ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「神風は傑作機体であるP51をベースにしているが、将来のジェット換装を考えると少々機体強度が足りないか」
鷲巣こと航空機ニキはアメリカの大恐慌によって荒稼ぎした政府からジェット機を見据えた機体開発をお願いされ、新型戦闘機烈風の開発が進められていた。
「ジェットエンジンについても研究が進められているから第二次欧州大戦には間に合うだろうが、輸出は禁止されるだろうな。まぁそれは別に良い。予算が付いた都合で2000馬力を超えるエンジンも開発された事だ。それをベースにレシプロ機で時速750キロを目標とした新型戦闘機と偵察機の開発に勤しむとしよう」
ジェットエンジンについては技術的に未成熟な為、開発に時間がかかっていたが、史実第二次大戦末期に造られた様な低出力ジェットエンジンであれば今の技術力とダンジョン素材を使えば可能であるが、量産の事を考えると黎明期ジェットではなく、史実朝鮮戦争後期出現のジェット機を開発したほうが技術的派生がしやすいからと、戦間期の今は技術習得に勤しむべきという軍の方針でジェット搭載機の開発は試作機を除いて作られていなかった。
「しかし、開発コード烈風か……史実を考えると涙が出てくるな」
史実では零戦の後継機として開発されていた烈風だが、軍部からの横槍や遅々として開発されないエンジン、アメリカの戦略爆撃による工場の破壊等で、試作機が8機製造した段階で終戦してしまった幻の機体である。
その名を冠した新型戦闘機開発を任され、更に史実では手に入れられなかった2000馬力エンジンをも超える基礎馬力が2200馬力の新型エンジンの誉が搭載予定であった。
もちろん機構はターボプロップエンジンである。
「大馬力エンジンを軽量な機体に載せて、武装を沢山積む……うん、20ミリ航空機関砲の開発も成功したことだし、継戦能力を考えると12.7ミリ機関銃も4丁載っけて……」
既に戦闘機神風及び地上戦闘機紫電の2機種は合計生産数1万2000機の傑作機であり、空軍の規模拡大と緊急脱出装置や練習機として適する七六式多目的機のお陰でパイロットの数はどんどん増えており、ダンジョンレベリングのお陰で、身体的にパイロットに適する人材が増えていた事も日本軍としてはありがたかった。
欧州大戦という航空機黎明時代の戦争でもパイロットが1万人以上各国で養成された為、次の大戦では十万人単位でパイロットが必要になるだろうと試算されていた。
なので日本帝国軍でもパイロット人数は確保しなければならないとして民間パイロットの育成にも空軍が補助金を出して、日本国内でエアレースを開催したり、航空会社設立に金を出したりと有事には軍属になることでパイロットの数をかさ増ししたりしていた。
まぁ日本帝国空軍はパイロット人員3万人、整備兵や後方人員12万人という人数を確保するのに躍起になっているが、まだ充足率は50%といったところであった。
自衛隊のパイロット人数が2000人、年間150人の新規加入というのに比べるとどれだけ規模がデカいかわかる。
ちなみに陸軍の人数が20万人、海軍人数が8万人なので空軍がいかに巨大かわかる。
他国からも日本は新設の空軍の規模が大きすぎると注目されていたりする。
というか現状他国の空軍の規模は先進的とされるイギリス空軍とイタリア空軍で1万人、他の国はまだ空軍が存在していなかった。
なので15倍もの規模の日本帝国空軍は他国からは異常であるとみなされていたのである。
閑話休題
航空機ニキの設計は持ち前の頭脳と高性能な計算機のお陰で短時間で終了し、模型を空力実験をした後に試作機が造られた。
設計開始から試作機完成まで僅か120日である。
試作機は空軍の上層部や陸軍海軍の将校にも見守られ、空軍の高レベル転生者がテストパイロットを務めた。
長野県の飛行場で各種試験が行われたが、機体は大きな故障や事故が起こることなく飛行及び着陸し、武装していない状態では時速790キロ、搭載予定の爆弾や弾薬などをフル装備した状態でも765キロの速度で給油無しで3時間飛行し続けることに成功した。
試作機段階で空母に載せられるように翼を折り畳む事が出来るが、今まではL字に折り畳む感じであったが、上に向けていた翼を更に奥に折り畳むことで更にコンパクト化することに成功した。
空母の離発着も脚部強度は問題ないとされ、更に新型のエアブレーキを利かせることで一気に速度を落として僅か60mの距離で停止することができる。
離陸も100メートルあれば十分という加速性能もあり、空母艦載機としての機能は満点であった。
あと特色するべきは整備性の良さであり、神風で搭載した二重反転プロペラ等の整備に手間がかかる部分を極力廃したり、整備しやすいように改善し、1回の出撃後、被弾が無ければ30分で再度出撃できる様にしていた。
フル整備でも2時間で完了するほどであり、整備兵の負担軽減にも繋がっていた。
スペックはこんな感じ
・全幅 14メートル(折り畳むと8メートル)
・全長 10メートル
・全高 4.1メートル
・重量 2.2トン
・全備重量 3.3トン
・エンジン 誉1型
・出力 2200馬力(過給機使用時2450馬力)
・最高速度 時速770キロ(過給機使用時)
・巡航速度 時速650キロ
・航続距離 2800キロ(増加燃料タンクで3400キロ)
・上昇率 1050メートル毎分
・武装
機体中央 プロペラ同調式20ミリ機関砲2門(1門250発)
翼格納 12.7ミリ機関銃4丁(1丁400発)
・爆装
500キロ爆弾1発及び250キロ爆弾2発
もしくは
推進弾(対地もしくは対艦ロケット弾)8発
順調に神風改より進化していた。
神風改もエンジン換装の神風改二になると時速730キロは出るようになっていたが、将来性を見越すとこちらの方が良いという結果になった。
更に将来完成予定の3000馬力航空機エンジンに換装できれば時速850キロまでは上がる見通しであるが、まぁその頃にはジェット換装するであろう。
一応20ミリ機関砲のところをプロペラ接続部のパーツを交換することで30ミリ機関砲(150発携行)へと換装することも可能になっていた。
レシプロ機の限界点にこれで到達したと言っても良い。
航空機ニキの自信作は神風改二よりやや安価であるというのも後押しして2500機の初期発注、追加で7500機の2次発注、3次発注が起こり、合計で1万7500機が造られる事になるのであった。
なお後々ジェット機換装型は更に発注されることになる。