ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「村長、今月配分滅茶苦茶多くないっすか?」
「んだ、今月やけに給金が高いだが」
山田の村ではダンジョンに潜っている奴らの給料がやけに高いと村人達が口々に言っていた。
「ああ、ジャパニウム鉱石やスライムの買い取りの値段が上がってな。だからその分皆の給料にも反映させたんだが」
「……流石村長! 俺あんたについていくぜ!」
「俺もだ! 山田を村長にしてよかったって心の底から思うぜ!」
まぁ元小作人の彼らからしたら景気が良いから給料が上がる……なんて考えは普通無いからな……。
地主のポケットに入れられて終わりだろうし……。
実際問題、欧州で大戦が始まった影響でジャパニウム鉱石の値段が徐々に高くなっているのを感じる。
うちの管理しているダンジョンでも5箇所からジャパニウム鉱石は採掘できるが、これなら採掘会社を立ち上げて、外部からも人を集めたほうが良いかもしれない。
ダンジョンの資源を更に活用するにはどうしても人が居るからなぁ……。
「それに山田村長がスーパーって店をこの村に誘致してくれてすげぇ便利になったよ!」
「んだんだ。個人で商店やってた原田もスーパーで一家皆働くことになって大きく変わった感じでもねーし、それに店長さんはえれぇ別嬪さんだもんな」
うちの村は田んぼや畑に向かない土地は結構余っていたので、そこに住民向けの施設を次々に誘致していた。
その1つがスーパーマーケットであり、冷蔵冷凍技術は未熟ながらも、転生者達がインスタント食品の開発だったり、食品の保存方法について研究を重ねた結果、鮮度を保ったまま輸送する技術が確立された。
お陰で海から離れているが、魚だったり肉だったりを比較的安く手に入れることができるようになったし、手の空いている村の奥さん達の働く場所としても機能するようになっていた。
それにバスも走る様になったので、隣村からスーパーに買い物しに来るお客さんも増えていたし、ダンジョンに潜る際も俺の村の方が親切に教えてくれると近くの村から若い人達が小遣い稼ぎに来るようにもなっていた。
まぁそんなスーパーの店長は他の転生者の使い魔の九尾なのであるが……。
人に化けているから問題は無いか。
村人達は景気が良くなったと欧州の大戦を喜んでいたが、今車や各種施設を建設する大工なんかは輸出向けの工場の建設や商品の製造で大忙しであり、国内向けに作っている暇が無いと他の転生者から言われてしまっていた。
なので武器の弾薬とかも割高になってしまっていた。
「幸いなのは、ダンジョン潜って事前にレベリングしていたお陰で、村人達も超人の域に達したことかな」
超人の域……レベル100。
ここまで上がれば、とりあえず近隣の村にあるダンジョンなら敵無し状態であり、銃は金がかかるからと妖刀渡して戦ってもらっているが、特に問題は起こっていなかった。
それでも爆発採掘の為の火薬だったりも高くなっている為、喜んでばかりも居られないのだった。
高難易度ダンジョンと呼ばれるダンジョンが幾つかある。
各県に1箇所か2箇所、江戸に至っては5箇所あり、人が多い場所のダンジョンはより強く成りやすいとされていた。
そんな高難易度ダンジョンに挑んでいるパーティーが居た。
「兄貴! ここすごいっすね! 他のダンジョンではボス級の魔物がゴロゴロ居て!」
「今日は稼ぐというよりどれだけ強い魔物が居るかの確認だ。一菜、二之、三葉、準備は良いか?」
「「「はい!」」」
「よし、挑むぞ」
僕の名前は萩原良二……渾名は王子って言われていた中性的な顔立ちをした転生者だ。
幼年学校のクラスメイト達は企業を立ち上げたり、村長をやっていたり、陸軍に進んだりしている中、僕はダンジョンに潜り続ける生活をしていた。
北海道防衛戦争で僕はあんまり活躍することができなかった。
それ故に今も探索者として潜り続けているんだけど……まぁその分充実した生活は送れていると思う。
今日も戦車とトラックの2台でダンジョンの中を進んでいく。
戦争が終わってから僕は度々新米の冒険者を育成することにハマっていた。
この子手助けしないと死にそうだな……みたいな子を助けては、一人前になるまで育てて……みたいな事をしていたら、育てた子達に懐かれてハーレム状態になっている。
今一緒にダンジョンに潜っている女の子達以外にも江戸にある屋敷で3人ほど女性を囲っていた。
その3人は妊娠していたり、出産直後だったりでまだ復帰できてないけど。
「ケイ車は今日も相変わらず元気っすねぇ!」
「三葉も運転上手くなったな」
「そうっすかね? 兄貴が手取り足取り教えてくれたお陰っすよ!」
「おっと、停止だ。前方に暴れ牛」
「停止するっす……倒すっすか?」
「そうだな……電撃」
指を伸ばし、暴れ牛の群れに向けると、バチバチっと電撃が放たれる。
暴れ牛の群れは泡を吹きながら次々に感電して倒れていった。
「流石っすね。よっと」
三葉達が車両から出ると、倒れた暴れ牛達を担いでトラックの荷台に投げ込んでいく。
「今日は牛祭りっすね!」
「だな」
そんな事を車内で喋りながら進んでいくと、階層のボスが現れる。
「うひゃーなんすかあれ?」
「ヒヒイロノ壁だろ。全身がヒヒイロカネで出来た塗り壁だ。銃や打撃は効かねぇな」
「異能で倒すっすか?」
「いや、異能もほぼ利かない……こういう時は! 付喪神!」
戦車に取り憑いていた付喪神を引っ剥がし、愛刀に取り憑いてもらうと、刀が青紫色に光り輝く。
「せぇのぉ!」
抜刀と共に音速を超える一撃。
普通の鋼より硬いはずのヒヒイロノ壁は横一閃。
そのまま動かなくなり倒れてしまった。
「流石兄貴! 強力な魔物も一閃だ!」
「よいしょっと……戦車の荷台に載せるぞ」
「はーい」
約5トン近くあるヒヒイロノ壁の亡骸を荷台に載せて、今日の偵察は十分に出来たと撤退するのだった。