 

重國「ほう。」

 

五条「改めて僕の任務は呪霊を祓っている者の調査そしてその対処だ。もしその者を味方ではないと判断した場合は処分しちゃっても良いっていう感じでね。」

 

重國「処分か。お主の素性を聞いた時点で予想はできていたが総監部も思い切ったことをしよるのう。」

 

五条「アイツらは未知に臆病なだけさ。」

 

お互いに素性もある程度、掴めてきた両者だったが五条が何かに気付いた様子で言った。

 

五条「おっともうこんな時間か。こちらとしてはまだ話したいんだけどそろそろ時間かな。」

 

帰ろうとした五条だが重國の表情を見てみるとまだ聞きたいことがあるという顔をしていた。

 

五条「まだ何かあるのかな?」

 

重國「うむ知りたいことがまだある。」

 

重國のその言葉に腕を組み悩んでいる様子を見せる五条。

 

五条「う〜ん、どうしようか。僕もこれから外せない用事があるんだよね。」

 

数秒悩んだ末、何かを思いついたのか五条は笑って言った。

 

五条「なら高専に来なよ。」

 

重國「高専?」

 

五条「東京都立呪術高等専門学校。略して高専。僕たち呪術師が主に活動するための謂わば拠点みたいな場所。」

 

重國「呪術師の学校があるのか。」

 

五条「明日の今日と同じ時間、ここに迎えを寄越すからさ。興味があったらきてね。」

 

去ろうとした五条だが言い忘れていた何かを思い出したのかまた口を開いた。

 

五条「そうだ、もし本当に高専に来るんならそん時は覚悟してきてね。じゃあまたね。」

 

そう言葉を残し、五条は姿を消した。

 

残された重國はふぅっと一息つき今日、自身の身に起こったことを振り返っていた。

 

重國「全く虚がいなくて平和だと思っておったがお次は呪いか。嫌になってくるわい。・・・にしても呪術総監部も中々、非道いのう。」

 

対象の意思関係なしに味方ではないと判断した場合、即刻殺すことを許可している辺り、五条の言う通り未知への恐怖が異常なのかもしれない。

 

重國「まぁどの時代も上は腐っとるっちゅうのはよくあることだからのう。」

 

そう思った重國もまた五条と同じくその場を去り、自宅へと帰った。

 

・・・重國との話を終えた五条は用意された車に乗り込み目的地へと急いでいた。

 

車内には五条はもちろん運転席には補助監督である伊地知潔高が乗っている。

 

補助監督とは主にその名の通り呪術師をサポートするなど主に裏方の仕事をしており補助監督の他にも”窓”と呼ばれる存在も呪術師を裏でサポートすることがある。

 

伊地知「調査対象には会えたのですか?」

 

五条「会ったよ。高校生だった。」

 

その言葉に吹き出す伊地知。

 

伊地知「高校生!?あの呪力出力で高校生なんですか?てっきり知られてないだけで熟練の呪術師かと思ってたのですが。」

 

五条「しかもさ、重國っていう子なんだけど話し方が古風でさ。しかも厳かな雰囲気を纏ってるもんだからなんか高校生なのに年上、相手にしてる気分になったよ。」

 

伊地知「なんか楽しそうですね。」

 

五条「面白い子だったからね。」

 

重國の呪力量。もしかしたら2年生の彼より・・・。

 

そんなことを思いながら五条は笑っていた。

 

五条「そうそう明日、重國のことを高専に招待したから今日と同じ場所に迎え行ってね。」

 

伊地知「!?」

 

突然、言われた五条の言葉にまた吹き出す伊地知。

 

伊地知「えぇ!?明日ですか!いきなり連れてって大丈夫なんですか!」

 

五条「大丈夫だって!学長とかにはこっちから話しとくし心配しなくても良いと思うよ!」

 

伊地知「やっぱ無茶苦茶だこの人。」

 

伊地知は今日も胃が痛む思いをしながら五条の無茶振りに応えるのであった。

 

・・・そして時は過ぎ翌日。

 

重國はいつも通り学校に行きバイトをして1日を過ごし、昨日と同じ時間にあの路地裏へと足を運んだ。

 

するとそこには伊地知潔高がいた。

 

伊地知「こんばんは。柳田重國君。」

 

重國「お主が迎えか?」

 

伊地知「私の名前は伊地知潔高。補助監督と呼ばれる呪術師のサポートをはじめ裏方の仕事をしている高専側の人間です。」

 

重國「なるほどそのような仕事をする人間も高専には存在しておるのか。」

 

伊地知「ではこれより高専に向かいます。車はこの奥に停めているので私についてきてください。」

 

そうして重國は車に乗り込み五条の言っていた高専へと向かうのであった。

 

長らく車に揺られてようやく着いた高専の姿に重國は驚きの声をあげる。

 

重國「東京の郊外にこのような学校があったとは知らんかったぞ。」

 

伊地知「こちらです。」

 

驚く重國を横目に歩き出す伊地知。そして歩いて行く際に少しだけ高専のことについて教えてくれた。

 

伊地知「五条さんから聞いたと思いますがここは呪術を専門に扱う学校。名を東京都立呪術高等専門学校。京都の方にも同じ学校が存在し、現時点で日本にはこの2校しか高専は存在しません。」

 

重國「なるほどここから呪術師などを輩出してあるのだな。言うならば呪術界の要というわけじゃな。」

 

伊地知「その通りです。」

 

重國「高専の事はよく分かったが儂はこれからどこに連れて行かれるのじゃ?」

 

伊地知「重國君にはこれからこの高専の学長と会ってもらいます。」

 

重國「学長?」

 

伊地知「はい。本来なら五条さんが応対する予定でしたが学長に話を通した結果、学長が直々に応対されるという話になりました。」

 

重國「来て早々、学長か。」

 

伊地知「さて着きました。ここが学長室です。」

 

目の前にあるのは何やら木製の重厚感のある扉。重國はその扉を押し開き中へと入った。

 

伊地知「夜蛾学長。重國君を連れてきました。」

 

照明はなくただ蝋燭の火が部屋を照らしている。そしてその部屋の最奥に仁王立ちしている男がいた。

 

サングラスをかけて髭を生やしたやや強面な男。この男こそが東京都立呪術高等専門学校の学長、夜蛾正道である。

 

そしてその近くには五条悟も居た。

 

五条「昨日ぶりだね。」

 

重國「ちゃんと来てやったぞ。」

 

軽く挨拶を交わしたのち重國は夜蛾を見る。

 

重國「さてとお主が噂の学長か。」

 

夜蛾「如何にも、私が学長の夜蛾正道だ。初めまして柳田重國君。君のことは悟から少し聞いているが改めて話がしたい。だがまずはそちらの質問から答えるとしよう。聞きたいことは何かな?」

 

重國「お主ら呪術師のことは五条との会話である程度、分かった。じゃが呪霊に関してはまだ詳細を聞いておらん。呪霊とは一体、何なのじゃ?」

 

夜蛾「呪霊とは恨みや後悔、恥辱など、人間の身体から流れた負の感情が具現し意思をもった異形の存在だ。呪霊も呪術師と同じように等級で分けられていて特級を最高とし1〜4級まである。」

 

重國「なるほど、負の感情の具現化か。」

 

夜蛾「他に聞きたい事はあるかな?」

 

重國「大体わかった。感謝する。」

 

夜蛾「そうか。なら次はこちらが1つだけ君に質問してもいいかな?」

 

重國「良いだろう。」

 

夜蛾「何故、君は呪霊を祓ったのだね?もしかしたら死ぬ可能性もあるのに未知を相手にして怖くなかったのか?」

 

夜蛾の質問に重國は考える素振りすら見せず即答した。

 

重國「儂にとって死はさほど怖くはない。そして儂が住んでおった場所にいた呪霊は周りを見ても儂しか感知できておらんかった。ならば儂が祓うしかなかろう。」

 

それは重國の一種の誓いのようなものだった。

 

総隊長として任を果たせず道半ばで落としたこの命。新しき世に生を受けたのであれば今度こそ己にできる精一杯をやり遂げようと。

 

だからこそ自分にしか感知できなかった呪霊を人を襲う前に祓い続けてきたのだ。

 

夜蛾「高校生にして死が怖くないとは余程、過去に何かがあった見える。」

 

重國「で本題にはまだ入らぬのか?」

 

夜蛾「!?」

 

夜蛾の言葉に重國は待ちくたびれたと言わんばかり呆れた感じで返す。だが重國のその言葉が夜蛾を驚かせた。

 

夜蛾「本題とはどういうことかな?」

 

重國「まさかこのような質疑応答のために学長が出向いたわけではあるまい?上から何か言われてるな?正直に話せ。」

 

五条「ブハッ!!」

 

重國の言葉に五条が吹き出す。

 

五条「学長、だから言ったでしょ!この子に変な駆け引きは無駄だって!」

 

困ったような顔をする夜蛾。

 

夜蛾「勘の鋭さが学生のそれではないな。悟が言ってた通り老練の呪術師を相手にしてる気分になる。」

 

五条「じゃあもうバレちゃったし僕から話すね。良いですよね?学長。」

 

夜蛾「もうこうなっては誰が話しても同じだ。」

 

五条「というわけで君、高専に入らない?」

 

重國「儂が高専に?」

 

五条「もう隠す必要もないし言うけど君の力は野放しにするには強大すぎるから高専に入れて監視するかそれが出来なくば即刻、殺せって上がうるさいんだよね。」

 

重國「総監部の考えそうなことじゃのう。」

 

五条「で君は高専に入るのかな?」

 

重國「う〜む。」

 

暫し悩む素ぶりを見せたのち重國は意を決したかのように答えた。

 

重國「高専に行ってやろう。」

 

五条「それは総監部の申し出を受けるってことでいいのかな?」

 

重國「勘違いするでない。儂は別にお主らと殺り合っても良いが己が使命を果たさんといかん。故に入るまでだ。」

 

五条「殺り合っていいねぇ?呪術界ましてや僕にそんなセリフを吐くなんて肝がすわってるね。」

 

夜蛾「それでは改めて歓迎する柳田重國君。」

 

五条「これからよろしくね。重國。」

 

重國「よろしく頼む。」

 

こうして重國は新たに高専に入ることを決めたのであった。




読んで頂きありがとうございます。

次回かそのまた次回か、重國暴れます。

お気に入り登録や感想等して頂ければ嬉しいです。

ではまた次回!
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