ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
毎日採掘だけでなく、モンスターの討伐補助等をしていたアルは、着実にレベルが上がっていき、日本語も上手くなっていた。
半年後には岡野さんから日常生活レベルで日本語を使いこなせて、ドイツ人労働者のリーダーになれる存在が欲しいとしている企業に勤めてみればと言われて面接を受けてみることに。
「えっと奥多摩近くの……ここか」
俺が今まで住んでいた横浜や東京の都心部から少し離れるが、街の規模としては負けておらず、色々な商業施設や建物が建ち並ぶ街だな……と思いながら、駅から徒歩15分の場所にある町役場へと向かった。
なぜ町役場なのかというと、この町をここまで発展させたのが、今の町長で、なんなら幾つものダンジョンを管理していて、企業の役員も兼任しているのだとか。
凄い人だなと思いながらも、ドイツ人労働者を呼んで働かせたい町側と働きたいドイツ人側の利害が一致しているうちに、自分を売り込めるチャンスと感じていた。
「失礼します」
「よく来たね。アルノー君。まぁ座って楽にしてくれ」
「失礼します」
町長若!
え、東洋人は童顔の人が多いって聞いていたけど、見た目まだ20代前半に見える。
いや、事前資料で調べた限りでは43歳なはず……。
20代で町長になって20年かけて町をここまで発展させた凄腕って聞いていたけど……。
「何をそんなに驚いているんだい?」
「いや……山田町長が想像していたより若い方なので驚いてまして……」
「高レベルの探索者だと皆こんな感じだよ。殆ど老けなく成るからね。なんなら化粧で老け顔にしている人すらいるくらいだよ。しっかしアルノー君は日本語上手だね。こっちも驚いたよ」
「ありがとうございます」
山田町長と世間話を少しした後に、政治思想について聞かれた。
「ナチ党については少々耳にしているんだけど、人種差別をしているよね。日本人やドイツ労働者の中にはユダヤ人なんかも居ると思うんだけど、それについては大丈夫かい?」
「あ~、ナチ党の党員なのは仕事がそれしか無くて……党の教義に関してはそこまで……それにドイツが優等種って教本には書かれているんですけど、それだと私目線皆超人の日本人が凄いことになってしまうので……正直価値観はぶっ壊れました」
「なら大丈夫か。一応聞いておくけど、日本に永住するつもりなら確実に合格にするつもりなんだが」
「就労ビザで来ているので……結婚しないと永住は難しくないですか?」
「いや、結婚する気はあるのかって意味で聞いたつもりだったが。うちの町他所から人は来ているんだが、独身の若い子も多くてね」
「日本人の様な器量の良い奥さんと結婚できたら最高ですね」
そんな話をしていたら合格が決まり、なんなら町長の持ち物件を貸してくれるらしい。
「これから色んな人を任せていくと思うからよろしく頼むね」
「は、はい!」
その後一旦横浜に戻って引っ越しの準備やお世話になった岡野さん達にお礼を言って移動し、新天地での生活が始まった。
「業務内容だけど、まずはレベリングしてくれ。拾得物は換金してくれて構わないから」
「は、はぁ……」
というわけで山田町長の使い魔を貸し出されて、能力が上がりやすいダンジョンでとにかくモンスターを狩りまくる。
使い魔の方がトラックを運転してくれるので、荷台に取り付けられた機関銃でモンスターを倒していく事をとにかく繰り返えした。
すると俺も特殊能力が使えるようになり、手から炎や電気を放てるようになっていった。
そんな生活を1ヶ月続けると、頭にモンスターをテイムできるようになった感じがし、それを山田町長の使い魔の九尾に言うと。
「お、ちゃんと覚えましたね。じゃあ次は使い魔を捕まえてみましょうか」
と言われ、モンスターを捕獲することに。
「人型のモンスターを捕まえられるだけ捕まえてください」
と山田町長に言われたので、人型モンスターが多く生息するダンジョンに潜り、宗教的に使役した時に忌避感を感じない天使を大量にテイムした。
「あー、やっぱり外国の方は使役となったら天使か。守護天使とか言うもんな」
山田町長はなんか納得されていたが、捕まえられるだけ捕まえろって言われたので、20体程天使をテイムして、その子達に名前を付けたり、言うことを聞かせられるようになってから本格的に仕事が与えられた。
やることはコンバインに乗ってダンジョンで育てられる穀物を収穫していく作業で、俺がコンバインに乗って収穫し、それを別の雇われている人が脱穀した小麦をトラックに載せて出荷する。
天使達は穀物を食べようとしてくるモンスターの討伐であった。
「いやぁ、探索者希望の人はもっと稼げる部門に行っちゃってね。ダンジョン農業従事者は人が集まりにくくなってて、日本人の管理者もいるけど、ドイツ人労働者も雇うからその纏め役が欲しくて」
「なるほど」
安いと言っても月給90円出るし、テイムした使い魔の天使達が倒す鳥や亀、虫、陸蟹を売却すると1日で25円近く稼げる。
週4勤務でも1ヶ月で500円近く稼げてしまう。
「こ、こんなに稼げるんだったらドイツに帰りたくねぇ……」
借家も庭付きの一軒家で、広々とした風呂や最新のシステムキッチンに水洗式トイレまで完備。
それに稼いだ給料で洗濯機や冷蔵庫、エアコンにラジオ、家で映画が見えるホームシアターなんかも日本だと売っていて、町のレンタル屋で映画のフィルムやラジオで聴けるカセットテープをレンタルしたり購入できたりするのだから驚きである。
後から来たドイツ人労働者達もあまりの厚遇に帰りたくない者が続出し、婚活が盛んに行われることになるのであった。
で、婚活でちょっと訳ありという女性が出てくる。
男なら稼ぎでほぼほぼどうにでもなるらしいが、種族的には人間なんだけど、モンスターとの間で産まれた娘……という人物が一定数居て、嫁入りが遅れる傾向があるらしい。
俺からすれば同じ日本人であり、髪色が違うくらいで忌避感は全く感じない。
というかそういう子ほど、嫁入りに真剣な為、旦那を立ててくれるので、是非とも結婚したいとなる。
で、俺も町内の婚活パーティーに参加して、いい人を見つけ、アピールした結果付き合うことになり、そのお父さんが山田町長その人であった。
「これからは義理の息子だな! アルノー君!」
「本当に娘さんを嫁にもらっていいのですか!」
「何かまわんかまわん。娘もアルノー君にお熱だ。アルノー君の性格は知っているから気にするな」
「俺、嫁さんの為にもっと頑張ります!」
そんなこんなで、出稼ぎだったのに日本に帰化してしまうドイツ人が多発し、ドイツ政府は出稼ぎ期間を短くしたりしてちゃんとドイツに帰ってくるように仕向けたり、ユダヤ人やナチ党の政治思想に反する人は出稼ぎで稼いで帰ってくるな……みたいな感じに仕向けるのであった。