ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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低レベルプレイヤーの藤方さゆり

「ご主人! ご主人! 魔物を倒してきたよ!」

 

「偉いよ! しば!」

 

「ちょっと! 私も頑張ったんだから!」

 

「はいはい飴あげるから機嫌直してリリー」

 

「ま、まぁ飴が貰えるんなら良いわ!」

 

 私は藤方さゆり……性転換してしまった転生者の1人です。

 

「お、お姉様流石です! 魔物を使役して戦力にするなんて!」

 

「みくも協力ありがとうね」

 

「い、いえ! さゆりお姉様のお陰で私は成績を維持できていますので! ああ! さゆりお姉様と同じ部屋になれて本当に良かったですわ」

 

 私を慕ってくれているのは南條みく。

 

 一応原作キャラクターである。

 

 ゲームだと高校で登場するキャラクターなのであるが、プレイヤーとライバル関係になったりし、努力家で、上手く友好度を稼ぐと良き仲間として探索者として終盤まで活躍するキャラクターである。

 

 ただ原作だと頬に大きな傷があり、それがコンプレックスになっていたので、幼い姿の彼女を原作キャラクターと気がつく人が少なかったのと、気がついても同部屋のもう1人の転生者は自分磨きに力を注ぐタイプだったから、結果私に滅茶苦茶懐かれてしまった。

 

 同級生だけど、私身長が170センチ近くあるし、大人びた顔立ちをしていたからお姉様呼びされてしまって……。

 

 私自身ゲームで何度かみくにはお世話になったので、育てることに……。

 

 私みたいに同級生にも手を差し伸べる転生者もいるらしく、その人達のお陰で、クラスメイトで対立みたいなのは最小限に抑えられている。

 

 どうしても農民や商人等の平民出身者は転生者に押し出されて殆ど合格できなかったが、それをくぐり抜けてくるのは原作キャラもしくは相当優秀な子なので仲間に引き入れておいて損はないだろう……というのが転生者の間での主流な考えであった。

 

「治癒」

 

「はわぁ! お姉様に癒して貰ったお陰で力がみなぎります!」

 

「それはよかった……さて小鬼の群れが来たから迎撃するよ」

 

「はい!」

 

 私のレベルが現在17、みくが14、しばとリリーが13という感じで、転生者の間ではレベルは低い方になる。

 

 まぁ自身のレベル上げよりみくのレベル上げを優先した結果だけど……。

 

 ザシュっと小鬼を倒していく。

 

 小鬼は小学生低学年くらいの大きさの人型モンスターで、テイムして育てることも出来るが、主食が肉かつ、ちゃんと制御しないと味方を襲いかねない凶暴性を持っている為、よほどテイムに自信がある人しかテイムしないモンスターである。

 

 なので容赦なく経験値になってもらう。

 

 抜刀して、小鬼達を切り捨てると、血を拭きながら刀を鞘にしまう。

 

「流石お姉様です! 10体以上の小鬼を一瞬で!」

 

「みくもこの調子ならすぐにできるようになるよ」

 

「小鬼数体でも苦戦している私がでしょうか?」

 

「大丈夫、力は確実についているんだから自信を持って」

 

「はい! お姉様!」

 

 うん、可愛い。

 

 男だったら襲ってるぞ……。

 

 モンスターを倒し、素材を回収していく。

 

 ゲームではドロップアイテムとして即座に手に入れることができたが、残念ながらこちらでは小刀を使って素材を取っていくしかない。

 

 こういう時に手先が器用な化けぎつねが居ると、剥ぎ取りをやってくれるらしいので私も捕まえようかな? 

 

「あ! なんか閃きました! おお! 火の玉を生み出せます!」

 

「おめでとうみく! それは火球という異能だよ! ただ使いすぎると素材が傷んで買取金額に響くから使いすぎは注意ね」

 

「は、はい!」

 

 魔物の素材は魔石みたいな物があるわけではなく、小鬼だったら親指サイズの角を解体してダンジョンの入り口近くの買取場所に持っていくと1本2厘と交換してくれる。

 

 今20体倒したが、1体2本の角が取れるとして8銭になる。

 

 現代換算で800円……とても効率がよいとは言えない。

 

 支給されている刀や採取用の小刀の維持費、仲間達の餌代にみくと分配する約束もあるので学校終わってから4時間潜っても50銭くらいしか稼げない。

 

(本当序盤は金策が大変だね……)

 

 勿論最大効率で金策をするんだったら刀を使わないで殴り倒していく方がいいのだが……流石にそこまでストロングには成れない。

 

「稼げる額を上げるためにも2階層に挑む方が良いかもね」

 

「2階層!」

 

「みく不安?」

 

「い、いえ……聞くところによると4人以上で挑むのが普通って聞いていたので」

 

「はは、今の私達なら実力は十分足りているから問題ないよ」

 

「そうでしょうか……が、頑張ってみます!」

 

「うん! その意気」

 

 私達はその日のうちに1階層のボスに挑み、瞬殺して次の階層へ降りることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に2階層でもやっていけました……」

 

「明日からは2階層からスタートしようか」

 

「はい!」

 

 学校で管理されているダンジョンなので、ボスさえ倒していれば入り口に置かれている巨大なクリスタルに触れれば、任意の階層からスタートすることができる。

 

 ダンジョンポータルとも呼ばれていて、ゲームだとセーブポイントでもあった。

 

 触って体力が全快するゲームもある中、回復機能が無くて非難されていたポイントでもある。

 

 まぁその分スキル回数の調整がシビアになっているのだが……。

 

 寮に戻るともう1人の同室である鶴田あつ子が勉強をしていた。

 

「あつ子戻っていたんだ」

 

「おお、さゆりにみくか、お疲れさん」

 

「あつ子さん! 私達も2階層に行きました! これで並びましたわね!」

 

「あー、悪い。俺もう3階層に進んでいるんだわ」

 

「は、はぁ!? 早すぎます!」

 

「しゃーねぇだろ。うちの倶楽部の方針で進める組はガンガン進むのが基本なんだから」

 

「ぐぬぬ! せっかく追いついたと思ったのに」

 

「はは、悪いな。ちょっと俺勉強あるからそっちに集中するわ」

 

『さゆり、ちょっとチャットで話せるか?』

 

「じゃあ私も勉強しようかな。みくはどうする?」

 

「お腹すきましたのでご飯食べてきます……お姉様は食事とっていますの?」

 

「ん? あぁ、購買で握り飯でも買うから気にしないで」

 

「そうですか……わかりましたわ」

 

 みくが食堂に向かうと、私は

 

「チャットでなくても良いんじゃないかしら」

 

「だな」

 

 とあつ子と2人っきりになる。

 

「みくの調子はどうだ?」

 

「2階層でレベリングすれば2週間でレベル20には行くと思うわ。そしたら3階層にアタックする」

 

「おう、3階層には序盤の金策兼レベリングポイントがあるからちゃっちゃと上がってこいよ」

 

「レベリングポイントって落ち武者狩りでして?」

 

「ああ、そうだ」

 

 落ち武者狩り……3階層にあるモンスターハウスと呼ばれるモンスターが大量に湧き出てくる場所があるのだが、3階層だと骸骨足軽と言うモンスターが湧き出てくる。

 

 骸骨足軽は物理攻撃があまり効かない為、序盤の難敵扱いされることもあるモンスターであるが、スキルを使うと簡単に倒せるし、骸骨足軽は質は悪いが脇差や短刀を持っているので、倒すとそれを落としてくれる。

 

 短刀は研げは十分に素材採取や解体用にもなるし、脇差は質が悪いとはいえ1本10銭で買い取ってくれる。

 

 そんなモンスターが大量湧きするので、経験値的にも美味しいのである。

 

「という事はあつ子は既に活用していると?」

 

「ああ、今日だけで3レベルも上がったぜ。レベル30以降は効率が悪くなるが、40までは実用的なレベリングだから、ここで他の連中と一気に差をつける。武士で偉ぶっている野郎達を実力で黙らせてやる」

 

「武闘派だなぁ……もう少し融和的にやらないと」

 

「さゆりは気にならねぇのかよ。NPC以下の連中が偉ぶってるんだぜ」

 

「ここはゲーム世界に近い現実なんだから差別しないの。同じ生きている人なんだし、同じ日本国民でしょ」

 

「さゆりは国民意識が高いことで……俺は絶対偉くなって政治を変えてやるからな」

 

「頑張れ!」

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