ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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起業家ニキ達の会合

 横浜……そこは日本で諸外国に開放されている国際港であり、ペリー来航により鎖国が一部解除された今の日本において、国際取引をする場所でもある。

 

 そのため為替市場も存在し、手続きさえ済めば国債を購入することも可能であった。

 

 日本も戦費調達の為に国債をこの度発行したが、外国の方には売れず、結果国内で循環させることになってしまったが……。

 

 そんな横浜の町に出店し、餃子、小籠包、ラーメン等の日本の口に馴染んだ中華料理を出している転生者が経営しているお店で、起業家の転生者達が集まっていた。

 

「脳内で交流するのも良いが、やはりこうして面と向かって会うことも重要だな」

 

「宝田動力や愛知自動車の自動車王ニキもよくお越しいただきました」

 

「大阪から来た皆さんもお疲れさまです」

 

 江戸や神奈川に拠点にしている転生者達が他所から来訪した転生者達を労う。

 

「全く、この世界だと世界に冠たる自動織機や車で有名な会社が起ち上げられてませんからな」

 

「仕方がありません、外国の方は基本実名で出されていますが、日本人は徹底して架空の人物しか居ないことになっているのでね。ネームドキャラは居ても史実ネームドは居ませんから」

 

「それで会社の名前も違うからな……三井、三菱、安田、住友の四大財閥も四宮、中川、骨川、西澤……どこかで聞いたことがある財閥名になってますからなぁ」

 

「財閥については今後付き合っていくので、彼らとは戦っていくことになりますが、今回は皆さん一儲けできましたか?」

 

「財務大臣ニキのお陰で稼がせてもらったよ」

 

 起業家の面々がやったことはインサイダー取引であり、それを限度額まで借金をして行ったのである。

 

 手順を話していこう。

 

 まず捨て値で発行された日本国債をしこたま購入、ロシア侵攻により一時的さらに値段が下がるが塩漬けし、ロシアに潜入している転生者達が行動を起こす直前にロシア国債の空売りを開始。

 

 そしてロシア降伏によってロシア国債が下落するためロシア国債を買い戻す事で差額で利益を出す事に成功し、そして日本国債の価値が戦勝によって上がる為、それを売却すると、莫大な資金を手に入れることに繋がる。

 

 これを巻き込める転生者達でやったおかげで起業の際に転生者や銀行から借りていた借金を一括返済した上で外国産の機械類の購入費用とすることに成功していた。

 

 特に成功した者は5000万(現代換算で5000億円)近く稼ぎ出す猛者も現れ、一気に成金となった者も居た。

 

 勿論転生者達はそれを設備投資や従業員の育成に費やす費用に充てていた。

 

 愛知自動車を立ち上げていた自動車王ニキもゲームでも悪用されていたこの金策を利用し、大儲け。

 

 愛知に広い土地を購入して大規模な工場を建設に取り掛かっていた。

 

 自動車王ニキだけでなく、自動車製造を目的として起業したのは4社、航空機も3社、官営だった造船所を買い取った者も現れており、他にもジャパニウムと他の金属を合成させる工場を建てたスレでもお馴染みの佐々木ことウィキやマナタイトを使った大規模発電所建設に踏み切った者、武器メーカーに名乗り出た者と様々であった。

 

 基本重工業に投資されており、精密機械類に関しても、自動計算機や音波探知機等将来に繋がったり、その分野で知識を持っている転生者達が起業したりしていた。

 

「さて、30名近く集まったわけであるが、今のままだと顧客を取り合う事になる。勿論それでもやっていって生き残れば問題ないが、共倒れしてしまうのを一番恐れている」

 

「ああ、ここにそろった面々は未来やゲームで重要な知識を有している。将来のアジア戦争もしくは世界大戦を考えるといかに規模を拡大して商品を輸出するか……ということになる」

 

「市場に関しては日本国内とアジア各国に売りつければ良い。当面は国内販売に注力すると思うが、欧州大戦が始まれば数年間は何でも売れる状態になるからな」

 

「戦車や航空機類は売れないだろうが、船、車、大砲……売れる物は多い」

 

「欧州大戦後には合成繊維が誕生するから、国内の主要輸出品である生糸にとって代われればいいだろう」

 

 この会合では普通に談合が行われ、仮のテリトリーが決められた。

 

 自動車王ニキも作られる軽トラックやケッテンクラートのライセンス生産を格安で認め、スタートラインを整えた。

 

 皆宝田動力のアルミエンジン4型を使う事、ガソリンスタンド事業を融資すること等が決められていった。

 

 会合の場で業務提携等の話も進められていく。

 

「そう言えば戦車狂いニキも自動車を製造するのですよね。もしかして戦車の初期案でも作っていたりしません?」

 

「ん、ああ、戦争には間に合わなかったが、ルノー戦車は宝田動力のエンジンの製造技術提供で完成したな」

 

「ルノー戦車というのは? 無知で申し訳ない」

 

「ゲームだとフランス戦車初期型って名称だったな」

 

 ルノー戦車……2人乗りの小型な戦車で大きさも普通車のワンボックスカーと同等くらいであり、車内に至ってはワンボックスカーより圧倒的に狭い小型戦車である。

 

 多くの国で基礎となった傑作戦車であり、史実では第一次世界大戦で一番製造された戦車でもあった。

 

 ただルノー戦車は技術的に学ぶところは多いのだが、拡張性に乏しく、大きな大砲を積めなかったり、装甲が薄かったり、足回りが貧弱で機動性も悪かったりと欠点もある戦車だった。

 

 ちなみに史実日本軍の戦車の基礎となったのもこのルノー戦車から始まっているし、シルエットはルノーの発展型とわかる外観をしていた。

 

「装甲を超チタン合金を使うことで重さを抑えながら機関銃の攻撃にも耐えられるようにはしたが、村上様や陸軍大臣ニキにも言っているけど、どうせ納入するならある程度形になった戦車の方が良いと思ってな。戦うとしたら満州もしくは本土を想定しているから日本の環境に適した戦車を作りたいと思っているんだよな」

 

「ほぉ、どんな戦車を?」

 

「イギリスのセンチュリオン戦車を目標としながら、ダンジョン内や山岳地帯や泥地でも素早く動ける軽戦車の2種類を製造していきたいと思っている」

 

 センチュリオン戦車というのはイギリスで開発された初めて主力戦車というのに分類された走攻守で高い水準で稼働する戦車だった。

 

 ちなみにこの戦車はイギリスの友好国に輸出され、イギリスでも40年近く現役で、南アフリカでは1945年開発だったセンチュリオンが近代化改修を繰り返して戦後80年が経過した転生前の2025年でも現役で稼働するほど拡張性に富んだ傑作戦車であった。

 

 一方で軽戦車というのは防御力、攻撃力はほどほどに、素早く動く事ができる戦車であり、重量が重くないのも相まってインフラが整ってない場所で活躍したり、偵察任務を目的とした戦車であった。

 

 ダンジョン内だと小回りが効く様な小型かつ、そこそこの防御力の戦車があれば問題なく、火力不足は大砲が進歩すれば時代が進むことによって強化できるので問題なかった。

 

 探索者用にはわざと戦車を長くして荷台を作り、使い魔達を輸送することができる足として使っても良い様な、輸送もこなせる車両にできれば……と戦車狂いニキは考えていた。

 

 ゲームでも輸送戦車というダンジョン内で活動できる戦車が作られていたので、それを先取りする形である。

 

「まぁ戦車開発はもうしばらくかかる。それに軽戦車でも200馬力のエンジンは欲しいから宝田動力と協力してエンジン開発や電気モーターで砲塔を楽に動かせたり、車内で休憩したりできる様にしたいから……必要技術は山程あるし、戦車に搭載する機関銃や大砲の製造もお願いしないと……」

 

 戦車狂いニキの野望はまだまだ始まったばかりであった。

 

 会合の結果、様々な業務提携が決まり、技術力の蓄積や社員教育に関するノウハウの共有、有望な探索者のスポンサーとなる探索者の囲い込みに関する情報共有等をしていくのであった。

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