ヘレティック・コムニスちゃん   作:ちゅーに菌

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ニケ楽しいなぁ……なんか年始から始めたら出た私のクラゲちゃんが大変なことになった気がしますが楽しいなぁ……(虚ろ目)

楽しいから二次創作漁りま――。

勝利の女神:NIKKE (82件)

あっ……ふーん(察し) なら自給自足しないと仕方ないですね(いつもの)

さて、バレンタインですからぁ……皆様のためにぃ……ゲーム内に居た最高の女性をプレゼントしようと思います(はーと)

レッドシューズって言うんですけれど……なんで皆様2年ぐらい誰も教えてくれなかったんですか、ズルいじゃないですか(憤慨)







百年一夜物語
簡単な修羅の作り方


 

 

 

 

 

 

 最初に私が感じた感覚は酷い頭痛だった。

 

 

 

 

 

 割れるような痛み、頭痛薬が欲しくほどの痛みだと思って顔に手をやれば生暖かい液体に触れる。

 

 それが自分の血だと理解した時には少しだけ血の気が引きましたが、それよりも視界が暗転していることの方に意識が向く。少しだけ頭がふらつくから何処かにぶつけたのかも知れない。

 

 多分、私は立っていますね……ええ。

 

 素足から感じる感覚は、硬めの地面を踏んでいる時のそれで、風の音と肌を撫でる感触もあり、靴を履かずに外にいることをなんとなく理解する。それと両肩は動くが、それより先を動かせる腕は片方しかないようだ。

 

 それを感じていると次第に視界がぼんやりと戻ってくる。けれどそれは片側だけで、どうやら血は片目の辺りから出ているみたい。眼孔に指を入れたら傷口が掌に溢れ落ち、よく見ればそれは大きな銃弾だった。

 

 自分の血に触れた時は少しだけ怖かったのに、恐らく片目が壊れていることは不思議と怖くはない。それよりも少しづつ取り戻した視界で辺りを見渡し、廃墟が目立つ凍り付いた荒野のような場所にいることに気づく。

 

 それと同時に自分の視点が随分高くなっていることに少しだけ違和感を覚えた。今の目線の高さは3mほどで、少なくとも私はそんなに背は高くなかった筈だ。

 

 自然と自身の身体と脚を見てみれば、私の脚――膝から下の辺りからが真っ赤な機械のようなものに置き換わっていることに気がつく。

 

 脚を持ち上げ、地面をつついてみれば、爪先で踏み締めた感覚が伝わる。とすると身体の大半を朱い脚が占めており――そこまで考えたところで、私は自身の脚が元々このようなものであり、背の高さも特に違和感がなかったことを思い出し、違和感とは何だったのかと軽く呆れてしまう。

 

 ええ、まるで、人間みたいですね。

 

 そのことに少しだけ気恥ずかしさを覚えていると、目の前で硬い音がすることに気が付き、そちらに目を向けた。

 

 

 

「あっ……ああっ……!」

 

 

 

 数mほど前には壊れた人型のロボットが横たわっている。

 

 くすんだ金髪をした女性のそれは、両足と片腕を見るも無惨に失っており、とても痛そう。また、彼女の近くには私と肌の同じ色の腕が転がっていて――いや、私の腕ですね、あれ。

 

 

「あのー……大丈夫ですか?」

 

 

 声を掛けてみるが、返事はなく譫言のように何かを繰り返すか悶えるばかり。とりあえず、近づこうと脚を踏み出すと片方が膝折れを起こす。どうやら私の片膝も壊れているらしい。そのまま、翌々自分の身体を見回せば、所々大きな傷や剥がれた箇所があり、"半壊"と言ったところだろうか? あらあら、私を壊すだなんて、中々どうして。

 

 とりあえず、片脚を庇いながら歩き、彼女の側でしゃがみ、身体を揺すってみるが、特に変わらない。その場で佇むしかなく、どうしたものかと考えたが、彼女の瞳は所々赤く染まり始めていてとても正気には思えない。

 

 仕方ないので、先に私は落ちている私の腕を持ち上げると、それの断面と腕の断面を合わせる。それだけで直ぐに腕がくっついた。それから壊れた膝を少し擦り、修復に集中すると直ぐに軽い戦闘ならできる程度まで回復する。少し混乱していましたが、体の使い方も思い出していますね。

 

 改めて彼女の胴体を見れば、何本もの触手が刺さっていることに気付く。痛そうなので、少しだけそれを前後に引っ張って見れば、私の背中が引っ張られる感覚を覚え――触手は私の背中から生えていることに気付いた。

 

 どうやら私の触手らしい。ああ……使い方も今思い出した。こんなことまで……何故忘れていたのでしょう?

 

 回りをもう少し見れば、残った彼女の腕の近くに撃ち尽くした様子で銃口から煙が立ち昇るショットガンが落ちていた。なんとなく私の目から溢れた銃弾と同じ口径だと思う。

 

 ならこの人が私を撃ったのだろう。けれど私も触手で攻撃していたみたいですからおあいこですかね?

 

 そこまで考えたところで、私は彼女自体が何者なのかということに考えを向け――"ミシリス・プロダクト23"という単語とその概要が思い浮かぶ。

 

 ああ、そうでした。

 

 彼女はアークの市民生活及び軍需産業及びその他諸々を支える大企業ひとつ、ミシリスインダストリが製造した量産型のニケであり、作中だと使い捨てられる量産型ニケたちの中では高性能な個体が多い――けれど、なんだろうこの記憶は……? 知識……? 私の……?

 

 えっと……ニケ、ニケは……10代から20代の女性の外見をしたロボットで、ニケの適性を持った人間から脳を摘出し、機械と生体部品で構成された身体に移植したヒューマノイドで……アークでは人権がないことが特徴かな?

 

 アーク……は、ラプチャーに負けた人類が地下に逃げ込んで築いた巨大都市で、現在人類あるいは人間と呼ばれる生き物は、そこでのみ生活していることになっています。ニケは人間の生活を支える他、ラプチャーと戦うための存在でもある。

 

 ラプチャー……? ああ、ラプチャー。宇宙から来た蟻や蜂のようなクイーンを頂点とする生態を持つ侵略生物で、人間をアークに追いやり、現在の地上を支配している存在です。人類の天敵あるいは宿敵と言える。

 

 その中でも私は……ヘレティック――そう、ヘレティック! ニケが何らかの方法でラプチャーになった存在。それが私のことですね。

 

 思い出しました。ヘレティックの――"コムニス"。それが私の名前です。大事な名前です。次は忘れないようにしないと。

 

 なら私は彼女を………………何故攻撃しているのだろう? クイーンの声は……聞こえません。私が生きる目的は……覚えていません。目の前の彼女を攻撃する意味は……わかりません。

 

「うっ……ぁあぁぁあ……」

 

 侵食……しているし、もう手遅れかもしれないが、とりあえず、これ以上は一旦止めておこう。同族を増やすと言っても……地上は既にラプチャーで埋め尽くされているのに、これ以上人類を虐待するのは可哀想。

 

 さて、触手を抜いて…………いや、我ながら根深く挿し込んだ。こんなの普通に引っこ抜いたらコアが取れちゃ――。

 

 

 

「ピナ! どこですか……!? ピナっ! ……ッ!? この氷は……!」

 

 

 

 そんなことを考えていると近くの瓦礫の奥からそんな言葉が聞こえ、その声には何故か非常に聞き覚えがあった。

 

 

 

「コムニス! ピナを――」

 

 

 

 その声の主である彼女が、私の名前を呼んだことに多少驚いていると、血相を変えた様子で私の目の前に降り立つように現れる。純白のドレスを身に纏い、女神や天使のような佇まいをしたピンクブロンドのニケだった。

 

 そして、私はその彼女の姿そのものにとてつもない既視感を覚えるのと同時に激しい頭痛を覚え、視界が暗転するほどのそれに思わず片手を顔にやり――。

 

 

 

 

 

『ニャー』

 

 

 

 

 

 私の頭の中で何かが弾けると共に、とぼけたような彼女の顔をしたデフォルメの白い犬っぽいキャラクターが踊り出す。

 

「DORO……!」

 

 頭が痛い……再起動……。いいえ、できません。自殺……。いいえ、無意味です。終了……。いいえ、できません。

 

 勝利の女神:NIKKEって……。はい、DOROはマスコットです。あ……あぁ…………勝利の女神:NIKKE? ニケってソーシャルゲームで、でも彼女は……私は……現実に存在して……あれ? あれれ?

 

 じゃあ、私はニケ? いいえ、ヘレティックです。人間……? いいえ、ヘレティックです。けれど人間……別の世界……? いいえ、ヘレティックです。んん?

 

 彼女はドロシー。はい、ニケです。勝利の女神:NIKKEの代表的なキャラクターにして名画。はい、ニケです。勝利の女神であり、人類の希望の象徴であるゴッデス部隊の2代目リーダーで――。

 

 

 

「――ピナぁあぁぁ……!?」

 

 

 

 ピナ……? ああ、このプロダクト23はピナなんですね……。ピナはアークに見放されたゴッデス部隊最後の量産型ニケで、ドロシーとは親友。最終的にタイラント級ラプチャーとの戦闘で勝ちはしたが、侵食されたせいで彼女がトドメを刺すことになり、それが彼女を――。

 

 そこまで考えたところで、私の足元に転がるピナの姿を認識したドロシーは、彼女の武器であるアングレイトフル・オズで私を掃射した。

 

 如何にヘレティックとは言え、少なくはない損傷を受けた私は、思わず彼女の方へと振り向き合いながら防御姿勢を取り――この判断がいけませんでした。

 

 

「あっ」

 

「あ――」

 

 

 私から身を強張らせながら身体を捻り、ドロシーと向き合ったことで触手が縮み、手足が3本無い分とても軽くなったピナ身体が浮き上がり、彼女の射線に重なって盾にしてしまう。

 

 私のように強靭なヘレティックならば、多少装甲が被害を受ける程度で済むが、それをただの量産機が受けてしまえば――ピナの身体は即座に抉れ爆ぜ、コアを容易く破砕し、結果として胴体は粉々に吹き飛んでしまった。

 

「ドロシーさ……」

 

 私は彼女の残った片腕と頭が宙に舞う光景を急激に減速した思考の中で眺め、ふと思う。

 

 

 "これ……とてつもなくやばい状況ではないでしょうか?"――と。

 

 

 それを考えた瞬間、私はまだ空を舞っているピナの頭に手を伸ばして掴み取り、地を蹴ってその場から跳び退くと、まだ唖然としている様子のドロシーから全力で離れる。

 

 ぐんぐん遠ざかりつつ後方で小さな音がしたためそちらを少しだけ見れば、落下したピナの片腕がドロシーの足元にあり、それを未だに理解が追いつかない様子で眺めている彼女の姿を確認したところで、そちらを見るのを止めて逃げ去ることに集中した。

 

 ヘレティックなので、ニケとは比べ物にならないほどの性能がある私だが、銃を撃つより白兵戦の方が強いような気がし、エデン襲撃時にとんでもない速度で戻ったドロシーの全力疾走ならば、普通に追いついて来ないとも限らないため、仕方がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのまま走り続け、急速に流れ続ける景色を横目にしつつ、胸に抱いているピナの頭に目を向けると、その瞳と目が合う。しかし、侵食によって既に片目は真っ赤に染まっている上、首だけになったせいで、動きを止めて光が完全に失われている。

 

 しかし、ここままではマズイですね。ニケは身体が破壊されようとも頭部、引いては脳だけあれば再びニケとして活動可能ですが、脳だけでエネルギー供給がない状態ではそう長くは持たない。ブレインシェルターがあったところで大した延命にもなりませんし……いえ、それ以前に侵食されているので、彼女がピナという個人としての自我が保てるのは精々数分程度だろう。

 

 ………………とすると……その……ピナは死んでしまう訳で、彼女が死ぬと殺した相手は状況的に私になりますよね? なら死因が介錯かは他殺になればドロシーに私という復讐相手ができるわけで……ニケ全体でも五本の指に入る程度には上澄みの実力者な気がするドロシーが私に復讐を……? 震えてきました……こわいです。

 

 まずいまずいまずいまずいまずいまずい。なぜ、そのような面倒事に首を突っ込んだのですか私は? バカじゃないですか、何か……何か、何か何処かに方法が――。

 

 

 

『この氷は……! コムニス!』

 

 

 

 そこまで考えたところで、私はドロシーが私を見る前に周囲の状況から私という個体を特定したことに思い当たり、私が目覚めたときの状況と照らし合わせると共にその理由を考え――それが私自身の固有能力に起因しており、また大切なことを忘れていたことに気付く。

 

 直ぐに私は脚を止めるとエネルギーを収束させ、手元のピナの頭を起点に能力を最大解放して行使した。

 

 

「凍って……!」

 

 

 次の瞬間、私を中心に津波のように能力が広がり、周囲全てのあらゆる物が瞬時に凍り付き、辺り一面は時を止めたかのような銀世界に変わる。

 

 私に備わる機能としての能力は"凍結"。認識出来る範囲までを凍り付かせ、エネルギーの許す限り、それを維持できる能力。

 

 ああ、そうでした! なので私の特技は凍結でニケのボディだけを凍らせ、動けなくしたところで頭に触手を挿し込んで侵食することで――害悪戦法……! あまりにやり方がカス!? 私はいったい!?

 

 あれ? というか、私精神的にはラプチャー……? なのですよね。ならなぜこのように人間やニケ側に寄り添うような思考を……?

 

 うーん……まあ、どちらにせよ。物語的に考えれば、最終的にラプチャーは負けるのでしょうから勝ち馬に乗った方が得ですよね。尻馬に乗るなら人間と申しますか。なんにせよ、人間の中でラプチャーが共存できれば、ラプチャーにとってそれに越したことはありませんね。

 

 手元で完全に凍結し、時を止めたピナの頭で私の侵食コードも停止していることを確認しつつ、そんなことを考えながら小さく溜め息を吐いた。

 

 吐いた吐息は白く染まり、今後のことを考えようと何気なく腕を組んで頬に手をやり――指に伝わる皮膚とは異なる硬く尖った感覚から顔面を修復し忘れていたことに意識が向く。

 

「私の顔……」

 

 私は自身の顔すらよく覚えていないことに気付き、凍結で目の前に氷鏡を形成する。少し見辛ですが、これで十分ですね。

 

 そこには頬を撫でながら浮かない顔をしている顔が半壊した私が映っている。うわ、こう見るとちょっとグロいですね、ピナさんも顔にショットガンをこんなに撃ち込まなくてもいいじゃないですか……。

 

 少し口を尖らせ、氷鏡を見つつ綺麗に直すように修復すると、そこにはヘレティックらしく真っ赤な瞳をし、金髪で肩に掛かるほどのショートヘアで、身体の一部なのか修復直後に黒いカチューシャと金の髪飾りが生成され――"レッドシューズ"というニケと瓜二つの顔があった。

 

 

「…………………………………………え?」

 

 

 レッドシューズと言えば、勝利の女神:NIKKEにおいてコイツが存在するせいで、作中に登場する他の悪党が全て小物や可愛く見えるという異常事態を引き起こした真性のカスである。恐らくは反社会性パーソナリティ障害な上、レッドシューズ自体も割りと小物なのが始末に負えない。

 

 身体だけ欲しいとか、中身以外は最高のニケだとか、脳だけ捨てたいとか、死亡スチルにまだ使えるとか、余罪ログボとか散々な言われようのキャラクターだ。

 

 彼女は私の特技である侵食に使うラプチャーの侵食コードを生み出した張本人であり、それによってあったではあろう人類が地上で勝つ可能性をゼロにしたニケであり、人類をアークという地下に追いやった大罪人であり、間接的に数十億人を殺害した大戦犯である。しかもその行為を善意でのみ行っていたので質が悪い。そんな体つき以外に価値のないニケがレッドシューズなのだ。

 

「わた……えっ……私は……? あはは……」

 

 えっ……私、前世……いや、今ヘレティックな私の前世がニケで、そのニケの前世が人間で、その前にニケをプレイしている人間の前世があるでしょうから――前前前世でいったいどんな罪を犯したらこんな酷い罰を受けなければならないんですか……!?

 

 何か考えようとするが、あまりのことに何も出てこない。私の慟哭は凍り付いた荒野にただ響き渡るばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 







感想や評価などしていただけるととても嬉しく思います。次話投稿は早めに致します。



Q:レッドシューズってどれぐらいカスなの?

A:CCCルートの殺生院キアラより自分以外の人類のこと考えているだけほんのちょっとマシなぐらいのカス



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