狂人と支配の悪魔   作:鬼を斬る侍

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感想が来て嬉しいです
これからなんですが所々飛ばすと思いますがご了承ください


騙し合い

 

 とある朝、家に電話の音が鳴り響き部屋からほぼ寝起きの状態の黒田がゆっくりと電話の受話器を取るとその相手は公安上層部の一人の男であった

 

「何だよ朝から・・・用がないなら切るぞ」

 

『今日だがマキマと共にこちらに来てもらいたい、確認事項と共に君に命じたいことがある』

 

 そう言うと男はそのまま話を切った

 どうしたものかと黒田が考えていると先程出た部屋から目を擦りながらゆっくりと寝巻きのマキマが近づいて来た

 

「誰からだったの?」

 

「上層部のジジィだった、何でもお前と一緒に来いだとよ」

 

「そう・・・それはそういうことだね」

 

 そう心配そうに聞くマキマに黒田はゆっくりと近づき雑ではあるが優しくマキマの頭を撫でその手の温もりに目を伏せるマキマ

 それを見て黒田は早めに準備をして着替え、それに続くようにマキマも寝巻きから最初に着ていた懐かしい黒い服を着て準備をし公安上層本部へ二人で向かった

 

 本部に着くなりマキマは別件の為にと一部の黒服の男達に連れられてその他が黒田を大部屋の前に連れて行き入ると上層部の十数名がテーブル越しから待っていた

 

「朝からすまないな黒田くん」

 

「挨拶はいいから要件を言ってくれ、さっさと終わらせて帰りたいからよ」

 

 相変わらず塩対応な態度に一同は苛つきを覚えたが表に出さずに話を続けた

 

「要件というのは君に託したい役割があってだな」

 

「役割だぁ?」

 

「君には内閣官房長官直属のデビルハンターになってもらいたい、もしなってくれたら君が犯した罪の全てをなかったことにしようどうかな?」

 

 いきなりそう言われた黒田は呆然となった

 また呼び出され何かを押し付けてくるかと思えば直属のデビルハンターになれと言われ、その上にこれまでやったことが無かったことになるなどそんな虫の良い話などある訳がないと思い疑惑の目をしていた

 

「どういうつもりだ?何でそこまでして俺を残したい?」

 

「単純な話だよ銃の悪魔の為に君みたいな戦力を残しておいたいだけだからさ」

 

「・・・居るかも分からない悪魔の為にか?」

 

 黒田の呟いた言葉に上層部一同は図星を突かれたかのように息を飲んだ様子に黒田は察した

 銃の悪魔は倒された、もしくは居なかったのかどちらかではないかと考えていると上層部の一人が口を開いた

 

「何でそう思うのかな?銃の悪魔の目撃や被害者が出ているのだよ?これが決定的証拠ではないか」

 

「それは分かるが明らかに可笑しいじゃねぇか?世界中の人間を殺せるってなら巨大な悪魔だと思うし高速で移動してるって言ってもそんな大きさなら一瞬だとしても目撃情報ぐらいあるのにあやふやな情報しかない・・・これで居るって言っても疑惑しか湧かねぇな」

 

 そう黒田が疑問に思った事をスラスラと言葉を発したのに対して目の前の老人達はグウの根も出ないように顔を顰め黒田を睨みつけるように見ていた

 数秒間の沈黙を破ったのは黒田の疑問の言葉に折れたのか上層部の老人達だった

 

「・・・本当にお前はこういうとこは勘がいい奴だな、本当なら君が直属のデビルハンターになった時に言う筈だったが仕方がない」

 

 そう言い説明されたのは衝撃的な事実であった

 銃の悪魔はすでに討伐されており、その肉片は各国が他国への抑止力として保管され残った肉片その殆どが他の悪魔や持っていてその肉片を集めるということは下手をすれば他国との戦争の要因に成りかねないということであった

 それを聞かされ老人達はショックで呆然となっていると思い黒田を見たが何の変わりもなく平然とした様子であった

 

「く、黒田君?どうしたのかね?」

 

「いや、別に何ともないですけど?」

 

「君はショックではないのか?とっくのとうに銃の悪魔は討伐されているのだよ?」

 

「別に俺は銃の悪魔に恨みなんてないし、世界中の人間が殺されたって言っても知らない他人だから別にって感覚だな?」

 

「別にッ⁉︎」

 

 平然と何に心に響いてない様子でそう言う黒田に老人達は困惑と多少の怒りを感じた

 ここにいる殆どは銃の悪魔により身内などを殺されている被害者であるのに対し目の前で他人だからという理由で平気な顔をしているこの人間を殴りたい衝動に駆られるが何とか抑えた

 

「そ、そうか・・・それでこれを聞いてからだが君はなってくれるのかね?」

 

「そりゃあ勿論・・・やらねぇよ」

 

 直属のデビルハンターになるのを当然のように断られた老人達は想定内とも思えるほど極端な反応しない様子に黒田はそのまま話を続けた

 

「要するに銃の悪魔の肉片集めて他国よりも優位に立ちてぇからその肉片集めの為に俺を辞めさせねぇようにしよって魂胆だろ?俺は国の犬になる気もねぇし今の自由にやれる地位の方がいいんだよ」

 

 そう悪態をつけながら言う黒田に老人達は苦虫を噛み潰したような顔をして見ていた

 一同がここまでして置いとく理由は黒田の言う通りではあるがもうひとつの理由として彼をこれ以上、自由にさせない為にその地位を嫌々ではある物の譲ろうと考えていたが想定通りに黒田はその地位を断った

 

「そうか・・・それは残念だよ」

 

「要件はそれだけか?それだけなら俺はもう帰るな」

 

「・・・そう易々と帰すなど思っているのかい?」

 

 そう言うと大部屋の扉から黒服の男達と先程別行動をしていたマキマが現れて黒田の目の前で立っていた

 その様子に黒田は動揺せずに見ていると老人達が黒田を睨みつけていた

 

「君が断るのは想定内だよ、それに元々は君を嵌める為でもあった」

 

「君は少々調子に乗りすぎたんだよ、恨むなら君自身を恨みなさい・・・では支配の悪魔よ、やりたまえ」

 

 そう言われたマキマは指を指すと黒田に向かって鎖を放ちその鎖はそのまま額に刺さった

 

「黒田豪、これは命令です、警戒を解いてゆっくりと立ちなさい」

 

 そうマキマが言うと先程まで構えていた黒田はそのままゆっくりと警戒を解くと虚な目をして立ち尽くした

 その様子に老人達は満足したかのようにして予めマキマに命令していたことをやらせた

 

「では支配の悪魔、次やることは分かっているな」

 

「・・・黒田、そのまま腹を切りなさい」

 

 マキマは無表情でそう言うと黒田は懐にしまっていたナイフを取り出すと躊躇なく自分の腹部に突き刺し、そのまま丸くなるようにしゃがむとそこから止めどなく血が流れた

 その様子に扉側にいた黒服達は支配の悪魔の力に恐れ、それを見た老人達は満足したかのようにして動かない黒田を見ていた

 

「流石のコイツでも支配の力の前では無力だったか・・・ではこれを処理しておいてれ」

 

 老人達は扉の前に立つ黒服達にそう言うと早々と黒服達は黒田に群がりその遺体を大部屋の外へと移動させようとした

 黒服達が動いている中、上層部の老人達は目の前に立つマキマを見て特に変わらない様子に頷いていた

 

「奴と暮らせて変わると杞憂していたががやはり所詮は悪魔か・・・支配の悪魔よ別の場所で聞いた通りお前には将来的に内閣官房長官直属のデビルハンターとして働いて貰う、特に意見などあるまいな」

 

「・・・ひとつだけ言うことがあります」

 

 老人達はマキマが意見があると言い眉を歪ませた

 前までなら命令されれば特に意見や文句もなく言うこと聞いていたマキマが自分から意見があると言い何事かと思いその意見を聞こうと頷くとそれを察したマキマは話を続けた

 

「私から言うことは・・・貴方達は本当に愚かですね」

 

 そうマキマは笑みを浮かべ言い放つと同時に後で黒田に群がっていた黒服達が全員倒れ、何事かと見ると首の骨を折られた者や身体中に刺されたかのように血を流す者達がいた

 そんな黒服達の中心で腹部が赤く染まった黒田が平然と立っていたのを見て驚愕したのと同時に黒田からの銃撃により老人達全員が撃たれて痛みに悶絶した

 

「ぐぅぅ‼︎」

 

「安心しろ、流石の俺でもアンタらを殺せばどうなるかって事ぐらい分かってるから殺しはしねぇよ」

 

 黒田はそのまま手に持っていた拳銃を懐に入れて着ていた制服の下のシャツか大量の赤い液体が入った袋を取り出し、床に落としマキマの側に近寄った

 

「中々いい演技だったぜマキマ、けど鎖を額に刺さった時は変な感じがしたな」

 

「普通ならアレで支配できるのに、本当に面白い人」

 

 黒田が呑気にそう言い、マキマは可笑しくて笑うのを痛みで今だに悶絶している老人達は信じられない顔で見ていた

 無表情で誰にも懐きも心も開かなかった支配の悪魔が狂人ともいえる男と企みごともなく和気藹々と会話をしている

 そんな信じられない光景を老人達が見ているのを気付いた黒田はそんな痛みで動けない老人達に近づいた

 

「どうしてって顔してんな、お前らがマキマを使って俺を殺そうとしてんのなんて分かってたんだよ」

 

 昨日、マキマがカラスで聞いたのは上層部の老人達がマキマの支配の力を使って黒田を自殺に仕向けようと話していたことだった

 上層部の老人達はマキマが黒田に、人間に懐く訳がないと確信していたのか完全に油断しているのを聞いた黒田は老人達にかなり苛つきを覚えたので騙し打ちしてやろうとこのような暴挙に出たのだ

 

「ただ俺を殺すだけだと思ったが銃の悪魔についてやマキマをデビルハンターにするとか随分興味深いこと話てたな」

 

 そう言いつつ黒田は再び懐に入れていた拳銃を老人達に向けながら時計を見て時間はいつの間にか正午になっているのを見た

 

「昼か・・・アンタらに二択だ、昼を奢って死ぬか昼を奢って洗いざらい話すか今すぐ選べ、すぐに言わなきゃ殺す」

 

 そう言われた老人達は身体に伝わる痛みを堪えながら言われるがままにするしかなかったのであった

 





 おまけ 前日

「俺は支配された振りしてこの大量の血糊の入った袋を突き刺して死んだ振りをするから演技は頼んだぞ」

「・・・別にいいけど、そんな大量の血糊はどうしたの?」

「死んだ振りして返り討ちにする為に買い溜めしてんだよ」

「・・・普通は血糊を買い溜めはしないと思うけど」
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