ヘレティック・コムニスちゃん   作:ちゅーに菌

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感想や評価ありがとうございます。

また楽しんでいただければ幸いです。

※間違えて短編にしていたので連載に切り替えました。









共同:コムニス

 

 

 

 

 

 私は凍結したピナの頭を持ちながら何も考えずに進む。

 

 現在、私がわかることはふたつ。まずひとつは私の容姿は脚が異形なだけのレッドシューズとしか思えない。そして、ふたつ目は私がピナを侵食したラプチャーになった。うふふ……すごいですね、ピナ。ヘレティック相手に半壊程度まで持って行ったようですよ? どうしてくれるんですかこれ……?

 

 詰んでいる。既に余りにも詰んでいる。どうして私はこんな酷い目にあっているのか、そもそも私はなんなのか。何もわからない。とりあえず、何も考えたくないので(ねぐら)に戻る他ないだろう。

 

「ねぐら……?」

 

 ねぐら、確かに私は今ねぐらと言った。どうやらラプチャー溢れるこの世界で、一丁前に拠点を構えているらしい。いや、ヘレティックですからラプチャーなんですけれど。

 

 そんなことを考えつつ記憶にある拠点の場所を思い出していると、自然に脚がそちらに向いていたらしく、既に拠点の姿が見えてきた。

 

「ここが私の……」

 

 それは一見すると巨大な穴が空いた場所に何かの小さな施設が隣接しただけの場所だったが、私の記憶がそれが何か教えてくる。

 

 SECTOR −0

 0,LIGHT RULER, PROTO ARK

 

 記号ではそんな名前らしい。ゲームでは知育をやらされる場所で、アーク以外にもあったアークの名残りであるロストセクターのひとつ、というよりもアークを設計するために建てられたプロトタイプのアークということだ。ハブがなく孤立していおり、アークに比べると100分の1程度の規模のモデルハウスに過ぎない。

 

 内部の最大収容人数も10万人程で、少々大きめの市が収まる程度のサイズ。深さもアークの4分の1程度の1000m付近に存在するためアークの体をなしていない。まあ、試作品でしかない場所だ。周りには疎らにラプチャーが徘徊しているが、特に興味を示していないのもその証拠だろう。

 

 見ればエレベーターに灯りが灯っており、どういうわけか私が一部の施設だけを再稼働させたことを思い出す。貨物用のそれの扉を開けると、見ていた周囲のラプチャーたちに見つめられるが、手でシッシッと追い払うと蜘蛛の子を散らすように居なくなる。

 

 それを見てからボタンを押し、エレベーターで研究区画という場所まで降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 私の拠点である研究区画に入って初めに感じたのは、外以上の冷気であった。

 

 凍結なんていう能力を持つヘレティックの私は寒さというものは感じないが、流石に室内が製氷皿のように凍り付いているのは異様に思える。

 

 今のところ状況証拠だけれど、私は今のような思考になる前に多分ゴッデス部隊と殺り合っていた頃の私がいる。それがやったんだろうが、流石にやる意味がわからない。

 

 そんなことを考えていると、その理由を直ぐに理解した。

 

 少し歩いて研究区画の中を見回してみれば、廊下の端や部屋の隅にピナのような量産型ニケの姿がある。それも1体や2体ではなく、廊下は等間隔で、部屋は数体置かれ、全てで数十体は軽くいるであろう。

 

 ただし、量産型ニケの全ては凍り付いており、半ば確信しているが、触手で頭を改めてみれば、ピナと同じように侵食コードを受けているようだった。また、付けている部隊章を見れば、両翼があしらわれたモノで、記憶にあるゴッデス部隊のそれであった。

 

 出来損ないのシルバニアファミリーか、虫が餌を巣に保管しているような様子だ。何れにしても――。

 

 

「会話できないスッゴい悪いイカれた化け物がやる奴……!」

 

 

 たぶん……元のヘレティックの私ってそんな感じだったのでしょうね。ラプチャーというか……これでは規則性のある虫ですよ。

 

 何故か知らないが、全て冷凍保管されていることだけが救いと言えば救いか。私が破壊されない限りは凍結を維持し続けるだろう。そういう能力だ。

 

 大きな溜め息を吐いてから私は、研究区画の更に奥へと向かう。どうやら凍らされた量産型ニケたちは奥の区画へと続くように置かれており、私もなんとなくそれをした記憶がある。

 

 要するに普段利用していた私室がある筈。まあ、入り口ですらこの有り様なので奥に行きたい気持ちなどある訳もないが、ここまで来たらどちらでも同じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 廊下沿いに研究区画の最奥まで来ると、そこは凍り付いていない研究室があった。まあ、来る途中で見た資材置き場なども凍っていなかったので、小癪にも選んでいたんだろう。

 

 扉を開けるとそこは中央に手術台が置かれているだけの広くも狭くもない研究室であり、何故かその手術台にが非常に目に付く。

 

「ここは……」

 

 近づいて見れば、その手術台は酷く破損して傾いており、まるで壊しながら何かが這い出たようにさえ思えた。

 

「ここですね……」

 

 私はここで生まれた。なぜかそのように確信を持って思える。さながら胎児が子宮にいた頃の曖昧な記憶を持つような不思議な気分だ。

 

 ただ、当然祝福されたものでなかったことだけは何も考えずともわかる。何処の馬鹿な人間が私を作ったのだろう。いや、私と同じ顔の生産者の顔が目に浮かぶようで非常に嫌ですが……。

 

 

 目頭を押さえつつ隅に目をやれば、そこの机の周辺に食事をしたゴミや寝具が転がっており、何者かが寝泊まりしたような痕跡が見られる。しかし、埃が溜まり、褪せているためそこそこの時間が経っているようだ。

 

「ん……? これは?」

 

 その生活感の溢れる場所には似つかわしくなく、多くの機械的な要素で構成された機械的な球体が置かれており、一抱えほどのそれは一見するとオブジェのようだが触れてみると部品が少し動くことに気づく。

 

 ピナの頭を机に置き、それを暫く弄っていると部品が外れ、次にまた動かせる場所が現れ、それを何度も繰り返す妙な構造体なようだ。

 

「仕掛け箱、いえ大きな知恵の輪ですか」

 

 つまりはそういうものらしい。何故か私は研究室に置いてあるPCやその他の端末ではなく、それを解くことにした。何かに集中できると現実を忘れられるので良いですね。

 

 この奇妙な箱を開けるまで、私は3〜4時間ほど掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この古風どころか中世な羊皮紙の手紙を読めたということはその仕掛け箱を解けたということだな。まずはおめでとうと言っておこうか。

 

 そして、これを最初に解いたのもきっと君だということを前提にこの手紙は書いているよ。私のヘレティック。そう言えば大方分かるだろう。

 

 さて、この手紙を読み進めることで君の疑問の大部分を解消できると思うが、同時に残酷な現実を叩きつけるだろう。まあ、どうせ読むんだろうが、それを念頭に置いておいてくれ。

 

 まずは自己紹介だ。私は第2世代型フェアリーテールモデルのニケの1体――"スリーピングビューティー"。ニケや大型機動兵器設計者のひとりであり、第2世代型開発に当たり、アドバイザー兼V.T.C.の監視員として参加していた。

 

 それとV.T.C.大司教兼特別栄誉教授であり、レッドシューズとは幼馴染みの腐れ縁だ。そこが一番ヤバいと言われればまあその通りだろうな。人間の頃の名は……まあ、この手紙で語ることでもないか。

 

 君の容姿に関わるので、レッドシューズとの関係から話していくぞ?

 

 時はラプチャー進行前まで遡る。君もあるであろう少々特殊なNIKKEという記憶を持って生まれ落ちた私は、V.T.C.の孤児院で育った。その時から同い年の友人だったのが他ならぬ彼女だった。少なくとも私は彼女のことを友人だと思っていたし、今でもそれは変わらない。

 

 V.T.C.の教育などと少々アレなモノの受けつつ共に彼女と共に育つ中で、私は自身の才能に気づいた。まあ、V.T.C.で高位の役職に就いていることからも分かると思うが、単純にとてつもなく私の頭が良かったのだ。まあ、頭の出来以外はからっきしだったがな。体育の授業では半分ほどで木陰に避難するわ、100m走は50mギリギリ走れるレベルのせいで記録にならないわ、そもそもよく疲労で倒れて彼女の膝のお世話になるわと病弱な訳では無いが、身体面がクソ雑魚だった。それにその……チビで寸胴だし……隣にあんなデカいところしかない女に並ばれてみろ、あんなの見せる拷問だぞ? 拷問だぞ?

 

 ああ、話が脱線したな。まあ、紆余曲折経て成長し、V.T.C.で地位を作り、まあまあカスな仕事もこなしつつそれなりに平穏な日常を送っていた頃にラプチャーが始まった。人類連合軍結成も虚しくたった2年で人類の多くを淘汰し、フェアリーテールモデルの第1世代により人類の反抗が始まった。

 

 その頃には既に人類が勝つことを諦めたレッドシューズはラプチャーの研究を始めており、私自身もラプチャー研究をする傍らでその手伝いもしていたがな。この施設はV.T.C.の権限で接収し、ラプチャー研究所として最後まで私が用いていた場所だよ。

 

 レッドシューズが何をするのか分かっていたならば彼女を止めなかったのかと疑問が出ると思うが、答えはノーだ。彼女がやりたがっていることを止める理由が私にはない。

 

 困ったことに彼女が居れば人類に数十億人程度の犠牲が確定するが、居なければ一部NIKKEのシナリオの整合性が取れなくなる困った奴だしな。まあ、それ以前に私は彼女よりも頭は良かったが、尻に敷かれていたのは私だからな。

 

 そもそも世界とは自分と自分が認識している範囲の場所だけだと私は思っている。故に私の世界とは彼女がいることで成立しており、それを失うということは世界が消え去るということだ。だから世界と私の世界(彼女)を天秤に掛け――私は世界の方に価値がないなと思っただけだ。世界とヒロインを天秤に掛けてヒロインを取るような主人公の作品は多いが、結果はこの通り残酷で独り善がりなものだ。

 

 ………………子供の頃から食事の準備から下着の洗濯まで全部彼女がやってくれていたんだぞ? 今更私が裏切って何になる。

 

 続けよう。様々な準備をしつつ始まったのが、フェアリーテールモデル2世代型の開発。エイブ博士が主導で行われたそれに当然私はV.T.C.の権限で挟まった。それにより当初3機だった予定が4機になり、結局エイブがヘングレも作ったので6機になったな。レッドシューズがシンデレラをターゲットに定めたのは語るまでもないだろう。

 

 まあ、博士とは友達……とまでは行かなかったと思うが、個人的な交流もあったので、悪いことをしたとは思っているが、他人の話を大して聞かない博士にも非はある。私は兎も角、彼女の企みなんぞ博士なら見抜けないような知性はしていなかっただろうに。信ずるだけでは何も守れず、疑うだけでは何も見えない。あえて嫌というほど権謀術数に身を置くべきだったな。可哀想なことだ。

 

 そもそも自分は普通の服着といて、作ったニケにはエグいハイグレ着せやがって、爆乳ツインテハイレグピチピチスーツ趣味の頭TNPヤロウが……! 私がニケになる時はシンデレラぐらいまでとは行かずともヘングレぐらいは盛って欲しいと要望を出したのに関わらず、結果は一切変化のない体型にツインテールとハイグレピチスーツだったなぁ!? なーにが、"君はそのままが一番いい"だ。自分の性癖だけ載せやがって……! こんな無残な身体の眠れる森の美女(スリーピングビューティー)が居てたまるか!

 

 …………また筆が荒ぶったな。まあ、なんだ。人間の体型に対するコンプレックスは想像以上に根深いものだということだ。日頃から女児体型をレッドシューズの隣に置いてみろ殺すぞ。全く対話さえされていれば少々別の未来があったかも知れんなぁエイブ……?

 

 さて、そして予定通り、レッドシューズによってシンデレラはアナキオールと化して人類の敵になり、私はその時点でこの施設に移った。

 

 その時から今まで彼女には会ってはいない。とっくに彼女はアナキオールもといシンデレラに殺されたことだろう。なら私は私でやることをするだけだ。

 

 

 "ヘレティックになりたかった"

 

 

 それが、NIKKEで私が知っている彼女の最期の遺言だ。故に私はラプチャーの出現を知った瞬間からそれを叶えるためだけに動き続けて来た。

 

 私の知能と才能の全てをただ最善の形でレッドシューズという形をしたニケをヘレティック化させるためだけに注ぎ込んだ。そのため、ニケの製造技術の確立に携わり、量産化に関わり、V.T.C.の大司教としてこの施設をラプチャー研究所と変え、動員された数百名の研究員を実験材料にした。

 

 そして、遂に私は人類にとってはオーパーツでしかなかったヘレティック化技術を、彼女の研究データと私の研究の果てに編み出した。そして、今こうして手紙……言ってしまえば遺書を認めているところなのだ。

 

 さて、君よ。NIKKEを知るなら疑問に感じる部分はないか?

 

 ヘレティック化した場合、ニケと同じようにそもそも理想の姿になってしまう。ならば仮にレッドシューズというニケを素体にヘレティック化させたなら彼女はアナキオールになってしまう可能性が極めて高い。そもそもここに彼女の死体はないからな。彼女を使うという選択肢は取れない。

 

 疑問に思わなかったか? なぜ君はこの研究所に戻って来れたのか。

 

 なぜあの仕掛け箱を君はスムーズに開けることが出来た? 作り手に関わりでもなければエイブでも1日は掛かっただろう。

 

 ここまで読んで……この世で、唯一、レッドシューズというニケを理想としているニケはいったい誰だと思う?

 

 

 

 

 

 君は"私"だよ、コムニス。

 

 

 

 

 

 正確には、フェアリーテールモデル第2世代型:スリーピングビューティーが完全な直系ヘレティックのようにヘレティック化した存在。それが君だ。名前の由来は共同という意味だ。共産主義の語源でもあるね。

 

 私の脳の数%を彼女のNIMPHが占めるように満たし、V.T.C.から入手した彼女の人格データで私の人格を上書きし、ヘレティック化させる。まあ、他にも様々な調整はしたが、やったこと……これからすることをまとめてしまえばそれだけだ。

 

 無論、武装は私の知る限り最高のモノを開発し、能力は私に備えた凍結がそのまま継承されるだろう。他にも因子の研究もしていたが……まあ、そちらは今語ることでもないな。

 

 まあ、私は見ることは叶わないが、これを君がここまで読めて、理解が出来たということは、私が思い描いた形でヘレティック化が成ったということだ。

 

 まあ、予測ではヘレティック化してから頭の中が整うまでの10〜20年はただの獣のようになるとは思うが、万一頭部に致命的な損傷を受けて再構成されれば、それよりも早く人格を取り戻すかも知れん。とは言え、君には最早関係のないことか。

 

 これに書くべきことはこんなところか。少なくとも私に出来る全てを君に捧げた。ニケが作れるほどの頭脳を持ったヘレティックだ。これ以上は無いだろう。けれどヘレティックのレッドシューズを造りたい。私の願いはただそれだけだよ、コムニス。

 

 私に言わせれば、人間の本質は記憶だ。いかに変質しようとも記憶だけが確かならばそれは本人と呼べるものだ。故にレッドシューズは彼女だけであり、再生したミラーというものは彼女に似ているだけの別物だ。

 

 だから彼女によく似た君も別の存在だよ。それがわかっていても私は私を止められなかった。とは言え、私の旅は終わった。

 

 まあ、なんだ。昔から人間という生き物は科学の発展のために色々な犠牲を強いてきだろう? これはまさにそれだ。

 

 その昔、放射性物質のセシウムは健康食品として推されていたし、ロボトミー手術はノーベル賞まで取った。そして、何れも実態が判明しようとも権利と利益の前に長く黙認されてきた。

 

 君はそんな科学の犠牲者だ。ただ、それらと違うところは、この件に関しては君が最初で最後の犠牲者になるということだろう。不慮の事故のようなものだな。

 

 だから責任を取ったというわけでもないが、レッドシューズ共々私は消える。睡ると言い換えてもいい、永遠にな。

 

 なんてことはない、イカれた女には壊れた友人がいたというだけの話だ。

 

 さようなら私。こんにちは、性格が終わってる女が好みなだけで、人なりに良心があった頃の私。これを読んでいるのであろう彼女に似た私の成れの果て。

 

 レッドシューズと私の子供のようなものとも言えるかも知れない、君よ。

 

 

 

 さて、ここにレッドシューズの人格データとNIMPHの一部がある。

 

 そして、レッドシューズと作り上げた人造ヘレティックという福音書がある。

 

 最後にレッドシューズの容姿を理想の形だと思っているニケがここにいる。

 

 道は開かれた。彼女の最期の言葉を友人として叶えよう。最期まで、彼女のことを友人だと思っていた愚か者が叶えよう。

 

 

 

 ああ……ただ、ひとつだけ心残りがあるとすれば――。

 

 

 

 これを読んだ君がきっと歩んだであろう苦しそうで愉しそうな生涯を見られないことだけだ。

 

 

 

 願わくば、君の生涯に幸あらんことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PS.やっぱりちょっと悪いことをしたと思うので、エイブ宛の謝罪文も書いておいた。この手紙が入っていた箱の底板を外せば出て来る筈だ。気が向いたら彼女に渡してくれ。まあ、どちらでも構わんよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひっ……あは…………えへへ……」

 

 

 私はあり得ない内容が書かれた手紙を握り締め、立ち眩みのような目眩のような感覚をずっと味わっていました。

 

 頭が揺れ、現実感がまるでなく、自分が今立っているのか、寝ているのかすらわかりません。私は私がわかりません。

 

 

「私は……」

 

 

 なんなんですかこれは?

 

 

「私……は……」

 

 

 私はいったい何のために生まれたんですか?

 

 

「わたし……」

 

 

 こんなものを見せられて私はどうすれば?

 

 

「助けて……」

 

 

 私で私が――私が……私が何もかもを?

 

 

「だれか、たすけて……」

 

 

 きもちわるい、あたまがいたい、なにもかんがえたくない。

 

 ちがう、ちがう……ちがうちがうちがうちがうちがうちがう!

 

 わたし――――悪くなんて――。

 

 

「うっ……ぉぇ……えぁ゛……!」

 

 

 私の声は冷たい部屋の中で誰にも届くことはありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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