ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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航空機ニキの力作 自動車会社の社長達の談合

 飛行機ニキこと鷲巣は所属している武田航空機で作られた新型航空機用エンジンを特殊カーボンとネオジュラルミンの複合素材で出来た新型航空機を見ながらようやく実戦に耐えうる航空機が完成したとほくそ笑んでいた。

 

「飛行機ニキ、ようやくだな」

 

 武田航空機の社長である武田が横で呟く。

 

「私と社長の二人三脚でここまで来れましたね。陸軍や海軍から実用的な航空機を納品するようにせっつかれていましたから」

 

「今まで社員をダンジョンに送り込んで、ダンジョンの利益の余剰資金で航空機を作っていたが……これでようやく採算が取れそうだ」

 

 社長も胸をなで下ろしている。

 

 出来上がった航空機は星型14気筒300馬力航空機用エンジンを搭載した複葉機(翼が複数枚ある飛行機)が主力な世界情勢で単葉機(翼が1枚の飛行機)かつ現代のセスナ機と呼ばれる航空機に類似した飛行機が倉庫に鎮座していた。

 

 正式名称七六式多目的機。

 

 2人乗りで時速250キロ。

 

 武装は前面プロペラの後に取り付けられたM2ブローニングもどきの12.7mm機関銃1丁で、機体下部に50キロ爆弾を2発と100キロ爆弾1発もしくは250キロ爆弾1発を取り付けられる簡単な航空機であり、武装も爆弾搭載量も貧弱であった。

 

 しかし、とにかく軽量に作られており、比較すると

 

 ドイツ 主力戦闘機

 全装備重量 880キロ

 最高速度 時速186キロ

 飛行時間 1時間30分

 

 イギリス 主力戦闘機

 全装備重量 1.3トン

 最高速度 時速147キロ

 飛行時間 2時間30分

 

 なのに対して七六式多目的機は

 

 全装備重量 650キロ

 最高速度 250キロ

 飛行時間 3時間30分

 

 と、同世代の戦闘機を凌駕する性能を誇っていた。

 

 また鷲巣はこの飛行機を戦闘用途として使えなくても練習機として長く使えるように、荒い操縦でも壊れにくく、着陸の際に車輪が破損しないように分厚く頑丈に作ってあったりと信頼性をとにかく重要視していた。

 

 史実の日本軍が高性能機を追い求めて、カタログスペックだけ高くて、実際にはカタログスペックより大幅に低い性能しか出なく、整備性も劣悪で事故で失われまくるという失敗を繰り返さないようにとにかく頑丈かつ脱出もしやすい機体に仕上がっていた。

 

 あと製造コストも安い。

 

 1機当たり800円と他国の複葉機と比べて半分程度の価格であり、日産で5機造れる生産ラインを従業員250名の武田航空機でも用意できていた。

 

 軍からは村上少将や転生者達が航空機の時代が来ると上層部を説得し、約1000機の発注が届いていた。

 

 武田航空機にとって初めての大規模発注であり、利益の為に20円の上乗せがあったとしても、1000機なので20万(現代換算で20億)の利益になる。

 

 また軍だけでなく、田舎の農薬散布機や災害救助の為に使えたり、離陸着陸に必要な距離が150mしか必要無い為、離島の連絡手段としての民間需要もあり、転生者達から注文が相次いでいた。

 

 軍用機と違い、武装を外せるので民間にはより安価で提供できることも相まり、50万から60万の利益になると考えられていた。

 

 それだけあれば武田航空機は10年は経営できる体力を身につけることができる。

 

「社長、ただ次は」

 

「ああ、稼いだ資金でより強力なエンジンを宝田動力と協力して開発し、より強力な航空機を開発する。飛行機ニキも更に良い設計を期待するよ」

 

「はい!」

 

 飛行機ニキの挑戦はまだまだ続く。

 

 

 

 

 

 

 一方で自動車王含めた日本主要自動車メーカー4社は欧州大戦でボロ儲けを続けていた。

 

『いやぁ、造れば造るだけ売れるというのは良いことですね』

 

『そうですなぁ静岡さん』

 

『いやいや、横浜さんも稼いでいるようで……』

 

 転生者の社長である横浜自動車、静岡自動車、愛知自動車、広島自動車の4名は、転生者の能力で互いに連絡を取り合って部品の規格共有や製造台数の調整等、談合をしながら国内と海外に車両販売を続けていた。

 

 欧州大戦が始まって2年目の1915年には4社合わせて12万台の車両を欧州の連合国側に、3万台を国内に、そして1万台を中国、朝鮮、そして東南アジアの友好国へと販売していた。

 

 欧州はハーフトラックと日の丸車が売れ、国内は転生者達が各地の開発をするのに重機やトラクター、コンバインにダンジョン攻略のために戦車の売り上げも良かった。

 

 中国、朝鮮、東南アジア諸国には頑丈な軽トラックの売り上げがとてもよく、全体的に需要増加傾向であった。

 

 工場を増設するかよく議論されていたが、大戦が終われば欧州需要の過熱が落ち着き、その分を国内やアジア地域各国に振り分ければちょうどよくなると考えられていた。

 

「さて、お互いを褒めあうのもほどほどに、欧州大戦という特需が終了し、関東で大地震を発端とした恐慌にどう立ち向かうかについて話を進めておきましょうか」

 

『まず工場や本社ビルについては今の基準の数倍耐震性を上げた建築にしているのと、消火設備も充実しているので、横浜自動車は大地震に耐えれると断言しましょう。また大規模火災が発生してもダンジョンを活用した一時避難や保存食を備蓄した防災施設を複数個所分散して作っている。全社員や周辺住民を収容できるようにしてある』

 

『静岡自動車も同じだ。また新型の消防車や救急車の製造も始めている。利益度外視で作っている』

 

『広島自動車は復興用重機の量産をすることになるだろう。なるべく2年前から準備を行なっておく』

 

「愛知自動車は他社のバックアップに回る。うちの製造ラインを使ってくれ」

 

 互いに災害について確認を取ると共に、アメリカの動きについても話し合われた。

 

「欧州に送られるアメリカ製品に比べれば日本製品は1割程度であるが、やっぱりアメリカの製造能力は恐ろしいな」

 

『ああ、こちらが10万台15万台を必死に作っている中、10倍20倍を用意してくる。国力が違いすぎる』

 

『かの国との防衛戦争……勝ち切る事は出来るのだろうか』

 

『とにかく国力増加を優先させなければ。稼いだ金で敗戦後のドイツから買えるだけ技術を購入し、欧州に負けない国力を有するよう心がける』

 

『ああ、絶対に負けてはならないからな』

 

「そのためにも規格の統一ややれるべきことを進めていこう」

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