ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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料理倶楽部 戦車狂い

「我らお料理倶楽部は! 未来の料理を再現する!」

 

「いきなりどうしたんですか部長」

 

「どうしたもこうしたもないよ助手君、僕らは食による幸福……満福をこの世界で達成する義務がある! 前世料理人だった僕は食が未発達なこの世界が悲しい!」

 

「いや、前世で上司と部下の関係かつ、このゲームを勧めたのは俺ですが、今世でもその熱い感じで行くんですね部長……」

 

「そうだ助手君! 頭の硬い先公共が料理倶楽部創設に口出しして創部に1年かかってしまったが、部員も40名も集まったことだし、料理の再現をしていくんだよ!」

 

「で、作られた料理を学校の学食に取り入れてもらうように交渉するのが俺の役目ってわけですかね」

 

「その通り! 交渉役は任せたよ助手君!」

 

「はぁ……で、最初の料理は何にするんですか?」

 

「最初の料理はズバリ牛丼だよ!」

 

「ほお、牛丼」

 

 ちなみに牛丼は1899年に江戸で牛鍋ぶっかけと呼ばれる牛丼の原型を吉野家が屋台を用いて販売を開始していたものの、牛すじとタマネギを使った見慣れた牛丼は大正から昭和頃に完成していたりする為、一応未来の料理である。

 

 ちなみにこの時代でも牛すじは他の牛肉より安く手にはいることができ、学校近くの肉屋で入手可能である。

 

 休みの日に買っておいた。

 

「タマネギもこの頃だと十分に栽培されるようになっているね」

 

 タマネギは開国してから入ってきた食材であり、鎖国中はネギと言えば長ネギのみであり、牛鍋でタマネギではなく長ネギが使われていたのも、長ネギの方が手に入りやすかったからというのがある。

 

 1900年頃にはタマネギの生産量も安定をし始め、八百屋で売られるくらいには一般流通をしていた。

 

「牛丼は材料が安く済むのが良いよね」

 

 牛すじを長く煮込んでとろとろにする必要があるものの、作り置きが可能というのが利点であり、今は無いが転生者の力とダンジョンの素材を使えば圧力鍋を作ることも不可能ではない為、圧力鍋を使えば長く煮込む時間も短縮することができる。

 

 後は臭いが凄いという問題はあるものの、そこに目を潰れば完璧な大衆料理となる。

 

「ほい、完成」

 

 ちなみにタレは醤油、砂糖、みりん、酒、おろし生姜を加えた〇〇家系に近いタレになっていた。

 

「んん、これこれ……現代の牛丼が100点とすると90点の牛丼の完成だ」

 

「ちょっと物足りないと感じるのは何ででしょうね」

 

「タレの質や米や肉、タマネギの品質だろうな。後は紅生姜や卵の有無とかか?」

 

 他の部員達も牛丼を食べてあれこれ話し合うが、この完成度で圧力鍋さえ手に入れれば、十分に既存の牛鍋丼を販売している既存のお店を倒すことが可能と企業倶楽部にも所属している面々は話し合う。

 

 料理倶楽部はその後、各種ラーメンの再現であったり、餃子やとんかつを作ったりと、この時代に無かった料理を次々に再現していき、何名かが探索者兼料理人として各地に分散し、食文化を広めることに繋がっていく。

 

 一方で部長と助手と呼ばれていた男達は最終的に江戸一番のホテルの料理長と副料理長に登り詰めることになるのだが、それはまた別のお話……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご主人! ご主人! この戦車っていうのを僕ら作るの?」

 

「そうだよダンジョンの素材を駆使して長く使える戦車を私が作る兵器企業で生み出すんだ!」

 

「それでご主人僕ら河童を大量に捕まえているんだね!」

 

 ご主人と言われているのは戦車狂いという掲示板ではコテハンを貰っている男性で、開発倶楽部と探索倶楽部に所属していた。

 

 彼の特徴は圧倒的な河童の使役数だろう。

 

 なんと20体も捕獲してそれぞれに名前をつけてレベリングを行なっていた。

 

 本人曰く探索者としては高校で一旦区切りにして技術者として戦車開発ができれば良いなぁと思っていること。

 

 ちなみに前世は車の設計に携わっていた普通にエリートであったが、戦車のプラモデルを作ったり、戦車のゲームを沢山遊んだり、このゲームも戦車を自分好みに作れるからと遊んでいたらしい。

 

「戦車は男のロマン! と言いたいけど、1908年までに戦車の量産は不可能だからな」

 

 未来やゲーム知識があっても、それを作れる技術者が居なければ話にならない。

 

 なのでその技術者を育成するためにも、戦車狂いは使い魔の河童達に自動車を作る技術を座学で覚えられる範囲で教えたのである。

 

 ダンジョンの素材があんまり回収できてないのは輸送力の問題なのと、ウマやロバとかはダンジョンの瘴気で長いこと活動ができない為、今は人力で運ぶのが主流となっているので、なるべく早く運搬車両を投入したいというのが皆の気持ちであった。

 

 学校のダンジョンに潜っている転生者達もリヤカーを購入して使い魔に引かせて、ダンジョンに潜って金鬼の角だけでなく八角棒という鉄の金棒も回収して換金したりしていた。

 

 将来的には学校のダンジョン以外にも潜ることになるし、転移クリスタルみたいなのが無いダンジョンも普通に多い為、ダンジョン内でも使える車……最低でも装甲車両は早々に開発する必要があった。

 

 まぁ今の日ノ本の自動車産業はあってないような物だけれども……。

 

「Tフォードをベースに日本及びダンジョンに適した車両を開発しないと」

 

 Tフォードというのは1908年にアメリカで開発、発売された車の名称で、アメリカが自動車大国になる礎を作った車である。

 

 簡略かつ、悪路走破性も高く、複雑な部品がほぼ無いので自分で修理することが可能、それでいて他の車両に比べてだいぶ安価という特徴がある車である。

 

 ちなみにこのTフォード……完成度があまりに高かった為、社長のフォードさんはこれを究極の車と考え、細かいマイナーチェンジはあったものの、1948年頃まで大きな改修をしないで売り続けて陳腐化した歴史がある車でもある。

 

 なのでTフォードを応用すれば1930年代まではある程度使える車両になるというわけである。

 

 最もダンジョンの用途を考えると軍用車両……これまたアメリカの車であるジープとか装甲を施した軽トラとかが一番適していると言えるが……。

 

「考えれば考えるほどダンジョンだと軽トラの荷台に機関銃を乗っけた車両でよほど強力なダンジョン以外は突破できてしまうからな……まぁ軽トラは日本の需要に合っているし、Tフォードを技術的ベースに、軽トラを作っていくところから始めるとするか」

 

 戦車狂いの戦車開発は始まったばかりである。

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