ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
あっという間に幼年学校の3年間が終わり、転生者の一部は幼年学校を卒業するに至った。
転生者達は協力し合って倶楽部活動をし、3年間で既存倶楽部を圧倒するカリキュラムを構築し、当分続く後輩転生者達や入学してくる普通の子が育つように整えてから卒業していった。
そんな彼らは陸軍や海軍に進む人以外はそのまま繰り上がりで高校へと進学し、探索者としての技量を身に着けていくことになる。
一方で軍に進んだ者達は陸軍中央幼年学校と海軍兵学校に進む事になる。
今回は陸軍中央幼年学校に進んだ者達をみていくことにしよう。
拙者の名前は鈴木孫一、中央幼年学校に入学した生徒でござる。
中央幼年学校は正式に軍属となり学生でも給料や階級が発生するでござる。
自衛隊の高等工科学校をイメージしてくれるとわかりやすいと思うでござるな。
ここを卒業すると士官学校に進み、部隊勤務をした後に優秀だと陸軍大学校に進学を許されて、卒業すると晴れて師団付き参謀……大きな部隊の指揮する将軍の補佐する役目を担い、そして将軍への道が開けるのである。
ちなみに史実の人物で陸軍大学校の入学に苦戦した人物として東条英機がいる。
東条英機は陸軍大学校の受験に2度落ちていて、同年代より遅れて入学した経緯があり、出世コースからやや外れていたのだが、上官に恵まれた事と配属先が政情に適していた事、あと本人の物凄い努力の末に出世していき、最終的には陸軍大臣兼首相にまで登りつめた人物でござる。
太平洋戦争での戦争指揮や戦犯事に色々言われる人でござるが、本人の能力は確かだったでござるよ。
というか本人の基質的に副官として輝く人なのに政治的な混乱で上層部が東条英機にババを引かせた結果、首相にならざる得なくなった人だから可哀想な人でもあるでござるよ。
まぁこのゲームの世界にはプレイヤーの選択次第でモデルの人物が出てくることもあるでござるが、年下なのでまだ当分出てこないでござる。
話を陸軍幼年学校に戻すと、中央幼年学校の枠数的に全国の幼年学校生徒の希望者や普通の中学校から進路希望者全員を受け入れられるキャパは無い……というか今年は1学年50人という定員がある。
陸軍中央幼年学校自体も出来立てなので教官が少ないから人数を絞っていたりもする。
なので転生者達の間でも時に協力し、時に競い合って受験勉強を行ったでござる。
レベル上げのお陰で普通の人の十数倍頭が良くなっていたでござるから基礎を抑えるのには問題はなかったでござるが、応用は膨大な知識量が必要なので頑張ったでござる。
ちなみに使い魔は身体の一部として中央幼年学校にも連れて行く事が許されているので、五尾へと進化した元化けぎつねや妖精の最終形態の地母神まで格を上げた元妖精を引き連れて堂々と受験し、見事合格したでござる。
今年の合格者はやっぱりというか転生者だけでござったな。
で、中央幼年学校に入学すると、自動的に身分は士族とみなされる様になり、3年間教育を受けることになる。
基本授業内容は難関高校と同じであるが、言語学としてドイツ語、フランス語、英語、ロシア語のどれか1つを習得することが求められた。
なお受験に合格した転生者達は既に高校の授業内容は頭に入っており、言語に関しても最低どれか3つは自己習得していた。
で、半数の25名を1つの班として活動し、上級生が部屋の扱い方等を教育するのであるが、幼年学校で基本は教えられているので、ほぼ完璧であり、転生者の中には自衛隊に所属していた人もいるので、事前に教育期間中にありそうな事は共有されていたでござる。
そんなもんだから上級生は自分達より規律の取れた1年の拙者達にビビり、教官達からシゴキを受けるが、皆ピンピンしていて、持久走の訓練では30キロの荷物と銃を持って走るというのが行われたが、50キロ以上走っても元気に走り回るのを見て怪物共と評価された。
そうなると授業が復習にしかならないので、教官の許可を取り、戦術研究を自主的に行ったり、銃の不満点を洗い出した上でこのような銃が欲しいと要望を出したりとやりたい放題。
訓練もどんどんエスカレートしていき、富士山まで走って移動し、登頂して帰ってくるのを2日で帰ってこいと言われたり、江戸湾の千葉方面から未来ではアクアラインがある距離を泳いで神奈川に出て、そこから1日で走って帰ってこいだったり、自衛隊ニキ曰くレンジャーでやるような訓練をやらされることになってしまった。
それでも脱落者が一切出なかった事や、武術を取り扱う教官が拙者達にボコボコにされてから成績判別不可能となってしまい、3年で卒業と取り決められていたのに2年で卒業することになってしまったでござるが、翌年から数年間転生者達による中央幼年学校のカリキュラム壊しが発生、ただ転生者が居なくなる6年後の入学者達に拙者達の教育がやらされて、ほとんどの生徒が脱落することになり、7年目から通常カリキュラムに修正。
異常の5年間と拙者達は評され、そのまま士官学校も進学後に北海道防衛戦争が始まるでござるが、戦争により特務少尉として戦場で探索者を集めた中隊(200名定員のところ半数の100名で戦わされた)を率いてロシア軍と戦うことになるのでござった。
「ご主人達もやり過ぎよ、教官達が可哀想に思えるわ」
「あ~気持ちいいでござる。ルナ、そこ揉んで欲しいでござる」
「はいはい」
部屋では転生者達が思い思いに過ごしていた。
ある奴は学友と卓上演習を繰り返し、ある奴は知り合いの起業した転生者に陸軍が要望する武器の設計情報を書き込んだ手紙を作成していたり、ある奴はペーパークラフトで飛行機を作ったりしていた。
「ライト兄弟の飛行機が飛んで2年でござるか……」
「欧米では軍事利用について研究が始まっているのに、日本の技術ではエンジンの製作すらできていないからな。一応先行してエンジンを作る企業ができたんだけどな」
転生者の中には幼年学校で稼いだ金と友人達の協力、中には借金をして高校には進まずに起業する猛者が現れ、その企業の1つに宝田動力という会社が開業していた。
宝田動力は航空機、自動車のエンジンを総合的に研究する企業であり、協力した転生者達には研究した動力装置の設計図や現物を譲る事を約束していた。
まだ町工場規模であるが、転生者と使い魔だけで構成されていたので、高い技術力を有していた。
「騎兵に凝っている上層部に騎兵は時代遅れであり、外国との戦争に勝利するためには弾丸や爆弾を大量にばらまく事と、それに耐えうる防御兵器が必要ってことを知らしめないと……探索者に頼る戦術で薩長反乱に勝利したからって、探索者偏重だと数が足りないからな」
「探索者は素材の回収をしてもらって、戦争は兵士が高い質の兵器を扱って戦うのが健全でござるからな」
「ダンジョンで使える武器を開発する企業も起業したから、兵器についてはそっちにも期待だな」