ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
2月革命……1917年にロシアで起こった革命であり、戦争による疲弊が限界に到達したロシアはブルシーロフ攻勢と呼ばれる一大攻勢で大勝していたのにも関わらず、国家として破綻してしまった。
ロシア皇帝は退位、後続である現皇帝の大公が皇帝の地位を継ぐことを拒否した為、モスクワ大公時代から300年近く続いたロマノフ王朝は崩壊。
直ぐに臨時政府が立ち上げられて、民主主義を指標に掲げる集団が政権を掌握したものの、国際情勢を鑑みて、戦争を継続する……という選択を取ったのである。
これにより半年間はロシアの戦争は継続するのであるが、赤い文化爆弾ことレーニンがドイツの協力でロシアに帰国すると、現ロシア臨時政府を徹底批判し、過激社会主義である共産主義を展開。
市民を味方につけて壮絶な内戦に突入していくことになる。
ロマノフの元皇帝一家はレーニン率いるボルシェビキという政党が権力を握ると、サンクトペテルブルクの宮殿からウラル山脈近くのトボリスクという都市……いや、村に軟禁し、元皇帝とは思えない質素な生活を強要されることになる。
そんな最中、転生者達は身分を偽装し、警備兵と入れ替わっていき、皇帝一家と親密な関係を構築していった。
中には皇女達とあだ名で呼び合う者も現れていたが、そんな最中、ロマノフ元皇帝に海外脱出の計画を立てていることを伝える。
「本当に脱出できるのか!」
「ええ、有志の方々が協力し、アジア方面へ脱出します。乗り物等はこちらで用意していますので、安心してください」
同じ頃、サンクトペテルブルクではロシアに潜んでいた工作員の転生者達が使い魔を活用し、ロシア中央銀行……ロシア国立銀行を制圧し、保管されていた金塊約600トンが奪取され、巨大装甲車両である愛知特務車両1号はその金塊を積んだ状態で移動を開始。
ロシア軍に発見されるものの、時速100キロで鉄道の無い場所を高速移動し続ける車両を捕らえることには失敗し、闇夜に紛れてロマノフ皇帝一家を乗せて、ウラル山脈を越え、シベリアの大地を進んでいくのであった。
その後、シベリア、満州を経由し、ウラジオストクに10月半ばに到着し、そこからは日本の船で海を渡り、日本へ亡命に成功。
皇女達は親密になっていた日本の工作員と関係を続けることを選択し、日本に留まる選択を。
皇帝と皇妃、最年少の皇太子の3名はイギリスへの亡命をする選択をし、イギリスとの交渉の末、ロマノフ皇帝の極東利権は日本に、海外資本はイギリスに、金塊はロマノフ皇帝一家と配分することが決まった。
これにより裏で工作していた朝鮮が独立戦争を開始し、日本は陸軍を送って独立戦争を支援することになるのだった。
朝鮮独立戦争。
朝鮮は1894年に起こった農民反乱により帝政は崩壊、民主主義に移行していたが、内輪揉めが酷く、その隙を突かれる形でロシアが南下。
1904年には占領されて、徹底的に弾圧されてしまったものの、中華の圧力に4000年以上耐えてきた朝鮮民族のバイタリティは凄まじく、海外でロビー活動をしており、こっそりと独立のための準備を進めていた。
1917年のロシア革命によってロシアが崩壊し、内戦が本格的に始まると、独立戦争を本格化。
海外に散っていた知識層を呼び寄せ、日本から武器を輸入したり、陸軍の協力を取り付けて一気に駐留しているロシア軍を朝鮮半島から叩き出していった。
特に活躍したのは豆戦車のケイ車であり、転生者達からは火力不足と旧式化が進んでいると指摘されていたのだが、小さい車体でスイスイ山道を進める機動力と機関銃を素早く展開できる事が気に入られ、在朝ロシア軍は朝鮮独立軍に散々叩かれ、大きく後退。
更に朝鮮軍はロシア重要拠点であるウラジオストクや南満州をも自国領土として組み込んでいった。
その裏には日本が大きく関わっていたのだった。
「朝鮮……いや、独立した統一朝鮮こと大韓民国は低い出費で最大限のリターンを得ることができた」
「陸軍としても試作兵器の実験や旧式化した兵器の一掃ができたのは大きかったな」
欧州大戦の視察から帰ってきて、陸軍大学校を卒業していた村上少将や大佐の陸軍大臣ニキ他佐官達が主導し、約3ヶ月という短期間で終結した朝鮮独立戦争は朝鮮を極東の大国足りうる国土を有することに繋がった。
南満州の肥沃な大地は朝鮮半島の住民を飢えさせないのには必要な農地になり、その農地を機能させるために肥料や農耕機械が売れる。
対価は食料や朝鮮北部の豊富な鉱山資源等。
現代では南が豊かで北が衰退著しい状態であるが、立地的には北部の方が工業化がしやすい土地であった。
「これで朝鮮の住民はある程度自尊心を満たすことができるだろう。それにあの国の住民もどちらかといえば拡大ではなく保守的な思考をしている。拡大路線ではない日本とは共存できる可能性は十分にある」
「武器も横流しされても良いように旧式の物しか渡していない。それに韓国はあくまで独立国。補助金突っ込んで開発の援助はしなくてよいからな」
それに日本と韓国は共同でロシアのアジア艦隊を降伏させ、人員は北満州に革命に対する反対派……旧体制派で作った北満州共和国に吸収させ、艦はほぼ接収し、韓国と半々で、分け合っていた。
日本は規格が違うロシア艦隊を持っていてもしょうがないので、インドネシアの統治に欲しがっていたオランダに大型艦は売却。
駆逐艦とかは友好国で規格が近いフランスへと売却して金の足しにしていたが、韓国は近代海軍整備のため、残った艦をこねくり回し、旅順軍港とウラジオストク軍港というロシアによって作られた巨大造船施設を活用し、建造ノウハウを蓄積していった。
「海さんは韓国が海軍を大規模に整備するのは危険じゃないかと言っているが」
「艦隊を整備しようと、日本本土から航空機飛ばせば日本海では活動できなくすることは可能。それに領土が海を挟んで分けているから領土問題も小島程度であるから、陸続きの国よりよっぽど国境問題は楽だ。それに韓国にはソ連の防波堤の役割がある。ある程度は国力を付けてもらわないと」
残念ながら史実以上に開発が遅れている韓国が戦力になるとは転生者達も思っていなかった。
ゲームでは、アジア戦争が1940年代開始なので、韓国は20年で近代化しなければいけないが、圧倒的に人材も機材も足りてない状態。
史実でも近代化できたのはアメリカによる強力な支援があったからで、領土が広くなった分、兵士の数も増やさなければならないので、数は多いが厳しい陣容の軍になるであろうと予想された。
まぁ日本からしたら工業製品を30年は買ってくれるお得意様の誕生なので市場の確保の面では美味しいが……。
「とりあえず歩兵に対しては豆戦車でも有効であるとデータは取れた。これを機にさらなる兵器開発に生かさなければな」