狂人と支配の悪魔   作:鬼を斬る侍

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少しキャラが安定してないと思いますがご了承ください
次回はマキマ視点での話にする予定です


愛とは

 

「なぁ岸部、子供って何をしたら喜ぶんだ?」

 

「いきなり何言ってんだお前」

 

 黒田の元にマキマが来てから数日経った頃、いつも通りにパトロールの際に遭遇した悪魔を駆除し終えた黒田が偶々同じところで休憩していた岸部にそう話しかけた

 

「・・・一応聞くが邪魔になるからって縛り付けて監禁してるってなら俺はお前を殺して豚箱にぶち込むことになるが?」

 

「何だよその俺のイメージ‼︎してねぇよ‼︎」

 

 岸部にゴミを見るような目でそう言われ黒田は苛つきながら懐からナイフを取り出して岸部の眉間に目掛けて投げつけたが岸部は容易にそのナイフの綺麗にキャッチした

 その様子に黒田はハァっとため息をした

 

「色々とあってジジイ共から子供を育てろって言われて育ててんだよ、だけど子供なんて俺、育てたことなんてねぇからどうすりゃいい?」

 

「何でそうなったのか理解が出来ねぇ」

 

 黒田からいきなり子育てについて聞かれた岸部は理解が追いついていなかった

 そもそも黒田が子育てをしているなんてこと初耳であり、この悪魔とも言われている狂人に子育てを押し付けた上の考えについてもどうしてそうなったのかが分からなかった

 

「とりあえずだ、子供の喜ぶことっていや遊具とかそういった物じゃないのか?」

 

「そう思って言ってみたんだがよ、アイツそういった物が欲しいそうにしねぇんだよ」

 

 マキマと暮らしていき分かったこと、それは彼女は表情や何か欲すると言う物欲の表現が乏しいということであった

 これから共に生活していく上では問題になりそうと思い黒田は岸辺に相談したのだ

 

「はっきり言って俺に相談したのはお門違いだ、他を渡れ」

 

 そう言って岸辺は黒田の元を去りまた業務へと戻って行き、一人取り残された黒田は他に相談できそうな人物を思い浮かべてた

 

(他にいい相談相手は・・・アイツは同性だが別の意味で喜ぶことをしそうだからダメだ・・・)

 

 黒田が思い浮かべたが同性であり自分と同じ職ではあるが子供とは言え、容姿のいい女性だと知ればこちらに来て深い意味での喜ぶことを教えに来そうと思い辞めた

 そうして黒田が考えながら歩いているといつの間にかこの前に行ったばかりの駄菓子屋の前に来ており、店を見て店主である老婆を思い浮かんだ

 

(まぁ・・・先人の知恵ってのもあるし、聞くだけ聞いてみるか)

 

 そう考え、黒田は駄菓子屋へと入って行くと商品の駄菓子を並べていた店主が黒田の姿を見て驚いた顔をしていた

 

「おや、この前来たばかりなのに珍しいね」

 

「まぁ、ちょっとアンタに聞きたいことがあってな」

 

 そう言うと店主は店の奥の座敷へと誘い、言われるがままに黒田は入って行き座布団に座ると店主はお茶を出してどうしたか聞いてきた

 黒田はマキマの詳しいことを濁し誤魔化しつつどうすればいいか聞くと店主は呆れたように言った

 

「全くなんだい、子供が喜ぶのが物だけだと思ってるんだったら単純だよ‼︎子育て甘くみるんじゃないよ‼︎」

 

 そうハッキリと迫力ある風貌で一喝され少し動揺していた黒田に店主はそのまま話始めた

 

「いいかい、子供ってのは物だけを与えれば喜ぶ訳じゃないよ‼︎どんな物にも愛や真心がなきゃ喜ぶもんも喜ばないもんだよ‼︎」

 

「・・・真心?・・・愛?」

 

 愛と言われた黒田は困惑した顔をしていた

 生まれてから孤児であり親もいないので愛についてなど知らず、当然、親に愛されたことも愛したこともないのでどういうものなのか分からなかった

 そんな様子の黒田に店主はため息を吐いた

 

「その様子じゃあ、アンタもマキマちゃんも愛について分からないみたいだね・・・あの子、この店に来てから通い詰めてるよ」

 

 そのことについて黒田は初耳であった

 悪魔を駆除した後、軽く食べてすぐに自分の部屋へと入っていき就寝についていたので一日に起きたことなどそのような会話をしていなかったので当然ではあった

 

「マキマちゃんね、ウチに来てはよく私の話を聞いたりして楽しそうにしてるんだけどね・・・あの子の目の奥には何か足りなさそうにしているように感じてたんだよ」

 

 駄菓子屋に来る度に自分と会話をして僅かではあるが楽しそうにしているが何かが足りず、満足感を得ていない様子に見えていた店主はずっと引っかかっていたのであった

 

「どうやらあの子には愛が足りてないみたいだね、あの子のことを見て愛してやりなさい・・・それが子供にとって一番、喜ぶこと何だから」

 

 そう微笑みながら言う店主に黒田は初めて気づいたのだ

 子供には愛を持って接しなければならないと、悪魔でもそう言った物が通じるのかは定かではないが少なくともマキマはまだ10代の子供であることには変わりなかった

 

「・・・だけど愛するってどうすればいいんだ?」

 

 だが親に愛されたことも、愛したこともない黒田にとって愛することなど全くもって無知であった

 どうすればいいか分からずにいる黒田に店主は微笑みながら助言をした

 

「そんなの簡単よ、それはーーーーー」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 その後、黒田は駄菓子屋で幾つかの駄菓子を買い、そのまま家路へ向かい入るといつも通りにマキマが居間でいくつかの本を読んでいたが黒田に気づくと本をそっと閉じた

 

「お帰りなさい黒田さん」

 

「おう帰った、それとこれ手土産だが」

 

 そう言って駄菓子の詰め合わせを見せたがマキマはいつもの変わらない微笑みを浮かべたまま、詰め合わせを受け取るとそっとテーブルの上に乗せた、それもまたいつもと変わらないことだった

 

「晩飯にするが何か食いたい物とかあるか?」

 

「何でもいいよ」

 

 晩ご飯の準備をしようと何にするか聞くがいつもと変わらない返答で、その晩は連続の炒飯であった

 最初、黒田はこの連日の炒飯でマキマが何か好みを言うかと思ったが予想外にマキマが何のリアクションもしなかった

 

「「いただきます」」

 

 いつもなら黒田とマキマは食事中は黙々と食べていたが店主の言葉を思い出し、口に含んでいた物を飲み込み口を開いた

 

「あーマキマ、今日一日何かあったりしたか?」

 

「・・・?何もないけど?」

 

 そうかと会話が途切れてしまいやってしまったかと黒田がゆっくりとマキマの顔を見ると、マキマは突然話しかけられたことに驚いたのか困惑の表情をしていた

 黒田は改めて会話をしようと口を開いた

 「何をしていたか」「何の本を見たか」「どこか出掛けたか」っと周りから狂人と言われている人物とは思えないほど言葉が途切れつつ会話をしていく内に最初こそ困惑していたマキマも徐々に会話をしていき、どちらも狂人と支配の悪魔の名を持つ人物とは思えない様子であった

 

「「ごちそうさま」」

 

 そんなチグハグな会話をしていたらいつの間にかどちらも食べ終え、そのまま順番に寝る支度をした

 寝る支度を終えたマキマがそのまま自分の部屋へと向かおうとしたが黒田がマキマを呼び止めた

 

「なぁ、嫌ならいいけどよ俺の部屋で眠らねぇか?」

 

「・・・え?」

 

 そう戸惑いを含めた黒田の発言に今まで驚いたとしても眉が少し動くだけであったマキマの表情が歪み、正に鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした

 数秒間ではあったが二人にとって長い間が空き、最初に我に帰ったマキマが黒田を目を鋭くして見ていた

 

「・・・どういうつもり?そういう趣味に目覚めたようなら流石に私でも抵抗ぐらいするよ?」

 

「違うわ‼︎岸辺もそうだが俺のイメージってどうなってんだよ‼︎」

 

 有らぬ誤解を受けた黒田は叫ぶように大声で全否定した

 マキマからの鋭い視線を受けつつ黒田が照れ臭そうに頭をかきながら説明をし始めた

 

「知ってるようだけど・・・俺は子育てってのをやったことがねぇから先人の知恵として駄菓子屋の婆さんに聞いたんだ」

 

「あの人に?」

 

「それで聞いたのが子供と一緒に会話をして、一緒に寝るんだってよ」

 

 駄菓子屋から聞いた黒田は早速を持ってそうやってみたがマキマに有らぬ誤解が生まれたので少しばかりか後悔していた

 それを聞いたマキマはキョトンとした顔をしていた

 

「子供とか子育てとか、何度も言うけど私は支配の悪魔だよ?そう言うのは人間の子供にしたらいいじゃないの?」

 

「・・・悪魔だとしてもお前は子供だというのは変わりねぇだろ」

 

 マキマの正論とも言える言葉に誤魔化しも嘘偽りもなく真っ直ぐな目でマキマを見ながら言う黒田

 そんな黒田の言葉に無意識にマキマの心が動いたことは彼女自身も気づいていない

 

「あー、やっぱり辞めとくか・・・もう寝るか」

 

 そう言い黒田は自分の部屋へと向かって行こうとするとマキマもそのまま黒田の部屋へと向かって行った

 その様子に黒田は何だと思いマキマの方を見るとマキマはその視線に気づいたか逃げるようにその視線から顔を背けた

 

「別に嫌とは言ってないよ・・・一緒に寝ようか」

 

 そう何か誤魔化すように言うマキマに黒田は何も言わずにただ頷くだけだった

 

 そうして二人は早速、眠りに落ちようとベットへと横になったが当然だが元から一人用であるが為にベッドは小さく二人の身体が密着するような形になっていた

 

「もう少し詰めてくれない?」

 

「いや、こっちも限界だっての‼︎」

 

 そう言い合いながらも二人はベットから出ようとせずに横になっていた

 そうしていく内に気付くとマキマは眠りに落ちており、その様子を黒田は見届けていた

 

「寝たか・・・慣れねぇことしてるが・・・悪くはないな」

 

 黒田は狭いベットの中、密着によりマキマの体温が身体に伝わっていくこの感覚を不愉快とは思わず、寧ろ不思議と心地よい気分になっていることに悪いとは思っていなかった

 そうして黒田も眠りにつこうとしたが店主との会話である事を思い出し横で眠るマキマをゆっくりと自分の近くに寄せ、そのまま優しく起こさないように抱きしめた

 

「これでいいのか?」

 

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『じゃあ、参考になったありがとよ』

 

『そうだ、最後に一緒に寝る時は抱きしめておやり』

 

『はぁ?何でだよ?寝辛くならないか?』

 

『馬鹿だねぇ、子供は抱きしめたら安心するもんなのさ、マキマちゃんが寝た後でもいいからさ‼︎』

 

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(そう言うが・・・本当に安心するのか?)

 

 店主の話に疑いつつもマキマの様子を見ようと腕の中を見下ろすとマキマの目尻から一筋の涙が流れていた

 その様子に最初こそ驚いたが何かを察した黒田はそのまま先程と同じように優しくマキマを抱きしめ、その温もりにより黒田もまた眠りに落ちて行った

 




おまけ
店主「気になったけどちゃんと会話してるのかい?」

黒田「会話ぐらいしてるが?」

店主「へぇ、どんな会話なんだい?」

黒田「朝におはようや夜におやすみとか一言だけだが会話だろ?」

店主「それは会話じゃなくて、ただの挨拶だよ」
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