ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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チトーおじさん

 1937年。

 

 日本では人工衛星発射ラッシュが行われていた。

 

 ダンジョンの素材の研究が進み、飛行石と特定の鉱石を組み合わせて合金化することにより反重力を産み出す物質が発明されたのである。

 

 これは流石に大量量産するにはコストが高い為、一部の利用に留まったが、人工衛星をロケットで発射しなくても衛星軌道上に投射することができると判明したため、地上で高性能の人工衛星を製造してから、各所にある宇宙研究所から投射されていったのである。

 

 ちなみに重さやロケットに搭載出来る大きさの制限を無視できるようになった為、人工衛星の性能を上げる為に大型化し、現状のスパコン(プレステ2くらいの性能)を発射し、衛星上から地上の写真を撮影することも成功した。

 

「これは軍事的な特異点になりうる」

 

 ちなみに他国の天文学者達は政府に宇宙空間に明らかな人工物が増え続けていると警告を送ったが、それがどんな用途で使われているのか、そもそもどこの国が運用しているかの確証が得られていなかったのである。

 

 日本もロケット開発の時は盛大に発表したが、人工衛星に関しては軍事機密として秘匿してあり、人工衛星を使った気象情報以外の用途……衛星通信等は軍の独占技術となっていたのである。

 

 ただ軍はこれで大型の敵の位置……軍艦等の位置情報を大まかに知ることが出来、そこに潜水艦を派遣することで確実な位置情報を探知することができるシステムを開発したのである。

 

 後は衛星通信を行うことで、長距離の映像通信が可能になり、軍艦と本国の大本営とリアルタイムで指揮の伝達が行えるようになり、作戦の立案、実行力を大幅に上げる結果に繋がるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 スペイン内戦はイタリアとドイツ、ソ連の兵器実験場の様相を呈していたが、イタリアの新型戦車と航空機がソ連を圧倒しており、フランコ将軍率いる軍部が共和政府に半年で勝利し、フランコ将軍による独裁政権が樹立された。

 

 ただ日本政府は基本傍観者であったが、義勇兵から得られた実戦データは大いに参考になると同時に、戦車に偏りを見せていた技術形態をアップデート。

 

 歩兵の超人化が進んでいるのであるから、より反動が大きかったり、通常の人間では重くて使いにくい重火器の開発に拍車がかかるのであった。

 

 

 

 

 

 

 そんな世界情勢の中、日本のとある町工場である男が働いていた。

 

「チトー兄さん、今日も本を読んでいるのか」

 

「ええ、工場長……日本には様々な思考が入り乱れていて、早期に近代化を果たしたのを見て、祖国の役に立つ知識はいっぱい学ばないとと思いまして」

 

「なるほどねぇ」

 

 ユーゴスラビアから来たチトーという男性は町工場で車や航空機のパーツを作る作業をし、休日には工場の仲間とダンジョンに潜るという生活をしていた。

 

 というのも元々この男、欧州大戦時には二重帝国の軍に参加していたが、ロシアの捕虜となり、なし崩し的にソ連成立の反乱に参加し、社会主義や共産主義の思想に目覚め、祖国の為を思ってユーゴスラビア共産党の幹部をしていた過去があったのだが、ソ連が韓国を攻め始めたり、国際情勢の目まぐるしい変化、共産主義の理想と現実のギャップやユーゴスラビアという国の限界などを色々悟った。

 

 結果、ユーゴスラビア共産党が1500人程度しか党員が居なかった為、党員でチトーの支持者を集めて見聞を広める為、短期間で近代化した日本に勉強に集団で訪れていたのである。

 

 そこで目にしたのは働けば働くほど裕福になれる仕組み。

 

 ダンジョンという特別な環境があるにはあるが、それだけでなくちゃんと他の産業にもお金が循環する仕組みや弱者救済の社会福祉の数々……社会主義を否定している日本の方が社会主義国よりもよっぽど社会主義的というのにチトー一行は驚かされたのである。

 

 で、チトー達一行は働きながら日本という国をより学ぶため、ダンジョンに潜って体を鍛えたりしながら、日常生活から溶け込んでいったのである。

 

「チトー兄さん、これ少ないけど」

 

「良いんですか! 工場長」

 

「なに、作りすぎてしまったからね。鶏肉好きだったろ」

 

「はい! 大好きです」

 

「良かったら焼いて食べてくれな」

 

 渡されたのはタレに漬け込まれた鶏肉をビニール袋で袋詰めされた物であり、工場長がチトーの為に作った物であった。

 

 チトーはそれを受け取り、家に帰ると早速焼いてパンに挟んで食べる。

 

 食べながらラジオを聴いて勉強も行う。

 

「醤油というのは魔法の調味料だな……どんな料理にも相性が良い……この鶏肉のレモン醤油のタレを漬けて焼けばなんとも美味なことか!」

 

 チトーはそんな感想を呟きながらも、ラジオで色々な情報が入ってくるのを耳にし、それと同時に複数の新聞を読み漁る。

 

「普通の新聞に株価の情報が書かれていたり、イラストが付いて読み手を飽きさせない工夫は素晴らしいな……四コマ漫画というのはいつも笑ってしまうな」

 

 転生者達が必死に育てた漫画文化もこの頃にはだいぶ市民権を得ており、大手出版社が少年誌や青年誌を発行して漫画業界を活性化させていた。

 

 ちなみに軍の装備の説明書なんかもイラストが付いていた方が分かりやすいと漫画家が採用されたりもしていたし、最近では着ぐるみのゆるキャラも登場して市町村を活性化させようと動いているのをチトーも知り、この様な形で地域活性化を狙えるのか……と大いに勉強になっていた。

 

「それも凄いが、日本では軍事戦術に関する論文が無数に発行されているのは凄いな。特に歩兵の戦術に関する論文は素晴らしい……あれか、ダンジョンにアタックする際に役立つのか」

 

 なんなら戦車を市民が持っている状況でもあるので、少人数での戦術に関する論文は無数に発行されていたし、研究も大いに盛んであった。

 

 チトーはそんな環境で仲間達と勉強しながら、独自の政治形態であるチトー主義なるものを考案し、欧州全体がきな臭くなってくる1938年に彼は帰国して、支持者に教育を施し、他国に対抗できる組織の育成に尽力していくことになるのだった。




種付けおじさんの2巻作業があるので、毎日は更新できなくなるかも
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