廻物語   作:紡縁永遠

1 / 2
僕のヒーローアカデミア×物語シリーズ!!


こよみリザレクション

000

 

 「お前が明日死ぬのなら、僕の命は明日まででいい──お前が今日を生きてくれるなら、僕もまた、今日を生きていこう」

 「お前様が明後日死ぬのなら、儂は明々後日まで生きて──誰かに、お前様の話をしよう。我があるじ様の話を誇らしく、語って聞かせよう」

 

001

 

 最初に、専門家達の死を知った。臥煙さんが、忍野が、影縫さんが、腹立たしいが貝木が、その後に僕の親が亡くなった。それを追うように、少しして僕の妻ひたぎが逝った。羽川が逝った、神原が逝った。火憐ちゃんが、月火ちゃんが、逝った。もう僕を知っているものは、三人しかいない。

 蝸牛に迷い、迷うものを導く少女、八九寺真宵、百年使われた人形童女、斧乃木余接、そして、かの吸血鬼の怪異の王の搾り滓、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの成れの果て、金髪金眼の幼女、忍野忍、ロリトリオだ。

 

 「まったく、ここ数十年鬼のお兄ちゃん、もとい鬼いちゃんと共にいて、こんなにも寂しくさなる日が来るとは思わなかったよ」

 「まったくです、専門家も友達も、この街に残るのはロリトリオと死に際さんというのも寂しいものです、まぁもう私一人になってしまいそうですが」

 「確かに死に目ではあるが、なんども言うように、百年も繰り返したように、僕の名前は阿良々木だ、」

 「そうですね、失礼、噛みました」

 「違う、わざとだ」

 「噛みまみた」

 「わざとじゃない!……ふぅ」

 「いえ、わざとでしたしよ」

 

 いつもどおりの、噛みましたから始まる芸風を八九寺と終わらせたあと、強かにして愚直にして愚かなる吸血鬼、ブレンデッドフール・アルマナック・ノンキリングブレード。

 戦場ヶ原が死んでから、吸血鬼性が強くなったため付けられた、これは専門家達が作ったものだ。遺書というわけではないが、僕があの日吸血鬼であり続けたらという、臥煙さんのおふざけで始まったらしいそれは、僕に吸血鬼としての名前を残した。今はソッチのほうが僕の名前と言ってもいい。キスショットにとっての忍という名前みたいなものだ。そう、キスショットの名前をもとに考え出された物であり、ミドルネームの所に本来の名前があったりする。そして、僕が人を殺さないことを如実に証明する名前でもある。

 

 「それじゃあ、そろそろだな、忍、聞きたいことがある。僕はお前といて本当によかったのか?」

 「何を言っておる、後悔なんぞしておらん、それにあの約束を忘れたのか、儂は明々後日まで生きてお前様の話をすると、」

 「そうだな、僕は地獄に落ちることが決まっているけど、もしも来世があるのなら、またお前と共にいたい、今度は傷物としてではなく、主従関係でもなくな」

 「傷物ではないことには賛成だが、主従関係ではないというのはつまらないのう、この関係が、猫耳委員長やツンデレ娘とは違うことを確定付けるものだったではないか、それが無くなるというのは、つまらないと思わぬか?」

 「かかっ、それもそうだな、じゃぁいくよ」

 「うむ、」

 

 こうして、長い長い、阿良々木暦の人生は幕を閉じた、いや強かにして愚直にして愚かなる吸血鬼、ブレンデッドフール・アルマナック・ノンキリングブレードの半生も幕を閉じた。

 そう、閉じたはずなんだがなぁ、なんで、眼の前に金髪金眼の幼女がいて、僕は四歳になっていて、忍どころかその隣に、必死にして決死にして万死の吸血鬼、デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスターのロリ状態が眠っているのか。しかもただいるだけじゃない、時間が巻き戻っているわけでもない、平行世界の可能性もあるけどここは僕たちが生きた時代より年数を考えると後であり、個性という怪異とは別の力がはびこっている時代ということだ。

 

 「おいっ、デスよ、なぜうぬもここのいるのじゃ」

 「俺様だっていたくている訳じゃねぇよ」

 「そんなことより、なぜお前らはロリ状態なんだ?」

 「……それもそうじゃな、何処まで戻れるかのう、」

 「まった、そのへんでやめてくれ、陽射しが痛い」

 

 八歳ぐらいの見た目から十六歳くらいの大きさになったくらいで陽射しが痛くなってきた。恐らく忍の大きさに比例して僕の吸血鬼性も大きくなるということだろう。血を吸わずしてもこれができるのはかなり便利ではあるが、問題はこれが怪異性なのか個性なのかということともう一つ、デストピアがここにいる理由である。

 

 「む、そうか、しかしかわいいのう、抱きついてよいか?」  

 「すでに抱きついてるじゃねえか?!事後報告するな!」

 「おい、俺様もいるんだぜ?」

 「そうだったな……なんでその距離なんだ?」

 「離れられるギリギリの距離だ」

 

 離れられるギリギリの距離、これは忍を影に縛っていた時との似たような距離、恐らくデストピアも僕の影から離れることはできないみたいだ。なるほど……吸血鬼の始祖を影に縛っちゃったよ、どうすりゃいいんだよ、忍とは前世から色々あるから説明する方法を考えればなんとかなるかもしれないけど、力の少なくなった忍を殺す気でいたあのデスだぞ?!僕の影に縛られていることを知ったら何をするか分からない、最悪の場合僕を殺しかねない。

 

 「安心してくれていいぜ、俺様は今お前に縛られているようなもんだけどよ、昔とは少し違うみたいだからな、お前に従うぜ」

 「よかったなお前様、これでロリトリオではなく、ロリカルテットというわけじゃな」

 「童女と少女と幼女の所に幼女が追加されるわけか、なるほど……確かに夢のようなことだな、だが、まだ僕は納得していないぞ、なぜなら僕はお前らの本来の姿に会ってはいないし、知らぬ魔に吸血されていたとしても、それならば今は昼だ燃えてなくてはおかしい、」

 「なるほどな、それは正しい、つまりは個性というものじゃないのか?」

 

 世界で多く見られる先天性の超常能力。

 平たく言えば人それぞれが持つ特殊能力のことで、今では世界人口の約8割が個性を持っているという。

 これにより人類は様々な姿と体質を得て人体という規格を失い、その対応のため個性発見以前からある科学技術の発展は遅くなった。

 その超常を力として奮い、(ヴィラン)となる者もあらわれ、それに対抗して超常を奮うヒーローも現れた。僕の妹達が喜びそうなものだ。

 

 「しかし個性か、恵まれてると言えるのかな。今世もまたお前と一緒にいれるんだから」

 「そうじゃな」

 「それじゃぁさっさと説明したほうがいいだろ」

 

 親になんとか頑張って説明をして個性確認のために病院に行った所、デストピアの考えは正しく稼いであった。忍とデストピアの体内構造は僕の個性細胞でできているようで、個性に付属するものとなった。だが、問題は忍とデストピアがいることではなく、この二人がいる上で吸血鬼の力を扱える僕の個性の名前である。

 

 「鬼血契(バンプコントラクト)ってのはどうだ」

 「吸血鬼の契約というわけか、いいではないか、やはり名付けはうまいなデスよ」

 「その件だが、デストピアも吸血鬼の名前とは別にあったほうがいいと思うんだよな。今は僕の影に縛られているわけだし」

 「それはいい案だな、俺様も名をつけてやったもんだ。下手なもんをつけたら、容赦しないぜ」

 

 ふむ、必死にして決死にして万死の吸血鬼、デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスターを縛る名前か、やっぱり忍みたいにスーサイドマスターの部分を、駄目だなこれは自殺のプロという意味だ。デストピアには合っているかもしれないが、僕の個性として名をつけるには向いていない、

 そう考えると、専門家のネーミングセンスには度肝を抜かれる。そうなってくると、吸血鬼とは何か、このかたちで考えてもいいかもしれない。

 吸血鬼、始祖、不死身、決死、必死、万死、ふむ、こう考えると死に関することのほうが多いというわけか。実際僕も忍も再生能力が強い吸血鬼だったからなぁ、そのおかげで死屍累さんは四百年も彷徨ったんだから。

 

 「歿(おわり)、なんてどうだ?阿良々木歿、忍も忍野から阿良々木になっているし、」

 「意味は何だ、」

 「死ぬこと、終わること、少し皮肉にはなってしまうけど、デストピアは万回死んでも生きているんだろ?死ぬ、終わる、いいと思わないか?」

 「いいではないか、あのアロハ小僧ほどではないがお前様よ、よく考えたではないか、デス、うぬはどうじゃ」

 「俺様もそれで構わねえ、今日から阿良々木歿と言うわけだ」

 

 これにて、阿良々木暦の新たな人生が纏まった。個性の使用は制限がかかるが、この二人に限って暴れまわることもないだろう、家で放置するくらいは問題ない。問題は、慎重さだ。八歳の二人と四歳の僕じゃ圧倒的に分が悪い早く成長したいものだ。

 

002

 

 「おい、お前様よ」

 「どうした?忍」

 「今世では個性というもともとの心体機能となっているんじゃろう?ならば、前世できなかった吸血鬼の特性強化はできるのではないか?」

 

 八歳になった頃、忍がそう言ってきた。確かに前世は変身能力は植物にしかできなかったし、羽川がさらわれていたという特殊な状況下だったからできたことで、その後はキスショットと戦うときもスキルを封じてくれていたからあそこまで戦えたのだ。吸血鬼もどきになってからはせいぜい北白蛇神社で羽とブレードを作ったくらいで多用なんてしていなかった。

 そもそも吸血鬼のブースト機能を使った戦闘なんて手加減に気を使って拳で戦っていたし、千石の時だって手加減こそなかったけど負けに負けを重ねてそんな事をやっている余裕なんてなかった。

 何より僕達が使う武器は一振りだけ、初代怪異殺しから受け継いだというのもおかしな話だが怪異殺しの異名を持つ刀、妖刀心渡だけなのだ。それを使っての戦闘もほとんどしなかった。

 

 「いやでもお前、前回も拳で戦ってきただろ歿も拳だろ?」

 「そうだな、そもそも変身能力ってのは自力が低い奴がやることだ、回復力が売りの俺達がやる必要はない」

 「では生死流かのう、あれはもともと己が身を刀とする剣術じゃし、」

 「そうなのか?てっきり僕は死屍累さんが編み出した技だと思っていたんだけど、」

 「少し違う、なんじゃったか?忘れたが確か虚刀流という流派の技を刀に応用したもの、それも盗み目るという形じゃから完璧には模倣できていなくてのう、四百年儂が使い続けてあの形に落ち着いたというべきかのう」

 「それでいいじゃねえか、人を殺せないってのも不便なもんだな、」

 「うむ、そうと決まれば行くぞお前様よ」

 「行くって何処にだよ」

 「決まっておるじゃろ、あそこじゃよ、全員知っているあの場所じゃ」

 

 あの場所と言うのは直江津の町にある唯一の神社、鬼から蛇、蛇から蝸牛と変化した北白蛇神社、あそこには八九寺だけじゃない、斧乃木ちゃんの身体も置いてあるのだ。

 影縫さんから引き継いだ死体人形の式神斧乃木余接、八九寺に保管を頼んであるが、ここが同じ世界なら八九寺と共にいるはずだ。

 

 「おや、お久しぶりですね、ショタ良木暦さん」

 「……確かに今の僕は8歳で、ショタというぶんには十分な年齢だが、前世から繰り返してきたように、僕の名前は阿良々木だ!」

 「失礼!噛みました」

 「いいや、わざとだ!」

 「噛みまみた」

 「わざとじゃない?!」

 

 ああ、別れる時にもやった八九寺の代名詞、

 

 「あなたとも会いたかったですよ、胡蝶しのぶさん」

 「誰が刀で鬼の頸を猟るなかで、毒だけで上り詰めたちょっとすごい人じゃ、儂の名前は…阿良々木忍じゃ」

 「失礼、噛みました」

 「いいや、わざとじゃ」

 「噛みまみた」

 「わざとじゃなかったんか?!」

 

 忍を見てこれまた同じように、噛んでから、歿に向きあい、言葉を詰める。そりゃそうだ、八九寺が知っている歿は決死にして必要にして万死の吸血鬼、デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスターだった時だけなのだ。今日ここに来ることを知っていたとしても噛むことに少しばかりの抵抗があるはずだ。

 

 「な、なんでデストピアさんがここにいるんですか!?」

 「知らねぇよそれと今は歿だ、」

 「そうですか、終末ということですね」

 「確かに終わるという意味だが、不死身の俺様には合わねぇだろ」

 「失礼噛みました」

 「噛んですらねぇよ」

 

 凄いな八九寺、いやでも八九寺にとっては自分が傷つかないように避けてくれた鬼に見えているわけか、なるほどその精神力も頷ける。

 

 「そうですね、しかし、こう見ると圧巻ですね、吸血鬼が、しかも怪異の王が三人もいるとは」

 「言われてみればそうだな、全員見る影もないけど、怪異の王が……いや歿じゃなくて死屍累さんだろ?怪異の王は」

 「そうじゃな、迷子娘は時系列的に会ってはいないが、怪異の王ならば、生死郎じゃな、」

 「だよな、でも、忍の上位存在が歿なら、怪異の王とも言えるんじゃないか?」

 「ソレの称号はキスショットが持っていたものだ、下に引き継がれることはあっても上が持つことはねぇよ」

 「なるほど…」

 

 この数百年で専門家としてのノウハウを学んできたつもりだったけど、やはり僕は知っていることだけの、存在で、何でもは知らないはずなのに、何でも知っている羽川や、何でも知っていると謳い、事実何でも知っている臥煙さんみたいにはいかない。

 

 「そう言えば八九寺、斧乃木ちゃんはどうしたんだ?」

 「はい、それについては既に()()()()が回収しに来ましたよ、」

 「え?」

 「そう言えば、一年前から羽川さんもここに来ていますよ」

 「なに?!羽川もか?どうなっているんだ?」

 「それは、この世界が、阿良々木さんが過ごした世界の延長であり、関係者は転生しているということでしょう、手折さん風に言うのならキャスティングがそうしてくれたということでしょうか、それに、今日も来るとおっしゃっていましたよ、あの人は」

 「え?」

 「あれ、阿良々木くんもここに来てたんだ、久しぶりだね」

 

 その声は何度も聞いたことがある、少しあの時より高いけど、春休みの地獄から何度も助けられた、なんでもは知らないけど、何でも知っている、委員長の中の委員長、異形の翼を持つ白猫、羽川翼

 

 「羽川?」

 

003

 

 「そうだよ、と言っても、今は羽川じゃないけど、阿良々木くんが来るなら、ひたぎちゃんにも連絡したほうがよかったかな、」

 「戦場ヶ原も来てるのか?!」

 「そうだよ、にしても、相変わらず女の子に……どちら様?」

 「決死にして必死にして万死の吸血鬼、デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスター、改め阿良々木歿だ」

 「え?阿良々木?」

 「今は個性として一緒にいるんだよ、母さん達の計らいで、忍も歿も阿良々木性を名乗っている」

 「へ〜そうなんだ、」

 

 やはり、歿についても確実に聞いてくる羽川、いや今はまだ羽川じゃないのか、にしてもこのなかで外見年齢が一番高いのが八九寺であることは違和感しかないな。

 

 「おお、これで揃いましたね、戦場ヶ原さんは、私とは相性が悪くて、前にあったのも結婚式の時だけでしたから、こちらに来ても一度しかあっていません、」

 「そうなのか、」

 「そうだよ、あの塾もなくなっちゃったから、全員が覚えている場所がここにしかなかったの、ひたぎちゃんにはさ、ここに来れば阿良々木くんにも会えるかもっていったんだけど、「あの男の為になんで私が待たないといけないのかしら」そう言って来てないんだ、どうする?連絡する?」

 「また今度に……いや、一応連絡しておいてくれ、言わないと拗ねるから」

 「そうだね、じゃあ連絡しておくね」

 

 現状転生したのは、僕と忍、スーサイドマスター、羽川、戦場ヶ原、臥煙さんの六人、あの時代からの存続は八九寺と斧乃木ちゃんの二人、多分他の専門家も転生しているはずだから、そのうち会うことにもなるだらう。僕達の青春はまた、始まった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。