配信開始はまだ先になりそう…
緋色に染まる空。月が落ちてきていると見紛うほどの巨体さえ倒せば、漸く全てが終わる。
人類の、勝利として。
「最後の大仕事、だよ。」
「はい、最後までやり遂げましょう。
それが、私たち二人に全てを託してくれた、人々への返礼です。死ぬかもしれませんが、リア、あなたとならば、構いません。」
「…そう。」
既に緊張などは存在しない。
唯一あるのは、
二人で並んで歌を歌い、空を翔ける。
身に纏う装備などここまでの戦いでほとんど使い物にならない。煤にまみれ、所々破損している金剛鋼製の防具。
世界一硬い金属だなんて言われているけれど、そんな金属もこの化け物…
それはそうだ。人類が加工できる程度の金属なのだから。
手に持つ武器は、人類を見限った世界が10本だけ残した、人類最高の武器すら通さぬ
既に神剣の数はわたしと相方のレリス・ディーヴァの持っている2本しか残されてはいない。つまり、わたし達が負けたら人類の敗北は確定ということだ。
ただまぁ、人類の存続とか、わたしが生き残ることとか、そんなのには興味ない。いや、生き残れるならばそれが一番いいが、そうはいかないのはわかってるから、生き残ろうだなんて考えない。
わたしの中で一番大切なのは、
でもレリス、あなたには、ないだろう?
人類に求められているから。
そんな理由だと思う。人類のこととか、そう作られたからとか、そんなのはどうでもいい。
わたしが願うのは、ただ、
だから、ごめんね。
「ねぇ、レリス。」
「はい、なんですか、リア?」
「…ごめんね、レリスは、死んじゃだめだから。」
「は…な、にを…!?リア!!!
あなた、いいえ!お前は!!何を!しているの!?!」
「ごめんね。」
「謝罪なんて聞いてない!
一体どういうつもり!?」
わたしは、
今回の戦いに来る前に、過去一番大きなライブを開き、わたし達二人の力はこれまでに類を見ないレベルまで引き上げられている。
だけど、ギリギリだ。
防具はほとんど大破。わたし達二人の体力も限界に近い。このまま二人で最終戦に臨んだら、勝てるとは思う。
けれど、それまで。その後は多分、ここで倒れ伏してくたばる。そんな予感がある。
「レリス、約束を破って、ごめんね。
二人で青空を取り戻して、ライブをしようって…
それが無理でも、死ぬなら二人一緒、って。」
「いいえ!約束は守らせます!!
もしあなたが死ぬなら!!私は自殺します!!!
二人で生きるために!一緒に戦うんです!」
「…自殺は、ダメ。
わたしはね、何度か言っていたけど、前世と含めたらもう40年は生きてるの。レリスは、まだ15年。死ぬには早いよ。」
空を翔けるにも
だから、レリスはゆっくりと墜ちていく。一気に落下しないのは、わたしが風を操ってゆっくり下ろしてるから。
「死ぬには早いなんて知りません!!
私は、あなたが…リアが居ないと!!」
「ううん。
レリスは、一人でも生きていける。だから、バイバイ。」
「ダメです!無理です!!リアの居ない世界で独りで生きるなんて!!
聞いて!聞け!!リア!!リアぁ!!!!」
…これ以上、レリスと話していたら決意が鈍る。
どうせ15年前に一度死んだ命だ。二度目は華やかに誰かを守って散るのもいいじゃないか。
大切な人を守るついでに、世界も救ってあげるよ。
だから、
行くよ、
「《わたしの命、わたしの存在。全てをもって、世界に希う。我が意に従い、眼前に顕現せよ。》アーテル。
本当にごめんね、レリス。生きて。」
「リア!リア!!!!」
わたしとレリス、二人分の
わたしが魔法を使った直後、眼前に存在した天高く存在する怪物を起点として、大爆発が起こる。
大体、半径3km程をそこの見えない大穴に変え、更に広い範囲を更地にする程の大破壊。
爆発の後に残るのは、たった一人の少女だけ。
その他の存在は、塵も残らず消滅した。怪物を切り裂く神剣も、人類を滅ぼす為にこの星が作り出した怪物も、この爆発を起こした、全ての希望と願いを背負い、一人の大切な少女のために命を擲った少女も。
「あ…ぁ…?
リ、ア…?う、うそ、ですよね…?
どこ、居るの…?まさか、ほんとに…?
ぐすっ…ぅうぁ、あ"あ"あ"あ"!!!!!!」
一人、爆発から守られ更地になった地面に残された少女の慟哭が、段々青くなっていく空に響いていた。
「絶対に、認めない」
「待っていて、下さいね。必ず見つけ出しますから…リア。」
そしてわたしは、リア・ディーヴァは、二度目の転生をする。
書いてて思ったけど、これヤンデレタグ必要になるかもしれない…?
ちなみに。
作中で説明するかは未定ですが、リアとレリスは二人とも神剣に適応するように作られた存在。
そのためファミリーネームが一緒。
ん?人を作るなんて人としてどうなのかって?
人類滅亡するのに比べたらマシでしょ(知らんけど)