ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
1933年が始まって早々にドイツでヒトラー内閣が組閣され、独裁色が強まる中、日本は比較的平和な日常を謳歌していた。
世界各国でブロック経済が強まっていたため、日本の特殊鋼の輸出もブレーキがかかってしまったが、特殊鋼の需要は日本国内でも普通にあるし、イタリアやドイツの購入量が増えていたので、特に問題にはしていなかった。
ちなみに軍艦建造はフル稼働しており、特に駆逐艦の建造がこの年は40隻近く建造されるとピークを迎えていた。
1930年のロンドン海軍軍縮条約により既存の駆逐艦を軽巡洋艦認定されたので、駆逐艦が不足し、条約枠内での実験艦が3隻造られたが、技術蓄積で良さげな艦が技術的にも問題がないと思われたので、大規模建造に踏み切られた。
史実になぞらえた初春型駆逐艦と命名され、艦数の関係で史実の初春型だけでなく、白露型や朝潮型、陽炎型の艦名も同型艦として命名されていった。
それだけ駆逐艦としての完成度が高い艦であり、復元性や浮力及び防御力を担保するために、JSハイテン鋼とJハイテン鋼の複合素材を使って船体重量を安定化させ、コンピューターの小型化に伴い、対空連動砲及び連動ソナーによる爆雷投射装置の開発成功で、対空、対潜水艦の性能が高い駆逐艦が完成していた。
主砲は12センチ連装砲が前後に2基あるだけであるが、四連装魚雷発射管が左右で2箇所付けられており、これもレーダーとパソコンにより連動するようになっていた。
動力は出力そのままに条約型駆逐艦に搭載できるようになった新型のマナタイトタービン……マナタイトタービンS(スモール)であり、速度は42ノット、巡航でも35ノット出る高速艦に仕上がっていた。
「あと整備性を良くしているから、中破くらいであれば1ヶ月以内に修復できるようにはしてある。これで史実のように中破、大破すると半年近くドックで修理を受けなければならなくなるみたいなことは無くなるだろう」
ちなみにこの駆逐艦が海軍初のCPU搭載型パソコンを搭載した軍艦になっており、駆逐艦の装備で一番高い代物で、1基4万7000円とべらぼうに高くなっていた。
初春型は同型艦で部品が大量に量産されたため、値段が抑えられて、1隻400万という船だったので、そのパソコンを複数台搭載したため50万……現代価格で50億円がパソコンに使われたと考えればいかに高い装備か分かるだろう。
ちなみに性能は現代の家庭用ゲーミングPCレベルではあるが、処理を分散しているためなんとかなる性能である。
建材や原料を自国で調達できるから安くなっているが、他国で初春型駆逐艦を作ろうとしたら5倍近く値段がかかるので、めちゃくちゃ安くて高性能な艦に仕上がっていた。
1隻400万なので今年建造分の40隻だけでも1億6000万……国家予算の2%近くをこの駆逐艦建造費用に充てており、世界恐慌で荒稼ぎしていなかったらできなかった建造でもある。
なお駆逐艦の枠は条約内で89隻認められてるので、数年かけて89隻作る模様。
まぁその時は初春型ではなくなるだろうが……。
今の構想では丸ゆを乗っけられる様に調整した駆逐艦建造も進められていたりする。
そうなると主砲が前に1基あるだけになるので、流石に火力不足になるのではないかと心配する声も上がっていたが……。
そんなこんなで日本帝国は今日もちまちま駆逐艦を作るのであった。
転生者が経営する会員制の喫茶店にて、転生者達がとある筐体に群がり、遊んでいた。
「1930年代にまさかインベー◯ーが遊べるなんて……」
「テト◯スもまさかこの世界で遊べるのもっと先の世界だと思ってたわ……」
CPUパソコンが開発されたことで、ゲーマー達はその技術を応用し、いち早くファミリーコンピューターを作るために日夜技術研究を行い、軍事機密というのも相まって一般人向けには販売されていなかったが、軍や政府が監視している場所であれば筐体の設置を許された。
そして出来上がったのが転生者達の憩いの場であるゲーム喫茶である。
既に40を超える転生者も少なくなくなって、家庭を持っていたり、会社で重役となっていたりする中、童心に立ち返れるとゲーム喫茶で満喫していた。
更に転生者達はまだ黎明期である漫画家を支援し、絵を描ける転生者達が技術を教え、使い魔の中には絵描きが得意な者もいたので、政府バックアップの元で漫画雑誌を次々に刊行させていった。
その中でカードゲームが登場する漫画が人気になり、トレーディングカードゲームが登場し、良い大人達が真剣にカードゲームをする光景もよく見られた。
あと転生者達の間で流行っているのは競馬で、兵器や農具の機械化の都合で軍馬や農耕馬の需要が徐々に減ってしまっているため、それならば競走馬育成に舵を切ろうということになり、金持ちの転生者達は馬を購入して競走馬として走らせるのであった。
ただ通常のサラブレッド種だと頑丈さが足りないとして、幕府があった時代にダンジョンの馬系モンスターとの交配が行われた結果、サラブレッド種とは別体系の種になってしまい、これでは国際的な競馬関係者から別競技扱いされてしまうとして、仲の良かったイタリアからサラブレッドを輸入し、混血になってしまっている日本の馬を徐々にサラブレッドに戻す取り組みが行われた。
ただ血が少しでも混じっていると、なかなか性質が抜けないもので、モンスター由来の頑丈さが遺伝して、とにかく壊れない馬が量産されることになり、4代遡っても混血馬が血統表に出てこなくても、超スパルタトレーニングしても壊れないため、年間12走は当たり前、なんなら24走するのも普通みたいな感じになり、強い馬はそれでも連勝するため、アイドルホースが出やすい環境となり、転生者達は金をかける競馬が当たり前として認識していたので、政府が法整備をして、競馬を合法な賭博兼スポーツの一種として国民に広めた。
結果、ラジオで競馬の中継が毎日流れる様になり、野球、相撲と共に競馬が人気になっていくのであった。