キヴォトスの砂金石   作:プラ杯

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前話はスタレの4.3やってからだと伏線とかに結構気付けると思う
感想で予想してくれてもええんやで♡


愉悦(入学と砂漠横断ツアー)

ツァイトがユメから引っ張り起こされてから5分後。あのままだと干からびかけていたツァイトにはユメの肩からかけている馬鹿でかい水筒(カイザー製!!1ガロンまで入れられるぞ!!)に入っていた水を半ば混乱していた彼女にぶっかけられたことで頭から腰までがびしょ濡れになっていた。いずれにせよそのおかげでツァイトは助かったのだが。

 

そのようなちょっとした事件もありながら二人は砂の上にユメの持っていた折りたたみ式のバリスティックシールドの上に座って話をしていた。すでに二人は互いに紹介を終えており二人とも服に砂がつくことも厭わずに両者ともニコニコと容赦なく照りつける日の下で、楽しげに話していた。会話内容は

「私はチャーシューから食べるよ!」「僕はまず米を入れて…」

……ラーメンは何から食べる、か?…とそのような他愛もないことであった。

 

今の季節がすでに夏であることもあって、ツァイトの濡れてしまっていた上半身もほとんど乾いている。ここで二人のコーディネートを紹介しよう!

 

エントリーNo.1 YUME !!

ユメの服装としては夏らしく半袖にスカートの太陽のような紋章の入っている制服、肩からかけているバカみたいな大きさの水筒と折り畳み式シールド。後ろでひとまとめにしている肩よりも少し下まで伸ばしている淡い緑色の髪。

その中でも目を引くのは、一目見ただけでも規格外だと世の女子たちが羨む大きさのもの(水筒だよ!)である。

 

エントリーNo.2 ツァイト !!

ツァイトの方はすでに会った時から仮面を外しており髪はいまだに乾かず濡れているがそれがかえって本人の顔の良さを引き立ていながらも、10人いれば10人が妖艶と称するその美貌に薄い笑いを浮かべている。最も本人はそのような表情をしている自覚は全くないのだが。

 

……なんだ、こいつ。ニヨニヨしおってパンチするぞ?

 

そして、服装としては…空から落ちてくる時にほとんど全て燃え尽きてしまったのか、実は腰に布を巻いているだけである。

端的に言って変態である。そうにしか見えない

彼が何故か全体的に変態としての側面が出ることが多いのは気のせいだろうか…?*1

 

「いや、本当にありがとうね。ユメちゃんが助けてくれてなかったら、あのまま干からびて死んじゃってたかもね。……あっ、今は別に体に痛いところとかはないからね?」

 

「ダメ。砂漠だと水は大事なんだよ!干からびちゃう!」

 

「いや、本当に大丈夫だからね?もう頭からかけなくていいよ?ちょっ…まっt」

 

もしかしたら死んでいた。そのような言葉を聞いたユメはほとんど条件反射で肩からかけている水筒と手を伸ばそうとしたが半ば焦り気味のツァイトによって静止されたことで少し不満げに頬を膨らませながらも渋々とその手を収めてくれた。

その代わりと言ってはなんであるが彼女の方から二人の間の話の話題を振ってきた。

 

「それでさ、なんでツァイト君はあんなところで頭から砂に埋もれちゃってたの?」

 

「ん〜〜…なんというか空飛んでたら煽り運転*2されて落とされたんだよね」

 

「えっ!!ツァイト君、空飛べるの!?見せて!」

 

「勿論。まあ飛べると言っても浮くくらいしかできないけど…」

 

そう言ってツァイトは腰を上げ少し砂を払った後に軽くジャンプをし、普通ならそこから重力に導かれ地面に落ちるところを透明な床の上にいるかのように見事、空中で止まって見せた。

 

(…ん?なんか疲れるな…いつもならこのくらい意識しなくても勝手にできるのに……まあ気のせいかな!)

 

「ね?」

 

その行いに対してツァイトは特に深い感慨を覚えることもなくただただ自身に備わっている技能というだけということを鑑みての冷めた感情による『ね?』であった。

何故かその力を使う事に対する()()を感じ取っていたが。

 

「なーんだ…っていや、十分にすごいよ!?だって私は飛べないし!」フンス!

 

それを見たユメは光景を見て子供のように目を輝かせながら純粋に驚き、興奮している。

 

「そんなこと…あるんだね。そういえばここはキヴォトスだしね。飛べる方が少ないか!いや〜、さっきまで一緒にいた人たちのことを考えると基準が壊れちゃうな!」

 

「そりゃそうだよ!って言っても私が実際に飛べる人を見たことがないってだけだけどね。それと、一緒にいた人たちってその人たちも飛んでたってこと!?」

 

「まぁあの人たち…僕の友達たちならやろうと思えば全然できるんじゃないかな?」

 

「そんな人たちがいるんだ…!…あれ?でもそれなら一緒にいたのにツァイト君のところに誰もいないの?」

 

「いや、一緒にいたって言っても僕がこっち(キヴォトス)にくる前にお別れしちゃっていたからね」

 

「そうなんだ…確かに好き好んでここ(アビドス)にくる人なんか普通いないよね…」

 

「ンンン?なんか認識の齟齬を感じるけどそれで…僕は何してたのか聞かれたけど僕も君に聞かせてもらってもいいかな?」

 

「えっと、私はねこの近くにある街のパトロールしてたんだよ!最近ヘルメット団がいっぱい入ってきたせいで治安が悪くなっちゃったからね…」

 

「ふーん…そうなのか。でも見た感じ銃は持ってないみたいだけど何で取り締まってたのかな?」

 

「ふっふっふ…!それはね…()()でやってたんだよ!」

 

そう言って彼女は肩からかけている巨大な水筒を指さす。

 

「…それでパトロールしてたのかな?僕としてはそんなものを振りかぶられたら騒ぎなんて絶対起こしたくないね。…いや、逆の思考で行くと『アリ』なのか…?」エムゥ

 

「ふふっ!すごいでしょ!…ってアレ?」

 

そうして自分の指差した先を見てあんぐりと口を開けながら目を見開いてしまい数秒の間停止してしまっていたが、すぐに頬に紅が差し、腕をブンブン振りながらもあわあわと弁明を始める。

それに釣られて後ろで結ばれている髪もブンブンと揺れていて、それによって起こった風はツァイトの頬にも届いた。

 

わ、わぁー!!違うよ!?私はこの水筒で他の人を叩くことはないよ!?使ってたのはこの盾!!本当だよ!?」

 

「アッハハ!!ユメちゃんはこの水筒でここら辺の治安を守ってるんだね!」

 

「ひぃん……違うよ…」

 

「アッハッハハ!ちょっと意地悪しすぎたかな?」

 

(それにしてもこの子水筒じゃなくて盾って言ってたけど…盾では殴ってるってことだよね……あんまり変わらなくない?)

 

「…ひぃん…」

 

「あ、それしか言わなくなっちゃったね。アッハハ!………‥ふぅ」

 

一通り笑い終えて、ユメの涙目がついに溢れ出す直前で強引に一区切り話が終わらせたツァイトはそれまでの軽薄そうな笑みを消し、いかにも真面目な顔に切り替える。

ユメはそこから空気が変わったと察知し、袖で涙を拭ってすぐさま真面目な顔になった。

 

「…話は変わるんだけどさ、ユメちゃん。僕がここにきた理由はある探し物をするためなんだ。

キミは…アリウス自治区ってとこは知ってるかな?」

 

「ん〜…私は聞いたことがないかなぁ…そもそもここ…『アビドス自治区』じゃ他の自治区の話とかも全然入ってこないから…」

 

「そっか…まあ仕方がないか。それに確かに僕が落ちてくる時に見たのも広い砂漠だったし…もしかしてこの砂も?」

 

そう言いツァイトは自分の手を置いて座っている盾の外側から一掬いの砂を持ち上げ、サラサラと下に落とした。

 

「知らなかったの?ここはねアビドス砂漠って言って、ひろ〜い砂漠なんだよ!昔は今みたいに砂だけじゃなくてオアシスとか緑も結構あったみたいなんだけど…こんなになっちゃった!」

 

「それは…残念だね。そんなに栄えていた時代があったなら今からでも復興できると思うけどなぁ……僕も力を貸すのに」

 

「しょうがないよ。ツァイト君だって優先したいことがあるんでしょ?それならこんな場所にいるんじゃなくて自分で探しに行った方がいいよ!応援してるね!」

 

そう言ってニパーと笑いながら自分を応援してくれるユメの底抜けの明るさと優しさに前世今世アッチの世界を含めても本当に久方ぶりに涙腺が緩む気がした。

しかしそこまで応援してもらっているのであれば自分も情けない姿を見せるべきではない、とあえて気丈に面白おかしく振る舞うことができるのは流石の名役者というべきだろうか。

 

アッハは今頃星海でツァイトのチャンネルを覗いては宇宙に笑い声を響かせていることであろう。

 

「…ハハッ、勿論さ!キミにも背中を押してもらったからには流石の僕も芯を通さなきゃいけないね。…じゃあね、ユメちゃん。少しの時間しか話してないけど、僕としてはとても楽しかったよ!また会えたらいいね」

 

そう言い座っていた時に体についた砂を落としながら立ち上がりユメへの感謝の言葉を述べる。

 

「じゃあそろそろ本格的にあの子達を探し始めようか…」

 

そうしてから、アリウスたちの居る場所を探すために虚数エネルギーを操りキヴォトス中に撒くことで捜索を始めようとしたが

 

「……ガフッ、ん?…何?どうして力が使えない?」

 

「つ、ツァイト君!?口から血が出てるよ!?大丈夫!?」

 

「なんでだ?どうして。なぜ?もしかしてあの時にあの追突魔*3にぶつかられてこの世界を守った時?

いや、だとしてもそのくらいで僕の力が尽きることはないはず…だけど実際には尽きている。

どうして?あの時に少し浮いたから?…もしそうだった浮いたのは僕の責任…彼女を責める筋合いなんてない。

…まぁこれじゃ地道にあの子たちの居場所を探すしかないよね、仕方がないさッ……」

 

そのようにして自身の力が使えなくなっていることに対しての軽い分析と今後の展望を決めようとしていたところ、ついに彼の体は繰り返して行われた自身の枯渇しているエネルギーを引き出したことにより発生した吐血、めまい、吐き気、網膜からの出血の症状によって側から見ていたユメからしても上半身の血が赤く照り映えており明確に重症であった。

 

「?……!ツァイト君!流石に顔色が悪すぎるよ!?…本当に大丈夫!?ツァイト君?ツァイト君!

 

(ごめんね…ミサキちゃんたち…)

 

そうして最後まで、ツァイトの段々と黒ずんでいく視界に映っていたのは目の前の少女の頭上に戴いている太陽を模しているヘイローだけであった。

 

 

 

アッハ!

 

 

 

「……ん…ここは?」

 

次にツァイトが目を開いた時には自身の体はすでに黄色い暴力的な熱砂の上ではなく窓から吹いてくる風によって涼しく、外の砂の光によって電球が要らないほど明るい少し埃を被った清潔な屋内にいるようであった。

棚には数々の薬品が置いてあることからも治療などが目的とされた部屋だとわかる。

目覚めたにも関わらず軋む体に鞭打って横たわっているベットから背中を離す。

 

「うっ、…流石に無茶しすぎたかな、もう身体中がギシギシ言っているのが聞こえてくるみたいだよ」トホホ

 

そのように悲しげにおちゃらけるような声を出してはいるが実際その目に浮かぶ、かの少女たちへの執着、責任感は微塵たりとも曇ってはいない。

 

「それにしても、今の僕じゃこのキヴォトスでぶっちぎりで強いってわけじゃないしなんなら別に強くもないらしいね…あの子達の捜索も早くしなきゃならないのに…ごめんねサオリちゃん達

 

ガラガラッ!!

 

突如としてツァイトがぼやいていたところにシリアスブレイカーYUMEが突入してきた

 

「!っビックリしたなぁ…ユメちゃんか、どうかしたのかい?」

 

そこまで一人でツァイトが呟いていると突如ガラガラッ!と音を立てながら部屋の扉が勢いよく開け放たれ、そこには肩で息をしながらその丸目を一層うるませて額についた髪と汗を拭っているユメがいた。

彼女はツァイトの質問に答えることはなくただただ彼女の持っていた緊張感から解放された安心感と目の前でいきなり倒れてしまったツァイトへの思いやりだけが伺える。

 

「ツァイト君!?起きた…の…?」ゼハーゼハー

 

そうしてツァイトがぼやいていたところにシリアスブレイカーYUMEが突入してきた。

 

「あっ、ユメちゃん。…や、やっほ〜〜…?僕の見舞いに来てくれるなんてキミやっぱり純粋すぎr…いや、そこがキミのいい所でもあるからね。

ほら、どうぞどうぞ座って…僕はまだフラつくけど会話くらいは出来るからね。ちょうど話し相手を探してた所だよ」

 

最初は扉の近くにいた彼女は今や自分の寝ているベットの枕元まで近づいてきていたがツァイトはそれを拒絶するはずもなく、ベットの周りに無造作に重ねられている椅子を彼女に勧めた。

そうして隣の椅子に座りながら今にも飛びついてきそうな勢いで乗り出してきている彼女の口からは心に溜められていた言葉が流れ出てきた。

 

「うわぁぁん!…ツァイト君!?起きたんだね!良かった〜〜…いきなり口から血は吐くし、目から血がたくさん垂れてたし…怖か゛ったよ゛ぉぉぉぉ!ぐすっ、でも……目が覚めて良かったねぇ!」

 

…いうほどブレイクしてるか?

 

いや、してるでしょ。僕ですらあの子の顔を見ただけで多少安心するぐらいだからね

 

……そ、そっか。ちなみに…ここナレーションだよ?

 

「うん、ありがとね?運んできてくれて。ユメちゃんも休んだらどうだい?僕を運んできたんだし疲れているよね。っていうか、どうやって僕が起きたのがわかったのかな?」

 

そのようなツァイトの問いにも少し目尻に溜まったいる涙を拭いながらもユメは答える。

 

「ありがとうね、でも大丈夫!ツァイト君を運んでくる時は私の盾の上に乗せて砂の上を滑らせたから全然疲れなかったよ。どう?賢いでしょ!」フンス

 

「その考えは僕には思いつかなかったなぁ…ユメちゃんのおかげで背中がやけにジャリジャリする理由もわかったよ」

 

「…それは、ごめんね…?

あっ!あとツァイト君が起きたのがわかったのは普通にパトロールしてたアビドス市街地からこの『アビドス高校本校舎』を見た時に起きてるのが見えたからすぐ走ってきただけだよ!」

 

「…へ、へぇ〜〜そうなんだ…」

 

ユメちゃんを怒らせるのはやめておこう。そう心に誓いを立てていたツァイトであったが、ふと彼女の発言に疑問を持った。

 

「…ここってユメちゃんの学校の校舎?」

 

「うん!そうだよ!」

 

「…他の生徒の子達は…?居ないみたいだけど」

 

「全員、私を生徒会長の席に推薦したらやめて他の学校に行っちゃった…」

 

そう少し寂しそうに言うユメに対して、ツァイトはこのような質問をしてしまったことを後悔していた。

 

「…それは、気の毒だね…」

 

「でも大丈夫!私一人でもやっていけるようにここともう一つの校舎以外はもう使ってないよ。そのせいでそこにヘルメット団が入ってきたりすることもあるんだけどね…」

 

「なんか全体的にユメちゃんって受難体質なのかな…?少しは手伝いくらいしたくなってきたよ」

 

そこまで言うとツァイトは何か閃いたようにピコーンと少し疲れてきてまるまり始めていた背を伸ばした。

 

「そうだ!僕はキミに助けられたんだし、僕も何かキミに返さないといけないからね。それがいい。

そうなったら早速キミに質問しよう!今の病弱、凡夫、役立たずの僕に手伝えること、やってほしいことは何かあるかい?なんでもいいさ!」

 

そのように普通の人であればその欲望、自分のことについて考えるであろうツァイトの発言に対しユメはあいも変わらず他人のことを心配するだけであった。

 

「もう!…そんなに自分のことを悪く言わないで?

ツァイト君だっていいところはいっぱいあるんだよ!?まずは礼儀正しいし、責任感が強いし、面白いし、あとは……あとは……」

 

そう言って一つずつ指折り数えながら、ツァイトの良いところをあげようとしたユメだが折っていく指は両手にも及ばず片手に収まってしまってしまい、バツが悪そうに苦笑いを浮かべた。

 

「…よくよく考えたら私たちまだ会って1日も経ってないや!」

 

その通りである。いくらユメが人と親しくなることに長けていたとしても、ツァイトが人と打ち解けることができようとそうするには総じて時間が必要である。

 

「う〜〜ん…その気持ちはありがたいけど、実際手伝ってもらうことは……」

 

うんうん唸って悩んだ末、断りを入れようとしていたユメであったがとある妙案が思いついたのか眉を顰め目を薄くしていた顔からいかにもインテリ風なゴル○13のような顔へと変貌した。

 

「…ツァイト君、…本っ当に、本っっ当に!無理がないっていうか、やりたかったらでいいんだけど…」

 

そこまで言うとユメは本当に言ってもいいのかまたもや悩んだ顔に戻ってしまった。

 

「え?そこで止めちゃうの!?ちょっと本当に何をお願いされるのか怖くなってきたよ!?」

(これで世界征服とか頼まれたら流石に断らなきゃいけないけど…恩も返したいし…)

 

とそのように外面でも内心でも騒いでいるツァイトを無視してついに決心がついたのか、意を決したように口をひらく。

 

「…あなたに…ツァイト君に!アビドス生になって欲しいんです!」

 

わーお。

これは予想外…ツァイトの思考は予想外の要望に対して一時停止のサインが出ている。

 

「……わーお」

 

声に出ちゃってるよ

 

「あっ!いや別に無理して入ったりしなくてもいいよ!?あくまでも!あくまでも提案だからね!?」

 

そのようにあたふたと弁明するユメをよそにツァイトは一時停止が解除されたあと少しの間考え込む。

 

(アビドス生になる…悪くはない。でも僕はいちごミルク(連邦生徒会長)ちゃんによるとキヴォトス中で指名手配されてるみたいだし、迷惑をかけるわけにはいかない…)

 

(だけど正直言ってこの体だととてもじゃないけどアリウスの子達を探しに行くのは難しい…いっそここら辺でちゃんとしたキヴォトスの中での居場所を確保しておこうかな?…うん、それがいい気がしてきたね)

 

そのようにしてツァイトは一人で納得すると一人であっち側を向きながらペラペラとツァイトへの説得…?を試みているユメの方へと向き直った。

 

「ねえ、ユメちゃん」

 

「今ならこの校舎の教室を5個…いや!15個あげるからよ!?お得だよ!

でどうしたのツァイト君?」

 

ユメからの反応を聞いたツァイトは突然ユメの眼前へと近づいていき、お互いの鼻先が当たりそうになったところで止まった。

 

「ユメちゃんはさ、この『顔』に見覚えはある?」

 

「う〜〜ん…ないかな、けどいきなりどうしたの?」

 

ユメの方もそう質問されてまた、まじまじと見入るがどうやら彼女の脳内画像フォルダに見覚えはないようで断念していた。

 

…この光景、側から見ると素晴らしい…。

顔の良い男女が仲睦まじそうに顔を近づけている…実に好ましいことである。

しかし!この二人なんと!

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!

嘘みたいだろ?本当だ。…この二人純情すぎないか?

 

閑話休題

 

ツァイトはユメからの「見覚えがない」と言われたことで一安心し先ほどと同じ体制に戻った。

 

「ふぅ…それなら、僕はアビドス生になるよ」

 

「やっぱりダメだよn……えっ?ほんと?!」

 

ユメは本当に了承の返事が来るとは思っていなかったようで、パチパチと目を瞬かせている。

 

「〜〜!やったぁ!!私の初めて後輩だー!」

 

よほど嬉しかったのかユメは座っていた椅子から飛び上がって跳ねて喜んでいる。

ツァイトとしては非常に目の保養として高評価であったが彼女の発言に疑問を持った。

 

「ん?ユメちゃんって3年生なの?」

 

「いや、2年生だよ?でも先に入学してたのは私だからね!私が先輩だよ!いや〜嬉しいなぁ!私が先輩…ふふっ」

 

そこまでして先輩ムーブがしたいのか。しかし誇らしそうに胸を張るユメを見ているとそのようにツッコミを入れようとしていたツァイトも諦めていた。

 

「…まあ、それでいいや。じゃ、これからよろしくね?ユ〜メちゃんっ♪」

 

「よろしくね!ツァイト君も!…まあこのあとは入学とかの手続きがあるんだけど……否っ!今、私たちは契約よりも親交を深めることが大事だからね。それじゃ、」

 

ぐうぅ〜

 

その満たされていないと不服そうな声をあげるツァイトの腹だがユメはこれを見てにっこりと笑った。

 

「…ツァイト君もお腹が空いてたみたいだしちょうどいいね!今からこのアビドスの名物ラーメン屋さんに行くよ!」

 

「勿論トッピングは?」

 

「チャーシュー!!」「お米!!」

 

「あっ、そういえば。今、僕歩くのもそこそこ辛いんだけどどうやって行ったらいいかな?」

 

「大丈夫!私が校舎まで運んできた時みたいに盾に乗せて滑らせていけばいいよ!」

 

「天才かな?」

 

「じゃあ行くよ〜!準備はいい〜?」

 

「イエ〜イ!服が欲しいYO!」

 

「そういえばそうだったね…一応アビドスの制服だけは貰っとく?」

 

「そうするよ。しなかったら街に出た時点で僕がユメちゃんのパトロールの対象になっちゃうしね」

 

そうしてアビドス高校のボケ担当×2の初対面は終わった。将来この学校に訪れるピンク髪の生徒には苦労をかけることになるであろう。

*1
答:筆者がそういうキャラが結構好きだから。足なめ先生とか

*2
某極彩色:私がやりました

*3
色彩さん:(ピース)




ツァイト:ここのアベンチュリンは借金持ち!…原作も奴隷だったし別にそんな違わないな?
虚数エネルギー枯渇+無理やり捻り出す+それを我慢できてしまう執念のせいでそこそこやばかった。
今までの命の危機度は
帝弓の矢、おかわり!>>>>>>>今回>>(越えられない壁)>>砂漠墜落>>>>>色彩追突 の順です。妥当

ユメ:介抱した人。作者は虚構歴史学者なので結構設定を入れている。
ゴリラ遺伝子が入ってそう((脳筋
パトロールに銃持っていかないのキヴォトスだと裸で外歩いてるみたいなものじゃないの?
つまり…

次回は柴のオヤジのラーメン屋スタートだっ!

ちなみにこの小説ではあと”一人だけ”使令級への覚醒が起こります。
ブルアカかもしれないしスタレの方かもしれない…楽しみにしててね
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