ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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海軍の使い魔達

 海軍では海でも活動できる使い魔と、それを使役できる軍人の育成が急速に進められていた。

 

 これはそんな海軍のお話。

 

 

 

 

 

 

「ふう、何とか軍に残ることができた……」

 

 俺の名前は井伊……幕府の頃は指折りの上位の家であったが、幕府が転覆したことで、海軍に所属していた武士達は新政府に合流するか、抵抗するがで意見が分かれ、俺は結局新政府への合流を選んだ。

 

 武士身分であったが、新政府に与する事を伝えれば、海軍士官として引き続き勤めることを許されたのである。

 

 そんな俺は新造された神風型駆逐艦の春風の艦長に抜擢されたものの、新政府が使い魔を扱える軍人を増やす意向を固めたため、俺は一兵卒と共にもう潜ることがないと思っていたダンジョンに突撃させられて、限界の20体の海上でも活動できる使い魔を使役した。

 

「いやぁ井伊さん! 海は広いですねぇ! ダンジョンの中は天狗の私達にとっては狭くて狭くて!」

 

 見張り台の上からひらりと降りてきたのは天狗の黒子で、名前は俺がつけた。

 

 今の海軍は内戦で海軍が分裂したことにより新しい水兵や下士官の育成が追いついておらず、結果人型であれば使い魔まで人員として駆り出す始末。

 

 まぁ使い魔の人数分給料を使役者である俺に支給されるので、金銭的には前よりも遥かに豊かになったが……。

 

 そのおかげで使い魔とはいえ女性水兵が誕生し、船上で訓練が日夜行われていた。

 

「黒子は飛べていいよね〜、私は人魚だから泳げるけど、船上だとあんまり活躍できないし」

 

「すいは泳げるだけ良いと思うけど……」

 

 すいと呼ばれた女性水兵も俺の使い魔の人魚である。

 

 短パンではなくスカートをはいている。

 

 普段は人型に変身しているが、下半身が本来イルカの様な形らしく、変身を解除した時に泳ぎやすいようにスカートを履いていた。

 

 男の兵士達からはスカートの水兵達は人気があり、よく艦内で音楽会が開かれていたりと、士気の維持に役立っていた。

 

「しっかし増えましたね……魔物の兵士が。艦の定員230人中80名近くが魔物じゃないですか?」

 

「それだけ海軍は人材不足ってこった。給料だけなら探索者をやったほうが良いし、最近は空軍に人が流れつつある。水上偵察機のパイロットも所属は空軍だしな」

 

「でも海軍は飯は美味いじゃん」

 

「まーな」

 

 大型駆逐艦である春風は兵士の部屋も旧式艦に比べて広いし、食糧庫も広いので、食事の質は高い。

 

 何より戦争中でもないので釣りで獲物を捕まえれば、夕食に並ぶこともある。

 

「戦争だったら私とか水中を素早く移動できる魔物は魚雷の誘導したりするんでしょ?」

 

 水中呼吸ができる使い魔を前提とした有人魚雷の研究も日本は進んでいた。

 

 空軍が開発した一方通行のダンジョンで使われる転移装置の技術を応用し、魚雷に運転席を取り付けて水中でも遠くを見ることができる人魚等の使い魔を用いて一定距離まで誘導後、脱出装置を使って母艦に人は転送。

 

 魚雷はそのまま敵艦に突っ込むという代物である。

 

 実際に開発されて、初期型の有人魚雷で旧式の巡洋艦が簡単に撃沈させられ、有効性は立証されていた。

 

 まぁ今の魚雷は性能不足とされて、航続距離が長く、火薬量が多い戦艦をも沈められる魚雷の開発に躍起になっていたが。

 

「聞いた話によるとイタリアの魚雷が凄い参考になったのだとか」

 

 有人魚雷はイタリアが欧州大戦で既に実戦に投入して戦果を挙げていた。

 

 それに戦勝国としてドイツの魚雷技術を入手したり、政府の交渉でイギリスから魚雷技術を交換したりして、着実に性能は上がっていた。

 

 航空機から魚雷を投下できるようになるのも時間の問題と海軍上層部は言っていたっけな。

 

 そうなれば航空機や駆逐艦、潜水艦で戦艦を沈められるようになるかもしれねぇな。

 

 そんなことを考えていると、水中を泳いで漁をしていた人魚や魚人の魔物達が艦に帰ってきた。

 

 甲板に数匹のマグロがビチビチ跳ねており、元漁師の息子だったり、魚の扱いが上手い奴らがマグロを絞めて、解体を始めていた。

 

「凍らせて保存するぞ! 凍らせられる異能持ってるやつ呼んでこい」

 

「今夜はマグロ祭りだ!」

 

 船員達はマグロを食べられると大喜び。

 

 マグロは鮮度が命の魚で、直ぐに鮮度が落ちる為、漁師の一部しか本当の美味さを知らなかったが、船舶の冷凍設備が発達したことで、徐々に美味さが本国でも広がりつつあった。

 

「まったく……気楽なものだ」

 

 まぁ今回春風は南洋諸島まで練習航海であり、往復して帰ってくるだけなので気楽なもの。

 

 特に編隊を組んだりすることもなく、一応数回水上偵察機を発艦練習をしたり、砲撃の練習をするくらいで移動中はこんな感じでどんちゃん騒ぎばっかりである。

 

「ハメを外し過ぎるなよ」

 

 俺は部下達にそう言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……中学生からダンジョン探索に関する事を義務教育化かぁ……」

 

 幼年学校の規模拡大と同時に、新政府は中学生からダンジョンに潜るための勉強を教えるべきと、授業内容を一部変更し、ダンジョン……異界探索教育が始められた。

 

 もっとも、幼年学校以外は実際にダンジョンに潜るのは稀で、剣道や槍術、銃などの勉強が殆ど。

 

 実銃も持たせることはあっても、実弾訓練は行わなかったが……それでも他国からは中学生にも軍人教育を施していると軍事国家っぷりをビビられたりもしていた。

 

 なおこの教育は導入された数年は教員が育ってなくて、効果が低かったが、探索者としての実力が高いほうが将来の年収が大きく向上したり、兵役期間中に優遇をされやすいなどの理由でまじめに取り組む人も多く、着実に成果が出ていった。

 

 お陰で高校入学時からダンジョンに潜る生徒も増加し、ダンジョン産業はより活発になっていくのであった。

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