ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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帰化ドイツ人達に乾杯

「奴らは何と戦うつもりなのだ?」

 

 江戸から東京に改められ、災害復興と共に鉄筋コンクリートのビルが建ち並び始めた東京の街の中……祖国が敗戦し、経済が崩壊したことで日本に流れて来たドイツ人技術者達は、同業であるドイツ人の店主が経営するバーで祖国の味を堪能していた。

 

 ただし、戦時の粗悪な味ではなく、肉汁溢れ出るソーセージや旨味溢れるチーズやパン、それにザワークラウト(キャベツの漬物)をビールを飲みながら堪能していた。

 

「祖国よりも美味いんじゃないか?」

 

「戦争で代用食品ばかり食いすぎて、舌が馬鹿になったか、店主の腕が良いかのどちらかだろう……」

 

「まぁ旨いビールを飲めるだけでも有難い……ところで日本人というのは皆超人か何かなのか? いや、ダンジョンに潜れば体力も筋力も知力も上がると聞いていたが、10代前半の少年少女に銃や剣を持たせて命の危険があるダンジョンに潜らせるとは戦闘民族ここに極まれりって奴だな」

 

「ドイツ人も欧州では戦闘狂扱いされるが、日本人は頭のネジがぶっ飛んでやがる」

 

 ひとしきり日本人に対して愚痴や褒めることをしたが、ダンジョンが外国人にも開放されたことで、日本に帰化したドイツ人達も潜りやすくなったことやダンジョンについての話題になる。

 

「ダンジョン……様々な資源があり、日本帝国が急速に力を付ける要因か」

 

「ほぼ無限の資源と言うのは羨ましい。しかしこの富を奪おうとする国も出てくるだろうな」

 

「一番進出してきそうなのはアメリカか?」

 

「かの国も自国で殆どの資源を賄える故に喧嘩は売らないんじゃないか?」

 

「いや、アメリカはとにかく市場を求めている。戦争をも利用して市場を創り出すぞ……今日本が売りに出している中国市場が喉から手が出るほど欲しいだろう」

 

「となると日本も将来的には危険と?」

 

「流石に日本が戦場になることは無いだろう。多分海戦が主軸になるが……日本は兵器分野の成長が著しい。遅れていた分野もドイツから吸収して基礎工業力は戦前のフランス並みに成長している」

 

「極東でこれほど国力を有する国が出来上がるとは……」

 

「日本人の勤勉性のたまものだろう」

 

 ビールを追加注文した彼らは、自動車工場で作られている和虎について話し始める。

 

「いくらダンジョンで必要だからといって、巨大な高射砲を搭載するとは……」

 

「それでいて地形への適性が高い。俯角(下に向けられる角度)がマイナス12度も下げられる。あんな怪物が設計者曰くまだ性能が足りないと言っていたがな」

 

「フランスが巨大戦車を造っていたと噂されるが、それに匹敵する巨大戦車だな」

 

「戦車だけじゃねぇ。飛行機も欧米をも超える新型を造っていると聞いている」

 

「世界が敵にでもならない限り日本が勝つんじゃないか?」

 

「近代化して50年足らずの国がここまで成長するとは……」

 

「それだけ日本人が優秀ということだろう。本国で言われていた黄禍論が正しくなり始めてきたぜ」

 

 黄禍論とは欧米及びオーストラリア等の白人国家で黄色人種に対しての起こっていた脅威論である。

 

 黄色人種が成長すれば人口が白人と比べても多い黄色人種が白人を逆に支配するのでは……という考えで、ドイツが盛んに言っていたトンデモ理論である。

 

 ただ日本の驚異的な成長はそれを考えさせられるには十分であった。

 

「まぁ我らがドイツは敗戦によって庶民は生活もできないくらい困窮しているからな。高値で日本人に雇われている我々はまだ恵まれている方だろう」

 

「ドイツは内戦が絶えないらしい。しかも最近はルール工場地帯がフランスとベルギーに占領されて、その労働者の保護のために政府が金を擦りまくってハイパーインフレーションが起こったらしい」

 

「聞いた。リヤカー1台満々に札束を積めてパン1個を買うしかないらしいな」

 

「俺が聞いた話だとコーヒー1杯飲んでいる間に料金の桁が上がったなんて聞いたぞ」

 

「……ドイツは大丈夫なのだろうか?」

 

「我々はドイツを捨てたんだ。日本に馴染むように生活するしかないが……なんともなぁ」

 

「暗い話はよそう。ダンジョンでできる金稼ぎの方法について語り合おう」

 

 日本に帰化したドイツ人達はそれぞれ得意なことで活躍するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 一方でイギリスでは、日本が大型の戦車の製造を始めたことで、新型戦車が88ミリの主砲を搭載している……という情報がもたらされた。

 

 イギリスでは3インチ(76mm)砲を搭載した駆逐戦車(対戦車に特化した戦車)を造っていたが、運用が難しく、インドや東南アジアの植民地で使うには活用が難しかった。

 

 イギリスのプライド的に苦肉の策ではあったが、日本帝国政府と技術交換をすることでアジア号のライセンス生産権を確保。

 

 ただJハイテン鋼を輸入していたが、もっぱら軍艦に使用するので、陸軍まで回ってこず、普通の鋼を使って複製品が造られた。

 

「重量は重くなったが、学ぶべきところは多かったな」

 

 ネオジュラルミンを輸入もしくはアルミを代用して造られたエンジンは400馬力を発揮し、既存のエンジンより基本構造が洗練されていたため、多くの学びをイギリス軍は得ることになり、傾斜装甲による装甲厚を薄くしながらも一定量の防御力を付与することができることや運用面でも様々な学びを得た。

 

 ライセンス権は決して安くなかったが、十分な成果であるとイギリス軍は確信した。

 

 そこからイギリスは日本に労働者を送りながらJハイテン鋼の輸入量を増やしつつ、技術を更に高めていくことになるのであった。

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