ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
横須賀鎮守府には噂がある。
夜な夜な停泊中の金剛の士官室にて士官服を着た麗しき女性達が密会をしていると……。
ちなみに女性下士官は居るがまだ海軍に女性士官は存在しないはずであるのだが……。
『流石戦艦! 士官室が広々していて集まるのには最高ね!』
『いやぁ増えたねぇ……艦に憑依している付喪神一同……艦に憑依して長いと自認もしっかり芽生えてね』
『私元々刀を依り代にしていたんだけど、いやぁ今じゃ空母だよ! 空母! でっかい物を依り代にしたいっていう付喪神冥利に尽きるねぇ!』
『ねぇ……金剛で集まらなくて良くない……比叡ちゃんや霧島ちゃんとか選択肢いっぱいあったんじゃないかな……』
おずおずと金剛と呼ばれている金髪の付喪神が手を挙げる。
『金剛相変わらず卑屈だねぇ……日本初の戦艦でしょうに! 胸を張ってさ!』
『そうだよ金剛お姉様! それにお姉様近代化改修一番乗りじゃありませんか!』
『いや、金剛だけ通常の鋼で作られているから防御力が心許ないし、動力もようやくマナタイトタービンに換装してもらって、皆と同速で動けるようになっただけだし……はは、まだ金剛は落ちこぼれです』
『ああ! もう暗くなるな! 沈むな!』
何時もの光景であり、持ち寄った食料品をテーブルに広げて擬人体が食事を行う。
『訓練、訓練、また訓練……1年間で港に停泊できるの3ヶ月もないんだけど!』
『空母は使い潰されてるねぇ。私達戦艦組は呉と横須賀のドックで近代化改修中だよ。なんでもレーダーや観測情報を元に、コンピューターを介しての火器管制装置で連動して砲撃を行えるようにするんだって』
この場には金剛、比叡、霧島の戦艦3隻に白龍、赤龍の白龍型空母2隻に改白龍型改め蒼龍型空母の蒼龍と飛龍の合計7名が思い思いに座って談笑していた。
蒼龍型とは言うが、史実の帝国海軍仕様ではなく、史実アメリカのミッドウェイ級航空母艦を1回り小型化し、条約に抵触しないギリギリに収めた艦である。
搭載機数は90機。
白龍型より搭載機数は減ってしまっていたが、防御力や機動力をより高めたタイプである。
好景気のお陰で建造は順調であり、使い勝手が良い中型空母(それでも艦載機数は70機近く)を以後は複数建造する予定だとか。
なので大型空母は白龍型4隻と蒼龍型2隻の計6隻でとりあえず打ち止め。
その中型空母は翔鶴型航空母艦と史実帝国の名称を継承すると決められていたが、3番艦から架空の名称になることが確実である。
『空母酷使させるな〜! 戦艦も酷使されろ〜』
『戦艦酷使って、訓練の弾代も馬鹿にできないし、戦艦は砲の寿命があるから……数千発撃ったら換装しないといけないし』
『空母の艦載機も本来ならそのはずなんだけど……工作空母の連中が居るからな』
工作空母というのは空母内に工廠がある艦であり、艦内で部品の製造や艦船の修理ができる特殊艦艇である。
なお空母としての機能があるので30機程である自己防衛用の艦載機も搭載してある。
その工作空母のお陰で洋上でも航空機の部品が作られ続け、航空機が飛び回り続けていた。
あと一部航空機には付喪神が取り憑いているため、自己修復していたりもしたが……。
『搭乗員は空軍管轄とはいえ、同じ船に乗る仲間だから仲は良いのだけど……とにかく空を飛びたがるから1回の出航中に30回は離発着繰り返すからなぁ……』
それでいて大きな事故が起きてないのが奇跡である。
いや、着艦する時のワイヤーに巻き込まれて腕がもげたとか色々事故事態は起こっていたが、大抵の空母等の大型艦船の救護兵はレベルが高い者が多く、腕がもげても治癒スキルで再生してしまったり、死後僅かであれば蘇生してしまうし、海上で墜落しても、緊急脱出装置のお陰で母艦に戻ることができていたので死者は出ていなかった。
そのため訓練がどんどん厳しくなり、白龍の飛行兵達は全員が飛行時間2000時間超えだったり、曲芸飛行で食っていける練度を備えていた。
なんたら水面との高度10メートル以下で飛行して魚雷を発射する……なんて離れ業をやってのけたりもしていた。
普通の投下高度は100メートル以下である。
なお普通の人がやったら海面に機体を叩きつけて墜落する。
『戦艦は花形って言われていたはずなんだけどなぁ……』
『他国は戦艦ばっかり造ってるけど大丈夫なのかね?』
『日本軍は逆に空母造りすぎって思われてるんじゃない?』
『戦艦の建造は外国に輸出する分だけしかここ最近は造ってないからね』
事実アメリカ、イギリス、フランスは条約以後に戦艦の建造を行っていた。
アメリカは旧式艦の更新ということで戦艦5隻を廃艦にして新型戦艦2隻に空母を3隻建造していたが、空母の設計はまだ洗練されているわけではなく、色々手探り状態であった。
イギリスも空母の研究は進めていたが、不景気が続いていて、戦艦の建造で精一杯であり、ここ5年戦艦以外の大型艦建造はしていなかった。
フランスはドイツの海上戦力を圧倒できる戦力の保有を掲げていたため、条約内で建造できる枠内で防御力に富んだ戦艦を建造していた。
戦艦を作ってなかったのはイタリアであり、こちらは航空機が異常な速度で進化していっていたので、小型空母を建造して、空母運用の練習に励んでいたので、ちょっと他国と様子が違った。
他国からすると日本の航空機技術がどこまで進んでいるか掴みきれておらず、高性能な飛行艇やセスナもどき(七六式多目的機)が搭乗員育成で空を飛び回っていた為、まだ七六式多目的機が主力と見なされていたので、航空機技術はイタリアの後塵を拝していると思われていた。
ヨーロッパの航空機レースにも出てこないからね。
『実情は航空機分野が一番飛び抜けているってね』
『1700? 1800馬力の航空機エンジンなんて今地球上に日本しか無いらしいじゃん』
『もう1年か2年で2000馬力以上のエンジンできるらしいじゃん。エンジン開発技術なら何処にも負けないでしょ』
レシプロ機の限界とされる3500馬力まで日本はエンジンを開発するつもりである。
ちなみにこれ以上はプロペラが音速を超えてしまい、破損するため限界の値である。
馬力が強くてもプロペラが壊れるんじゃ仕方がない。
『空母の艦載機が次の戦争では戦艦沈めまくるんだろうな……』
『なんかアルファ博士がマナタイトを使った航空爆弾作ろうとしてるらしいよ?』
『どんなの?』
『マナタイトの直線的な爆発を応用して貫通力を高めて、船舶を真っ二つに叩き折る爆弾だって……命中したらほぼ確実に轟沈するってさ』
『それ強すぎない?』
『マナタイトがダンジョンで採掘できるけど、高難易度ダンジョンに集中しているから、通常弾程数が用意できないらしいけど、実用化したら500キロ爆弾と同じ大きさと重さで戦艦を一撃で葬れるらしいよ』
『うは、使われたくねぇ……』
夜な夜な付喪神達はそんな事を語り合うのだった。