ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
南洋諸島……現代ではミクロネシア連邦と呼ばれている地域にあるトラック諸島にて日本は太平洋で海軍や空軍が活動する拠点として基地を建設していた。
今回はそんなお話。
「ふう、本土で高い給金につられて、こんな辺境まで来ちまった……全く、俺も本土で探索者続けていた方が儲かったんじゃねぇか?」
「あらあら、板倉さん。こんな美少女が仲間だと言うのに何かご不満なのですか?」
「不満も何も……それより良かったのかお前は……一応俺魔物とのハーフだぞ」
「何をいまさら! 私は板倉さんの使い魔筆頭なんです! お父様より板倉様を1人前に成長を見守り、次世代の子供を作るのが役目! 例え地の果てでもご一緒しますよ!」
「はいはい」
18歳の青年である板倉の父親は転生者である。
息子にも自身が転生者で探索者として高い素養があると暴露しているし、何より他の転生者とは違い探索者を続けて、今や関東番付で大関と言われるくらい格式ある探索者チームの頭領を張っている男の息子として世間から注目されていた。
本人もそんな親父の背中を見て育ったので、探索者になる道を進み、順調に成長して高校を卒業したのだが、兵役の義務があり、軍隊で規則にギチギチに縛られるのが嫌だった板倉はどうにか規則が緩そうな場所に行けないかと考え、兵役と同じ扱いながら、兵役より規則が比較的緩い僻地開発従事者に志願し、結果海軍と空軍のトラック諸島の基地開発に駆り出された……というわけである。
「南国だから暑い事を除けば、規則は結構緩いんだよなぁ……」
週休完全2日制、3食ちゃんと出るし、営舎は何と個室。
まぁ使い魔と共同生活をすることが殆どなので、個室といっても使い魔との共同生活をするのが殆どだが……。
「こんな辺鄙な島を開発して海軍は何をしたいのかねぇ」
俺達の作業はそんな島の面積を広げる作業をしていたのである。
「土の異能を使って大量の土を生み出して、それでまず堤防を作る、堤防を作ったら中の水をこれまた異能で抜き取って、また土を生み出す。そして石化の異能や凝固剤を使って擬似的な岩盤を作ったり、地下空洞を作ってその上に土を被せて重機を使って慣らせば……あっという間に島の面積が広がるってわけだ」
トラック諸島には春夏秋冬の大きな四季島と七曜日諸島と呼ばれる中規模の島が無数に点在していたが、日本はこれらの島を合体させて大きな2つの島に変える計画を進めていたのである。
というのも、ドイツの統治時代は現地民の人達に近代的な生活環境を整える気はなく、領事館があるだけであったが、日本の今の政府が統治するようになって、学校や病院を建てたり、生活インフラを整えていっていたのだが、ワシントン海軍軍縮条約で南洋諸島に海軍基地を建ててはいけないとされていたので、インフラを整えるだけで大規模な開発は行われていなかった。
しかし、海軍軍縮条約が期限を満了したことで、ここら一帯の戦略的重要性が高くなり、大規模な開発に踏み切ったのである。
「しっかし、日本の技術力はどんどん高まるな……島に1カ所以上の発電所を建設するし、埋め立てする際に作った地下を使って地下鉄を張り巡らせたりしているし……」
それだけでなく、島を拡大したことで穀物や野菜類の栽培規模も広がり、現地民の人達も貸し出された農業機械を使って、トラクターで土地づくりをしたり、田植え機で米を植えたり、暖かい気候を利用してバナナやサトウキビを栽培したりもしていた。
あとは日本のダンジョンで品種改良された作物や家畜が持ち込まれ、色々育てたりしている感じである。
それに異能の使用の実験も行われているらしく、日本だとダンジョン内でしか許されてなかった異能を使っての建物の建築も地震が少ないここだと強度の関係で大丈夫だとバンバン異能を使って建物を建てている。
大型の燃料貯蔵施設が建てられたり、海軍の軍艦を修理するためのドック。
あとは飛行場が4箇所作られたりもしていた。
板倉はそんな島でかれこれ9ヶ月も生活をしていたのである。
「板倉!」
「タダオじゃん。今日はもう仕事いいのか?」
「仕事オワッタ。コレから遊びイク! 板倉ハ仕事まだある?」
「いや、今日の作業は終わった所だ。一緒に行くか」
「イクイク!」
板倉に声をかけたのはタダオ。
現地民の青年で、日本の統治が行われているので、日本語の教育が行われていたが、元々ドイツ領だったのでドイツ語でも仕事ができるように取り計らわれていたが、ドイツ統治時代はあまりよく思われてなかったらしく、ほぼ日本語が共用語として使われていたので、多少訛っていたりはするが、日常的に日本語が使われていた。
「狐のオネエさんの所イキたい」
「えー、しょっぱな風俗かよ。飯も食える感じのところにしようぜ」
「うーんダッタラ居酒屋イク」
「いいね」
日本人が居るってことは使い魔も勿論居るため、獣人だったり人型の魔物が主人と一緒にこの島に来ている場合があり、中には現地民と結婚している日本人も居た。
今から行く居酒屋は店主は日本人で奥さんはこの島の人、従業員は女の天狗達。
天狗を見た現地民達は上手くキリスト教が伝わってなかったのか 翼が生えていれば、皆天使扱いであり、獣人達は土着の信仰で神の使いみたいな考えがあったらしく、なんか上手く馴染んでいた。
「いらっしゃい」
「2人で、テーブル席空いてます?」
「空いてるよ。スズメ案内してやってくれ」
「はーい! 2名様ご案内」
天狗の使い魔がテーブルに案内してくれるが、タダオは女天狗にデレデレで、鼻がめっちゃ伸びていた。
分かりやすいやつ。
「とりあえず酒のツマミをチョイスするか」
「チキン食べよう!」
「おう」
この島でチキンというと醤油とビール、それにレモンを絞ったタレをかけて肉をグリルすると柔らかくて香ばしいこの島発祥のチキンが食べられる。
最近流行りの料理であり、作り方も比較的簡単なので、タロイモと合わせて食べるのが主流である。
「ビールビール!」
「ああ、勿論ビールも注文するから」
チキンとビールで乾杯して飲み始める。
仕事終わりに飲む酒は美味いんだよな!
「板倉最初ビール苦いって言ってた」
「慣れてなかったんだよ」
日本では隠れて日本酒とかを飲んでたりはしたが、ビールには慣れてなくて、最初苦いと思っていたが、この島だと日本酒は貴重でビールやタロイモから作られる芋酒、あとはココナッツで作る酒が殆ど。
なので飲んで慣れて今では普通に飲めるようになったが……。
「板倉あと半年で日本帰る?」
「まぁそうだな……日本でやらないといけないことあるし、あっちに家族もいるし」
「綺麗なネーチャン居なかったか?」
「使い魔のニャルな。アイツも家族だけど……うーん何というか仲魔っていうのがしっくりくるか……」
「ふーん。複雑」
「まぁそうだな」
そんな事を喋りながら板倉とタダオは酒を飲んで、歌って騒いで……結局使い魔のニャルに回収されて営舎に戻るのであった。
祝100話