トリッカルの世界に転生した一般妖精転生者 作:匿名
目が覚めた瞬間、見慣れない景色が目に飛び込んできた。
写真でしか見たことないような青々とした広大な草原である。
柔らかな緑の草が風に揺れ、遠くまで続く地平線が青空に溶け込んでいる。
空気は澄んでいて、かすかな花の香りが鼻をくすぐる。
さっきまで、自分の部屋でベッドに寝転がりながらスマホをいじっていたはずだ。ネットサーフィンに没頭し、眠気に負けて目を閉じた記憶が鮮明に残っている。
「ここは……どこだ?」
俺は体を起こし、周囲を見回した。夢か? そう思って頰を軽くつねってみる。
痛みが走り、頰を撫でる風の感触が肌に染み込む。
冷たくて、リアルだ。
夢なんかじゃない。これは現実。
だが、明らかに知っている世界じゃない。
視線を遠くに移すと、地平線の向こうに、巨大な影がそびえ立っている。
ビルよりも大きい、いや、まるで山のような大木だ。
幹は太く、枝葉が空を覆うほど広がっている。あれは……地球の木じゃない。
少なくとも、日本で見るものじゃない。
もしかして、ここは地球じゃないのか?心臓が早鐘のように鳴り始める。
パニックを抑え、手がかりを探そうと辺りを見回した。
草原は静かで、虫の声すら聞こえない。
ただ、遠くから何かが近づいてくる気配がした。
地面が微かに振動する。
足音? いや、もっと重いものだ。振り向くと、そこにいたのは巨人だった。一人? いや、一体? 人間の形をしているが、身長は軽く2メートルは超えているように見える。肌は木の樹皮のようにごつごつしていて、頭には枝のような角が生えている。恐ろしい怪物かと思ったが、近づいてくるその姿に、どこか見覚えがあった。
「妖精がこんなところにいるのは珍しいね この辺りは気性の荒い精霊しかいないはずだよ」
声が響いた。
濁音混じりのような変わった声、理性を感じさせる内容だが、発音が荒っぽい。
待てよ、これ……知ってる。ゲーム『トリッカル』に出てくる、樹木の精霊ビッグウッドじゃないか。
ビッグウッドがゆっくりと近づいてくる。私の前に立つと、大きく見上げなければならなかった。
あれ? ビッグウッドってこんなに大きかったか?自分の身長の倍以上ある。
そこでふと視線を下げて、自分の手元を見てみる。そこにあったのは……指が4本しかない手。
「え……?」
指が欠損しているわけでもなく、まるで初めから4本しかないかのような手、少なくとも人間の手じゃない。慌てて体全体を確かめる。足も、腕も、すべてが違う。手足が短く3頭身程度しかない、そしてほっぺがぷにぷにだ…
ビッグウッドが再び口を開く。
「オマエ、ミタコトナイヨウセイダナ。コノグラスランドハ、セイレイノテリトリー。マヨウトヤバイゾ。ドコカラキタンダ?」
言葉が頭に響く。ゲームの知識がよみがえる。トリッカルは異世界であるエーリアスを舞台にしたゲームだ。
巨大な大木、おそらくは世界樹、そして今目の前にいる樹木の精霊……すべてが一致する。
「もしかして……トリッカルの世界に転生しちゃったってこと!?」
声に出して言ってみる。自分の声が高くて、鈴のような響きだ。
興奮と恐怖が混じり合う。どうしてこんなことに? さっきまで普通の生活を送っていたのに。
事故? いや、覚えがない。ただ眠っただけだ。もしかして、ゲームのファンだったから? いや、そんなバカな。ビッグウッドが首を傾げる。
「トリッカル? それは何? 変なやつだね。まあ 道に迷ってるなら、まずは安全なところに案内するからついてきなよ」
彼女(?)はそう言って、ゆっくりと歩き始める。私は迷ったが、従うしかない。ここは知らない世界。ゲームの知識が唯一の手がかりだ。
巨大な大木の方へ向かうのか? あれはきっと、世界樹の根元。おそらく妖精たちが住むエルフィンランドだ。草原を歩きながら、風が再び頰を撫でる。現実だ。
転生したんだ。新しい人生の始まり? それとも、悪夢の続き? いずれにせよ、生き延びなければ。指が4本の手を握りしめ、私はビッグウッドの後を追った。
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初めて小説を書きました。キャラクターの口調を真似するのって難しい…