Sword Art Online Brave 作:短号司令官
コウタ、久しぶりだな。元気にしているか?
私は今宇宙警備隊の本部からの命令を受けて、休暇で別の宇宙にやって来ている。
なんでこっちに来ないのかって?それはファイバードに迷惑をかけてしまうかもしれない…と上から言われたからだ。すまない
それで私の今いる地球だが、君のいる地球より少し先の未来だそうだ。
こっちの宇宙にはガイスターの悪党や我々宇宙警備隊も存在しない、だが地球は侵略者の手が及んでいない平和な星だ。
だが人間社会そのものも平和とは限らなかった。
この地球に着いてすぐ、多くの人間達がゲームの中に閉じ込められる事件が起きた。そのゲームの中で死ぬと現実でも死んでしまう。
そんな光景を黙って私は見るつもりは無かった、だから休暇と言いつつ私は自らの判断でそのゲーム中に飛び込んだ。
そして私は今………
浮遊城アインクラッド 第22層 南西エリア
魔法や科学の無くともファンタジー要素の強いこのSAOに置いて、この静かな森の中に見るからに異質とも呼べる物体が静かに鎮座していた。
白と赤を基調とする車体に大きく付けられた青いフロントガラスのスポーツカーがそこにあった。
「よっ来たぜ、エクスカイザー」
スポーツカーの前に現れた少年はそれを《エクスカイザー》と呼ぶとリトラクタブルライトが持ち上がって点滅し、声が聞こえた。
『来てくれたようだな、和人』
「相変わらずアンタはその呼び方だよな…やっぱり《キリト》っては呼べない?」
エクスカイザー「すまない。どうも私はそう言う呼び方をするとなると、少し気が引けてしまうんだ」
キリト「そう言うなら、無理にとは言わないよ」
エクスカイザー「ところで和人、私の事はいつまで
キリト「アスナには……その……」
アスナとはキリトと現在婚姻関係(ゲームシステム上)にある少女の事なのだが、他のプレイヤーは勿論彼女にもエクスカイザーの存在は知られていない。
キリト「……やっぱり難しいな……」
エクスカイザー「そうか……だがいずれ私も彼女も互いの事を知る日は来るさ。それで……今日は何か伝える事があって来たんじゃないか?」
そう言われて彼は一瞬ハッとした表情を浮かべてすぐに気まずそうな顔になった。
キリト「アンタにはお見通しってか……実はまた前線に戻る事になるんだ…」
エクスカイザー「もう戻るのか?まだ2週間しか経っていないぞ」
キリト「アスナの……KoBのギルドマスターからの連絡が来たんだ」
エクスカイザー「そうか……和人、君と出会って大分経ったな」
キリト「あぁ、2年前だったっけ?第5層のボスモンスターを倒した後、ソロでクエストやっててモンスターに襲われてヤバかった俺をアンタが助けてくれたな」
エクスカイザー「そうだったな。初めて私を見た君の顔は今でも鮮明に残っている」
キリト「そりゃあ驚くに決まってるだろ?何せロボットがこの世界に居るなんて思いもしないし」
2年間、長いようで短い間ではあったが確かに色々あった。
キリト「特にアンタを隠すのに必死こいたよ…」
エクスカイザー「それについてはすまないと思っている。だが和人、このゲームをクリアするまでにもう後半分もない。気を引き締めていくぞ」
キリト「あぁ!」
そう2人が約束を交わした数日後、事態は思わぬ方向へと動くのだった。
エクスカイザー「なんという事だ………」
彼は今75層の迷宮区の近くに身を潜めていた。
キリトからは待つように言われていたが、彼を通して聞こえる話の内容を聞いて驚きを隠せないでいた。
彼のパートナーであるアスナの所属するギルド「血盟騎士団」のギルドマスターことヒースクリフが彼らをこの世界に閉じ込めた『茅場晶彦』だと言うことを聞いたからだ。
エクスカイザー「どうする……動くべきなのか……?」
彼にとってこの事態はまたとない絶好の機会、だが話には続きがありキリトが彼とデュエルを今まさにしようとしていたのだ。
だがゲームのシステム上勝負に負ければ彼の死を意味する事になる、逆に勝っても茅場の死を意味している事にエクスカイザーは苦悩していた。
エクスカイザー「私は……私はどうすれば……」
ここまで彼と協力して出来る限りの人々は助けて来た、しかし自分の仲間が死ぬかもしれないという状況で彼はもはや待つことはできなかった。
エクスカイザー「許せ……和人!」
覚悟を決めた彼はギアをニュートラルに入れてアクセルを全開にすると物陰から飛び出すと周囲の目があろうと構わずそのまま迷宮区の奥へと突っ走って行った。
二刀流スキル奥義《ジ・イクリプス》
これを放ってしまったら最期、自身の身体は硬直でしばらく動けなくなる。そんな事は分かっていた、分かっていた筈なのに使ってしまった。
感情の昂りが判断力を失わせ、自分をそうさせたという事は容易に分かった。
目の前の茅場は勝利を確信したかのように笑みを浮かべて、刀身をキリトへと振りかざした。
茅場「さらばだ、キリト君」
アスナ「やめてぇぇぇぇぇ‼︎」
アスナの必死の叫びがキリトの耳に入る。
一撃を受けるまでの僅かな瞬間、彼の脳裏に再び仲間達への想いが駆け巡った。
ーーアスナ、ごめん。君だけでも無事にーー
死を悟ったその時だった。
本来聞こえる筈のない機械の駆動音、タイヤが地面に擦れて響く高音が聞こえた。
部屋の入り口の方から二つの光点と共に
白い流線型の車体に青いフロントガラスのスポーツカーを見た麻痺状態にある他のプレイヤー達は視界に入るまで気が付かなかったが、さらにそこから彼らを驚かせる展開へと発展した。
現れたスポーツカーが突然各部を変化させ、それがロボットになった瞬間その場に居た全員が目を見開いて驚く。
エクスカイザー「チェンジ!エクスカイザー‼︎」
キリト「エクス……カイザー……⁉︎」
突然の彼の乱入に思わず名前を呼んだキリトだったが、逆に彼は今キリトが危機的状況にいるという事を判断するや否やここでも強行手段に出た。
エクスカイザー「ッ!ジェットブーメラン‼︎」
両者の間に割って入るよう射出するが、すんでのところを茅場には避けられ逆に余波でキリトが吹き飛ぶ。
しかし着地と同時に彼をキャッチした事でキリトは無事だった。
エクスカイザー「大丈夫か⁉︎」
キリト「ありがとう……エクスカイザー……でも身体が…ソードスキルの影響で……硬直して………」
エクスカイザー「そうか、なら大丈夫だな。彼らは⁈」
視線をアスナ達に向けながら聞くエクスカイザーにどうにかキリトは答える。
キリト「皆は…麻痺状態で…」
エクスカイザー「分かった。あとは私に任せろ」
彼を無事に下ろしたエクスカイザーはその怒りに満ちた眼差しを倒すべき相手の方へと向けた。
エクスカイザー「茅場晶彦!娯楽を利用して罪なき人々を捉え、その命を弄ぶなど、このエクスカイザーが許さん‼︎」
そう言われて改めてエクスカイザーを凝視する茅場は何かを察したのか静かに口を開いた。
茅場「なるほど…2年間気になっていた消せないバグの正体は君か」
キリト「消せない…バグ…?」
茅場「ゲームが始まって以降、プレイヤーの中に《ナーヴギア》を使用せず直接この世界に入り込んだバグ……それは君だな?」
エクスカイザー「そうだ。私はこの地球の、この世界の生命体ではない。君達人間に分かりやすく言うなら宇宙人だ」
茅場「結構。それでその君は私をどうするのかね?」
キリトには分かっていた。
エクスカイザーは基本的に悪人は憎んでもその命までは奪おうとはしない
性格である事を。
目の前の彼を倒す、つまりは殺さなくては自分達が解放されないこのゲームとは相性が悪い事を。
エクスカイザー「……私は本来であれば罪人に手を下すような真似はしたくはない……だが!彼らが再び元の、外の世界で本当の《生》を謳歌できるのなら私は貴様をここで倒す!」
茅場「……よかろう」
キリト「エクスカイザー…!」
エクスカイザー「すまん和人、できればやりたくはなかったが君達の為だ。キングローダーッ‼︎」
彼にそう一言だけ言うと異次元に稲妻を走らせて、何処からともなく白い大型の支援メカを召喚する。
エクスカイザー「貴様に連続技など不要!私は一撃で貴様を倒す!」
空中でハッチを開いて待機するキングローダーに格納され、最後にライオンのパーツが胸部に浮かび上がり口部のマスクを閉じると同時に瞳に緑の光が宿った。
「巨大合体ッ‼︎キングエクスカイザー‼︎」
クライン「ヤベェ……俺一生分の運使い果たしたかも……」
エギル「俺もだ…」
男にとってロボットの《合体》というのはある種の儀式に近く、誰しも見入ってしまうのだがこの場で麻痺状態にあるプレイヤー達は目を輝かせてその一部始終を見ていた。
茅場「ほぉ…随分と格好の良いものだな」
エクスカイザー「言いたい事はそれだけか?覚悟しろ!カイザーソォード‼︎」
会話も殆どする気が無いのか、最低限の言葉だけを交わしたエクスカイザーは右脚より収納していた剣を取り出して構える。
同時に獅子の口から発された炎を刀身に纏わせるのを見た茅場は盾を構えるがそれは逆にエクスカイザーにとっては格好の的であった。
エクスカイザー「墓穴を掘ったな。カイザーフレイム‼︎」
茅場「⁉︎」
すると炎を纏った刀身を野球バットのように振るうと放たれた火球が衝突するのと同時に茅場の周りに赤い透明の膜を形成して彼を動けなくした。
茅場「こ…これは……⁉︎」
エクスカイザー「貴様に管理者としての権限があるにしても、それを発動させるにはコンソールを使う必要がある。それを使わせては面倒だから君の動きを封じさせてもらった!」
茅場「ッ‼︎」
そのまま飛び上がると今度はカイザーソードを掲げて十字の光を刀身から放ち始める。
エクスカイザー「これで終わりだッ‼︎サンダーフラッシュ‼︎」
しかし、光の刀身が命中する直前彼には茅場が一瞬ノイズに包まれて消えたように見えたが、直後には光剣は炸裂して爆発を起こした。
エクスカイザー「………」
キリト「終わった……のか…?」
目の前の現実を見て彼は思わずそう呟いた。直後、背中に何かぶつかったような衝撃が走った。
振り返るとアスナが涙ながらに抱きついていた。
キリト「アス…ナ」
アスナ「バカバカバカッ……ほんとよかった…キリト君……キリト君………!」
瞬時に自分が彼女に多大な不安を賭けた事を思い出したキリトは両手に握ってた剣を手放し、彼女を抱きしめた。
キリト「ごめん…アスナ でも俺ちゃんと生きてるよ」
アスナ「グスッ…ほんとよかった……キリト君…」
優しく抱擁を交わす2人が影が重なったのを感じで見上げるとエクスカイザーが静かに見守っていた。
キリト「ありがとう、エクスカイザー」
エクスカイザー「君達が無事ならそれで良い」
「おいキリト!」
視線を下げると目の前には何処から不満げな表情で彼を見ていたクラインがいた。
キリト「クライン…」
クライン「何が《クライン》だよ!このヤロウ!」
キリト「なっ⁉︎イテテテ!」
まだ上手く立ち上がれない事をいい事にクラインは彼の耳を摘んで無理矢理立たせながら文句を言っていた。
クライン「お前は無茶はするは、心配かけさせるは、おまけになんだよ⁉︎こんなにかっちょいい奴が一緒に居たなんて一言も聞いてねぇぞ⁉︎」
キリト「話す!話すから‼︎」
エクスカイザー「その辺にしてやってくれないか…?私が彼に秘密にするよう言っていたんだ。彼に責任はない」
そこからエクスカイザーはキリトに代わって自己紹介と同時にキリトとの関係やここまでの経緯について一から順を追って説明をした。
多少の不平不満は言われたが、彼の目に見えるカッコ良さがそれを帳消しにした。
エギル「まぁともかく頼もしい奴がキリトのそばに居たってのは分かったが……」
クライン「いつになったら終わるんだ…?これ……?」
それを言われてキリトやアスナを含めた一同が不安と疑問に駆られた表情で辺りを見回す。
エクスカイザー「皆、聞いてくれ。私が彼にトドメを刺そうとした時なんだが、実は少し違和感を感じてな…」
アスナ「違和感…ですか?」
エクスカイザー「あぁ攻撃が当たる直前、私の目には彼がノイズに包まれたように見えたんだ。それに当たった時も手応えが無かったような気がする……」
クライン「それって……アイツのブラフだったって事か?」
キリト「いや、茅場に限ったそれはないと思う。それにエクスカイザー程の奴が仕損じる筈もないし…」
アスナ「じゃあ一体何が…」
エクスカイザー「これは私の推測だが…彼の、管理者権限などに関するシステム側に何らかの異常が起きたのではないかと私は考えている」
アスナ「そ…それじゃあ…」
キリト「このゲームは……まだ続いている」
それを聞いた他のプレイヤー達にも動揺と絶望が広がる。
だがそれを見ていたエクスカイザーはこう言った。
エクスカイザー「確かに、君達にとってはまだ苦しい戦いは続くやもしれん。だが安心して欲しい、これからは私も君達と共に戦おう」
キリト「エクスカイザー⁉︎」
驚いたキリトは彼に顔を向けるとそれに応じてエクスカイザーも視線を下げてキリトを見る。
エクスカイザー「今まで影で人を助けていたとはいえ、君達のように最前線で戦う者を救うのは難しかった。だからせめて…今更かもしれんがこれ以上の犠牲を少なくする為にも……」
キリト「エクスカイザー……」
クライン「……いいぜ!アンタみてぇなのがいると俺たちも心強いってもんよ!」
「あぁ勿論だ!」
「俺もだ!」
彼らも口々にエクスカイザーの参戦に賛成する声が上がるのを見てエクスカイザーは改めて礼を言った。
エクスカイザー「すまない…そして、ありがとう…!」
こうして、攻略組に《エクスカイザー》という絶大な強さを持つ勇者が加わったのであった。
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