山手線とは、ロマサガ2とはいったい……うごごごご   作:葛城

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第19話: ロマサガにおいての相性は大事

 

 

 

 さて、せっかくなので……という言い方はなんだけど、とりあえず、『七英雄ロックブーケ』が探っていたという事への調査を行うことにした。

 

 理由は、俺たちと同じ名を持ち、ロックブーケに至っては同じ姿をしている『七英雄』の目的を知るためだ。

 

 以前、オアイーブから聞いた話では、『七英雄』は……かつて俺たちを別世界に転送する決定を下した、大神官たちの行方を追っているらしい。

 

 そこまでは、良い。

 

 おそらく、最終的な目標は復讐だ。

 

 そこまでは、分かっている。

 

 

 俺が知りたいのは、その前……行方を追うのは分かっている、そのために、いったい『七英雄』は何を探しているのか、ということだ。

 

 

 可能性として一番高いのは、大神官たちが別世界へ転移する際に使用した、大規模転移装置。

 

 俺たちを別世界へ転移させるために使ったやつだ。

 

 俺たちの時はあくまでもプロトタイプであり、その後に使用したとなれば多少なり装置の造形が変わっているにしても、基本設計は同じだから見れば検討が付くだろう。

 

 

 しかし、だからこそ、不可解な点が残る。

 

 

 なんでそう思うのか……それは、どうにも『七英雄』たちの行動に一貫性が見られないからだ。

 

 『七英雄ロックブーケ』は……これから調べるので今はなんとも言えないが、おそらく、大神官たちの行方、その手掛かりがこの地にあると考えていた可能性が極めて高い。

 

 だから、邪魔が入らないよう近隣の……エイルネップの者たちを洗脳し、騒ぎが広がらないようにして遠ざけていたのだろう。

 

 対して、俺たちが最初に接触した『七英雄クジンシー』はどうだったのかというと。

 

 

 一言でいえば、国盗りである。

 

 

 ただし、やり方は力に任せた、非常に乱暴極まりない。

 

 ワグナスが聞いたら無言のままに顔をしかめ、ノエルが聞いたら冷たい眼差しを向けられ、ボクオーンにいたっては嘲笑されておしまい……そんなやり方だ。

 

 この時点で、『七英雄ロックブーケ』とはあまりにやり方が違い過ぎる。

 

 そもそも、バレンヌ帝国には数千年前の……大神官たちへと繋がる手がかりなんて、まったく無かった。

 

 どうして『七英雄クジンシー』が帝国を襲ったのか、その理由を知るために調査したワグナスからも、存在しないと結論付けていた。

 

 それも、ただ存在しないのではない。伝説や手記など、そういったモノすらこの地にはまったく無かったのだ。

 

 あのワグナスが何年も時間を掛けて入念に調べ尽くした。それでも、痕跡すら見つからなかったのだ。

 

 そんなバレンヌ帝国に、『七英雄クジンシー』はわざわざやってきた。大陸全土で見たら、かなり北側に位置する、あの地へ。

 

 それも、わざわざ大量のモンスターを従え、町一つを制圧し、首都アバロンへ真正面から押し入るという……まごうことなき力技。

 

 いったい、どんな確信を得たら、そのような手段を取ろうと思えたのか……それが、俺にはさっぱり分からなかった。

 

 まあ、その点に関しては、ワグナスですら分からなかったらしく。

 

 曰く、『行動原理が分からない、いっそのこと名前が同じなだけの小悪党が自己顕示欲のあまり王様になろうとした』というのがまだ納得できるとのことらしい。

 

 ワグナスですら分からない事が、俺に分かるわけもなく……そう考えたら、『七英雄ボクオーン』の行動原理もいまいち分からない。

 

 ボクオーンがショックを受けてアバロンを飛び出すぐらいに、認めがたいナニカを行っているのは間違いない。

 

 麻薬が出回っていることに『七英雄ボクオーン』が関与しているという話があるけど……だからこそ、分からない。

 

 だって、仮に大神官たちへの復讐が目的だとしたら、麻薬を売る理由がまったく無いからだ。

 

 仮に資金調達などが目的だったとしても、やる事があまりに遠回り過ぎるというか、回りくどいというか、後々に悪影響を及ぼし過ぎる外道の策だ。

 

 少なくとも、俺たちが知るボクオーンならば、たとえ早急な資金調達が必要になったとしても、死んでもそんな方法は取らないだろう。

 

 プライドの高さや言い回しのキツさに誤解を招きやすいが、けっこう優しいところもあるし、なんだかんだ義のために動く男でもある。

 

 伊達に、七英雄の一人ではない。間違っても、大義を成すために非道を通すような男ではないのだ。

 

 

 さらに、『七英雄ダンターグ』ともなれば……あ、いや、どうだろう。

 

 

 アレに関しては、なんか違いが無いっていうか……いや、でも、違いは感じられるのだろうけど、あの『七英雄ダンターグ』も、あんまり違いが無いというか……いや、違いはあるんだ。

 

 さすがに、あそこまで節操が無いわけでは……でも、頭ダンターグっていうか……まあ、とにかく、だ。

 

 仮に、『七英雄』の最終目標が『大神官たちへの復讐』だとして。

 

 そこに至るまでの、残された転移装置だとか、とにかく手掛かりを探し回っている……というのもまあ、分かる。

 

 分からないのは、これまで出会った7人のうち3人が、手掛かりをまったく探していないということ。

 

 『七英雄ダンターグ』にいたっては、洞窟の中にこもっていただけだし……なので、だ。

 

 

「ロックブーケはどう思う?」

 

 

 俺一人うだうだ考えても埒が明かないし、なにかヒントになればとロックブーケに話してみたら。

 

 

「そんなの、当人に聞けば良いじゃないの。他人である私たちがうだうだと何百年考えたって分かるわけないわよ」

 

 

 なんとも、身も蓋もない返答が来たのであった。

 

 

 ……まあ、うん。

 

 

 こういう時、ロックブーケってめちゃくちゃリアリスト気質っていうか……これは、アレだ。

 

 どの世界の話だったか。

 

 生前の自らの裏切りによって友人の手で殺され、その友人を魔王に変えてしまい、悔やみ続けて成仏することができず苦しんでいる霊魂に向かって。

 

 

『詫び続けている俺って辛いなオナ〇ーを死んでからもシコシコ繰り返す暇があるなら、怨霊になってでも止めに行きなさいよ、見苦しいわね』

『何十年もこんな場所でジメジメしているぐらいなら、なんで行かないのよ。同じ霊魂たちに自分の所業を告白して、消滅してでも止めに行きなさいよ』

『結局、自分可愛さが根っこに残ったままだから、こんな場所に引きこもっているわけでしょ。さっき見かけた王女様も似たようなこと話していたけど、貴方達って似た者同士なのね』

 

 

 と、ズバッと言い放った時だろう。

 

 あまりにも、あんまりな物言いに、あのノエルすら言葉を無くしたぐらいで、その世界の、各時代の勇者たちが絶句したほどだ。

 

 

 でもまあ……言わんとしてるのは、理解できるのだ。

 

 

 なにせ、当のロックブーケが、己の死の可能性を受け入れたうえで、ターム討伐のために俺たちの下へ直談判しに来た強者だ。

 

 グダグダ、めそめそ、泣いている暇があるなら鍛錬を積んで、武器を手にして、自らそこへ向かう女でもある。

 

 そりゃあ、そんな女からしたら、詫び続けるだけで動こうとしない霊魂なんて、口だけ霊魂って小馬鹿にしてもまあ、不思議では……話を戻そう。

 

 

 ──とりあえず、話を戻して『七英雄ロックブーケ』の探し物の探索だ。

 

 

 やつはどうやら、エイルネップの村よりほど近い場所にある『神殿』を調査しようとしたらしいのだが、どうも出入口を守る『守護者』を突破できなくて悩んでいたようだ。

 

 正直、あの『七英雄ロックブーケ』が突破できない相手って何者だよって話だが……百聞は一見に如かずというやつで、俺たちはこの目で確認することにした。

 

 

 ……その結果、理由はすぐに分かった。

 

 

 簡潔にまとめると、『守護者』は『七英雄ロックブーケ』にとって、これ以上ないぐらいに、『相性が悪い相手』だったのだ。

 

 具体的には、まず『魅了術の類が一切通じない』。

 

 守護者と呼ばれるやつは、どうやら生物の類ではないようで、何者かが……おそらく古代人なのだろうけど、性別という概念が備わっていない人工生命体だ。

 

 それに加えて、守護者には思考能力が無い。あくまでも、定められた命令に従って動いているだけ。

 

 だから、精神に作用する系統の術全般が一切通じない。

 

 時計に魅了術を掛けたって、時計の針が自在に動き出すわけがないって話だ。

 

 

 次に、守護者は魔術全般に対して強い耐性を持っていた。

 

 

 『七英雄ロックブーケ』に限らず、ロックブーケの得意技は、やはり魔術。ロックブーケは小剣も使えるが、本領を発揮するのは、魔術だ。

 

 特に、守護者は『毒』に対しては完全な耐性(生き物じゃないから)を持っていて……からめ手も通じないときたもんだ。

 

 ただの偶然なのだろうけど、まるで対ロックブーケに特化したような存在で……そりゃあ、『七英雄ロックブーケ』も途方に暮れて座り込んでしまうわなという話だ。

 

 ロックブーケなら倒せないわけじゃないけど、非常にやりづらい相手であるのは間違いなく……下手したら、負傷を覚悟せねばならない相手でもあるわけだ。

 

 

 ……まあ、それはそれとして、だ。

 

 

 守護者は、全長がおおよそ7,8mある巨体であり、全身が石に近しい素材で構成されている、人型の人工生命体。

 

 そんな存在が出入口を守っているということは、それだけのナニカが、神殿の奥にはあるわけだが。

 

 

「……これ、下手に破壊しない方が良いんじゃねえか?」

 

 

 俺の率直な意見は、これであった。

 

 いや、だって、見方を変えたら、奥にはぜったいヤバいモノがあるって確定しているじゃん? 

 

 この時代の人間たちには解析出来ないだろうけど、これから先何百年と経てば、何時かは解析できる者が現れても不思議ではない。

 

 その時はもう、その時のやつらが考える事だとして……とりあえず、今は隠されたままにしといた方が良いのでは……と、思ったわけである。

 

 

「……難しいところだわ。いちおう、把握はしておきたいけど……カカシでも置いたら代わりになるかしら?」

「置いたカカシをもりもり食い尽くしそうなモンスターが集まりそうだな」

 

 

 俺がそう言えば、「……それも、そうね」想像したロックブーケは苦笑して……でもまあ、うん。

 

 いちおう、確認はしておきたい。

 

 でも、俺がこいつを引き付けている間にロックブーケを先行させたところで、神殿内部に別の守護者が配備されていたら……という不安もある。

 

 

「……あんた、まさか私がこんな木偶にやられるとでも思っているわけ?」

「いや、そうじゃない」

「じゃあ、なによ」

 

 

 そんな俺の不安を察したのか、なにやらロックブーケが機嫌を悪くして俺を睨みつける……いや、だからよ。

 

 

「おまえが怪我したら、俺が嫌なんだよ」

「は?」

「別にお前に限った話じゃない。でも、どれだけお前が強くても、おまえが怪我するかもって考えると不安なんだよ」

「……は?」

 

 

 何故か、目をまんまるに見開くロックブーケ……いや、俺、そんな変な事を言ったか? 

 

 

「お前が強いのは俺だって知っている。でも、強いからって心配しないわけじゃない」

「だ、だからって……」

 

 

 別に、ナメているわけじゃないし、下に見ているわけでもない。

 

 

「分かっているよ。でも、心配するんだ。何も起こらないでくれって心配するのはダメなことなのか?」

「…………ダ、ダメジャナイデス」

「ノエル隊長も、今ではおまえの強さを認めている。ワグナスだってそうだし、俺だってそうだ。でも、何も起こらないでくれって願うのはダメなことなのか?」

「…………ダ、ダメジャナイ、ヨ」

 

 

 仮に相手がノエル隊長だとしても、俺は言葉には出さないけど心配しただろう。

 

 でも、ノエル隊長は、そんな俺たちの不安を分かったうえで、自分の意思を貫く人だ。

 

 だから、もしもロックブーケが同じく意思を貫くなら、俺は引き止めるつもりはなかった。

 

 でも、ロックブーケはどうも昔から他人の気持ちに疎いところがある。

 

 だから、ちゃんと心配しているんだぞと声を掛けておかないとダメなんだと思って、俺はちゃんと言葉にして──

 

 

「それでも、ロックブーケが行くというのなら、俺も出来うる限り長く足止めを──」

「イ、イカナイヨ」

「──え?」

「オ、オニイ、オニイサマニソウダンシヨウ、ソウシヨウ」

 

 

 ──でも、いつもの気まぐれか、けっこうあっさりロックブーケは矛を収めたようであった。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………さて、色々あったけど、ひとまず『エイルネップ神殿』の事は後回しにして、今後の事を考える。

 

 

 現状、俺たち(皇帝たち)は、『七英雄』を既に3体撃破している。

 

 『七英雄クジンシー』、『七英雄ダンターグ』、『七英雄ロックブーケ』だ。

 

 そして、『七英雄ボクオーン』の存在は噂だけでなく、実際にボクオーンが見たらしいが……少なくとも、倒したという話は流れてきていない。

 

 ここがジャングルの中だからと言われたらそれまでだが、『七英雄ボクオーン』に関してはエイルネップの人たちも知っていたので、もしも倒されたら、ここにも話が流れてきているはずだ。

 

 

 ……で、だ。

 

 

 俺たちはひとまず、『七英雄ボクオーン』のことは後回しにして、ノエル隊長に相談してみようという話になったが……ここで、問題が二つ生じた。

 

 

 一つは、古代人が暮らしている町は、ここからめちゃくちゃ距離があるという問題。

 

 

 俺たちが居るエイルネップは、大まかには『サラマット地方』の中にある。

 

 そこから歩いて大陸を南下して『ヤウダ地方』へと向かい、そこから東にある『チカパ山』という巨大な山を抜けた先にある『トーレンス地方』の先に、ある……らしい。

 

 正直、山を越えるとなると相当に時間も労力も掛かるのではないか……と、思ったわけだ。

 

 実際、エイルネップの人たちの中で、地理に詳しい人に相談してみたら、ものすごく難しい顔をされた。

 

 なんでも、『チカパ山』は時期によっては通れなくなるぐらいに雪が降るので、行ける時期が限られているとのこと。

 

 それに加えて、あの辺りはかなり前から……色々と不穏な気配が多いとかで、様々な場所で足止めを食らう可能性が高いらしく。

 

 もしも本気で行くつもりなら、年単位で計画した方が良いだろう……と、言われてしまった。

 

 

 そして、二つ目の問題は……現在、そこにノエル隊長たちが居るかどうか分からないということ。

 

 

 今もそこで仲睦まじく暮らしていたら良いのだが、ノエル隊長は責任感が強く……おそらく、『七英雄』を倒すため、移動している可能性が高い。

 

 と、なれば、だ。

 

 年単位の時間を掛けて、苦労して山を越えて町へと到着したのに、肝心のノエル隊長が居ないなんてのも……だから、悩むわけで。

 

 結局のところ、ノエル隊長に相談するってのも、緊急性が高いわけじゃないし、無理して内部をいますぐ調べる必要性もないわけで。

 

 

「……せっかくここまで来たわけだし、近くまで行ってみるか?」

「そうね、山を越えるかどうかは、その後考えましょう」

 

 

 最終的には、そう結論を出した俺たちは……しばらくエイルネップに滞在してから、進路を南へと定めたのであった。

 

 すぐに向かうって話は出たけど、別に急ぎの話じゃないし。

 

 エイルネップの人たちも好きなだけ滞在して良いって言ってくれたし、なんだかんだ、ロックブーケも町の子供たちに情が湧いたっぽいし。

 

 ちょうど、ハイハイしていた赤子が成人の儀式を終えたのを見届けた俺たちは、それを契機に出発したのであった。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………その際、というか、ジャングルを抜ける前に、不思議なモノというか、見慣れぬモノを、枝葉の向こうに広がる青空より見かけた。

 

 

「……なあ、あの空を飛んでいるモンスター……かなりデカくないか?」

「え? あ、本当ね……ここらじゃ見かけないモンスターだわ。遠いからよく見えないけど……蝶? 鳥?」

「顔と胴体が人で、手足が……鳥だな。たぶん、メスのモンスターだな、胸が膨らんで──いってぇ! なにすんだよ!」

「スケベなのが悪いのよ。それにしても、へんてこなモンスターね。いったいどこから飛んできたのかしら?」

「方角的に、俺たちがこれから向かおうとしている先な気がする」

「あら、もしかしたら遭遇するかもね……ん? ん~?」

「どうした、急に目を細めて」

「いや、その……気のせいかもしれないけど、一瞬だけ見えた、あの鳥の顔……なんだか、ワグナス様に似てないかしら?」

「そうか? 俺はよく見えなかったからわからんけど、他人の空似ってやつだろ」

「まあ、そうよね。あんな見た目でワグナス様のような渋い声を出されたら……ごめんなさい、ちょっとギャップで笑っちゃいそう……」

「変なのを想像させるな……!!」

 

 

 果たして、それは吉兆の予告か、あるいは不吉の前触れか……俺たちには、判断がつかなかった。

 

 

 

 

 

 





 わぐなす「えっほ、えっほ……イーリスという伝説の種族が居る、チカパ山までもうすぐ……いったい、どんな種族なんだろうな、気になるなあ……えっほ、えっほ……」


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