TS転生者と行くスレイブ 作:TSモノ大好き醜鬼
ヤバい、書きたい内容をあるだけ羅列すると信じられないくらい長くなってしまう…
という訳で何とか続いた2話目です
「よし、これで全部っと…」
「荷物は纏め終わったか?」
「はい、『持ってきて欲しい物リスト』にある物は全部この中に入ってます」
魔都での激闘から一夜空け、京香さんと一緒に身支度や手続きをすべく現世に来ていた。
因みに優希は既に管理人として勤務中
せめて親には会わせて上げましょうよ…
「ありがとうね、碧ちゃん。優希の事、宜しくね♪」
「あはは…そう言うのは私じゃなくて京香さんに…」
「勿論!でも、碧ちゃんが優希の面倒見てくれるんだったら、おばさんも安心だからね!」
何で安心できる出来ないの基準が私の有無何ですかねぇ…仮にも命の危険がある職場だよ?もう少し心配してあげてよ…
クラスの奴らも何か様子可笑しかったし…
『優希と一緒に魔都で働く!?』
『まさかの同棲かよ!?』
『いや、どちらかと言うとシェアハウス何だけど…』
『そうか…碧、友人として…アイツの事頼むぜ!』
『まさか遂にアイツにも遂に春が…』
『お前らは何を言っているんだ?』
因みに、男子に限らず女子の友達や先生も同じテンションで話しかけられた。お前らもう少し優希の事心配してやれよ
「それでは羽前さん。色々ご迷惑をかけると思いますが、優希の事を宜しくお願いします」
「はい、私達が責任を持ってお預かりさせて頂きます。」
「碧ちゃんも、頑張ってね。たまにで良いから、優希と一緒に帰ってきてね♪」
「うん、行ってくるよ、おばさん」
そうして和倉家を後にする
優希の荷物を車のトランクに積み込み、助手席に座る。
「家族ぐるみで仲がいいんだな」
「ええまぁ、引っ越しとかで距離は空きましたけどそこまで離れてる訳でもないので…」
「だとしてもだ。随分信用されている様だったが…」
「特におばさんには色々目をかけてもらってるので」
運転先でハンドルを握りながら、他愛もない世間話をする。こうして見ると、京香さんも年相応の女性なのだと感じられる。
「…疲れは取れたか?」
「正直、昨日の出来事が夢みたいに感じますね…」
「あんな事があった次の日だ。今すぐとは言わん、ゆっくり受け入れていけば良い」
頼れる大人のお姉さん感を醸し出す京香さん。原作で他の組長とかに優希をNTRされて脳を破壊されていた彼女とは大違いだ
「そう言えば、碧の親はどんな人なんだ?」
「実の親っていうか育ての親みたいな人ですね。伯父に当たる人で、勉強とか護身術*1とか色々教えてくれた人ですね」
「…そうか」
何かを察したかの様にそこで話題を区切ろうとする京香さん、この手の話題だとやっぱり敏感だなぁ…
「気にしないで下さいね、実の親は顔すら覚えてない頃に魔都災害で行方不明になったに過ぎないんで。―――そうやって変に気を使われる方が苦手なんで」
「だとしてもだ、お前が気にする気にしないの問題じゃない。それに、今後お前も魔都災害の被害者と話す事も増える。こういった気遣いは学んでおけ」
「…はい」
なんというか、この人には敵わないな
漫画の時は『キャラクター』として見ていたが、こうやって『人』として見るとこういう人が周りにいてくれるとやっぱり頼もしい。
「そう言えば、伯父さんも魔防隊とか警察とかで指南役として働いてるみたいですけど、もしかしたら知り合いかもしれないですね。」
「…そう言われると三輪という名字には凄い心あたりがあるな」
え、マジで?
まさかの原作キャラと絡みあるんですかあの人
いや、正直あり得なくもない
あの人、人間とかいう枠組み超えてるし、多分醜鬼とか素手で殴り倒せるでしょ?型月とかに居たら間違いなくYAMAの民認定されてる
「あ、ここですね」
「…広いな」
「道場が併設されてるんで、敷地だけで言えばかなり広いですよ。」
駐車スペースに車を止め、無駄にデカいで門をくぐり、今時古めな横開きの戸を開ける。
「伯父さんただいま〜」
そう言うと家の奥から足音が聞こえ、見知った男の顔が此方を覗く
「戻ったか碧―――ん?羽前?何でここに?」
「…まさかとは思ったが兄弟子だったか」
何となく予想通りと言うか、お互いに知り合いの様で顔を見合わせる。ん?兄弟子?
「え、兄弟子ってどういう…」
「この人は私の師―――冥加りうの一番弟子なんだ。」
「冥加りうって?」
「1番組で今も現役の婆さんだ。最近は世代交代も考えてるそうだが、羽前と同じ組長だ。」
冥加りうって確か、魔防隊で唯一の老人キャラだったよな…それは伯父さん強いわ。あの人老いぼれじゃなくて完全に『生き残り側』の人じゃん
「それで、何の用だ?碧から昨日のことは何となく聞いとるが…」
「あ…えっと…」
「おい、まさか入隊の事言ってないのか?」
やっべぇ…完全に忘れてた
昨日疲れて魔都災害にあったこと以外の事は後でいいかって寝落ちしたんだった…!
「入隊?もしかして魔防隊に入んのか?」
「あ、うん。順を追って詳しく説明させてね」
そこからは昨日の出来事を事細かく説明する。
私だけじゃなく、優希も一緒に魔防隊で働く事も含めて
「成程…碧と優希は羽前の組に入るんか?」
「ああ、7番組の管理人と隊員として入隊する運びになっている。」
「そうかそうか、お前何でこんな大事なこと連絡してないんだよ」
「ご、ごめん…」
伯父さん怖いよぉ…多分幻影とかじゃなくて、背後に阿修羅像が実体化してる。醜鬼よりも100倍怖い
「はぁ…決まった事は仕方ない。取り敢えず碧、荷物整理しに行け。必要ないものはこっちで保管しておくぞ。」
「…入隊するというのに余り驚かないのだな」
「当たり前だ、仮にも俺は碧の親だからな。卒業後に魔防隊に入ろうとしてた事も何となく気付いてる。」
おっふ…全部バレてるんじゃん
別に相談とか進路の事も反対されると思って濁してたんだけど全部把握済みか…
「というか、反対しないんだ」
「だから色々叩き込んだんだぞ?今の碧なら醜鬼なんかに遅れは取らねぇよ。」
…今思い返せば、優希には気持ち優しく、私にはスパルタ指導してた気がする。熊を素手で倒せとか、夏休みに無人島で1週間ザバイバル生活しろとか、何回か死んでてもおかしく無いけど…
「取り敢えず、身支度してきな。俺は羽前と少し話しとくから」
「うん、分かった」
京香さんに手を振りながら自室に向かう
…魔防隊って漫画とか持ち込み可なのか?
「えっと…キャリーケースは何処だっけな」
「そうか、優希も元気そうだな」
「恐らく今頃、日万凛辺りに振り回されてるだろうな。」
三輪家の客間
そこには羽前京香と彼女の兄弟子、三輪
「―――それで、話というのは?」
「何、そんな緊張する事もないだろう?」
「こうやって兄弟子が真面目な空気になる時は決まって大事な話をする時だろう?」
羽前京香にとって三輪雄二という人間は飄々とした掴みどころのない人間だった。必要以上の労力を嫌い、やる事はキッチリこなす、言ってしまえば昼行灯な人間だった。
「…羽前、碧と関わってどう感じた?」
「どう、か…それは…」
「
雄二の言葉に京香は頷く
心あたりは何度もあった。魔都災害という命の危機にも関わらず、彼女はパニックどころか異常なほどに平静を保っていた。
「昔からそうだった、年の割に異様な程に大人びている。子供っぽい所もあるが、にしたって異常だ。」
「確かに、そういった部分は私も見ている。でも、そこまで憂慮すべき事でもないだろう?」
「…かもな」
普通の子供でもある程度大人びた事はある
しかし、碧のソレは異常と言っても差し支えない。それでも、精神的な成熟が早かったの一言で片付けようと思えば片付けられる。
「―――何年か前に山城恋と偶然会った」
「何故ここで総組長が出てくる?」
『山城恋』
魔防隊総組長にして、『生命の極み』『地球の答え』と称される程の実力者であり、間違いなく人類最強と言える存在として知られるている。
「その時、俺はあの女の雰囲気に既視感を覚えたんだ。初めて会ったはずのアイツにな」
「…」
「最近になって、気付きつつあったんだ。―――アレは碧に似ている」
"そんな馬鹿な"
その言葉が出かかったが、冗談には思えなかった。目の前の男の慧眼は自分が身をもって知っている。そんな男の語る言葉は気の所為には感じられなかった
「昔から、アイツは何をやらせてもすぐにこなせる、徒手空拳も含めてな。」
「兄弟子の自慢話によく出てくる子供ってまさか…」
「碧だよ、婆さんには悪いが贔屓や忖度抜きに碧の才能は木乃実ちゃんより上だろうな」
「そこまでか…」
『多々良木乃実』、冥加りう秘蔵の弟子にして数年後には総組長になれると称した逸材。雄二もその凄まじさは理解していた。理解していたから故、碧の才能と引き合いに出していたほどに
「人類全体を『弱者』と『強者』で分けられるなら碧は生まれながらにしての強者だ。恐らく山城恋もな。」
「…」
「勿論、碧が山城ほど冷酷でもなければ残酷な判断が出来る人間だとは俺は思ってない。」
「―――それは私も同じだ」
互いが両者を知る身としては、碧が山城の様に冷酷でない事も理解していた。だからこそ、これからが重要だとも
「そういう人間がどういう問題を抱えてるか、お前にも分かるだろ?」
「…何でも一人で解決しようとする」
「そう、特に碧は既に
「…」
えも知れない、形容しようがない不安は京香も薄々感じつつあった。まるで幽霊の様にふとした瞬間に消えてしまいそうな感覚、身に覚えがない訳ではなかった
「だから羽前。碧の事、頼むぞ」
「―――はい。」
故に京香も自分が碧の最後の一線である事を理解し、部下として、そして大人として彼女と向き合う事を決意した。
「すいません、お待たせしまし―――…え、何この空気?」
そんな覚悟を打ち破るかの如く、キャリーケースを持った碧が部屋に入ってくる。先程までの緊迫した空気感は彼女の乱入により跡形もなく離散していった
「気にするな、お前の問題児ぶりを羽前に伝えていただけだ」
「さながら学校の家庭訪問だな」
「ちょ、京香さん?私、学校でも優等生で通ってますよ?勘違いしないで下さいね?」
「そう心配すんな碧、取説は羽前に渡しといたからよ」
「人を危険物みたいに扱わないで!?」
自身の兄弟子に絡む碧の姿には、危うさなど感じられない。しかし、何処となくその雰囲気は浮いており、自分や雄二のそれが杞憂に過ぎることを願うばかりだった。
「はい、取り敢えず今日は此処までね。何か分からない事とかある?」
「うん大丈夫、今のところ問題ないよ」
荷物整理を終え、いざ魔防隊組員に―――と思っていたのも束の間、私を待っていたのはまさかの座学
いやそうだよね、考えてみれば醜鬼の事とか魔防隊の動き方とか部隊として動くんだからそういうの覚えなきゃ駄目ですよね…
「随分飲み込み早いわね…」
「元々学校とかでも優等生だったんでね」
「いや、これ本来なら3日くらいかけてやる奴なんだけど…」
そんな私にワンツーマンで座学を教えているのは東日万凛、我らが7番組の副組長である。
男である優希には中々辛辣だが、同性の私には懇切丁寧に教えてくれる。良くも悪くもハリネズミみたいな人だが、彼女も何れ優希に堕ちると分かると中々趣深い。
「気を付けてね、本当なら入隊前に色々訓練とか講義とかあるんだけど、貴方の場合は日々の鍛錬と任務も並列でやるからかなりハードよ?」
「二足の草鞋でしょ?知らないことや分からない事は学んでる間が一番楽しいからね」
「ポジティブね…そこまで逞しいのなら
実際、こうやって自分のまだ知らない物事を学ぶのは嫌いではない。特に、自分の生活や身の回りに直結する事になるとより意欲が出る
「ん、アイツ…」
「あれは…」
2人で寮の廊下を歩いていると小学生程度の少女―――大川村寧と優希が話していた。
「助かるよ寧ちゃん、オレここだと分からないことだらけでさ」
「寧は上司ということですから当然です!」
「コラ、何をくっちゃべってるのよ和倉優希」
そんな優希に突っかかる日万凛さん
そこから飛び出すチクチク言葉の嵐。日万凛さんや、小学校でその手のツンツン言葉は辞めようって教わったやん…
流石にちょっと可哀想なので間に割って入る
「日万凛さん落ち着いて、優希だって私と同様昨日まで学生だったんだからもう少し寛容に…ね?」
「碧、いくら恋人だからって庇わなくていいわよ?」
「…日万凛さん、私達別に付き合ってるとかじゃないから」
そう言うと日万凛さんと寧ちゃん顔を見つめ合わせ、怪訝な顔を浮かべる。何だその目は、寧ちゃんも辞めて、小さい子にそういう顔されるのが一番ダメージ大きいから…
「…まぁ良いわ、分かったらアンタはご飯の支度をしなさい。」
そう言うと日万凛さんは寧ちゃんと一緒に去っていく。取り敢えず一難は去ったと考えていいだろう
「そっちは大丈夫そう?」
「何とかな…碧は?」
「おかげさまでそれなりに楽しく過ごせてせてるよ」
「ハハハ…相変わらず順応能力スゲェな」
ホントだよ、元からその手の才能は前世から何となくあるかな?って思ってたけど今世だと露骨に高い。
そのお陰で中高レベルの理系科目とかもスラスラ頭に入ってくる。赤点はおろか、平均点くらいなら余裕で越えられる。
「手伝おうか?」
「いや、いいよ。気持ちだけ受け取っとく」
「そっか、美味しいご飯期待してるからね」
そう言って私も日万凛さんの元へ向かう
後ろから聞こえる"よっしゃ!張り切っちゃうぜ!"という声からは余力を感じられる。あの様子なら大丈夫そうだね。
そうしてご飯の時間、気合の入りようが功を奏したのか期待を裏切らないクオリティを提供してくれる。
「ん〜〜っ、管理人さんの料理美味しいーーっ!」
「食にこだわりはないが、栄養バランスが取れているのはいいな」
「寧にも料理教えてください!」
「優希、おかわり貰える?」
「…お、おかわりしてあげる」
得意の料理で皆の心をガッチリ掴み取る
そうだろう?この優希は私達が育てましたから、ええ
しかし、そんな優希は今の平和な状況に何となく納得できない様子。それは何か分かる、イメージとだいぶ違う気がする。
「あの…京香さん、醜鬼を倒しに行かなくていいんですか?これだと完全に家事メインな気が…」
「奴らは一時間と間を置かず出る時もあれば、一週間以上出現しない時もある。」
「なるほど、平和な時はとことん暇だけど忙しい時はゴキブリみたいに湧いて出る訳ですね」
「そういう事だ、だから優希も次の出撃まで家事に専念しててかまわないぞ」
「いや…「何よ、まさか組長の言うことに文句があるわけじゃないわよね?」…な、無いです…」
異議を申し立てようとした優希の首元に腕を刀に変えた日万凛が刃を突きつける。あの日万凛さんや?ちょっと容赦なさすぎでは?
「まあまあ日万凛さん、落ち着いて。イメージのそれと実際の業務にギャップが出来るのは仕方ないよ、少しずつ受け入れて貰おうよ」
「碧の言う通りだ。女子しかいない寮だ、男の管理人を快く思わない者もいるだろう…だが家事の腕は立つし私の能力にも必要だ。そこは皆に受け入れてもらう」
そんな暴走寸前の日万凛さんの抑制に京香さんが援護射撃をしてくれる。良かった、まだマトモな人がいた
「だが何か不始末をやらかしたら、主である私が優希をねじ切る―――それでいいな?」
「「「はい」」」
良かねえわ、マトモな人は居ないのか…
このままでは優希の優希がオサラバしかねない、ここはどうにかフォローせねば…
「大丈夫ですよ京香さん、優希はああ見えて異性には初心でおぼこでむっつりだから変なことする勇気なんて無いですよ」
「ごっはぁ!?」
「碧、何のフォローにもなってないぞ」
「それどころか思いっ切り止め刺したわね」
「管理人さん大丈夫?」
「真っ白に燃え尽きてます…」
「皆して辞めて…」
ごめん優希、やっぱり駄目だったよ…
いややるかやらないかで言えばやらない側の人間ではあるんだけど、やらない側の人間の中ではやる側には居るんだよね…
「あっ…」
「何か見えたか寧?」
「もしかして幽霊?」
「違うよ、ねいっちは千里眼持ってるんだ。レアで凄い能力なんだよ?」
「…傍から見たら顔洗った後にタオル探してるようにしか見えないけど、色々見えているんだね」
何が見えているのか目をつぶり手をバタつかせる寧ちゃんはかわいい、これがキュートアグレッションですか
「門が出現しています!南に5km!」
「出撃だ!乗り物は三台でいく!碧は私と一緒に向かうぞ」
「了解…!」
来ましたよ、魔防隊として初めての初陣
自室のクローゼットに掛けておいた黒を基調とした魔防隊の制服に着替え、寮の表に出る
「やっほー優希、京香さん待ち?」
「碧、その服って…」
「うん、少しカスタムしてもらったんだ」
私の制服は朱々ちゃんの様なショートパンツにへそ出し丸出しの服を魔防隊のコートを羽織る形となっている
「…露出度高くない?」
「だってスカートだと何かと落ち着かないし…かといって長ズボンとかだと動きが妨げられるし」
「いやお腹…」
「良いでしょコレ、前優希の部屋にあった薄い本を参考にしたんだぜ?」
「いやそういう意味じゃ―――ちょっと待って?今お前とんでもない事言わなかった?」
気の所為です、ベッドの下と本棚にあったカモフラ用のブックカバーに包まれた薄い本なんて知りません
でも正直気にならない?こういう友達の性的趣向とか、私は気になります(自己完結)
そんなこんなを話していると制服姿に着替えた京香さんがやって来る。
「準備出来たな、我らも征くぞ」
「―――はい!」
差し出された手の甲に唇を落とし、昨日散々よく見たあの姿へと変身する。そんな優希に乗り込み、此方に手を差し出す。
「碧、お前も乗れ」
「いえ、私は少し試してみたいことがあるので。問題ありません、遅刻はしませんから」
「そうか…分かった。だが、現場に遅れれば仕置きが待ってるぞ!」
そう言って京香さんと優希は車何て目じゃない速度で走り去っていく。
―――さて、私が試そうとしていたのは昨日利用した重力操作による空中浮遊の応用だ
昨日はぶっつけ本番で使ったのと、飽くまで上空への飛行という1点に特化させたものであるため、今回のそれとは少し違う。
自分にかかる下向きの重力と釣り合う形で上向きの重力を形成、更に背中を押すように横向きの重力を作り出し、進行方向に自分にのみ作用する引力を形成
後は微調整を少しだけする
するとどうなる?知らんのか?
スーパーマンよろしく超高速で移動出来る
「お待たせしました京香さん」
『碧?!というか速っ!?』
「凄いな…前々から
「いえ、昨日のアレが初めて、今回で2回目です」
「―――」
『き、京香さん、碧はこんな感じで天才肌的な所あるんで…こういうのまあまあありますよ、うん』
鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をした京香さんを優希が励ましてる。頼もしい上司の姿か?これが…
そんな事がありながらも目的地となる黒い平面のような謎のゲートみたいなものが見えてくる。
「ブラックホール…?!」
「突発的に現れるタイプの門だね。現世と魔都を繋いでいるとすると、こっち側からも向こう側からも自由に往来が出来る。つまり…」
「碧の予想通りだ。現世側から人間が迷い込むケースもあれば、醜鬼が現世に行ってしまうケースもある。大抵は数時間経てば消える。それまでここで番をする」
「…無理矢理閉じたり出来ないんですか?」
「何度かその手の試みはあったが、全て失敗に終わっている。最近では空間操作を行える能力者による強制遮断も計画されていたが…現世と繋がっている以上、向こう側にどんな影響があるか分からん」
『結局、自然に消えるのを待つのが一番安全って事か…』
流石にこういう考えはあったか
原作だとこの手の対策は語られなかったが、出来るならやってると言うのは少し考えれば分かる。
遠方から近づいてくる音に視線を寄せると醜鬼の大群が此方へと向かって来る
「…こうやって此方に来るって事は門の存在が分かってるんですかね?」
「
『行きましょう京香さん』
「…いや、既に日万凛達が向かった。あっちは任せて私達はここで門の番だ」
よく見ると日万凛さん達の車とバイクが醜鬼の軍勢の前に陣取り、真正面から迎え撃つらしい
でも、此方もそろそろ来たみたいだ
「2人とも、下から来る」
「『―――っ!』」
地面の下を掘るような音が近づいて来てるのは分かっていた、生憎此方は五感も良いから奇襲にはなり得ないけどね
地面から這い出てきた十数体の醜鬼が門に近づくが、優希と京香さんがそれを許さない。
『現世に行かせるかよっ!』
「うむ、私が見込んだ通りだな!」
すかさず2人が殴り、斬り飛ばす
私も負けてられないね
構えを取り醜鬼に向かって行く
私の
―――ならばどうする?
能力による小細工を足す、握った拳周辺の大気に限定的な引力を生じさせ、閉じ込める。擬似的に拳の
体積が変わらなければ密度が上がるために必要なのは質量の上乗せ、そしてこの質量は実際の重さとして私の動きに支障を生じさずに、相手への打撃力だけに上乗せされる
「フッ!」
―――
放たれた拳の一撃一撃が醜鬼の身体を打ち砕き、ものの見事に数体の醜鬼が骸と化す
―――うん、動けるね、私
「こっちは終了っと、向こうの援護は…いらなそうですね」
「あぁ」
『2人とも強えぇ…』
当たり前だけど2人とも今まで醜鬼と戦ってきたプロフェッショナルですからね、そら強いよね
朱々ちゃんはウルトラマンの如く巨大化し、醜鬼達を蹂躙。その撃ち漏らしを日万凛さんが腕を機関銃に変形させて片付ける。…どうでも良いけどソレ何撃ってるの?
とは言え、まばらにではあるが周りの醜鬼の小グループ達が加わり2人のもとに押しかけつつある。負けはしないだろうが殲滅はやや骨が折れそうだ。よし
「京香さん、私は上空から2人を援護します」
「分かった、何か見えたら通信で伝えろ。さっきみたいに地中から出てくるようなら戻って来い。くれぐれも同士討ちには気を付けろ」
「了解っと!」
京香さんのお許しを得てから空中に飛び上がる
周囲を見渡し、使えそうなものを探す
「うん、あれでいいかな?」
やや遠目に見える変わった形の岩山を重力操作で持ち上げいい感じのサイズと形に加工すべく加圧を加える。
「いい感じだね」
高さ数メートルはあろう円錐状の鋭い岩石
無数に出来上がったそれを自身の周囲を円形に旋回させる
ただ引力で撃ち出すには火力が落ちてしまう
なら、自身の周りを公転させるように動かし、更に一つ一つを回転させる事で威力を底上げ、遠心力で撃ち出す
―――
遠心力によって放たれる岩石の投擲
その威力は機関砲どころか支援砲撃に近い
2人に影響が出ないようにある程度距離を保ちながら、醜鬼達を細切れに変えていく。やっぱりこの能力雑魚狩り性能めちゃんこ高いね
「2人とも大丈夫?」
『え、えぇ…今のは碧が?』
「うん、持ち場を離れる訳にもいかないからこれくらいしか出来ないけど、援護は任せてね」
『あおいっちの援護だけで事足りそうだけど…』
やや引き気味の2人の声が通信から聞こえる
良いじゃん別に、楽に終わるならそれに越したことは無いよ。
この後もひたすらに投石を続け、日万凛さん達の前に無数のクレーターが出来るまで援護射撃を続けた…ちょっとやり過ぎた気がする…
『碧、門が閉じた。降りてこい』
結局、その後は散発的に現れる醜鬼の対応をして任務は終了した。
「優希?大丈夫そう?」
「あ、おう、一応…」
門があった場所にはあめ玉を手にポカーンとしていた優希が一人取り残されていた。え…京香さん帰っちゃった?
「意外と疲れて無さそうだね」
「動けるには動けるけど…少し身体が重いな、風引いた時みたいだ」
本来なら奴隷化の後はその疲労感故に動くことすらままならないレベルだったが、2回目にしては余裕があるように見える。
こうして見ると、あの鍛錬の日々は無駄じゃなかったんだなぁ…
「京香さんは…徒歩で帰っちゃったか、仕方ない」
地盤の一部を切り抜き、人が乗れるスペースを確保する。行きほどの速度は出せないが、これなら乗り物として十分だ。
「これに乗って、私が能力で送ってくよ」
「サンキュー、流石にここから寮まで歩くのはしんどかったし助かるぜ」
優希が足場に乗ったのを確認して、寮の方向へ動かす。風圧で振り落とされないように前方に斥力の壁を形成させ、後方に空気の流れを受け流すようにする。
「なぁ…碧」
「何?さっきからやけに辛気臭い顔してるけど」
「…俺って本当に必要とされてるのかな?」
「うーん…」
正直、難しい話だ
優希がこう思うのも無理はない、今のところ目立った活躍もなく、やっていることと言えばただの家事仕事の雑用。
魔防隊というヒーローみたいな組織でやっている事がそれだけとなると私でも思うところはある
「無理もないよ、ここにきてまだ1日経った程度でしょ?皆からしてみれば『知らない人』同然だし、あたりが強いのも仕方ない。」
「うっ…」
「人間関係だって一朝一夕でどうこうなるものじゃないでしょ?」
「それは、確かに…」
「少しずつ、優希の事を知ってもらう。そして優希も皆のことを知っていけば頼られてる事も存在の大きさも分かるはずだよ」
人間、長い付き合いでもその人の事を完全に理解することなんて不可能だ。それは皆だってそう、それでも―――
「それに、私は優希が居てくれて良かったって思ってるよ」
「え?」
「もし一人でここに来てたらもう少し不安もあったし、此処まで楽しくいられなかったと思う。これは間違いないね。」
「…」
私だって右も左も知らない世界で、知り合いの一人もいないここで働くとなったら心細いなんてもんじゃない
「だから、皆の無意識下では優希の存在は思っている以上に大きいんじゃないかな?」
「…かもな。」
そう言う彼の表情は少しだけ憑き物が落ちような顔をしていた。ちょっとは持ち直したかな?
「ありがと、正直俺がここにいる意味とかあんまり感じられなくてさ…」
「まだ日は浅いんだからさ、意味なんて少しずつ探していこうよ」
「ああ!」
そんなこんなで寮に戻ってきたが、来て早々に日万凛さんから家事の押し売り。あのままじゃナイーブな気持ちに戻っちゃうな…
そんな私は何をしているのかと言うと…
「流石だ、兄弟子の下で鍛え上げられただけあるな…っと」
「だからって少しは加減を…っと危な」
先程の戦闘の反省会をしつつ、京香さんと能力無しの組手をしている。
知っての通り、京香さんの徒手の技量は醜鬼の撲殺すら叶うレベルだ。華奢な見た目に反して、手技足技全て重いなんてもんじゃない。
「先程の戦闘…少しっ、戦い方がっ、雑だったぞ…っと!」
「うおっと、すいません。距離がある以上、どうしても精密さは欠けるんですっ…!」
そう言って、右拳の一撃をガードの上から響かせる
パワーも技術も私の方が上だが実戦経験の差を埋められるほどある訳じゃない。一手誤れば拳が顔面に飛んできかねない
(ガードしてこれか…兄弟子の発言から何となく察してはいたが、身体能力と技量は問題ない―――寧ろ身体能力だけで言えば確実に私より上だな)
「…そうなるともう少しコンパクトに戦うか、能力に指向性を持たせるべきだな」
「なるほど…それは確かにっ…とぉ!」
「っ!」
態と下げたガードに釣られて飛んできた左手首を力点に京香さん殴る力と自分の力の2人の力で京香さんの身体を投げ飛ばす。
タイミングとコツさえ掴めばこれくらいは難しい話ではない、醜鬼相手に使える技術じゃないけど
「…驚いたな、合気まで使えるのか」
「醜鬼相手に使える技じゃないですけどね」
「そもそも実戦で使えること自体がおかしな話だ。一先ず今は此処までだ。次、日万凛だ」
「―――は、はい!」
何処か上の空だったのか声をかけられハッとした顔をして駆け寄っていく。疲れるのかな?
とは言え指向性か、確かに能力の対象を醜鬼のみに絞り込めれば戦闘の幅はかなり広がる。
「磁石のように…いや、引力だね」
『万有引力』
この世のあらゆる物体に存在する引き寄せ合う性質、私が扱う重力の力の根源も万有引力に起因する*2
つまり、醜鬼同士のそれを増幅させる事で地形や仲間を巻き込まずに醜鬼だけに作用させる事が出来る
(イメージ像は出来た。後は実験体がいれば…)
その刹那、寮全体に地響きが生じる
普通なら地震と考えるが、ここは魔都、そんな甘っちょろい考えは通用しない
「凄い数…」
「あはは、盛り上がってきたねー」
上空から見渡してみると、寮全体を包囲するかのように取り囲む醜鬼の大群がいた。既に朱々ちゃんと日万凛さんも臨戦態勢の様だ
原作や日万凛さんからの講義でもあったが、ここ裏鬼門は醜鬼の数が特に多い区域にあたる。…とは言え、間髪入れずにここまでの大群が来るもんかねぇ…?
そんな考えに頭を巡らせていると奴隷化した優希が京香さんを乗せて飛び上がる。
「役割分担だ!四方から来た敵のうちお前達で二方向を受け持て!―――残りの二方向は私と優希、碧がやる!!」
「了解!」
「碧!?」
「組長?!」
京香さんと優希、そして私がそれぞれ醜鬼の軍勢へと突っ込んでいく。
「行け、優希!」
『うおおおおお!!』
昨日も見たけど流石の暴れっぷりだ
醜鬼の軍勢を戦国無双の如く鏖殺していく、あれなら向こうは大丈夫そうだ
「私も負けてられないね…!」
軍勢の最前列にいた醜鬼に組み付き、その身体にかかっている重力を消失させる。そして―――
「そぉらぁ!」
軍勢の上空へと高い高いをしてあげる
そして、上空にいる醜鬼をその場に固定化させその個体を中心に醜鬼同士の引力を増やしていく
すると、醜鬼達は何が起きたのか分からない顔をしながら上空へと引き寄せられる。中には地面に爪をたてながら必死に堪えるが無駄な抵抗に等しい
「―――
引き寄せられた醜鬼達は時と共に強まる引力により、
しかし、死してなお彼らの放つ引力は留まることを知らず、仲間の醜鬼を巻き込み続け、遂には巨大な球状の塊へと変貌する
「そして、圧縮っと…」
それから更に圧縮された肉の塊は山程度のサイズから大玉程度のサイズに圧縮され、完全に死滅する。
周りからも戦闘音が無くなり、一段落ついた
突発的なものだったようで短時間でケリがついた
「お二人とも、大丈夫ですか?」
「ええ、此方は無事よ」
「あおいっちの大技がこっちの醜鬼も巻き込んでくれたお陰で楽できたよ」
どうもかなり広範囲に作用したらしい
今回の様な数で攻めてくる戦いには重宝しそうだな
「疲れてるみたいだし、2人とも少し休まれては?指示があったら私が伝えますので」
「…わかった、ありがとうね。碧も疲れたでしょう?」
「いえ、割と元気です」
「「えぇ…」」
2人ともやや引き気味の表情で此方を見てくる
実際、私の場合は能力の長期間運用や酷使に伴う様な疲労は殆どない。身体を動かす類の疲労はあるが、2人よりは軽い
「はぁ…流石に疲れた〜」
「大丈夫、朱々?」
寮に戻る2人を見送り、京香さんと優希が戦っていた方向に向かう。多分今はあの時間だと思うけど念の為チェック
「んぐぐぐ!?」
「むぐ…」
あーうん、がっつりディープなキスしてますね
やっぱ優希はむっつりじゃん、私当たってたじゃん
あ、京香さんが服脱ぎだした…
こうして見ると優希の中の欲望ってだいぶドロドロしてるよね…
そんな光景が数分続き、終わったのか京香さんも身なりを整え始める。この辺りでいいかな?
「京香さん、終わりました?」
「な、碧!?お前何時から…!?」
「服脱ぐ前あたりから?」
「…覗き見とは趣味が悪いな」
あ、やべ、京香さんおこですね
ここは弁明を…
「違いますよ、あの2人にバレないように見張りと人払い役やってただけですって…」
「そ、そうか…それはすまない…」
まさか屋外で脱ぎ出すとは思わなんだ
途中から見ないようにはしてたけど、声だけでも共感性羞恥MAXだよ、誰か私を褒めてくれ
「―――2人とも、月山大井沢事件を知っているか?」
「確か、あの怪物に村一つが滅ぼされたっていう大惨事の…」
「最近の魔都災害の中だとかなり被害が大きいって学校でも話あったよね」
月山大井沢事件、大規模な門から現れた醜鬼により村の住民800人が死亡といわれる大惨事の事件
現代では比較的大規模な魔都災害として時折授業何かでも扱われる事件だ。
そして、京香さんはそこの生き残りでもある
「魔都の桃や醜鬼を資源だの研究対象だの言ってる連中もいるが私は違う、こんな奴らのために人が苦しむなどあってはならない」
京香さんの話を黙って聞く
醜鬼達への怒りと怨恨、彼女はそれだけで組長という地位にまで上り詰めてきた。
その感情そのものは私の価値観なんかでは計り知れない
「それに――お前相手ならば、不思議と嫌悪が少ない。能力を十分引き出せているし、相性がいいのだろうな」
「京香さん…」
「言ったでしょ?優希の存在は小さくないって」
優希の脇腹を肘で軽く小突きながら言う
今の彼にとってこの言葉は大きいものだろう
「まぁ色々と言ったが、犬や猫と風呂に入るのに照れる奴はいないだろ?」
「犬…」
「www、頑張れワンコの優希くんw!」
「ぐぬぬ…」
「奴隷とああするぐらい…うん、大したことはない」
流石にペット扱いは草なんだわ、正直お腹痛い
ホント、シリアスとギャグの寒暖差で風邪ひきそうになる
あ、そうだ
「京香さん、日万凛さんからの優希へのあたりがちょっと強過ぎるので少し京香さんの方からお願いしていいですか?」
「む、わかった。ならばこれからは配慮しよう。仕事ばかりではいざという時、潰れるからな」
「!ありがとございます!!」
うんうん、これで大丈夫だね
優希のメンタルも大丈夫そうだし、最近疎かになってた肉体鍛練の方に力入れても良さそうだね
(…なんか寒気がする?)
こうして悩みの消えた優希のトレーニングメニューを考えながら私達3人は寮へ戻った
「朱々ちゃん、優希?2人ともい―――」
「「…」」
「―――…私、用事思い出したから2人ともごゆっくり…」
「「待って!誤解だ/だから」」
いやこれ完全に『男女二人、密室、7日間。何も起きないはずがなく…』って奴でしょ
三輪 碧
やってみたら出来るが素のTS転生者
可能性の塊とかそういうレベルになっており
「油断したな!重力とはこういうものだ!」を素でやっているため何でもアリな能力に昇華しだしてる
素のフィジカルはどこぞの小僧と同じくらいだが、五感も冴えているためフィジギフに片足突っ込んでる
和倉 優希
原作だと色々悩みつつある時期だが主人公のお陰である程度マシになってる。素の肉体がかなり強くなっているため奴隷化の反動や継続時間も長くなっている。
主人公の隊員服姿にだいぶドギマギした
三輪 雄二
男手一つで主人公を育てきった人
りう婆の一番弟子であり、片手で数えられるくらいの醜鬼なら殴り殺せるYAMA育ちの人。この人に桃の能力があったらアッチ側に立ってまである
原作知識という鎖に縛られている主人公を何となく察知している人でもある
羽前 京香
主人公に対してやや畏れを抱きつつある人
山城恋と同類と言われ、言われてみれば…となったことでかなり気を使ってる。才能の原石ムーブに若干呆れつつある
東 日万凛
可愛い後輩が出来て内心嬉しい人
副組長として導かねば…となっているがTS主の化け物っぷりには少し引いてる。優希とは付き合ってると思ってる
駿河 朱々
今はまだそこまで絡みはないが、漫画やサブカル好きなど相性はいいため仲良くなる
主人公の化け物っぷりには引いている。
大川村 寧
描写はないが主人公とは仲良さげ、優希とTS主が付き合って無いと言われ『それはない』と思っている