ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
ムッソリーニは日本側が何故か滅茶苦茶友好的で、航空機技術の共同開発や艦船の共同研究、なんなら戦車開発にも協力してくれることに不思議に思っていた。
「なんかやたらと友好的なんだよなぁ……かの国」
日本側としてはドイツと一緒にならないで中立を保ってくれたほうが良く、更に同じ新参の海洋国家であることや、史実でも一応日本の味方をしてくれていたり、ムッソリーニは現代でも一定の評価をされる政治家であった事もあり、学べる点は多いと欧州の拠点としてイタリアを活用していた。
友好国であるはずのフランスはこの頃からちょっと……いや、かなり様子がおかしくなり、七色に政治形態を変形させるよく分からん状態に陥り、イギリスは絶賛不況の最中で軍事予算が削られまくっている中、アメリカと経済戦争をしていた為、接触が難しく、結果ムッソリーニのお陰で政情が安定していたイタリアと日本が接触したのである。
ドイツ? ……ハハ。
ナイスジョーク。
「日本にはダンジョンなるものがあるらしいが、資源がほぼ無限に取れるとは羨ましい。まぁかの国はイタリアを優遇してくれているから有難い限りだが」
「ドゥーチェ、かの国と共同研究のお陰で、航空機技術も大いに発展し、エンジン分野でも他の列強と同等以上になりつつあります」
ムッソリーニはイタリア語で指導者と言われるドゥーチェと呼ばれており、他国の政治活動からも天才と言われていた。
ソ連を誕生させたレーニンはムッソリーニを追放したイタリア社会主義党を糾弾し、これでイタリアでは革命が起こることは無いと言い放ち、イギリスのチャーチルはムッソリーニをローマ帝国時代の指導者達に劣らない天才と評していた。
アメリカからも人気があったムッソリーニは、アメリカからも投資を呼び込み、戦後直後は不景気であったイタリア経済を回復にまで持ち込みつつあった。
「しかしダンジョンか……資源が乏しいイタリアには羨ましい限りだ」
「そのことなのですがドゥーチェ、日本の技術者達がアフリカ植民地のリビアのシルテ盆地にて大規模な油田を発見したと報告が」
「マジ?」
「ガチのマジです」
ムッソリーニは直ちにその盆地を再確認すると、確かに巨大な油田が眠っており、今のイタリアの技術力でも採掘可能であると報告され、イタリア上層部は振って湧いた巨大油田に歓喜した。
「リビアであればイタリアからは目と鼻の先。油田との海上輸送が滞らなければイタリアは戦争に負けないぞ!」
日本と共同研究して高めたエンジン技術の結果、自動車エンジンの質も上がっており、総じて自動車産業も活性化していたのである。
しかもイタリアは山が多い地形をしていた為に、日本の軽トラックが地形とベストマッチして、ライセンス生産を行っていた。
それに地中海で活動するために船舶の燃料たる重油が必要なので、石油が湧き出したというのは天の恵みに等しかった。
石油が湧き出して半年後、イタリア経済は絶好調となり、石油産業に大規模な投資を受けたりしながら国力をどんどん高めていっていた。
「日本と開発した1000馬力エンジン最高! いや、もっと強いエンジン作れるぞ! これなら」
「イタリアの兄弟」
「なんだよ日本の兄弟」
「イタリアの兄弟が設計したジェットエンジン。日本の素材だったら作れるかもよ」
「マジ? ちょっと政府に黙って作ってみようぜ」
「イカれてんな兄弟! 俺も黙っとくから作っちゃおうぜ」
イタリア大好きな転生者の1人がイタリアでセコンド・カンピニという若い航空機技術者と知り合い、ピザをご馳走になる代わりに色々意見を言い合う仲であった。
そんな彼らは自身の持つ伝手を使って日本からダンジョン由来の素材を取り寄せて、研究に没頭した結果、パルスジェットエンジンに辿り着いたのであった。
ジェットエンジンと名は付いているが、このエンジンではジェットエンジン特有の空気を押し出して高速で移動するための出力が出せず、これなら普通に航空機用のエンジンを作った方が良いとなってしまった。
「ダメかぁ……いい線行っていると思ったんだけどなぁ」
「なあイタリアの兄弟」
「なんだ日本の兄弟」
「ノルウェーの技術者がジェットエンジンの設計図売りに出してたから入手してきたんだが」
「なんだと兄弟!」
ノルウェー人のエギディアス・エリングという技術者が開発した初期型のジェットエンジンであるが、商業化に失敗し、設計図のコピーが売りに出されていたのである。
「俺達のエンジンは空気の圧縮効率が悪かったし、ノルウェー人のは空気を押し出すタービンブレードの材質が悪かったから、これを改善すればある程度の形にはなるんじゃねぇか」
「流石ダンジョンに潜って戦ってる戦闘民族は考えることがちげーや! よっしゃ! もう一回作ろうぜ」
というわけで、再びエンジンを作っていった結果、そのエネルギーと圧縮空気でプロペラ回したらもっと凄いエンジンになるんじゃねと飛躍し、結果ターボプロップエンジンに辿り着いてしまった。
「やったな兄弟」
「これ出力1500馬力近くあるんじゃないか兄弟」
「おいおい、俺らが時代を作ったぞ兄弟」
なおイタリア政府にバレて、結局イタリア技術者のセコンド・カンピニは専門の開発局に招集され、日本側は共同開発ということで特にお咎め無しで転生者を帰国させるのであった。
イタリアがそんな事になっている中、苦々しいく思っていたのはドイツである。
ドイツは日本に散々技術者が引き抜かれ、戦争でも敵国として海軍が酷い目にあい、更にダンジョン資源についても輸入量が連合国により制限されていて敵対心が燻っていた。
「ドイツは必ず蘇る」
そんな中第二次世界大戦の主役たるヒトラーの活動も活発化しており、数年前にミュンヘン一揆を起こして刑務所に服役していたが、出所して再びナチ党の勢力を取り戻しつつあった。
ドイツを監視している日本人外交官もヒトラーの思想は危険であると警告しており、日本政府にも第二次欧州大戦にどう活動するかについて議論するのであった。