ちょっとこれからの話を考えると主人公が最強だと都合が少し悪くなるのでタグとタイトルを少し変えました
ここから少しずつですが狂人と支配の悪魔の心が変わっていきます
次回はもし考えつけなかったら結構、時を飛ばします
あの大部屋での出来事から暫く経ち、いつもの通りの日常に戻ったと思われたが黒田には一つ気がかりなことがあった
あの日からマキマが部屋に侵入せず眠れずにいるようで顔はいつも通りの真顔でいたが髪が僅かに乱れて目の下が薄らと隈が出来ていた
「なぁマキマ、お前大丈夫か?悪魔って体調とか悪くなったりするのか?」
「・・・大丈夫だよ、直ぐに回復するから」
流石の黒田もそのマキマの変わりように心配し言葉を掛けたが心配無用とばかりにマキマが言い張っていた
そんな様子が数日続き、黒田の方に限界が来てしまった
「流石にいい加減に理由を言えよ、毎日そんな顔してんじゃねぇよこっちまで暗くなるだろ?」
「・・・だから大丈夫だって」
「まともに寝てねぇ癖に大丈夫もクソもねぇだろうが」
「大丈夫だって言ってるでしょ」
黒田の追求に耐えきれず苛立った様子で威圧感のある声で言い返したマキマはその空気に耐えきれずに足早と自分の部屋へと戻ってしまった
あれほど苛立った様子のマキマを見たのは初めてだったか黒田はその場で呆然となってしまっていた
「はぁ・・・これが俗に言う反抗期って奴なのか?」
アイツも一応成長してんだなっとそう呟く黒田は誰も見たことがない寂しそうな顔をしていた
部屋に戻ったマキマはそのまま自分のベットに倒れ込み頭の中でずっと考え込んでいた
(彼を手に入れれば世界を・・・けどクロはこの事をどう思うんだろう)
マキマは最初こそ黒田に抱きしめられて寝たことによりずっと夢見ていた対等の関係が叶い満足していたが段々とその関係を増やしていきたいという欲が溢れ、その為なら要らないものを消すと考えていた
しかし、黒田との生活によりマキマは徐々に変わっていきそれらを消し去った結果により黒田との関係が崩れてしまうかも知れないという恐怖によりマキマの心はずっと揺らいでいた
「本当に・・・最低だね」
自分自身に言い掛けるように暗く呟いた
どうすればいいか眠れずにいる自分を心配していた黒田に当たり散らすように言葉を言い放ちそのまま部屋に戻った自分が情け無く、マキマの瞳から一筋の涙が流れていた
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その翌日、いつも通り黒田は公安の仕事により不在でマキマは駄菓子屋の店主である老婆の元へと通っていた
いつもなら店主の話を駄菓子を食べなら聞いていたが昨日のこどあり店主の話が聞き取れず駄菓子の味すらも分からない状態であり、それを見越した店主が心配そうにしていた
「どうしたんだいその隈は?何かあったのかい?」
「・・・何でもないよおばさん」
大丈夫だといつものような顔をして言ったつもりが店主には見抜かれており、お茶を出してあげると言いマキマを店の奥の畳の部屋に誘った
「どう?いいお茶っ葉だから美味しいでしょ?」
「・・・はい」
「・・・あの人がね、よく店に来ては相談するんだよ」
店主が話したのは今日まで黒田がマキマの異変について駄菓子屋に毎日の様に通い店主に相談していたことだった
そのことをマキマが知ると昨日のこともあり罪悪感を感じ気持ちが重くなっていくのを感じていた
「無理に全部は聞かないけど、話してくれないかな?」
「・・・実は悩んでいるんです」
マキマはここ数日、ずっと心の中での葛藤について所々誤魔化しつつも店主に話した
自分には大きな目標があってその目標を達成するには多くの犠牲が必要だと、消しちゃいけない物を消すことになる事、それをやったことにより黒田との関係が壊れるかもしれないと恐れていたことを
マキマを悪魔だと知る人からすれば何か裏がある様な話ではあるがその場にいるマキマの姿は支配の悪魔の姿はなく、唯の不安になっている少女の姿であった
「・・・そうかい、それでそのことを伝えたのかい?」
最後まで聞いた店主は黒田に言ったのか聞くとマキマは顔を横に振った
伝えたらどうなるか分からない、きっと否定しこの関係が壊れるのではっとそんな考えが頭に過ぎり不安そうな顔をするマキマを見て老婆は側に近寄り優しく頭を撫でた
「おばさん?」
「そんな不安にならなくていいんだよ・・・あの人がそんなことでマキマちゃんを捨てないよ」
老婆は優しい目をしてマキマを見た
「私ね、あの人がここまで人のことについて相談するなんて思わなかったんだよ、知ってると思うけどあの人は他人に全くって言うほど無関心じゃない?」
店主はマキマに会うまでの黒田について話した
ずっと一人で店に来ては駄菓子を非常食として買うだけで世間話に付き合っても短かったりとそんな人物が今では子供を育て相談を持ち掛ける様になったのは考えられなかったという
「だからね、そんな人がマキマちゃんの為にそこまでしてるんだからあの人に話してごらん、きっと受け入れてくれるよ」
店主にそう言われたマキマは少し考えると顔を上げ意を決した顔をしたのを見た店主はニコリと笑い頷いた
「ありがとうおばさん・・・私、言ってみる」
「うん、いい顔になったね、もしあの人が嫌になったらいつでもウチに来なさい」
「もしもの時は考えとくよ」
二人は冗談を言い合うと吹き出して笑いあった
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その日の夕方、黒田が公安の仕事から帰ってきたのを確認したマキマは居間でじっと黒田が来るのを待っていた
黒田が居間に入り、マキマのその様子を見て驚いた様な顔をしていた
「マキマ?どうしたこんな所で?」
「クロ、少し話したいことがあるんだけどいいかな?」
マキマの真剣な目を見て黒田は呆気に取られつつもマキマの正面に向かい合うように座った
数秒の沈黙の後、マキマはゆっくりと顔を下げた
「昨日はキツく当たってごめんなさい、少し悩んでてイライラしてたから」
「いや、こっちも悪かったしつこく聞いちまったよ」
そうお互い昨日のことについての謝罪をし、終わったかと思ったと思い黒田が晩御飯の準備をしようと立ち上がるもマキマが止めた
「それで話そうと思って私の悩み・・・私の目的について」
「お前の・・・目的?」
マキマが改まって言い出したのはマキマ自身の目的についてでいつしか黒田が聞こうとしていたことだった
最初の頃こそ気になっていた黒田だったが自分に害がないのならそのままにして置こうと触れずにいたが自分に話すとなると相当な大きいことだと理解した
そんな様子の黒田を他所にマキマは話を続けた
「私の目的は彼に・・・チェンソーマンと再会してその力を使ってより良い世界を作ること」
「チェンソーマン?何だそりゃ?」
そう聞いた黒田にマキマは目を挟めながら地獄に居た頃に会った彼を思い出している様子であった
「悪魔が恐れる悪魔なんだ。彼は地獄で助けを求めた悪魔を助けその助けた悪魔を殺し、周りから狙われて殺されてもエンジンを吹かしては蘇る地獄のヒーロー、それがチェンソーマンなんだ」
「チェンソーマン・・・チェンソーの悪魔ってことだよな?そんな奴を使うって言ってもどうする気なんだ?木を切って街づくりか?」
チェンソーマンという名前からチェンソーの悪魔だと察した黒田であったがマキマがその悪魔を手に入れたい理由が分からなかった
チェンソーというならその使用方法は木の伐採や医療器具として昔は使われていたというぐらいにしか知らず、チェンソーマンの力で良い世界を作ると言われても理解が出来ずにいる黒田にマキマは話を続けた
「チェンソーマンは唯のチェンソーの悪魔じゃない、チェンソーマンの真の力それは・・・チェンソーマンが食べた悪魔はその名前の存在がこの世から消えてなくなるの」
「・・・・・・は?」
マキマの説明に思わず黒田は呆気に取られ、初めて間抜けな声を出した
チェンソーマンが食べた悪魔の名前がこの世から消えてなくなる、そんなことが本当に可能なのかと考えているのを察したマキマは更に衝撃的なことを言い出した
「クロが困惑してるのも無理はないよ・・・実際にチェンソーマンによって消えた物はある。ナチス、アーノロン症候群、第二次世界大戦、エイズ、粗唖、比尾山大噴火、核兵器、これらの名を持つ悪魔は食べられ、その存在を知るのは私だけしかいない」
マキマから言われた聞き覚えのない単語の数々に嘘や悪い冗談とは感じられず、本当にチェンソーマンの力だと直感で感じ黒田は静かに考え、マキマの方を向いた
「それでお前はチェンソーマンを使ってどういう世界にしたいんだ?」
「私の作る世界・・・それは消えた方がいい物を消した世界。例えば死、飢餓、戦争、これらを消し去れば人々は幸せになって素晴らしい世界にできると思うんだ」
「・・・その世界の支配者になりてぇって訳か?」
黒田は目を細めマキマを見ていた
マキマの言う通りその三つを消きえたら、きっと幸せでいい世界になるとは思うがそれも最初の内だけでそれが永遠と続くとなれば幸せではなく混沌とした地獄になると黒田は思っているとマキマは少し顔を下げていた
「・・・違わないけど、そうなっちゃうよね」
「うん?それが目的じゃねぇのか?」
そう言うとマキマは静かに頷き、先程よりも弱々しい声で話し続けた
「私はね、ずっとクロと私みたいな関係を作りたかったんだ・・・けど悪魔の私じゃあ恐怖でしか関係を作れない・・・だからチェンソーマンの力を使ってそれら消し去れば私みたいに死なない人間になってクロと私みたいな・・・家族みたいな関係ができるって思ったんだ」
マキマの真の目的は家族のような関係を持てる世界を作ることであった
意を決して話、目からいつもならそんなに流さなかった筈の涙が段々と多く流れているのをマキマ自身感じ、徐々に話したことを後悔し、その念に蝕まれていた
「最初の頃は全然その為の犠牲のことなんて考えてなかった今でもそう、けどそんなのよりも今は目的を達成してクロとの関係が壊れるのが怖いんだ・・・・馬鹿だよね、とっくに叶ってる夢に満足しないでまた欲しがるなんて」
「別にいいじゃねぇか?」
薄ら笑いをしながら自虐的に言うマキマに黒田はあっけらかんと平然に言い、マキマは顔を上げ見ると黒田は平気な顔をしていた
「叶った夢に満足したら次の夢を見る、そんなの悪魔も人間も関係ねぇよ、それに要はお前は友達が欲しいってことだろ?だったら自分から作りゃいいだけじゃねぇか」
「だけど悪魔の私じゃあ、クロ以外にそんな関係ッ⁉︎」
マキマが暗い顔をして言おうとすると、黒田はマキマにデコピンをしてその言葉を塞いだ
いきなりデコピンを受けたマキマは頭を抑え黒田を見ると真剣な目をしてこちらを見ていた
「やってねぇのに無理とか言おうとすんじゃねぇよバーカ、だったら店主とよく話してんのは何だ?あれはお前が支配してる訳じゃねぇだろ?」
「あの人は私が悪魔だって気付いてないだけだよ、もし気づけばきっと遠ざかるに決まってるよ」
「だから決めつけてんじゃねぇよ、もし駄目でもこれから先ずっと俺がお前の側に居てやるよ」
平然と黒田が言ったその言葉にマキマは驚きの表情をした
何故か分からないが彼の言葉にマキマの胸は温かくなっていき少し顔が赤くなっているのを感じたが黒田は気付かずに話し続けた
「お前とは何だかかんだで長い付き合いだし、お前との暮らしは面白いしよ、もしお前がその目的に動いても俺はお前の側に居てやる、協力もやれることはやるからな」
それにっと黒田が途中で言葉を詰め、照れ隠しか顔を背け頭を掻き微笑みを浮かべゆっくりと口を開いた
「お前は俺の初めての・・・家族だからな」
その言葉を聞いたマキマは枯れたと思った涙が再び溢れ出しそのまま静かに泣き出し、黒田はゆっくりと側に寄り優しく抱きしめた
自分と対等の存在に出会い、その存在は己の欲も目的を知っても否定せず寧ろ協力し、その理由が家族だと言われるなど昔の自分にとって諦めかけていたほど夢に見た物であった
(本当にこの人は・・・どこまで・・・私の夢を叶えて・・・くれるんだろう)
泣き出しているマキマに寄り添っている黒田は不思議な気持ちになっていた
自分らしくない行動や言葉なのは分かってはいたが何故かマキマの暗い表情や涙を見ると自然と動きいつの間にか言葉が出てしまっていた
だが、これら全ては裏ない素直な気持ちだと言うのは黒田自身自覚はしていた
(これが親心って奴かな?)
暫くし、泣き終えたマキマは涙を流しすぎて赤く腫れた目をしたまま決心した顔をして黒田を見た
「決めたよ私、目的は変わらないけど手段をもう一度考えてみる、彼の力を使わずに、恐怖を使わない関係を作ってみるだからクロ・・・」
マキマはゆっくりと黒田の手に自分の手を乗せて真剣な目をし見つめた
「その為には貴方が必要なの、だからお願い手伝ってくれる?」
真剣な眼差しを向けられた黒田はそれに応えるようにマキマの顔を真面目な目をしニヤリと笑った
「あぁ、手伝ってやるよ‼︎お前が分からないことがあれば教えてやるさ」
そう言われたマキマは嬉しさのあまり黒田に飛びつき抱きしめ、黒田もまたマキマを抱きしめ返した
その日、支配の悪魔は一つの恐怖を乗り越えて夢にまで見た幸せを確実に掴んだのであった
おまけ
「そういや飢餓を消したら悪魔も腹が減らなくなるのか?」
「多分、減らなくなるかも?」
「じゃあ、もうピザやトーストとか食いたくても腹一杯ならもう食えなくなるな」
「・・・・⁉︎」
「お前・・・偶に抜けてるとこあるよな」