ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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新技術 異界化

 トラック諸島に滞在しているのは勿論海軍も居る。

 

「井伊大佐今日も異常なしです!」

 

「うむ」

 

 前に駆逐艦……今は軽巡扱いの春風の艦長をしていた井伊も階級が大佐まで昇進し、現在は重巡洋艦青葉の艦長を勤めていた。

 

「今日もトラック諸島は異常なし……はぁ……内地に次に帰れるのは何時になることやら」

 

「順調に出世している割には将官への昇格はなかなか話が来ないですからね」

 

「黒子か、天狗達の息抜きの買い物に付き合わなくて良いのか?」

 

「良いんですよ。今日は提督のお側にってね」

 

「全く」

 

 トラック諸島の海軍基地には空母1隻、重巡洋艦2隻、軽巡洋艦4隻、駆逐艦8隻に潜水艦が10隻ほど停泊していた。

 

 基地機能を拡張したおかげでこれだけの艦数が滞在していても滞りなく物資を補充することができるし、トラック諸島は今南方に滞在する兵士達にとっては息抜きができる限られた場所であったのである。

 

「しかし、超電磁砲……これが上層部で戦局を左右させる戦略兵器であると位置づけられるとは……」

 

 井伊や一部の将官佐官はレールガンの威力や上層部が航空機偏重ともいえる戦略を行なっていることに疑問を持つ者も少なくなかった。

 

 世界的トレンドは大艦巨砲主義であり、巨砲をもって敵に打撃を与えるほうが得策なのではという意見も根強かったのであるが、レールガンと電探やレーダー、機械式射撃装置などの最新技術を駆使し、目標艦を用いた射撃実験で、旧式の巡洋艦が150キロも離れた位置から次々に砲弾を命中させて沈める様は大きな衝撃があり、更に航空機の攻撃を用いればより効率的に敵の位置を特定し、レールガン以上の長距離から一方的に敵艦を沈められると判明。

 

 それ以降の日本海軍では大艦巨砲主義は廃れ、このレールガンをいかに効率的に運用するかに躍起になっていた。

 

「本国では次期主力戦艦の建造が始まったらしいな」

 

「それと空軍が成田と同型の人工天空島を開発しているからと、海軍でも丸ゆの技術が蓄積したからと空中戦艦の開発が始まったらしいですけどね」

 

 次期主力艦の名前は長門と陸奥に決まっており、大和だろと叫んでいた奴も居たが、現在作られている空中戦艦に大和の名前が使われることが決まっていた。

 

 というか空を飛ぶ戦艦を作っても使い道が限られると思うのは俺だけだろうか……。

 

「本国の上司は内陸の地上要塞や重要建造物に大打撃を与えたり、飛行能力を持たせることで運河を気にすることなく大西洋に進出することを狙っているらしいが……」

 

「とんでもない話ですね」

 

 時速400キロで移動する戦艦なんてどうやって沈めるんだって話である。

 

 もっとも空中浮遊中はレールガンの電力が確保できない為、レールガンは発射できないらしいが、41センチ3連砲を2基(6門)搭載しているので、火力面では十分だし、レールガンも4門搭載しているので水上移動中は4門のレールガンで敵艦を殲滅させていくのだとか。

 

「日本がどんどん変な方向に進化していくような……」

 

「それぐらいやらないと駄目って恐れているアメリカって化け物か何かですか?」

 

「さあ? 現状でも過剰戦力だと思うし、本当にアメリカがこっちを殴りかかるような状態になるのか?」

 

 そんな事を考えずには居られない井伊だった。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな日本では異能の研究が更に進められていた。

 

「兵器開発が順調なのは良いことだが、結局ダンジョンで最後に必要になるのはスキル。武器はあくまで補助であるべきなんだ」

 

 こう考える層が一定数おり、軍も超人兵士の育成に大金をかけている関係でスキル習得の法則性だったりマジックアイテムと呼ばれる物を使って社会を豊かにできないか……という研究も続けられていた。

 

 それの実用的な装置がダンジョンの転移装置を用いた脱出装置であったり、水中を人が操作して動かす魚雷だったり……空中を浮く成田や丸ゆもそうであるが、色々な技術が発明されていた。

 

 その中でダンジョンの空間の拡張性に目をつけた者が。

 

「擬似的に隔離された空間を異界化させることで、積載量を増やすことができるのではないか……」

 

 というトラックの荷台をダンジョンにすることはできないかという研究が真面目に行われたのである。

 

 最初はダンジョンを人工的に生み出す方法の確立の研究をしていた際に資源も魔物も生み出さないけど、空間が拡張されている……という実験から生み出された着想で、これをトラックの荷台でできるようにするには……量産性について色々考慮された結果、1936年……ついに実用化に至ったのである。

 

 この技術の良いところは内部を異空間化することにより内容量を増やせる事、異界化することにより空間的な断層ができるため、外部からの衝撃が中に被害を及ぼさないというのが着目された。

 

 これによって何が変わるか……まず運送業の効率が大幅に変わる。

 

 今まで大型トラックを必要としていたのが、それこそ軽トラの荷台に異界化した箱物を設置することで、大型トラック以上の積載能力を実現する。

 

 列車や飛行機等の乗客の搭乗数も外はそのままに、中だけ拡張できるため、収容人数が大幅に増やせるし、空間が隔離されている影響で走行中や飛行中の振動も無くなる。

 

 漁船や小型船で問題になっていた積載量と生活面積の問題をこれで一気に解決。

 

 なんなら人口爆発で問題になり始めていた住居が狭くなる問題もこの技術を使えば空間が広くなるため解決である。

 

 更にダンジョンで採掘できるダンジョン内にも電気や電波を通す事ができる鉱石を加工したテレビやラジオや家電を使うことで、異界内でも問題なく生活できる様になったし、何より異界化するので地震が発生して例え建物が潰れたとしても、出入り口が生きていれば外に出られるし、ダンジョンを研究している人が中から外に脱出するポータルも大量生産の影響で安くなった為、入り口さえ頑丈であれば地震や津波、台風、火事が起こったとしても、絶対に安全な空間が出来上がったということになる。

 

 産業の根本が大幅に変わる技術であるが、これは軍艦や戦車、輸送車両にも直ぐに導入され、特に戦車は人員のいる場所をブロック事に異界化することで、砲弾が直撃して万が一装甲が貫通しても異界化した搭乗員のブロックで砲弾が止まるため、戦車が大破したとしても、中に乗り込まれない限り搭乗員は絶対に生存できる化け物へと昇華したのである。

 

 和虎は居住空間が悪くなかったが、空間が広がったお陰で燃料の搭載スペースや砲弾の搭載量も馬鹿みたいに増えて、継戦能力が爆増。

 

 なんなら戦車内に仮眠できるベッドやエンジンの余力で発電される電気で電気コンロや電子レンジを搭載出来るし、戦車内にトイレまで設置出来るという居住性も爆増。

 

 ダンジョンに潜ってる連中も戦車の積載量が増えてダンジョンから持ち帰ることができる素材が増えて経済状態も更に良くなるという好循環。

 

 というか、この戦車内の異界化処置と砲塔を史実のティーガーⅡみたいに大型化して進化した姿により和虎改二と呼ばれることになるし、内容物の重量が異界化により実質無くなったので、大きな砲や砲塔が大型化したのに重量が25トンから20トンに減少するヘンテコな事が起こったりしているのであった。

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