ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「安藤博士、この設計図で本当にマナタイト発電が可能なのでしょうか」
「ああ、原料のマナタイト10グラムで現在日本国で必要とされている電力の120%は賄える計算だ。送電による放電を加味しても、以後増えていくであろう電力需要をこの発電所を複数個作れば十二分に賄えるはずだ」
私安藤ことアルファ博士と掲示板では言われているが、起業家ニキ達の力を借りて、マナタイト発電所とそれに付属する形で窒素製造プラントの建造を進めていた。
外装に関しては職人達の力を借りたが、内部の発電装置や窒素製造設備などに関しては河童や九尾、絡繰自動人形等の機械類に強く、手先が器用な使い魔を使ってオーダーメイドで建造していった。
勿論日本の技術力でこんな物を作れるはずがないので、転生者のゴリ押しで作ってしまった。
一応私は研究所でダンジョンの素材を使った化学技術の探求を行っているのだが、1年近く拘束されることなるとは……。
勿論幕府にもこの技術の有用性を理解してもらい、ロシアからの賠償金で建造費用は出してもらったが……。
それとハーバー・ボッシュ法と何度も繰り返し言っているが、日本の豊富な水資源を活用する方法を採用し、後々イタリアで発見されるカザレー法と呼ばれる方法を私の知識と実証実験で確認してからプラントの建設に踏み切っている。
これは水を触媒と電気を用いて水素にし、その水素と空気中の窒素を高気圧状況下で結合させると固体化する技術を用いる方法で、史実日本でも1923年頃より建造されて窒素肥料が作られていた。
(ゲームでも転生者の協力があると建設される設備の1つで、ドイツの製造工場を10とすると、日本のは1程度の出力しか出せなかったが、原子力発電3基分に匹敵するマナタイト発電とプラチナを用いた貴金属触媒を使えば……ここの工場で50や60もの肥料や火薬を作り出すことが可能になる)
(窒素肥料は言わずもがな、現代戦で主流の無煙火薬も窒素肥料を作る副産物で出る硝石が必要になる。硫黄は日本では大量に産出する物質(温泉や火山がある場所ならどこでも掘れば出てくる物質)だから、問題はない。これで火薬の値段を大幅に下げることができる)
「安藤博士、この窒素製造施設で製造される窒素肥料の量はどれぐらいなのでしょうか?」
「そうだな、国内需要を全て満たしても余るほど作ることができるだろう。諸外国へ輸出する商品にもなるだろうな」
「それはそれは……」
幕府もロシアからの賠償金でなんとか破産は免れたが、戦争がいかに金がかかるかというのを身にしみて感じたことだろう。
そのため幕府は日本国で諸外国に輸出できそうな品を探していたのである。
現状は生糸と茶葉くらいしか売れてなかったが、ダンジョン内の貴金属採掘を探索者達にさせて、金や銀の備蓄も進められていた。
(その生糸もスライムを加工した化学繊維のほうが安く質の高い物が量産できるんだがな……)
とにかく日本でも本格的に窒素肥料と火薬の製造が始まるのであった。
「日本の技術力の低さが憎いな」
とある転生者は海軍に所属していたが、海外で作られている航空機の重要性を上司に説き、地上にて使い魔を用いた観測射撃により命中精度が向上したのを理由に、航空機の導入を迫ったのである。
しかし理解が得られずに、左遷されることになり、軍艦の設計を行う部署の雑用へと飛ばされ、そこで色々働くことになったが、捨てられた資料や夜間に造船についての勉強を行い、ある日上官が苦悩していた船舶の欠点をメモに書いて机に置くと、それを確認した上官から呼び出され、色々質問されるうちに、高速で浮力や復元性、戦闘時の砲弾の射撃間隔等を設計図を見ただけで言い当てる事ができる演算能力があるとわかると、正式に設計を行うメンバーに加えられたのである。
そのまま様々な事を聞かれ、その1つに船体の装甲材について聞かれたのである。
「ニッケルとジャパニウムを多く使った鋼はいかがでしょうか? どちらも日本にある異界から産出しますし、知り合いの研究者が陸軍で装甲車という物に使われる新型の鋼を開発しまして」
「ほう? どんな鋼だ?」
「Jハイテンと呼ばれる鋼です。すぐにサンプルを取り寄せましょうか?」
「ああ、頼む」
すぐに連絡を取り、Jハイテンという鋼を取り寄せて実験を行ったところ、溶接時の劣化が少なく、それでいて強度が軍艦に使われる既存の鋼鉄の約3倍の強度を誇ることが判明した。
「これは凄まじい……この鋼の値段は?」
「既存の鋼よりも安価ですね、鉄の代りにジャパニウムが20%含まれているのでその分安いです。ただ生産施設がまだ整っていないので、生産量を増やすには資金を投入しなければなりませんが」
「陸さんとも協力して資金を抽出しろ! 普通の輸送船でも使える鋼材だぞ!」
というわけで幕府から資金提供があり、広島の呉や長崎近くに製鉄所が建てられ、Jハイテンという特殊鋼が量産されることになる。
そしてこの鋼が溶接と相性が良かった為アーク溶接が実験的に取り入れられた。
現代では普通に用いられるアーク溶接……金属と金属の間に別の金属を溶かして接合する方法であるが、史実日本で取り入れられたのは1930年代であり、それも船舶が殆どで、戦車や航空機には取り入れられなかった。
本格的に日本で使われるようになったのは1950年代である。
ゲームでもプレイヤーが介入すると溶接技術がアンロックされて、最速だと1908年のロシアとの戦争後に使えるようになる。
今は1909年なのでゲーム最速から少し遅れたが導入することができた。
アーク溶接の良いところは圧倒的に素早く仕上がるところである。
リベット止めと呼ばれる方法もあるが、それはリベットと呼ばれる釘を大きくした様な物を真っ赤に熱して、接合する場所にハンマーで打ち込んでいく方法が主流で、リベット分重くなるのと、接合に時間がかかる欠点があった。
戦艦とかだとこのリベット部分だけで数トンから十数トン重くなったりもするし、飛行機も重さを極力軽くする必要があるが、技術力不足で溶接ができなかったのである。
ただこれができる理由はJハイテンという特殊鋼が溶接でも接合部分の強度が担保されるからであり、戦車で使われている超チタン合金とかは溶接だと一定威力の砲弾が命中すると接合部分が割れる欠点がのこっていた。
まぁ溶接技術が上がれば問題はなくなっていくのであるが……。
で、このJハイテンを使って標的艦という砲弾の的になる小型艦を作ってみたところ、建造時間が半分に短縮されるし、砲撃をしてみたが、砲弾を普通に弾いて今の日本にある一番大きな船……重巡洋艦による砲撃を行ってようやく沈めることができたという結果が出た。
小型の漁船レベルでそれだから、戦艦並みに大きくしたら沈まない船が出来上がるんじゃないかと大盛り上がり。
あとロシアとの戦争に勝利したことで戦艦を作る技術を外国から入手できたこともあり、史実と同じく海軍先進国のイギリスに発注して、当時の技術では最新鋭の実験艦みたいな戦艦金剛が1911年に届く事になる。
その金剛の建材をJハイテンを使ったり、大砲にもジャパニウムを使った特殊合金を使うことで金剛よりも耐久性の高い砲が搭載された上で、宝田動力が船舶用のマナタイト大型タービンを取り付けた事で、最高速度38ノット(時速約70キロ 普通の高速戦艦が27ノットと呼ばれている時代である)というわけわからない速度が出せるオーパーツが国産で5隻欧州大戦前に完成することになる。
なおJハイテンが安かったのとアーク溶接で建造期間が短縮されて、イギリスが割り増し料金にしたのもあるが、1番艦の金剛と他の6番艦までの姉妹達は金剛1隻で他姉妹2隻が造れるほど金額に差があったりした。
今まで戦艦が作れなかった国がイギリスからの技術援助があったとはいえ、短期間で戦艦5隻作ったのは各国に衝撃を与え、なんかアメリカを刺激して、アジア方面に20隻の戦艦を新造するとかわけわからないことが起こったりもした。