ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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特需発生

「社長! フランスから車発注が止まりません!」

 

「先週100台発注だったのが、今週は1000台と需要が止まりません!」

 

「売り時って事だ! 提携する自動車メーカーにも声をかけろ! とにかく日の丸車(ジープもどきのこの世界での愛称)を量産しろ!」

 

 昨年、インドネシア駐屯のフランス軍に日の丸車を何台か購入してもらったところ、悪路でもスイスイ動き、何より安い日の丸車に感銘を受けて、フランス軍より100台近くの大規模発注があった。

 

 その一部がフランス本土にも流れたらしく、欧州大戦が始まると、砲弾で耕された悪路でも軽やかに動きまわり、簡単な構造のため故障がほぼ起こらない日の丸車は自動車王ニキの予想を超えるほどフランス軍の心を掴み、一方で国内のメーカーの車が想像以上にポンコツ……というか故障が多かった為、陸軍からの要望で大規模発注へと相成った。

 

 日の丸車だけでなく、日本版ケッテンクラートこと半装軌車……ハーフトラックのハニー(どこでも花粉を運ぶ働き蜂から連想された愛称)も大砲を運ぶのに十分な馬力があり、なおかつ操縦方法が簡単で壊れにくいと相成ってこちらも注文が殺到。

 

 転生者や探索者、日本軍が毎年1000台から2000台購入していたが、フランス軍は一気に1万台の注文を行い、造れば造るだけ売れる状態となっていた。

 

 一方でイギリス軍が注目したのは自走砲のホイ車であり、イギリスはフランス軍で実験兵器として日本から購入していた自走砲に着目し、直ぐに日本から購入し、バラして生産できないか試したが、日本の特殊合金を使わないと重量過多で既存のエンジンでは壊れてしまうことがわかり、日本に多額の資金を支払ってホイ車のライセンスを購入。

 

 そのままJハイテン鋼やエンジンの材料となるネオジュラルミンを大量に購入して、独自の自走砲を開発。

 

 幕府も特殊金属を輸出しても大丈夫かと最初懸念を表明したが、ジャパニウム鉱石が無ければリサイクルしても強度が落ちるし、外貨が欲しい日本にとって今売り込めば将来的に長く購入してくれるお得意様になり得ると勘定奉行達の説得で輸出する事になっていった。

 

 なので攻略班や経済学者ニキ等が1915年から特需が発生すると見ていたが、実際には1914年秋頃から特需が発生。

 

 ロシアもロシアで、初戦でドイツ軍に惨敗して小銃不足に陥ってしまっていたので日本から10万丁近くの小銃を緊急輸入し、日本軍は小銃不足になる始末。

 

 村上様はこの機会に欧州大戦で得た戦訓を元に新型小銃を開発するべしと進言し、村上様と脳内会議で繋がっていた武器メーカー達が新型小銃を次々にコンペに出していくことに……。

 

 車や武器だけでなくエンジンや装甲板、船に関してもとにかく工業製品は何でも売れるボーナスタイムであり、中華民国も国家成立のゴタゴタで生糸や茶葉の供給が滞っていた為、日本の外貨を支えていた生糸や茶葉輸出も絶好調。

 

 なお粗悪品を売りつける悪徳業者も現れ、そいつのせいで大戦終了後に生糸と茶葉輸出量は激減してしまうのだが、その穴を埋めるか如くスライム製の合成繊維が台頭していくことになる。

 

「社長が無理を言って作っていた愛知第二工場と第三工場もフル稼働しています!」

 

「第四工場も来年には稼働する予定です!」

 

「社長、更に工場数を増やして供給量を増やしていけばいいのでは!」

 

「こんな特需は3年続けば良いものだ。これ以上の拡張は身を滅ぼす。現状の工場で供給を調整していく」

 

「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

 

「日の丸車も世界水準では十二分性能の高い車両だ。生産性、整備性、走破性、そして頑丈さ……どれを取っても10年先に行っている車両」

 

 自動車王ニキと呼ばれている俺はこの程度で満足する男では無かった。

 

 Tフォードを作ったアメリカの自動車王フォードは自身の自動車を最高傑作と呼んでいたが、時代が進めばその時は傑作でも良作、凡作へと成り下がる。

 

 せっかくフランス軍が使用してくれているという肩書があるのだ。

 

 これを使わない手は無い。

 

「小型四輪駆動車で世界的なシェアを獲得する。100馬力あれば小型車両なら十分だからな……となると次はさらなる生産性の向上……車体の鋳造部品数を多くするところからだな」

 

 日本で特に遅れている技術として大型鋳造が挙げられる。

 

 大砲を作るにせよ、金属加工技術にせよ、金属を型に流し込んで形を成形する鋳造技術は戦前日本の不得意分野であり、それが進んでいたのはソ連であった。

 

 あの国は大砲を作るのが得意であり、広大な国土を守るために大砲の数が必要で、その大砲を効率的に作るために鋳造技術が他国より進んでいたというのがある。

 

 これはロシア帝国時代からそうであり、大砲の出来栄えは他国と遜色ない仕上がりであった。

 

 まぁこの時代一番大砲の技術が進んでいたのはフランスで、日本も技術者を送ったり鋳造機を購入して研究は続けていたが、転生者をもってしても、ダンジョン産の特殊金属を用いて技術不足を補う……という形に落ち着いていたのである。

 

 鋳造技術が進歩すればエンジンを鋳造である程度形にすることができるため、生産性を大幅に上げることにも繋がる。

 

「生産性を上げれば今の工場数でも2倍の車両を作ることができるだけの設備は整っている。生産効率が悪くて半分程度しか生産できない現状が憎い!」

 

 そんな事を口にしながら俺は新しい自動車の設計を進めていた。

 

 ジープの様な車両は軍用車両としては良いが、一般人が購入するんだったら雨よけの天井を取り付けたり、もっと購買意欲を掻き立てるような車両のほうが良い。

 

 それこそドイツで誕生したフォルクスワーゲンの様な丸っこいフォルムの車両の方が受けは良い。

 

 まぁ日本だとプリウスが一番最近の国民車と言えるかもしれないが……。

 

「それに自家用車ばかりに構っているわけにもいかないからな」

 

 愛知自動車がジープもどきの日の丸車で成功したことで、同業他社である横浜自動車、静岡自動車、広島自動車にライセンス共有してジープ作ってもらっているけど、横浜は軽トラックで売り上げを伸ばしているし、静岡はより安価な原付バイクや三輪自動車が強い、広島は重機とトラックとかも売れ行きが良い。

 

「愛知自動車が他の自動車メーカーに負けるということがあってはならない! 宝田動力と共同開発した新型の250馬力エンジン……これを使ってスライムの運搬や液化燃料で使うタンクローリー車や高い馬力を用いた中型トラックにバス等を量産して需要をかっさらう!」

 

 日の丸車の成功に慢心しないのだった。

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