ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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戦車狂いニキの弟子

 戦車開発の第一人者である戦車狂いニキは、和虎の改造をしたり、新型戦車開発をしながら、使い魔の河童達と共に戦車博物館を経営していた。

 

「夢のようだ……1分の1かつ実際に動いて砲撃できる戦車を展示できるなんて……」

 

 軍事機密の塊の様であるが、和虎より性能の低い戦車なら展示しても良いと軍から了承を貰っており、各種色々な戦車を展示していた。

 

 そんな博物館で整備員としてとあるドイツ人が働いていた。

 

「エーリッヒ、今日も戦車をいじっていたのか」

 

「あ、館長! 今日も戦車整備させてもらいました!」

 

 20代前半かつ日本語が堪能かつ、ドイツのダムラー・ベンツ社で設計者として働いていたが、短期間で自動車先進国入りした日本に短期労働者かつ技術研修としてやってきていたのだが、戦車好きが高じて、戦車狂いニキが館長をしている戦車博物館の整備員として働いていたのである。

 

「館長! この設計で本当にこの性能の戦車ができるんでしょうか!」

 

「ああ、せっかくだし実際に作ってみるか」

 

 戦車大好きな2人かつ、戦車狂いニキは軍から戦車の開発費用や自動車の駆動系やギア系、エンジン等で各種特許を習得しているので滅茶苦茶金を持っているし、人員も使い魔の河童達なので、凄く人件費がかかることもない。

 

 更に転生者なので各業界への繋がりも広く、頼んだらパーツをすぐに試作してくれてしまうので、試作車1台作るくらいだったら2ヶ月あればできてしまうのである。

 

 そんな環境なので、ダンジョン資源を使わなくても開発できる高性能戦車を開発してみようという試みで色々並列して作りまくっていた。

 

 エーリッヒ君もめっちゃ勤勉なので、どんどん技術を吸収していき、自社や現状のドイツでならこれぐらいは作れるかなみたいな試算をしたりもしていた。

 

「トランスミッション系はハイブリッド式の方が故障が少なくなるんですね」

 

「多少コストはかかるが、壊れないほうが結果運用コストは下げることができる。高性能でも修理ばっかりの戦車なんて実戦で使えないからな」

 

「なるほど……主砲は欧州で戦うならやっぱり7.5cm砲でしょうか?」

 

「うーん、それだとすぐ陳腐化すると思うからなるべく長砲身で、10cm砲とかあればいいんだけどな」

 

「10cm……ドイツだと105mm砲があったりしますが」

 

「日本でも105mm砲あるから乗っけてみるか?」

 

「試してみたいです!」

 

 そんなこんなで色々作っていたが、輸出しているイマガワ戦車やフランスで作られたルノーM1中戦車の情報が入ってくる。

 

「こんな戦車、今のドイツだと防御不可能なんですけど……イマガワ戦車は傾斜装甲で55mmの装甲(特殊合金で実質装甲厚は120mm)で、セミオートマで自動車の感覚で戦車を簡単に動かすことができて、それが時速45キロで動くんですから……で、主砲が75mm砲でしょう」

 

「ルノーM1中戦車はより重装甲にして速度を削った感じだな。これを倒すとなると正面からの撃ち合いは不利だが、主砲を50mm長砲身対戦車砲搭載のアジア号改なら側面を貫通することができるな」

 

「アジア号……となるとある程度の装甲と敵の薄い弱点を抜けるだけの貫通力がある主砲、そして速度で圧倒するしかないですね」

 

「さて、限られた資源でどう作る?」

 

「うーん」

 

 エーリッヒに問題を出した戦車狂いニキはニヤニヤしながら見つめる。

 

 戦車開発は国防に直結する陸上の主力兵器であるが、ドイツが史実以上の戦車を作れないと、ソ連の進化に対応できないのではないかと軍が警戒していたのである。

 

 ヒトラー政権が誕生し、史実に先駆けて再軍備宣言が成されたため、恐らく史実通りか少し遅れて第二次欧州大戦が勃発するであろうと思われていた。

 

 ドイツが暴れれば暴れるほどアメリカの戦力を割く事が出来るし、ドイツがナチスである以上、占領下の欧州各国の国力は低下していくであろう。

 

 もし万が一独ソ同盟なんて事が起こってくれたら、アメリカも日本に構っている必要がなくなると思うので、そうなれば和虎を更に近代化させて倒せば良い。

 

 極東でソ連の兵站能力であれば、韓国の港を使えば、どんなに頑張ってもソ連が100万人以上の兵士を極東に展開できないと判断していたのである。

 

 今の日本の兵站能力ならまず負けることは無いし、欧州もイギリスが陥落せず、イタリアが中立であればドイツに負けることもないだろうし、今のところヒトラーは我が闘争という本にて東方生存圏を普通に書かれていたので、独ソ両国の対立は時間の問題だろうと考えられた。

 

(どんなに頑張ってもソ連の技術力だとT-44が40年代に出てくる以上は無いだろう。戦中にT-54の初期型が完成するかもしれないが、電子戦装備や無線機等は時代相応の物だろうし、航空機技術は日本が圧倒している。ドイツを史実以上に技術的搾取をした結果、日本が援助して何とか経済を建て直せるくらい勢いは無いし、海軍に至っては史実で目指したZ計画……ドイツの海軍再軍備計画がヒトラー政権でも凍結されたと聞いた)

 

 戦車狂いだが、転生者の掲示板を眺めていれば、自ずと情報が集まってくる。

 

 この世界ではビスマルク級戦艦はできなさそうだなと思いながらも、史実以上に痛めつけられたからか、ヒトラーに希望を抱く人物が多くいるように感じる。

 

 そしてヒトラーやナチス高官がクーデターにより国家の近代化に成功した日本を他国よりも凄く研究していた。

 

 そのため、史実ではナチスと考え方の違いで対立したドイツの鉄道王と呼ばれたドイツ帝国最後の参謀次長であるヴィルヘルム・グレーナーとその弟子達や金融の天才ヒャルマル・シャハト、史実ではもう少し後に頭角を現したヒトラーのお気に入りであるアルベルト・シュペーアといった人物が派閥を超えて経済の建て直しに奔走しており、史実では最後まで叶わなかった各メーカーの規格統一をナチスの強権を持って制定したり、国民車構想や高速道路の整備計画、再軍備に伴う空軍の航空機開発や陸軍車両に積極的に企業参入を集ったりとやれることをひたすら考え抜いて実行していた。

 

 あと情報部によると現在のヒトラーの健康状態は良好であるし、ナンバー2の空軍元帥のゲーリングはモルヒネに溺れることがなく、スラッとしたイケメンかつ史実軍事裁判時のモルヒネ脱却の覚醒状態で働いていると空軍は史実以上に強化されそうであると研究結果が出ていた。

 

(遅れている戦車開発もエーリッヒが帰国次第一大軍事企業であるダムラー・ベンツ社を動かせば凄まじい戦車が出来上がる可能性があるな)

 

 ライバルを育てている状態であるが、和虎の完成で上層部は油断している節がある。

 

 尻に火をつけて、和虎を更に強化した新型戦車を上層部に認めさせるためにも直接敵になり得ない勢力に肩入れして予算確保を狙う戦車狂いニキだった。

 

 1934年の後半にドイツに帰国したエーリッヒは直ぐにダムラー・ベンツ社の戦車開発設計主任となった後に国防軍の機械化を推し進めていた将軍達にも繋がりを持ち、戦車開発に携わる複数企業の利害を度外視して統合戦車開発計画が始動。

 

 既に練習として作られていたI号戦車から一気に発展させ、II号戦車を史実大戦では完成させられなかったII号戦車より一回り大きいレオパルド型……ミニパンター戦車みたいな戦車を帰国して速攻開発する。

 

 それを発展させたⅢ号戦車(史実パンター相当)を1935年以内に試作車両を完成させ、レオパルドは7.5cm砲を、Ⅲ号戦車パンターには8.8cm砲を初期から搭載することになる。

 

 そして師匠である戦車狂いの言葉をもとに、史実より故障しづらく、かつ生産性に考慮した設計にして、稼働率を常に90%以上(史実30%とか)に、1939年までにII号戦車レオパルドを4000両、Ⅲ号戦車パンターを5000両生産するのであった。

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