ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
大戦も終盤に突入する1917年。
日本では高い成長力を維持し、大戦による特需景気が続いていたが、船舶を建造している造船所を持つ転生者達は徐々に生産調整をする段階に入っていた。
そんな中、軍艦を建造できる設備を持った転生者達はJハイテン鋼の軽量さについて軍艦設計ニキと念話で話し合っていた。
『イギリスに輸出した駆逐艦がドイツ潜水艦による攻撃で転覆した事件について軍艦設計ニキはどう思うのか』
『Jハイテン鋼の欠点が出た……といえば良いか……』
比叡達国産の金剛級は重量は軽いものの、上部の構造物や大砲等もJハイテン鋼を使っているので軽くなっていてバランスが取れていたのであるが、そんなことを知らないイギリスに輸出した駆逐艦は上部構造物を自国の装備品へと交換したことで、トップヘビー……上部が重くなって船舶のバランスが崩れる艦が増えてしまった。
そこにドイツ潜水艦の魚雷が直撃、船に穴は空かなかったが、衝撃で船に角度がついて、そのまま転覆するという事件が発生した。
そのため機動力を確保するために軽量化するよりも、まだマナタイトタービンの改善も進み、出力も上げる事が出来るため、船体重量を増やして、防御力を上げ、上部構造物をより増やしても船舶が安定した方が良いのではないかと言われていた。
「その点についてはちゃんと計算しているので金剛型各巡洋戦艦については船体バランスに問題はありません。ただ輸出向けの船舶に関しては設計をし直しています」
チリやタイに向けて販売しようとしていた巡洋戦艦の設計については、上部構造物を後付けしても大丈夫なように浮力の再設計と、動力は重油を用いたボイラーなので、その燃料分重量が嵩む事になる。
「なので現状新型の神風型駆逐艦(前に32隻造ることになっていた大型駆逐艦)は拡張性もありますし、台風にも耐える造りをしているので問題はありません」
欧州大戦期間中は輸出用駆逐艦の建造が優先されて、まだ4隻しか神風型駆逐艦は作られていなかったが、性能はこんな感じで落ち着いていた。
常備排水量 1200トン
全長 140メートル
全幅 10.8メートル
動力 アルファ型マナタイトタービン
速度 45ノット(時速約83キロ)
航続距離 1万2000海里/30ノット(巡航速度)
兵装
・12.7センチ連装砲×3
・四連装魚雷発射管×2
・初期型魚雷32本
・初期型爆雷発射装置
・爆雷30個
・試作型水上機1機(着水及び回収用クレーン)
他機関銃多数
という感じになっていた。
水上機に関しては七六式多目的機を水上機バージョンに改造した機体であり、偵察機として活用することになる。
水上機にするため着陸用のタイヤの代わりにフロートと呼ばれる小舟みたいなのが飛行機の足部分に付いており、そのおかげで水上を滑走路代わりにすることができた。
波が穏やかな時しか発艦できない欠点はあるものの、ほぼ無制限の滑走路があると同意義なので、安全性は普通の航空機よりも高く、初心のパイロット育成の練習機としても高い性能を誇っていた。
大型駆逐艦なので船体後方に水上機を搭載できるスペースを設けることができた為、初期の駆逐艦から水上機運用を前提として作られていた。
水上機を運用する船を水上機母艦ともいう。
実際造られた神風型駆逐艦の4隻は上層部や現場からの評価はとても高く、船体を大型化したことで居住性も改善し、長期任務でもストレスをあまり感じないで行うことができると喜ばれていた。
それでコストが輸出型駆逐艦を1、旧式の通常の特殊鋼を用いた小型駆逐艦を2.5とすると、神風型は1.5程度に収まっていたので、予算に余力がない海軍上層部や幕府からは喜ばれていた。
なお神風型駆逐艦を設計した功績で軍艦設計ニキは自分の設計室の室長となることを許されていたりする。
今はもっぱら輸出用戦艦と空母の設計を行っていたが……。
『うちらも造船所を持っているといえ、造れるとしたら中規模まで、具体的には全長200メートル以下の船舶しか造れる能力を持ちません。戦艦や大型空母等の建造は海軍工廠か財閥が保有する大型建造ドックを活用することになります』
「輸出用戦艦の計画に噛ませられないのは申し訳ないと思っているよ。そのかわりに神風型駆逐艦の建造をねじ込んだし、艦隊の整備は必要。旧式艦の多くは幕府が外貨を獲得するためにフランスやイギリスに売却してしまったから、艦隊規模が半減しているのでね……ここから10年20年かけて整備していくことになりますが」
『規模はどれほど』
「政府とも予算や軍縮条約もありますが、史実やゲームで出てくる連合艦隊クラスには整備していきたい。更に大戦時には潜水艦の攻撃が予想されるので、1940年までに神風型以後の駆逐艦を200隻、巡洋艦50隻、工作艦10隻、戦艦(巡洋戦艦含む)10隻、軽空母20隻、大型空母12隻の規模まで整備していきたい。条約下だと規模はこれの半分以下になるだろうが、どうせ第二次欧州大戦が始まれば軍縮も吹き飛ぶからね」
『空母と工作艦が多いな。軽空母はうちらの建造設備でも造れる……か』
『巡洋艦も軽巡洋艦ならギリギリ造れるか。まぁ基本駆逐艦建造だな』
「皆さんの建造力にかかっているのでよろしくお願いしますね」