ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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大本営での大人達

 大本営で転生者の将軍達が会議室にてアメリカに関するレポートを読んでいた。

 

 この世界では日本人はほぼ移民という形で渡米することは無く、日系移民排斥法案も可決されていなかった。

 

 どちらかと言うと中国のほうが米国内では締め出しを食らっていたが……。

 

 なので日本の国民感情的にはそんなに悪いわけではなく、欧州大戦でも共に肩を並べて戦った味方という感覚が強かった。

 

 それに日本政府主体で、大恐慌によって潰れかけた米国企業を多数誘致に成功していた事で日本に移住してくるアメリカ人も多く、それ故に、特に敵国という見方はされていなかったが、上層部はしのぎを削っていた。

 

 特に石油販売競争は苛烈であり、アメリカの産出する石油と日本のダンジョンで回収して精製する合成燃料は現代で言うと中東の石油とシェールオイルの関係に近く、アジア市場が韓国の有する大慶油田と東南アジアのインドネシア周辺の油田(オランダ植民地)、そして日本の合成燃料でアジア圏の燃料が賄われてしまっていたので、アメリカが食い込む市場を失っていたのである。

 

 主要産油国の石油産出量が1を1万トンを基準として

 

 アメリカ 12200

 ベネゼエラ 2000

 ソ連 3100

 イラン 600

 インドネシア 500

 イタリア 300

 ルーマニア 65

 韓国 250

 

 みたいな感じである。

 

 日本の合成燃料の生産量をこれに当てはめるとだいたい3000くらいとなる。

 

 もっとも日本の場合原料のスライムが他にも色々使われているため、合成燃料だけに注力したら現状8000くらいまでの生産力はあったりする。

 

 そんな感じで石油だけでなく工業製品でもアメリカからしたら商売敵であり、アジア市場の妨げになっているとして、色々経済的な嫌がらせを受けていたが、自国で資源が全部完結している日本には特に影響はなかった。

 

 どちらかと言えば農作物の輸出に高い関税を掛けられて売れなくなっていたので、こっちのほうが問題だったが……。

 

「経済的な対立は仕方がないとしても、兵器開発分野においても敵視していますからね」

 

「ここ数年は軍事予算を大縮小していたのに、戦車や航空機開発に予算を投入するとは」

 

「なんでもクリスティ式戦車をこの世界では陸軍が制式採用したと」

 

「あの戦車をか」

 

 日本の戦車……アジア号や和虎、輸出戦車として静岡自動車が開発した93式中戦車イマガワの足回りは統一されて油圧式とトーションバー式(ねじり棒バネ式とも言う)というののハイブリッドの足回りを採用していた。

 

 この方式は将来主流になる足回りであり、信頼性も比較的高いし、整備も比較的しやすい代わりに馬力が足りないと速度が出にくいという欠点があったが、エンジン技術の進歩により、戦車狂いニキが韓ソ戦争の戦訓を反映した和虎の改良型の和虎改には800馬力の新型空冷エンジンが搭載されていた。

 

 液冷だと被弾した際に装甲を貫通してなくても衝撃で冷却水のパイプが破損しやすい欠点が露呈したため、航空機用の星型エンジンを戦車用にチューニングして載っけてしまった。

 

 史実シャーマン戦車でも行われていたが、空冷の欠点として冷却する空気を常に吹き続けないとオーバーヒートするというのを、エンジンに巨大扇風機を合体するという力技で解決。

 

 エンジンが壊れた際の修理がこれによって冷却タンクだったり、各種パイプなどが大幅に少なくなり、鉄板外して、クレーンもしくは力がある使い魔に持ち上げて取り外して、新しいエンジンを挿入すれば速攻で動き出すという整備方法を確立。

 

 というかエンジンもアルミ系の特殊合金で作られているため、滅多なことでは故障しないくらい頑丈に作られているので、無整備でも1万キロ走破できる信頼性があったりした。

 

 アメリカ戦車の話に戻すが、史実ではクリスティ式戦車はアメリカでは採用されなかったが、イギリスとソ連の戦車開発においてターニングポイントとも称されるくらい技術的特異点であり、事実韓ソ戦争で投入された戦車はクリスティさんが作った戦車をソ連なりに改善した物であった。

 

 この戦車が戦車開発において重要な役割を持つため、アメリカでクリスティ技師の戦車が採用されたということは、史実より強力な戦車が開発される危険性が出てきたのである。

 

「それにイギリスに輸出したイマガワ号の研究データがアメリカに流れた可能性があります。そうなるとイマガワを基礎として、1930年代にシャーマン……いや、アジア大戦ではパットンクラスの戦車が出てくる可能性すらあります」

 

「和虎では不十分か?」

 

「いえ、和虎の防御力は史実の第2.5世代主力戦車……ソ連だとT-72やイスラエルのメルカバに匹敵する防御力と主砲の88mm砲も対戦車科学榴弾と新型徹甲弾を用いれば400mm相当の装甲を1キロ離れた位置から撃破可能ですし、和虎改でエンジンが更に強化されたので、リミッターを解除すれば時速70キロで走行可能なので遅れをとることはないかと」

 

「それにこちらは大型ヘリコプター並の攻撃力を有する丸ゆがある。丸ゆには航空用に改修した88mm砲だけでなく、開発中の30mm機関砲やバルカン砲が搭載できれば戦車は敵ではなくなるはずなので……」

 

 史実日本はアメリカ戦車に対して対抗できる手段が限られ、制空権を喪失していたため航空機を用いた攻撃や重砲で狙うというのも難しく、結果対戦車地雷を抱えての肉弾特攻が繰り返されていた。

 

 それは絶対に避けなければならないと、敵戦車や走行車両を破壊できる兵器の量産が急がれており、史実ではドイツ生まれのパンツァーファウスト……対戦車推進弾……バズーカ砲等の携帯対物兵器の量産が始まっていた。

 

 あとは航空機に関しても企業買収や欺瞞情報で他国の諜報機関を錯乱させて開発を遅延させていたが、アメリカならB29を超える超重爆撃機を開発してくると確信があったため、対空砲として、重巡洋艦や戦艦に採用されたレールガンを対空仕様に改修した地上迎撃施設の建造が始まっていた。

 

「なんとしても史実の悲劇だけは避けなければならない!」

 

 軍部は本土防衛兵器の開発により力を入れていく事になるのだった。

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