これはアバターの世界の1人の男の人間とナヴィの年若い女ハンターの物語

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アバターが好きすぎて、こんなものにも手を出してしまった泣
たぶん、誰も読まないけど、自己満足笑


出会い

 

RDA施設の奥深く、分厚い鋼鉄の扉で閉ざされた取調室に、鈍い殴打音が何度も反響していた。

無機質な壁にぶつかっては跳ね返るその音は、まるで部屋そのものが悲鳴を上げているかのように、低く重く空気を震わせている。

その部屋の空気は息苦しさを感じた。

なぜなら、その部屋の空気は、人間が必要なものと、人間ではない生物が必要なものをギリギリで混ぜているからだ。

 

「オラ!さっさと!奴の隠れ家の!場所を!吐け!俺達の言葉は分かるんだろが!!」

 

怒号とともに振り下ろされる軍用バトンが、鎖に繋がれた青い身体を打ち据える。

衝撃のたびに、床に固定された鎖がじゃらりと不吉な音を立て、拘束された生物の巨躯が小さく揺れた。

 

殴打を加えている男――大尉は、荒い呼吸を繰り返しながら手にしたバトンを見下ろした。

金属製のそれは、既に不自然な角度に歪んでいる。

どれほどの力が、どれほどの怒りが叩き込まれたのかを、雄弁に物語っていた。

 

「チッ! おい上等兵!次のを寄越せ!」

 

苛立ちを隠そうともせず、曲がったバトンを室内の隅へ放り投げる。

乾いた金属音が床を滑り、壁にぶつかって止まった。

名を呼ばれた上等兵は、肩をびくりと震わせた。

部屋の片隅で見張りに立っていた彼は、ためらうように一歩踏み出す。

 

「で、ですが、大尉!これ以上やると死ぬ可能性があります!」

 

震える声での進言だった。

しかし大尉は鼻で笑い、意にも介さない様子で拘束された生物へと歩み寄る。

 

無造作に手を伸ばし、その“顎”を鷲掴みにして強引に顔を上げさせる。

青い肌を持つその生物――人間に似ながらも明らかに異質な存在は、猫のような瞳を鋭く吊り上げた。

 

「シャーー……! フゥ……フゥ……!」

 

低く湿った威嚇音が喉の奥から絞り出される。

牙を剥き、全身の筋肉を強張らせながら、必死に警戒の意思を示していた。

 

その反応を見て、大尉の口元がゆっくりと歪む。

 

「見てみろよ、上等兵。コイツはまだまだ元気だ。お楽しみはこれからだ……」

 

舌で唇を湿らせる仕草に、露骨な嗜虐の色が滲む。

その顔に本能的な嫌悪を覚えたのか、青い生物は必死に顔を逸らし、拘束された身体をよじって逃れようとした。

だが鎖は無情に動きを封じ、金属音だけが虚しく響く。

 

「おら、どこまで黙ってられるかな?」

 

大尉は床に転がった曲がったバトンを拾い上げ、再び振りかぶる。

上等兵は思わず叫んだ。

 

「大尉!!」

 

制止の声は切実だった。

しかし、その叫びが届くより早く――

 

不意に、室内スピーカーが甲高い起動音を鳴らし、無機質なアナウンスが流れ込んできた。

 

『これより、“パンドラ”偵察計画について、会議を始める。各部隊指揮官は速やかにB2会議室に集合されたし。繰り返す……』

 

振り上げられたバトンが、空中でぴたりと止まる。

大尉は露骨に舌打ちし、苛立たしげに腕を下ろした。

 

「……チッ」

 

興が削がれたと言わんばかりに背を向け、重い足取りで扉へ向かう。

そして、ノブに手をかけたところでふと立ち止まり、肩越しに振り返った。

 

「おい、エイリアン。また“明日”な」

 

冷たい宣告を残し、扉は油圧音とともに閉ざされる。

その瞬間、部屋に満ちていた暴力の気配がわずかに後退し、代わりに重苦しい静寂が落ちた。

 

取り残された上等兵は、数秒間動けずに立ち尽くしていたが、やがて意を決したように青い生物へ駆け寄る。

 

「大丈夫か?!……すまない。アイツを止めることができず」

 

鎖に縛られ、床に崩れ落ちていた巨体を支えるように抱き起こす。

間近で見るその姿は、二メートルを優に超える長身と、深い青の肌を持つ人型の存在だった。

打撲の痕が無数に刻まれ、呼吸は浅く速い。

それでも、その瞳には不思議な光が宿っていた。

 

生物はかすかに笑みを浮かべると、震える手を持ち上げ、上等兵の頬にそっと触れた。

その手は温かく、驚くほど穏やかだった。

 

「ワタシは、大丈夫。アナタは、自分のシンパイをシテ。ワタシをカバうと、アナタが危険にナル」

 

途切れ途切れの言葉。

息を切らしながら、それでも相手を気遣う声音だった。

上等兵の喉が詰まり、言葉が出ない。

 

目の前の存在は、自分よりもはるかに傷つき、痛みに耐えている。

それなのに案じているのは、自分の身の安全だった。

 

上等兵の視界が滲む。

拳を強く握りしめながら、彼はかすれた声で繰り返した。

 

「……すまない。すまない」

 

それ以上の言葉は見つからなかった。

取調室の冷たい空気の中で、謝罪だけが何度も零れ落ち、鎖の微かな揺れる音とともに、静かに消えていった。

 

上等兵は、無機質な通路を一人で歩いていた。

金属製の床を踏みしめるたびに、硬い足音が規則正しく響き、施設の奥へと吸い込まれていく。

頭上の白い照明は均一な光を落とし、影という影を消し去っていたが、それでも彼の胸の内に沈殿する重苦しさまでは照らし出せなかった。

 

ふと足を緩め、通路脇の強化ガラス越しに外を眺める。

 

そこに広がっているのは、地球では決して見ることのできない光景だった。

 

蒼い空に、巨大な岩塊が静かに浮かんでいる。

重力という常識を裏切るように漂う空中の島々は、まるで神話の世界の断片が現実に切り取られて貼り付けられたかのようだった。

その合間を、翼を広げた生物たちが悠然と滑空していく。

鳥とも、ドラゴンともつかないその姿は、力強さと優雅さを同時に備え、空そのものと一体化しているように見えた。

 

眼下には、どこまでも続く深い緑の森。

濃密な生命の気配が、ガラス越しでさえ伝わってくる気がした。

絡み合う枝葉、脈打つように息づく大地。

そこには、地球の都市で失われた原初の豊かさが、手つかずのまま息づいている。

 

上等兵は、この景色が好きだった。

 

胸元の酸素マスクに無意識に触れながら、叶うはずのない願望が心をよぎる。

これを外し、あの森を自由に駆け回れたなら。

あの青い肌の民――ナヴィのように、風を全身で受けながら大地を踏みしめられたなら。

そして、あのドラゴンのような飛翔生物の背にまたがり、空へと溶け込むことができたなら。

 

想像するだけで、胸の奥がわずかに熱を帯びた。

 

惑星パンドラ。

地球から4.37光年離れたこの星は、人類の常識を拒む異質な生態系を抱いていた。

そして何より、地球には存在しない鉱石――アンオブタニウム。

人類の飽くなきエネルギー需要を満たしうるその資源は、この星を単なる異世界から「獲得すべき対象」へと変えてしまった。

 

かつて人類は、その鉱石を手に入れるために武力を行使し、侵略と紙一重の強硬策に打って出た。

だが、勝利は目前と思われたその瞬間、人類側の兵士ジェイク・サリーの裏切りによって戦局は覆る。

RDAは壊滅的な打撃を受け、撤退を余儀なくされた。

 

しかし人類は、この星を諦めなかった。

 

数年の沈黙ののち、RDAは再びパンドラへ舞い戻り、水面下で着実に拠点を築いていった。

その過程で捕らえられたのが、一人のナヴィだった。

 

彼女は単独で狩りをしている最中、巧妙に仕掛けられた罠にかかり、抵抗する間もなく拘束されたという。

 

見張りを命じられたのが、上等兵だった。

 

最初は互いに警戒していた。

言葉も文化も違う存在同士。

だが、短い単語をつなぎ合わせ、身振り手振りを交えながら会話を重ねるうちに、氷のようだった距離は少しずつ溶けていった。

彼女の瞳は驚くほど澄んでいて、そこには憎悪よりも好奇心が宿っていた。

 

ある夜、衝動にも似た決意が彼の口をついて出た。

 

「ここから逃がしてやる」

 

自分でも信じられない言葉だった。

彼女は目を大きく見開き、しばし彼を見つめた後、ゆっくりと微笑んだ。

 

「ワカッタ。まってる」

 

その静かな信頼が、今も胸に焼き付いている。

 

記憶に沈みかけていたその瞬間を、不意に荒い声が引き裂いた。

 

「おい! 上等兵!」

 

振り向くと、先ほどの大尉がこちらへ歩み寄ってくるところだった。

反射的に背筋を伸ばし、姿勢を正す。

 

大尉は値踏みするような視線を向けながら言った。

 

「あのエイリアンの部屋を綺麗にしておいたか?」

 

「はい! 大尉殿。清掃は終わっております」

 

即座に敬礼し、規律通りに答える。

大尉は満足げに鼻を鳴らすと、何気ない口調で続けた。

 

「明日は、尋問のやり方を変える」

 

その言葉に、上等兵の胸がざわついた。

 

「変える? どのように?」

 

思わず問い返してしまう。

大尉の口元が、ゆっくりと吊り上がった。

そこに浮かんだのは、人間の理性を薄く塗りつぶすような、下劣な笑みだった。

 

「それはお楽しみだ」

 

それだけを残し、大尉は背を向けて去っていく。

足音が遠ざかるにつれ、通路の空気が重く沈んでいった。

 

上等兵はその場に立ち尽くし、拳を強く握りしめる。

ガラスの向こうでは、空飛ぶ生物が何事もないかのように翼を広げ、自由に空を舞っていた。

 

その光景が、やけに遠く感じられた。

 

ーーーーーー

 

まだ夜の名残が濃く残る時間だった。

人工照明だけが支配するRDA施設の通路を、上等兵は一人で歩いていた。

 

突然の呼び出しだった。理由は告げられていない。

ただ、「すぐ来い」とだけ言われた低い声が、耳の奥にこびりついている。

 

『なんだ? 一体何故こんな時間に?』

 

不安は形を持たないまま、胸の内で荒れ狂っていた。

金属の壁に反響する自分の足音が、やけに大きく感じる。

呼吸は浅く、視界の端がわずかに揺れている気さえした。

 

やがて、捕虜となっているナヴィの収容室の前へ辿り着く。

分厚い扉の向こうから、微かな物音が漏れ聞こえてきた。

 

「…ら、こっちに…がってやるから」

 

断片的な男の声。

聞き慣れた声色だった。

嫌な予感が、胃の底を冷たく締めつける。

 

上等兵はためらいながら扉を開いた。

 

目に飛び込んできた光景に、思考が一瞬停止する。

 

室内の中央で、ナヴィは拘束具によって完全に身動きを封じられていた。両手両足は固定され、巨体は無理やり立たされている。

その背後に立つ大尉が、手にしたスタンガンを、彼女の後頭部から伸びる神経束へ押し当てていた。

 

電流が走った瞬間、ナヴィの身体が大きく痙攣する。

 

「〜〜〜〜ッ?!○*+°>*☆!!」

 

聞き取れない叫びが室内に炸裂した。

それは言葉というより、純粋な痛みそのものの音だった。

彼女の瞳は恐怖に見開かれ、全身が小刻みに震えている。

 

上等兵はその場に立ち尽くした。

 

「やっときたか。上等兵。待ってたぞ」

 

大尉は振り返り、何事もないように言うと、ナヴィの神経束を乱暴に引っ張った。彼女の顔が苦痛に歪む。

 

抵抗するように睨みつけるナヴィを見て、大尉は愉快そうに笑う。

 

「ハハっ!まだ元気かよ、こいつは」

 

再びスタンガンが押し当てられ、声にならない悲鳴が空気を震わせた。

力を失った身体を、大尉は機械に接続された拘束具で支え、無理やり姿勢を保たせる。

 

「お前がコイツとこそこそ話をしていたのは筒抜けなんだよ」

 

その言葉に、上等兵の血の気が引いた。

視界が白くなる。

 

大尉はナヴィを机の上へ仰向けに寝かせる。

彼女はほとんど抵抗できないほど消耗していたが、その目だけは、弱々しくも消えない怒りを宿していた。

 

「おぉ〜こぇーこえー」

 

わざとらしく肩をすくめると、大尉はスタンガンを上等兵へ差し出す。

 

「お前がコイツから**ジェイク・サリー**の隠れ家を聞くんだよ」

 

震える手に、無理やりそれを握らせる。

 

「ほら、それでコイツを突っつけよ。ビリビリってな」

 

大尉の声は軽かった。

遊びに誘うような口調だった。

しかし上等兵は、首を横に振ることしかできない。

 

「ほら!早くしろ!」

 

怒声が飛ぶ。

 

咄嗟にナヴィの顔を見る。

彼女は、信じられないほど穏やかな表情でこちらを見つめていた。

 

「ワタシは、大丈夫、ダカラ」

 

弱々しい声。それでも、そこには相手を気遣う色があった。

 

その瞬間、何かが決壊した。

 

「嫌です!!」

 

上等兵は渾身の力で大尉の腕を振り解いた。

乾いた音が響き、次の瞬間、強烈な衝撃が頬を打つ。

床が視界いっぱいに広がり、身体が叩きつけられた。

 

倒れ込んだ上等兵を見て、ナヴィが牙を剥き、怒りの唸り声を上げる。

 

「フンッ!このバカが!エイリアンなんかに感化されやがって。お前のことは報告させてもらうからな!」

 

吐き捨てるように言うと、大尉の視線はゆっくりとナヴィへ戻った。

その目には、先ほどとは異なる種類の欲望が宿っている。

 

「へへ。そういやまだエイリアンの"具合"を確かめたことなかったな」

 

低い独り言。

その視線が彼女の身体をなぞるたび、室内の空気が粘ついたものへ変わっていく。

大尉の目は、ナヴィの細く引き締まった身体、程よくついている筋肉、細いながらも主張するような胸と臀部に釘付けになる。

 

「よし、決めた」

 

操作パネルに触れると、拘束具が唸りを上げて動き、ナヴィの脚を強引に開くように固定した。

彼女は必死に身体をよじり、逃れようとする。

 

「イヤ!チカヨルナ!○<¥%○!!」

 

恐怖と拒絶の叫びが響く。

 

床に倒れたままの上等兵は、かすれた声を絞り出した。

 

「た、大尉? いったいなにを?」

 

「お前はそこで黙って見てろ。嫌だったら、早く吐くんだな」

 

冷たく言い放ち、大尉は一歩、また一歩と距離を詰める。

歩きながらズボンのジッパーを下ろす。

ナヴィは全身で抵抗していたが、機械の拘束はびくともしない。

 

その密閉された部屋で、絶望が静かに形を取ろうとしていた。

 

大尉の影がナヴィに覆いかぶさる、その瞬間――

 

銃声が響いた。

 

銃声の余韻が、密閉された室内に長く尾を引く。

 

大尉の身体が、糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる。

鈍い音を立てて床に倒れたその姿を、ナヴィは呆然と見つめた。

次いで、ゆっくりとその背後へ視線を移す。

 

そこに立っていたのは、上等兵だった。

 

両手で拳銃を握りしめ、腕は激しく震えている。

銃口の先から細い煙が立ち上り、彼の荒い呼吸と同調するように揺れていた。

自分が何をしたのかを理解した瞬間、彼の目が大きく見開かれる。

 

「……」

 

声にならない息を吐くと、彼は弾かれたように動いた。

すぐさま操作パネルへ駆け寄り、ナヴィを拘束していた装置を解除する。金属の留め具が次々と外れ、彼女の身体を縛っていた束縛が床へ落ちた。

 

「さぁ、早く」

 

差し出された手には、まだ微かな震えが残っている。

だがその瞳には、迷いはなかった。

 

ナヴィは一瞬もためらわず、その手を握る。

力強く引かれ、机から身を起こした。

傷ついた身体に痛みが走るはずなのに、彼女はそれを表に出さない。

 

「君は早く逃げろ。銃声を聞きつけた奴らがこっちにやって来る」

 

切迫した声。

ナヴィは不安そうに彼を見つめた。

 

「アナタは? ドウスルの?」

 

その問いに、上等兵はかすかに笑う。

自嘲とも、諦観ともつかない笑みだった。

 

「俺は施設の外じゃ呼吸もできないんだ。ここに残る」

 

事実を淡々と告げる言葉。

ナヴィの瞳が揺れる。

何かを言おうと唇が動いた、その瞬間――

 

耳をつんざく警報音が施設全体を震わせた。

続いて、遠くで爆発音が轟く。

床が揺れ、天井の照明がちらついた。

 

「な、なんだ?!」

 

上等兵が窓から外を覗く。

そこには、戦場と化した光景が広がっていた。

 

蒼い空を背景に、空を駆ける生物に騎乗したナヴィたちが旋回しながら施設へ攻撃を仕掛けている。

彼らの動きは風そのもののように自由で、怒りと決意に満ちていた。

この星の住人たちが、自らの大地を取り戻すために牙を剥いている。

 

次の瞬間、外を飛んでいたミサイルが軌道を逸らし、一直線にこちらへ迫ってきた。

 

衝撃。

 

轟音とともに壁が吹き飛び、部屋に巨大な風穴が穿たれる。

外気が一気に流れ込み、人間にとって有害な大気が渦を巻いて侵入してきた。

 

上等兵は反射的に酸素マスクを装着する。

警告音が耳元で鳴り響く中、再び外を見ると、ナヴィはすでに瓦礫を越えて外へ出ていた。

 

彼女は空へ向かって声を上げる。

呼びかけに応えるように、一体の飛翔生物が急降下してきた。

力強い翼が空気を叩き、風圧が周囲の煙を吹き散らす。

 

ナヴィはその背に軽やかに跳び乗ると、振り返って手を伸ばした。

 

「キテ。イコウ」

 

その言葉は短かった。

だが、そこには揺るぎない信頼が込められていた。

 

上等兵は、自分でも驚くほど自然に動いていた。

迷いも計算もなかった。ただその手を取り、瓦礫を蹴って飛び上がる。

次の瞬間には、彼は彼女の後ろで飛翔生物の背にしがみついていた。

 

翼が大きく羽ばたく。

 

地面が急速に遠ざかり、再びこの星へ侵攻してきた**RDA**の拠点が小さくなっていく。

風が唸りを上げて二人の間を吹き抜けた。

 

蒼い空と浮遊する岩塊の間を縫うように飛びながら、ナヴィが振り向く。

 

「アナタ、名前は?」

 

風にかき消されないよう、上等兵は叫び返す。

 

「俺は!ライリー!君は?!」

 

彼女は微笑んだ。

戦火の只中にあっても、その笑みは不思議なほど穏やかだった。

 

「ワタシは、ナヤト」

 

その名は風に乗り、広大な空へ溶けていく。

 

これはーー

兵士だった一人の男と、異星の女の、二つの世界の境界を越える物語。


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