ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
『あわわわわ! なんか凄いことになってしまった!』
初めましての方は初めまして、巡洋戦艦に取り憑いている付喪神の比叡と言います。
日本で初めて建造された戦艦……正確には巡洋戦艦と微妙に戦艦とはカテゴリーが違うのですが、戦艦と名のつく者なので……。
現在私はイギリスという国に来ています。
理由は私と同型艦である金剛という巡洋戦艦をイギリスに発注した時に、国際情勢が怪しかったので、建造する代わりに5年以内に戦争が起こった場合、同型艦を参戦させる……という条項が建造時の契約に含まれていたので、一応同型である私比叡と妹の榛名と一緒にヨーロッパへ派遣されてしまった……という経緯があります。
私の体……スペックについても軽く説明しておきます。
全長は222メートル、幅31メートル
基準排水量1万3500トン(重量)
動力はマナタイトタービン1基、4万6000馬力。
全速力37ノット(時速68キロ)
無補給で地球3周回れる航海距離。
建材 Jハイテン鋼
主砲 45口径35.6cm連装砲×4
(砲の長さが約16メートルの巨大な2連装砲)
副砲 50口径15.2cm単砲×14
魚雷発射管
装甲
水線(船体) 203mm(実数値 609mm)
甲板 19mm(実数値 57mm)
うん、動力と重量、装甲がおかしいです。
金剛姉さんがイギリス製の鋼で2万6000トンで、装甲が厚い部分が203mmで、薄い部分は73mm。
動力源は重油で速度が27.5ノット(時速約50キロ)で航海出来る距離も10分の1程度。
うん、私が派遣されて正解ですね。
ちなみに榛名もほぼ私と同じ感じです。
で、ヨーロッパに行く道中に、私達ドイツの潜水艦に攻撃されて、魚雷が既に3発榛名に命中していたんですけど、榛名にこれといったダメージは無く、逆襲で2隻の潜水艦を沈めています。
そのままイギリスに到着した私達は数週間イギリスの港で滞在していました。
ご主人達海軍の皆さんはイギリスで軍艦を観る機会に恵まれ、航空母艦……空母の艦内に入って視察をしたり、海軍の戦術を勉強したりしていましたが、イギリスに来て3ヶ月……イギリス海軍主体でドイツ軍を挑発する作戦が北海で行われたんですけど……
『榛名さん、ドイツ軍来ますかね?』
『どうでしょう……霧が濃くなってきていますし』
一応付喪神同士で連絡は取り合えますし、ご主人とも連絡は取れますが……。
『だいぶドイツ軍港に近づいてません?』
『霧を良いことに私達イギリス軍の指揮下から外れかけてますけど……日本軍お得意の釣りかもですね』
日露戦争時、日本海軍は主力艦を囮にして駆逐艦で仕留めるという戦術を使っていた。
今回はこっちが挑発して、ドイツ海軍を引きずり出せればと考えているのかも……と思ったけど、どうやら先制攻撃を仕掛けるらしい。
『うっすら陸地が見えますね……要塞に対して砲撃を加える感じでしょうか』
『そうらしいですね……あ、装填始まりました』
こういう時に航空機で観測出来たら便利なのですが……。
『あ、命中しましたね』
『おお、火薬庫に誘爆しましたか……結構離れてるのに火柱が見えましたね……』
私達姉妹は沿岸の小規模要塞に砲撃を加えながら東に進んでいくと、霧に隠れて、ドイツ海軍の巡洋艦3隻、駆逐艦8隻が現れました。
不意の遭遇戦となりましたが、淡々と処理します。
勿論相手も砲撃してきますが、こちらが30ノット以上の速度で動き続けているのでまず当たりません。
一方でこちらの攻撃も中々当たりませんが、霧が晴れ始め、距離が詰まってくると、双方至近弾が出始めました。
『あ、痛』
ドイツ巡洋艦の攻撃が榛名の船体に直撃したものの、砲弾は装甲に弾かれてノーダメージ。
『榛名さん、大丈夫?』
『問題ありません。船員の皆さんも負傷者はいません』
『じゃあ反撃といきますか!』
反撃の一撃としてタイミングを合わせて砲撃すると、巡洋艦に砲弾が2発突き刺さり、砲塔が吹き飛び、大きく船体が傾きました。
動きが遅くなった所に再び砲撃を加えると、更に4発の砲弾が巡洋艦に命中し、船体がぱっきり割れて轟沈。
その直後隊列が乱れたドイツ軍に砲撃が降り注ぐ。
両軍距離が10キロの近距離戦となったがもうこの頃になると命中弾がバカスカ出てくる。
私も駆逐艦の砲弾が直撃して、砲塔の一部に歪みが出てしまったが、損害はそれくらい。
逆にこちらは駆逐艦2隻を取り逃したものの、巡洋艦3隻、駆逐艦6隻を沈めて、ほぼ完勝。
そのままイギリスの港に戻って修復されたけど、こちらではJハイテン鋼が手にはいらないから修理で普通の鋼を使われた。
ただイギリス海軍側からも途中からこの戦役の経過を確認し、日本海軍を褒め称えると同時に、ドイツ海軍は数は立派だけど、そんなに能力は高くないのではという事になり始め、ドイツ海軍との決戦を急ぐようになるのだった。
「比叡と榛名の性能のお陰で被害がほぼでなかったが、直撃した砲弾も多くて、普通の艦なら双方中破判定だったな」
比叡の士官室にて、転生者の海軍士官達が集まり、ヘルゴラント沖海戦について総評価していた。
イギリスでは極東からやってきた侍達がドイツ海軍に痛打を与え、こちらの被害は皆無な為、完勝と報道していたが、転生者達的には苦々しい結果であった。
「派遣軍総司令である宮西中将も艦の防御力や性能を褒めるべきであって、運用する側は問題ありと評価していたからな」
「手厳しいが事実だな……やはり艦隊運用する際は戦艦だけいても問題か。駆逐艦、巡洋艦のサポートあっての戦艦……」
「あと今回近距離戦になったのは霧のお陰だ。霧だから近距離戦となったが、そうでなければこんな事は起きない」
「命中弾の少なさも問題だ。こちらは300発以上撃ち込んで、命中弾は30発……10%と言えば聞こえは良いが、10キロ以内の至近距離による砲撃であることを加味すると25%は命中弾を与えなければ採算が取れん」
「転生者である我々が弾道計算を行ってこれだから、火器管制装置の開発及び弾道計算コンピューターや敵の位置を素早く捉えるレーダーの開発を急がなければ……」
課題が多く出てきた一戦であった。