ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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イギリス戦車開発 1

 イギリス軍では日本軍が属国である韓国に戦車を輸出したというニュースやドイツがこちらの戦車を超えうる物を作り上げていたというのでてんやわんやであった。

 

 史実では戦車開発の父であり、電撃戦理論という機械化した軍団を操る戦術を考案したものの、上層部の無理解により左遷されたフラー大佐は、この世界では初期型戦車を早めに開発したのに、発展させることに失敗し、それでいて後発であったドイツとフランスの戦車だけでなく、日本が韓国に輸出した豆戦車にも戦力として考えると劣っていると評価され、なりふり構ってられない上層部はフラー大佐を筆頭に戦車開発局を成立。

 

 新型戦車の開発及び戦車を用いた戦術考案に邁進していた。

 

「フラー大佐、日本軍が輸出した軽戦車ですが、我が国でも入手することに成功しました」

 

「性能は」

 

「こちらに」

 

 フラーは書類を読み込むと、武装は機関銃1門と貧弱ながら、機動力に富み、どこにでも素早く移動できることと、対戦車砲でなければ破壊できないだけの装甲を有していること、何より5両輸入し、1000キロ以上走破させてみたが、どれも壊れることなく動き続けた信頼性の高さを大いに評価した。

 

 この頃のイギリス戦車は信頼性が皆無であり、100キロ無故障で動けたら奇跡と兵達から言われていたので、どれだけ酷いかがよくわかる。

 

「性能はフランスのルノー戦車(フランスの傑作戦車)に匹敵する。そして生産性も良いか……日本軍は欧州大戦で最良の兵器と評価された自走砲を輸出していた国でもある。日本でしか採掘できない特殊金属を用いた合金はイギリスでも真似できない……か」

 

 フラーはこれほどの戦車を輸出しているということは、日本軍は既に新しい戦車を開発している……もしくは完成させているのではないかと疑ったが、その考えは正しかったらしい。

 

 諜報部により日本の新型戦車の大まかなスペックを入手することに成功したのである。

 

「日本は既にこれほどの戦車を開発しているだと……」

 

「産業革命が遅れていた東洋の国でこんな化け物戦車が開発できるのですか?」

 

「いや、日本の自動車産業は欧米列強並みの製造技術を持っている。現に中華大陸に自動車の輸出を考えていたアメリカは日本の安い車に負けて撤退に追い込まれている……かの国なら可能だ」

 

 レポートにはアジア号の大まかなスペックが書かれており、全周50ミリ以上の装甲を持ちながら50キロ以上の快速戦車で、戦車に搭載されている大砲も1000メートルで20ミリの鉄板を貫通したと書かれていて、欧州で主流の戦車は最大でも15ミリの装甲しか持っていなかったので十分な攻撃力と言えた。

 

 防御力に至っては既存の対戦車砲を用いても破壊不可能であり、時速50キロで動かれては撃破可能な重砲も狙いが付けられないと兵器を調査する部門ではこの戦車を既存兵器では撃破不可能と記載されていた。

 

 戦車開発局はこの戦車を撃破できる性能の物を作るように要求され、フラーは頭を抱えることに。

 

 しかし、フラーは航空機を撃ち落とすために開発されていた高射砲に目をつける。

 

 イギリスではドイツ軍が飛行船を用いてロンドンを空爆したことにより、飛行船を撃墜できる兵器開発が急がれ、その中に高射砲と呼ばれる兵器があることを思い出した。

 

 高射砲を対戦車砲に改造する。

 

 高射砲は上空の動く敵を倒すため高速で砲弾を発射しなければならなかったので、砲弾が飛び出す速度……初速が速かったのである。

 

 初速が速いと、弾丸が飛んでいく速度も速く、それにより貫通力も増す……という事に繋がる。

 

 その中でも高い性能があると目につけられたのが3インチ高射砲であり、約1トンと大砲の中では軽量の為車両に乗せることができないか実験が行われた。

 

 結論から言うと、この目論見は成功し、フランスが余剰として売りに出していた日本製トラックから、200馬力軽量エンジンを引っこ抜き、それを本砲を組み合わせた実験車両に対戦車用の徹甲弾を用いて発射すると、次々に分厚い鉄板を貫き、90ミリの鉄板を貫くことにも成功した。

 

 これは日本のアジア号の側面を貫ける貫通力であり、更に砲身を長くしたバージョンは120ミリの装甲を貫通するに至った。

 

 戦車開発局の面々は大喜びし、これだけの貫通力があればトーチカを遠距離から撃破できるし、普段は榴弾(対象物に当たると爆発する弾 硬い目標は苦手)で歩兵や大砲の陣地を潰せばよく、最強の矛を手に入れたと舞い上がった。

 

 ただ長くなった大砲を戦車に搭載するとなると難しく、足回りを改造し、大砲の反動を受け流しやすくするため固定砲塔……回転しない砲塔……いや、車体にそのまま取り付け、反動を車体全体で受け止めることにした。

 

 装甲も日本の戦車に破られないように前面は25ミリに(側面は10ミリ)。

 

 動力は日本製エンジンをイギリスなりにコピーした150馬力エンジンを直列で2個繋げて300馬力に無理矢理出力を上げ、時速35キロで動けるようにしたのである。

 

 駆逐戦車と名付けられたこの戦車はフラーの機動力を活かした攻撃という戦術には合致していなかったが、移動トーチカという防御主体で敵兵を撃破し、最終的に歩兵が反撃に出るというイギリス上層部の戦術とは合致したため、量産及び発展、改造が続けられることになる。

 

 

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