ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「本国の方ではこれよりも強い戦車造ってるんだろ……フランス的には頭が痛いわ」
フランス外国人部隊ニキもかれこれ40代中頃……国民的英雄として活動していたニキは戦後にフランスの陸軍大学を卒業して大佐の地位に居た。
名誉フランス人かつ、一騎当千を実行したニキの人気は凄まじく、普通東洋人と差別されそうであるが、持ち前の知識と強靭な肉体により、大学でもトップの成績で卒業し、現在外国人部隊を指揮する立場になっていた。
「戦車開発で日本に遅れたのは重々承知しているが、フランスの戦車の情けないことこの上ない……」
そんな事を言うのはド・ゴール中佐で、フランス外国人部隊ニキことオオキドとフランスの機械化に注力していた第一人者であった。
そんなフランス軍ではルノーB1という重戦車の開発に先日成功していたのだが、日本が輸出用として販売しているイマガワ号……フランスだとシズオカIM1……まぁ以後もイマガワ戦車と呼ぶが、実質61式戦車と言える代物に性能で完敗してしまったのを受けて、激震が走っていた。
仮想敵国であるイタリアがこのイマガワ戦車を大量購入及びライセンス生産ができるというので、警戒していたし、何よりドイツが再軍備の動きを強めているとして、絶対どこからかイマガワ戦車の情報は漏れているから、それを超える戦車を作り出すのではないかと戦々恐々としていたのである。
俗に言うドイツアレルギー。
そんなフランスは数十台購入したイマガワ戦車を徹底的に研究して、失敗したB1の代わりになる戦車開発に躍起になっていた。
それこそフランスの戦略ドクトリンであるドイツ国境に作るマジノ線と呼ばれる大要塞の建造規模を一部縮小して戦車開発の予算を捻出していたのである。
一方で航空機に関しては悪名高い生産調整の政策が行われており、これは研究用の予算は出すが、大規模発注は抑制するという企業泣かせの政策が罷り通ってしまい、空軍ができたのに空軍の大規模化に失敗していたのである。
それに大量発注が無い為に企業のやる気を削いでしまい、開発費が入るなら開発遅延しても問題ないと、航空機の開発遅延が多発していたのである。
そんな状態なので、陸軍では戦車開発ができる企業の技術者にイマガワ戦車を弄くり回させて、更にコンペ形式で戦車を集い、主力戦車を作ろうという機運が軍部内で高まっていた。
何よりオオキドが戦車を作るのであれば最初は高くても、量産効果で安くできるし、日本軍が戦車の車体を流用して様々な兵器の機械化ができているのだから、多用途で活用できる車体を作って、様々な派生車両を作ったほうが結末安くなるという生産論を展開し、パーティーとかで出会った経済学者達や大学教授と共同論文を軍上層部や政府上層部に提出して通していた。
「それで出来上がったのがこれか……」
そこにあったのは大柄な車体であった。
ルノーM1中戦車。
中戦車と呼ぶにはおこがましい45トンの重量であり、実質重戦車であった。
見た目は史実ドイツのパンターに似ているが履帯が車体に格納されているのが特徴的で、とある戦車ゲームをしている人物であれば、フランスが大戦中に設計した架空戦車であるAMX M4 mle. 45という戦車に酷似していると思うだろう。
他にもコンペでは色々な戦車が出てきた……アヒルみたいなのだったり、ヘーベルハウスみたいな箱型戦車だったり……その中で一番性能が良かったのがルノーM1中戦車であった。
正面が80mmの傾斜装甲、側面は垂直40mm、それにイマガワに乗っけられていた750馬力の水冷エンジンをコピーした物を搭載し、主砲は75mmの長身砲を搭載。
時速35キロながら、イマガワの足回りやトランスミッション系をコピーしたので壊れにくいし、走破性も良好という代物であった。
ほぼ性能は壊れにくいパンター戦車と言えば良いか……。
自動車大国であるフランス自動車産業の底力というか……。
速度はやや物足りないが、オオキドとド・ゴール両名も納得いく戦車であり、しかも全車両に無線機を搭載できていた。
車体も大きいので5人乗りでも余裕の広さがあり、兵士達からも評判上々。
イマガワを正面から撃破できるというのが採用を決定させた。
コストはルノーB1の1.8倍であるが、コストに見合う性能と確信していた。
「この戦車があってもドイツに勝てるかというと疑問符が付く……」
「しかし、ルノーM1は欧州最強の戦車であるだろう。日本の持つ一切撃破されてないジャパニーズタイガーなる戦車があるのは確認されているが……」
「あれを撃破するのなら航空機攻撃のほうが効果的になるが……うちの航空機はあれだからな」
そんな2人はドイツから攻撃された際に機動防御という戦術を行えるかについて研究を進めていた。
機動防御は前線陣地で全てを受け止めるのではなく、あえて撤退地点を誘発することで、敵戦力が浸透して包囲を行おうとした際に、機動戦力(戦車や機械化歩兵)を用いて反撃することで戦線を維持するという考え方である。
それにイギリス陸軍が必死になって研究している電撃戦についても遅れながら研究を進めていた。
「フランス本国が何らかの理由で失陥してしまった際に、アフリカで戦闘を継続できないかについても考えなければ……」
オオキドは本国にドイツの肩入れをあまりしないでもらいたいと忠告しながらも、本国が欧州でドイツが暴れてくれた方がアメリカも欧州に戦力を投入しなければならなくなり、結果日本への圧力が減るという戦略にも理解を示していたが……。
(欧州で実戦経験を得たアメリカは戦争によって兵器の質を一気にアップデートしてくる。そうなった場合本国はより厳しい状況に陥るのではないだろうか……)
オオキドは日本の戦略は危険なのではないかと思わずにはいられないのであった。