アズールレーン~紺碧の艦隊と蒼き海原~ 作:非常勤務艦隊本部
昭和18年4月18日。
ブーゲンビル島上空で戦死した聯合艦隊司令長官「山本五十六」は、アズールレーンの要素を含めた後世世界に『高野五十六』として、生まれ変わることとなる。
高野は、アズールレーンとレッドアクシズとの泥夢魔な戦争を防ぐために、密かに精鋭集団【紺碧会】を結成して、陸軍中将『大高弥三郎』と共に緩衝地帯【北北海道】にてクーデターを決行、新国家『大洋州同盟』を樹立して、第三勢力【大洋州同盟】を創設した。
だが、戦争へと転がり始めた歴史の流れを止めることはできず、平成11年12月8日。
大洋州同盟は、ユニオンの太平洋地域戦略の要であるハワイ諸島パールハーバーを奇襲攻撃し、これを占領した。
勢いに乗る大洋州同盟軍は、パナマ運河を破壊。
ユニオンの太平洋への軍需物資輸送手段を遮断せしめて、豪州でフレッチャー艦隊とモルガン艦隊を撃破して、太平洋の制海・制空両権をほぼ手中に収めたのである。
こうした事態に危機感を募らせたユニオン大統領「ルーズベルト」は、マンハッタン計画を急がせるも、高野五十六必殺の【弦月作戦】によってロスアラモスの原爆研究所を破壊、悪魔の計画を頓挫させた。
報告を受けたルーズベルトは失意のあまり、脳溢血で急死した。
そのため、時の副大統領『ビル・トルーマン』がユニオン第33代大統領に就任したが、皮肉にも彼が恐れたのは、大洋州同盟との戦争継続ではなかった。
それは、突然の政変により独裁政権と化して、欧州でその猛威を振るう【鉄血】に原爆開発で先を越されることであった。
あのヒトラーに終末兵器を持たせてはならない。
それは我が大高首相の思いでもあった。
弦月作戦成功により、重桜と和平を結び帰属した大洋州同盟は大戦終息に向けての大戦略に則って、密かなるロイヤルとの連携により鉄血の原爆研究所爆破に向けて【天極作戦】が発動されたが、困難を極めたこの作戦も、臼井丈男率いる富士爆撃隊とウィッチーズ隊の奮闘により、達成された!
そして………混迷を極める後世世界も…………重桜にとってはあの運命の日、8月15日を迎えようとしていた。
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平成15年8月15日
重桜帝都 東京
帝都城(旧江戸城) 応接の間
初代政威大将軍:煌武院悠陽「この暑い中、よく来てくだいました。」
斑鳩家現当主:斑鳩崇継「いえ。天極作戦が成功したからこそ、ようやくこの戦も新たな局面を迎えたられたのです。」
斉御司家現当主:斉御司経盛「そうですとも。それに…………今日8月15日は、前世においても特別な日でしたからな…………。」
煌武院悠陽「…………''ポツダム宣言受諾''と、''日本の無条件降伏''………………。」
斉御司経盛「あの時の本土の凄惨たる景色は、この後世に転生してもなお……脳裏に焼きついています…………。あの戦いで未来ある多くの若者たちを、死に追いやってしまった………。アジアの独立戦争とは言え、''特別攻撃''はしてはならない方法でした………。」
煌武院悠陽「それに、前世大戦においても…………昭和19年6月19日に発生した『マリアナ沖海戦』で、趨勢は決していました…………。」
マリアナ沖海戦で日本側は、出撃機数373機の内243機を失い、それに対してアメリカ側は僅か24機の損失であった。
加えて海上戦力においても、日本側は『大鳳』・『翔鶴』・『飛鷹』の空母3隻と補給艦2隻を失い、帝国海軍の空母機動部隊は事実上壊滅した。
敗因は、アメリカ側の優秀な対空・対水上レーダーと【VT近接信管】にあり、日本の『精神主義』が、アメリカの『ハイテク技術』の前に、完膚なきまでに敗退したのだ。
九條家現当主:九條寿恵子「ですが、この後世においては今だに戦は続いています。前世の轍を踏まないために、我々はこの後世に転生してきたと……私は心得ています。」
崇宰家現当主:崇宰恭子「このひとときの平和といえども、油断はできません。私たち五摂家は最後まで、殿下とともに戦いましょう!」
煌武院悠陽「…………苦労をおかけします。」
煌武院悠陽は決意を新たに、この後世大戦終結のために人力を尽くす心構えを示した。
五摂家との面会の後、煌武院悠陽の下にまたも賓客が訪れた。
月詠真耶「殿下、昔原閣下がお見えになりました。」
煌武院悠陽「お通しを。」
応接の間に、一人の老人が入ってくる。
煌武院悠陽「お待ちしておりました。昔原叔父様。」
元重桜陸軍将軍:昔原莞爾「なに。わしの孫娘の願い事じゃ、無碍にはできまい。」
この老人こそ、前世にて【世界最終戦争論】を唱えた陸軍将校『昔原莞爾』であった。
大洋州同盟の発足の時に旧重桜政権のやり方に異を唱えたが為に軍を退役させられ、その後独自の研究組織を創り戦局の変化を柔軟に研究してきた戦略家である。
そして、煌武院家とは昔から近縁の関係であり、悠陽と冥夜がまだ幼かった頃はよく可愛がっていたのである。
今日悠陽が昔原を呼びせたのは、あることに関して彼の知恵袋を借りるためであった。
昔原莞爾「ヒトラー政権台頭の秘密とな?」
煌武院悠陽「鉄血を相手にする以上は、その正体を知っておかなければなりません。」
昔原は少し間を置いてから、話を始める。
昔原莞爾「………………………突飛なことと思われるかもしれんが。」
煌武院悠陽「是非、お聞かせ下さい。」
昔原莞爾「奴は『魔術』を使っておるのじゃ。」
煌武院悠陽「魔術…………ですか………?」
月詠真耶「………?」
昔原莞爾「…………ヒトラーは一見狂気のようじゃが、【狂いつつも冷めている】ところが奴にはある。やる事は神がかり的だが、恐ろしく計算され抜いておる。」
煌武院悠陽「情報省の鎧衣によると、知能指数は150近くあると聞いていますが…………」
昔原莞爾「はははははwww…………知能指数に関しては気にせんでもいい、わしもそれぐらいはあるだろう。むしろ問題は、背後いるグループの方じゃ。」
煌武院悠陽「と、申されますと?」
昔原莞爾「例えば、ゲッペルス宣伝省だ。知能指数は180以上の天才じゃ。ヒトラーは前世と同じ独裁者だが、むしろこの辺りのチームが政権の中核ではないかな?」
月詠真耶「なるほど…………。」
昔原莞爾「『
月詠真耶「しかし、どう読んでもかなり妄想的だと思いますが…………」
昔原莞爾「それが、実に計算され尽くしておるのじゃよ。事実計画は成功して、ビスマルクは議会選挙で総統の座から下されて、少数党のナチスが政権を手にしたではないか。彼らは選挙で選ばれた。少なくとも国民がナチスを支持したのじゃよ。なぜかと思うかな?…………『魔術』じゃよ。」
煌武院悠陽「………………」
月詠真耶「……………」
昔原莞爾「鉄血の実態というか…………その核心には明らかに『魔術の原理』が働いておる。よろしいかな?このことを見誤ると、対鉄血戦略を間違うことになる!…………っと、わしから殿下に口添えしておきたい。……………………ところで、殿下は今の話を信じておられますかな?」
煌武院悠陽「…………………………失礼ですが、今のところは…………何度も言い兼ねます。」
しばしの沈黙が流れ…………
昔原莞爾「……………ははははははwwww結構結構、当然じゃよ。少なくとも、一国の代表が魔術の話に夢中になるようでは困る。………しかし、頭の片隅に入れておいて頂きたい。」
悠陽は静かに相槌を打ち、昔原との会談を終えたのだった。
帝都城の門前にある男が到着した時、昔原を乗せた車が通り過ぎるのを目撃した。
「あの御仁は…………」
「まさか…………」
執務室に戻った悠陽の下を訪れたのは、大高総理の案内で帝都城に足を運んだ「富嶽太郎」こと「前原一征」と「松平仁志」こと「海江田四郎」であった。
彼の艦隊は、現在ある場所にて【第一次改装】を施されているため、休息も兼ねて帝都東京で羽を伸ばしていた。
執務室
煌武院悠陽「暑い中、ご苦労様です。」
前原一征「内地より紺碧島の方が涼しいくらいであります。」
煌武院悠陽「今日はまた特別です。あの日も暑かったのですから。」
前原一征「は?」
月詠真耶「いえ、つい先程まで昔原閣下とお会いになられてました。」
海江田四郎「昔原…………石原莞爾でしたか。」
月詠真耶「ナチスとヒトラーの事についてご意見をお伺っていました。」
煌武院悠陽「昔原叔父様は現役中は『奇想将軍』と呼ばれて変人扱いされていましたが、知識の深さは優に及ばす『気楽縦横』のお方でして。''東方エルサレム共和国構想''も、叔父様が考えつかれたものでして。」
前原一征「そのように、私も伺っています。」
煌武院悠陽「ヒトラーは若い時、画家を志していた頃がありました。地球をキャンバスにして、戦車・戦闘機を絵筆代わりにして【全体主義という絵】を描こうとしています。額縁内の話ならいいのですが、世界を自由に変えられては困ります!」
海江田四郎「しかし重桜に帰属した今、悠陽殿下も総理と共に『アジアの枠組み』を変えようとしています。」
煌武院悠陽「その通りです。」
前原一征「しかし違うところは、【破壊なき新秩序】を目指されてきるところです。」
煌武院悠陽「理想はそうでしょう。しかし、戦争に破壊はつきものです。仮に我が国が一切の武器を捨てて『完全平和国家』を宣言したとします。その時、日本はどうなるでしょうか?」
前原一征「……………………少なくとも、''独立は''保てません。大国の属州にもなって守ってもらわねば。」
現実は過酷であった。
仮に重桜が開戦前に完全平和主義を選択したとしても、迎える結末は【滅び】か【従属】の2択のみである。
完全平和主義を唱えたベルギーとルクセンブルクも、鉄血の重戦車軍団に蹂躙されているのが現状であった。
もし、ユニオンとの開戦を避ける為にハルノートを呑んだとしたら、その先に待つ未来は残酷なものであった。
海江田四郎「''平和''が得られる反面、国民全員が支払わなければならないのは『貧困』と『食糧不足』です。いくら政府が有能でも、この二つを解消できなければ【国家というシステム】は成立しないでしょう。」
煌武院悠陽「実際そうなった国は数多あります。現に海江田様の世界では、敗戦後の日本は【ハイパーインフレ】と【慢性的な食糧不足】に悩まされて、明日という未来が不透明で生きる国民たちを安心させる為………国体維持とはいえ【憲法第9条】を制定して『戦争という''外交手段''』を否定してきました。」
前原一征「しかし殿下。日本が敗戦したとしても、世界はまだ…………」
煌武院悠陽「…………大戦は終結しても、戦争という行為は続きました。東アジアで【共産主義】が広まりを見せると、戦後ようやく立ち直った日本はアメリカから『再軍備』を再三持ちかけられ、【警察予備隊】という体裁を取り繕って国内の安全保障を確立しました。」
海江田四郎「それが『保安隊』となり、今や『日本国自衛隊』という立派な組織になりました。しかし、周りを【中国】・【北朝鮮】・【ロシア】という脅威に晒されながらも、『憲法第9条』と『専守防衛』が足枷となり、私の代は苦労しました。」
通常、軍隊は攻撃されたら反撃をする権利を持つが、自衛隊は別であり、何をされても【攻撃は一切しない】、【防衛に徹する】という制約があった。
特に海江田たちが現役であった1988年から1996年までは、この『専守防衛』は根強く意識されている時期であり、日米間で【原潜保有問題】が発生した際は国会で【専守防衛の解釈の修正】が声を大にあった時代であった。
前原一征「…………耐えられることではありません。」
煌武院悠陽「我らアジア民族は依然として、欧米列強の収奪に嘆き続けてきました。ことの善悪はさておいて、前世の大東亜戦争は…………それまで侮辱の対象でしかなかった有色人種が、初めて''本格的に''列強勢力に対してまともに戦いを挑んだものでした。『発展途上アジア』……………列強に対する蜂起であったと思います。…………………しかし、前世日本は方向を誤りました。根本的なミスを犯したのです。その結果、数え切れない迷惑をアジア諸国にかけてしまいました。」
海江田四郎「殿下。その償いをする為に、我々はこの後世に転生してきたと…………私は考えています。」
煌武院悠陽「私もそう思います。それでこそ、前世の我が国の罪も消されるでしょう…………………ところで……………」
前原一征「………今日お伺いしましたのは、我が艦隊も『旭日艦隊』に合わせて出撃します。その挨拶に参りました。」
煌武院悠陽「そう言えば、貴官達の艦隊は改装中でしたね。」
海江田四郎「はい。【新型兵器の搭載】と【性能向上の機関の改装】です。」
煌武院悠陽「伊500型潜には、新型機が搭載されたと聞きました。」
前原一征「は!今次作戦に対し、心強い限りです!」
煌武院悠陽「………………………また、ご苦労をおかけします。」
煌武院悠陽がそう呟くと、前原と海江田は立ち上がり、悠陽殿下に対して一礼をする。
前原一征「…………行ってまいります!」
海江田四郎「必ず、より良い負けを実現して見せます。」
煌武院悠陽「…………武運長久を祈ります。どうかお気をつけて。」
前世での敗戦の日、平成14年8月15日を以て、後世大戦は新たな局面を迎えるのだった。
前原と海江田はその日の夜に、上野駅から夜行列車にて北へと旅立った。
海江田四郎(22:00…………横須賀から旭日艦隊主力が出撃している頃か………。)
8月15日 重桜海軍横須賀基地 22:00
重桜新KAN-SEN:虎狼『よし!
22:00。
新鋭装甲空母『信長』を旗艦とする、新鋭航空戦艦『信玄』・『謙信』、新鋭航空巡洋戦艦『虎狼』・『海虎』・『海狼』、対空巡洋艦『利根』以下5隻、補給艦5、駆逐艦多数からなる『第1遊撃打撃艦隊』が横須賀からインド洋に向けて出撃した!
前原一征(この列車が青森に着く頃には、呉から旭日艦隊本隊が出撃する!)
一方その頃…………
ユニオン首都 ワシントンD.C.
ホワイトハウス 執務室
マーハン・ペルー「鉄血による五大湖工業地帯爆撃の被害が軽微で済み、幸いでしたな。」
この日トルーマンの下にハーマン・ペルーが訪れていたが、当のトルーマンはどこか落ち着かない様子であった。
ユニオン大統領:ビル・トルーマン「もう既に、復旧作業も終わっている!」
ペルー「ほう?それはそれは…………ご同慶の至りですな。」
トルーマン「迎撃戦闘機の量産体制も入っており、本土の防空強化も進んでいる!」
ペルー「……………ところで、1万機以上のフライングデビルの生産は完了しているわけですが、これをどう使われるのですか?アリューシャン列島の基地化も完了していて、重桜本土へ戦略爆撃を開始できる体制は整ったはずでは?」
トルーマン「…………今となっては難しいと言わざるを得ん。重桜が自国の領土の一部をユダヤ人に割譲したことで、重桜に対する世界の見方を大きく変え始めたからな!しかも、我がユニオン内にも多くのユダヤ人同胞がいる。」
ユニオンは多民族国家のため、多くのユダヤ人もユニオン社会に浸透している。
その力は絶大で、現時点ではユニオン全てのジャーナリストを抑えている中で重桜の政策が国内にいるユダヤ人達に伝播した結果、【大洋州同盟との和睦論】、【大統領批判】、【反ナチス】を声を大に唱え始めたことで、トルーマン大統領は自国民からの非難の矢面に立たされていた。
それでも、ユニオンを誰よりも愛するトルーマンは、自国民を敵に回す政策は取りたくなかった。
ペルー「では五大湖爆撃の''返礼''に、鉄血本土を空爆されますかな?」
トルーマン「『最高法院』は私にそうしろと言うのか!?大洋州同盟と同調して、鉄血に宣戦布告を勧めるのかね?!」
ペルー「…………さぁ?どうでしょうか?」
トルーマン『重桜と大洋州同盟を戦争に引き込み、大高の和平提案を無視し続けてきたのは、一体何のためだったんだ!!』
ペルー「…………」
トルーマン『我が太平洋艦隊はタカズキ艦隊とX艦隊の為に全滅して、サモアとクリスマス島を落とされただけでなく、パナマ運河を2度も滅茶苦茶にされた挙句、本土防衛の第三艦隊も全滅して、果てはロスアラモスまで奴らの爆撃で観光地諸共吹き飛んだのだぞ!?!?………………………おまけにマッカーサー軍も大高の策略にかかって、パプアニューギニアに誘い込まれて飢餓状態に陥った!それも、ロイヤルが大洋州同盟に加盟したことで、それに属する豪州が休戦したためだ!』
トルーマンは今まで溜まりに溜まったフラストレーションを晴らしつつ、ユニオンがこれまで受けた損害と現在立たされている現状を、声を荒げて連ねていき…………
トルーマン『これでも大洋州同盟と和睦して、対鉄血戦に共同戦線を張れと言うのか!?!?』
今最もトルーマン自身が持っている本音を挙げたが…………
ペルー「…………………いいえ。私は''大統領の腹の内''を知りたかっただけです。」
トルーマン「くっ………………!!!」
ペルー「本日はこれで失礼しますが、貴方少々お疲れのようですな…………健康には、くれぐれも注意してください?」
トルーマン「あ、あぁ…………」
ペルー「折角つくった大統領です。…………前大統領のように倒れられては、『最高法院』としても困りますからね。」
そう言って、ペルーは執務室を後にする。
トルーマンは心のうちから湧いてくる憤りと、影の政府に対する恐怖が入り混じり、ただ見つめることしかできなかった。
8月16日 早朝
重桜 津軽海峡
重桜の北海道と青森の間にある津軽海峡を、函館に向けて進む一隻の大型船舶があった。
5,300トン級大型連絡船『函館丸』。
北海道が大洋州同盟時代の時に、大高弥三郎の政策方針の一つである【北海道・本州間海上輸送路強化】に伴って、『重桜国有鉄道』と『JR北海道』が運行していた函館・青森間を結ぶ鉄道連絡船である【青函連絡船】を大高は船舶運送会社として独立させて大規模な投資を行なった。
その結果、北海道と本州を結ぶ陸路【青函トンネル】が昨年の12月末に開通しても、一定の乗客数と貨物量を保ち続けた為、この後世世界では国内の海上輸送の一つとして投資が続けられている。
その函館丸に、前原と海江田は北海道に向けて乗船していた。
青函連絡船保有船:函館丸
展望デッキにて
前原一征(今頃は
同時刻 瀬戸内海 伊予儺
新鋭超戦艦『日本武尊』 戦闘艦橋
ストライクウィッチーズ所属:宮藤芳佳大尉「蔵良さん!行きましょう!」
遠洋派遣艦隊『旭日艦隊』司令長官:大石蔵良元帥(27)『よし!旭日艦隊、出撃する!!』
重桜新KAN-SEN:日本武尊『
日本武尊艦長:冨山正因大佐『了解!出航!!機関始動!!』
重桜新KAN-SEN:尊氏『司令直掩艦隊!全艦揚錨、出航せよ!!』
平成15年8月16日、日の出。
全長256m、全幅36.3m、基準排水量62,000トンを誇る重桜最大の超戦艦『日本武尊』が遠洋派遣艦隊の旗艦として、呉を出撃。
防空軽空母『尊氏』を旗艦とする司令直掩艦隊を従え、伊予儺から豊後水道に入り、昨日深夜に横須賀を出撃した第一遊撃打撃艦隊と合流すべく、前世日本が建造した世界最大の戦艦『大和』が最期を迎えた坊ノ岬沖へと向かった!
そしてその中に、ストライクウィッチーズの『宮藤芳佳』が8月13日付けで【大尉】に昇進して、旭日艦隊と行動を共にすることとなる!
一方、函館港に着いた前原と海江田は、先発していた大竹大尉の出迎えを受けた。
その後、彼が操縦する星電改に乗り、北へと飛び立つ!
星電改 機内
前原一征「皆の様子はどうだ!」
大竹大尉「頗る良好で、訓練また訓練であります!」
前原一征「結構!改装の出来は!」
大竹大尉「すごいの一言ではあります!あれは改装などではありません、もはや新造艦です!海江田司令も驚かれることでしょう!」
海江田四郎「それは楽しみだ。」
2時間余りの飛行を経て、前原と海江田を乗せた星電改は、南樺太の大泊にある【紺碧艦隊秘密地中港】に到着した。
紺碧艦隊 秘密地中港
秘密地中港に到着した前原と海江田は、幕僚達の出迎えを受ける。
伊601艦長:入江九市「お待ちしておりました!閣下!」
前原一征「早速だが、艦を見たい。」
伊602副長:山中栄治「は!ご案内します!」
改装ドックに着いた前原と海江田は、眼前に広がる自身の艦隊の姿に圧倒された。
前原一征「こ、これは…………」
海江田四郎「ほう…………中々なものだな………。」
船体は最早新造と言ってもいいくらいに強化されていて、艦首はバルバス・バウの様な形状になり、船体の一部が『水上艦型』から『涙滴型』に変更されて、後部には新兵器を搭載した伊600型・伊500型・そして伊700型が、計り難い性能を秘めた勇姿が、静かに佇んでいた。
入江九市「新兵器を搭載して、武装も格段に進歩・強化されています!」
山中栄治「一部水上機とワルターエンジンも新型のものに換装された結果、航続距離と安全深度に至っては50%も伸びて、前世アメリカ軍の原子力潜水艦をも凌ぐほどです!」
海江田四郎「言うことなしだな。」
前原一征「よし!15:00、各科将校は集合!状況説明を始める!」
「「はっ!」」
作戦会議室
海江田四郎「我が艦隊に下された作戦は、インド洋マダガスカル島攻撃だ。ロイヤル・インド混成軍を護衛する大洋州同盟軍艦隊に先駆けて、鉄血のレーダー基地を攻撃してこれを無力化することである。」
前原一征「出撃は、18日深夜の予定。何か質問はあるか?」
前原が周りを見たし、質問がないことを確認した前原は総員に出撃準備を下令する!
そして迎えた、8月18日深夜。
改装ドック内に海水が放流されて、水に満たされる!
紺碧第1艦隊旗艦:伊601潜
セイルにて
先任士官:品川弥治郎中佐「出航準備、完了!」
入江九市「作業員を下がらせろ!舫を解け!」
各艦から舫が解かれて、出撃の用意を済ませていく。
品川弥治郎「間も無く、喫水を超えます!」
入江九市「メインタンクブロウ!」
改装により幾つかの機構に自動化が施されたとはいえ、時間的に全てとはいかずタンクの注排水や魚雷の装填などは手動のままであったが、乗員の手慣れた操作により難なくこなす。
タンクから圧搾空気が放出されて、船体が架台から離床。
艦の姿勢を調整し終えると、新しくし換装されたワルター機関がけたたましい音と共に始動して、ドックから出航する!
入江九市「潜航用意!潜舵出せぇ!吸水弁開け!」
品川弥治郎「注水、始め!!」
新改装された紺碧艦隊は、その巨体を海中に沈めて海底トンネルへと突入。
後続艦との距離に注意しながらトンネルを越え、外海へと出た。
新改装された紺碧艦隊はマダガスカル島の鉄血レーダー基地攻撃の任務を携えて、大泊秘密地中港を出撃した。
時に、8月18日04:00。
北の海に、未だ暁は見えなかった。
艦隊は宗谷海峡を抜け、日本海を経て東シナ海へと進出したが、ここで前原は、不思議な行動をとる。
1人艦を降りた前原の下に、兼ねてからの打ち合わせ通りにこの後世に転移してきた海上自衛隊所属の護衛艦『あさぎり』が会合した。
現在『東煌』はそれまで交戦状態であった重桜と講和を果たしたことで、中国大陸における戦乱は収束。
更に大洋州同盟が支払った賠償金を「各種インフラ整備」、「農地開拓」、「福利施設の改善」に回されたことで国内は急速に発展。
更にそこへ、戦禍に荒れる欧州各国から追われた海外の資本家たちは、難を逃れて平成14年現在で安全な【ロイヤル領シンガポール】、【オーストラリア】、【釜山】、【重桜】、【東方エルサレム共和国】に逃げてきた事で、海外からの投資は未曾有の活況を呈していた。
重桜租借地 上海
護衛艦あさぎりと会合して、投稿との秘密条約により15年間の租借を約束された『上海』にやってきた前原の下に、大高弥三郎からの名を受けた「中岡新太郎」がある場所へと案内する。
中岡新太郎は、陸軍『青風会』の一員でありながら、表向きには上海で「貿易商」を営みながら諜報活動を展開している陸軍士官であった。
前原一征「大変な賑わいですな………想像以上です。」
青風会所属:中岡新太郎「上海は中国大陸と外界を結ぶ『袋の入り口』みたいなものです。」
前原一征「袋の奥には『巨大な市場』があるわけですな?」
中岡新太郎「その通りです。」
前原一征「…………不思議な気がしたのは重桜の支配下にある上海に、交戦国の『ユニオン系銀行』が目につく事です。」
中岡新太郎「計りにくい事でしょうが、''国家''と''世界資本''というのは『別物』なのです。国際資本も激烈な競争をしておりますが、その土俵は『超地球規模』であり、国境を超えて動きます。」
大高と悠陽殿下が東方エルサレム共和国を建国した事が、ここ租借地である上海でも効いており、国際資本が重桜を信用したのだ。
国家には国境が付きものだが、国際資本には国境は''無い''。
これも大高の鋭い未来展望であり、戦後を見据えた悠陽殿下の鋭い経済政策の一つであった。
中岡に案内されてやってきたのは、中岡が営む貿易商が所有する雑居ビルで、その一つの部屋のドアをノックすると、一人の黒人女性が顔を見せ部屋の中へと入れる。
部屋の中には、一人の老人が椅子に腰掛けていた。
雑居ビルの一室
前原一征「ボースさん……ですね?」
インド人:チャンドラ・ボース「はい。私がボースです。これは孫娘のサラ。」
前原がここ上海に来た理由がこれである。
マ島奪回作戦を成功させるために、この人物の協力を得るためである。
ボース「お話は中岡さんから伺っております。」
前原一征「では、ご協力をお願いできるのですね?」
ボース「無論です………………見てください!」
ボースはそう言うと、上着のボタンを外してゲシュタポの拷問で受けた傷跡を前原に見せた。
そして、その拷問を彼の孫娘であるサラも受けさせられたとボースは語った。
そのことを聞いた前原は、ヒトラーの非人道的なやり方に言葉を失うほどの衝撃を受けた。
ボース「…………私にとって、マダガスカル島は第二の故郷です!息子は今だに彼の地でレジスタンス闘争をしております…………………是非、是非ともこの私も手伝わせて下さい!」
前原一征「…………実は、我々は近々ロイヤル・印度と共同してマダガスカル島奪回を、大洋州同盟軍の総力を以て敢行します。これが成功しますと、マダガスカル島は鉄血の圧政から解放されるでしょう。…………そのためにも、是非ともお力が必要なのです。」
ボース「願ってもないことです。………………ですが、条件が一つあります。」
前原一征「なんでしょうか。」
その条件とは、孫娘のサラ自身も連れて行ってほしいと言うのだ。
前原は一瞬戸惑ったが、彼女の力強い説得で同行を決意するのだった。
前原一征「…………分かりました。それでは、支度の急いでください。」
サラ「……支度ならもう済んでいます。」
その夜、ボースとサラを連れて前原は兼ねてからの作戦通り、前原を回収するため本隊から分かれた海江田指揮する伊602潜と合流。
港の沖合にて浮上した伊602潜『黒岳号』の姿を見て、二人は静かに驚く。
伊602潜 艦上
伊602乗員3「内火艇接舷!」
伊602潜航海長:内海「甲板要員、作業開始!」
伊602乗員2「タラップ固定急げ!」
伊602潜副長:山中栄治「収容作業を急がせろ!対空、対水上、対潜警戒を厳にせよ!」
前原一征「ここで見たものは忘れてくれ。」
内火艇乗員「はっ!」
そう言い内火艇を見送ると、作業を終えて再び海中へとその巨体を没するのだった。
伊602潜 発令所
伊602操舵手2「トリム水平!」
伊602操舵手1「ヨーソロー!」
聴音手:溝口拓男《深度30に達しました。ソナー、アクティブからパッシブに切り替えます!》
ボースとサラは、重桜……いや、大洋州同盟の裏打ちされた技術力を目の当たりにして、感動を口にする。
サラ「まるで……ジュールベルヌの世界みたい………!」
前原一征「ハッハッハ………ノーチラス号ですか?」
ボース「凄い!大洋州同盟軍の技術力は世界一と聞いてはいましたが、これ程とは………!」
サラ「私たち、ネモ船長にお会いできるのかしら!」
前原一征「私がネモ船長です。」
前原がそう言うと、海江田が振り向き…………
海江田四郎「お帰りなさいませ、''ネモ船長''?」
前原一征「うん!」
「「ハッハッハッハッハッハ!!」」
海江田がそう茶化して両雄は笑い、緊張が和んでいった。
前原一征「紹介しよう。ボース氏とサラさんだ。」
ボース「………みなさん、マダガスカルにはこんなことわざがあります。【人と出会える価値は百日分の価値がある】と。今日の一日は、千日分の価値があります!私たちは、神に感謝します!」
上海沖にてボースとサラを載せた伊602はひたすら南下を続けて、台湾沖にて4隻の伊900型潜水艦群と紺碧艦隊第2戦隊主力と合流した。
前原は艦隊を浮上させて、900型各艦に搭乗している「海軍特殊師団」の語学要員と大隊長を伊602潜に招集させて、再び潜航。
602艦内では、状況説明が行われていた。
伊602潜 前部兵員室
前原一征「諸君もおおよその話は聞いていると思うが、10月X日を期して20万のロイヤル・インド混成軍がマ島に強行上陸を敢行する。この作戦を成功させるために、諸君たち特殊師団が必要になったわけだ。」
彼らに与えられた任務は、マダガスカル島に潜伏している抵抗組織と協力して敵防衛陣地の撹乱であるが、それともう一つ、同島に収容されている約20万ものユダヤ人と政治犯を救出するものであった。
鉄血はこれに先立って「マ島への侵攻ある時は、彼らを処刑する」と言う声明を発表しているため、海軍特殊師団は現地のレジスタンスと協力して、駐留軍の先手を打って彼らを救い出さなければならないのだ。
海軍士官4「前原司令官。今のお話ですが、本当なのでしょうか。いくらナチスが狂信的とはいえ…………無抵抗の人を処刑するとは、信じられませんが…………」
サラ「信じてください!………あなた方が侵攻する、しないにも関わらず、彼らは処刑を実行します!」
ボース「正規軍である国防軍はやらなくとも、''
前原一征「今の鉄血の実態は、上陸すればわかる………………っ!紹介が遅れたが、諸君たちの教育係のボース氏とサラさんだ。」
そう言うと、特殊師団の全員が起立。
前原が英語とマレー語は習得済みのことを教えると、自己紹介をして彼らにマダガスカル語を披露。
作戦実装までに、現地の言語・習俗・慣習などを習得しておくように指示を出した。
紺碧艦隊第2戦隊に率いられた潜揚艦隊は南シナ海を南下、シンガポールを目指した。
9月初旬には、シンガポール沖にて伊601潜『富嶽号』率いる紺碧艦隊第1戦隊と、アイリスのブレスト級潜水空母2隻と合流した。
前原はそこで乗艦を602潜から601潜へと移して艦隊を再編、マラッカ海峡を浮上航行で通過してベンガル湾へと進出、セイロン島沖へと出たのだった。
前原は601潜を浮上させて、コーチンにて出撃待機をしている川崎司令と作戦の打ち合わせをすべく、雷洋に乗り乗艦を後にする。
インド コーチン港
紅玉艦隊司令部にて
紅玉艦隊司令長官:川崎弘中将(26)「先だって、旭日艦隊が立ち寄ったはいいが、あの旗艦の日本武尊…………本物を見るのは初めてだったが、ありゃバケモン以外何者でもねえ。」
前原一征「噂通りですか?」
元ユニオン所属:メリーランド「いいや?噂以上だな。東方エルサレム共和国からの資金援助で作ったと聞いたけど、何をどうしたらあんな化け物戦艦が出来るのかな?」
川崎弘「確かになwww……ま、お陰でこっちでの作戦がやり易くなった。」
前原一征「いよいよ…………ですな。」
川崎弘「うん。マ島の鉄血艦隊は我々がすべて血祭りにあげて、南大西洋は旭日艦隊が抑え込んでいる。喜望峰沖で、鉄血のUボートを十数隻を沈めて元鉄血のKAN-SEN達を載せたU-556を保護したと聞いた時は、正直驚いたがね。」
前原一征「地中海艦隊は出てきませんか?」
川崎弘「出てくる可能性はあるかもしれんが、それだと【飛んで火に入る夏の虫】だな。」
前原一征「では…………残るはUボートだけですな。」
川崎弘「あぁ………こいつが中々の問題でな。ロイヤルの情報局の話じゃ、ワルター機関を搭載した【新型Uボート】を就役させたらしいんだ。潜航深度50mでも魚雷を撃てる上に水中速力も速い高性能艦らしい。」
前原一征「強敵…………ですな。」
元ユニオン所属:ネバダ「なにしろ20万の大軍を送り込むもんだから、インド中大騒ぎだ。足の遅い漁船までも徴用する始末だ。Uボートに付き纏われたらひとたまりもない。」
前原一征「航空兵力は?」
元ユニオン所属:ペンシルベニア「私たちの艦隊だけならたかが知れている。援軍を待とうにも同盟各国の陸上航空隊は防衛に手一杯。頼みの綱はやはり、本土防衛の【第一艦隊】だ。」
川崎弘「今はまだマドラスにいる。補給を受け次第、出撃する予定だ。同盟各国の艦隊も全力出撃する気でいるからな。」
前原一征「では…………問題はX日ですな。」
その後、川崎司令と作戦決行日を打ち合わせて、再び雷洋に乗り伊601への帰路についた。
艦隊と無事合流した矢先、伊601の電探が敵を捉えた!
伊601潜 セイル
伊601電探手《敵機影と思われる反応!距離約35,000、高度約5,000!》
入江九市「機数は!」
伊601電探手「1つ!哨戒機と思われる飛行高度を取っています!」
入江九市「雷洋の収容急げ!対空戦用意!」
伊601は直ちに戦闘配置につき、迎撃の準備に入る!
だが、海中にて待機してした伊602潜の方は……………
海中にて
伊602潜 発令所
山中栄治「全艦、戦闘配置用意よし!」
海江田四郎「電探、敵の機種は掴めたか?」
伊602電探手「詳細は不明ですが、速度からして恐らく鉄血空軍の『Do317』!到達予想時間、約10分!」
内海「ギリギリです!601潜の潜航可能まで、間に合わない可能性が!」
伊602電探手「敵機、なおも接近!」
海江田は少し考えたあと、新兵器を試す良い機会と悟り指示を出す。
海江田四郎「よし、山中。''あれ''を使うぞ。」
山中栄治「は!対空戦闘用意!」
伊602水雷長「対空戦闘用意!『艦対空誘導噴進弾』発射準備!」
海江田四郎「潜望鏡深度まで全速浮上!発射弾数2発!」
海江田は新装備の『噴進弾』を使うべく、艦を潜望鏡深度まで浮上させる。
その頃、紺碧艦隊と偶然鉢合わせた偵察便のDo317は威力偵察を敢行すべく、誘導弾を放とうとしていた!
ほぼ同時に、伊602潜が潜望鏡深度に浮上してレーダーマストを展張!
敵偵察機の熱源を捕捉しようとしていた!
伊602潜 発令所
伊602電探手「目標をレーダーロック!自動追尾中!」
伊602水雷長「目標位置のデータ入力完了!1番2番、終末誘導を熱探知にセット!」
山中栄治「射程圏内です!」
海江田四郎『よし!発射始め!』
伊602砲雷長『対空戦闘!1番2番対空噴進弾、発射ぁ!!サルボー!!』
号令が発すると、602潜の後部に新しく追加された【噴進弾垂直発射管】の発射口天蓋が開き、激しい気泡と水飛沫を巻き上げながら、新装備の【艦対空誘導噴進弾】が放たれた!
ほぼ同時に、敵偵察機からも【He293熱探知誘導弾】が伊601潜へと投下された!
雷洋の収容を終えた601潜は直ちに潜航、退避行動に入る!
一方、誘導弾を放ったDo317は、602潜から放たれた対空誘導噴進弾の接近を確認するや否や全速で回避機動に入ったが、終末誘導が熱探知であった為瞬く間にエンジンに直撃して撃墜される!
なんとか海中に潜った601潜は全速で潜望鏡震度から離れようとする。
頭上からは敵の噴進弾が迫り、遂に海面に着弾して爆発!
間一髪のところで退避に成功するが、爆発の余波でパイプが破損して浸水が発生するという、紺碧艦隊の損傷らしい損傷を見せた。
迫り来る危機を撃退した紺碧艦隊は、マダガスカル島に向けて南下を続けた。
数日後。
コーチン・マドラス・ボンベイ・コロンボ等、インドの港という港から、マダガスカル島攻略軍が出撃した!
大型輸送船から足の遅い漁船までをも取り混ぜたロイヤル・インド混成軍はモルディブ沖にて大船団を構成。
更に、ウラジオストク・ホーチミン・香港・台湾から出撃してトリンコマリーにて待機していたアイリス・ヴィシア・サディア・北方連合の艦隊もモルディブ沖にて大船団と合流・再編成を行い、重桜の坂本艦隊と紅玉艦隊と共にマダガスカル島へと向かっていた!
そして、この事はヒトラーの知るところとなった。
鉄血首都 ベルリン
総統官邸 執務室
鉄血総統:ハインリッリ・フォン・ヒトラー「死守せよ!!なんとしても死守せよ!!」
ヒトラーは狂った録音盤の様にそう告げる。
しかし現実は非情であった。
問題の混成軍の規模は20万を超え、その護衛に大洋州同盟の海上戦力の3分の2が投入されていて、そこにユニオンを震撼させた噂の''X艦隊''が加わっているのだ。
更に不幸なことにマダガスカル島は海上封鎖されていて、大西洋には重桜の誇る新鋭艦隊『旭日艦隊』が進出している為、10万の守備隊は孤立無縁の状態で戦うことを余儀なくされているのだ。
しかしそれでもヒトラーは、撤退も降伏も許さず最後の一兵になってでも戦う様命じたのだ!
ヒトラー「余からの厳命として伝えよ!」
『死守せよ!!』
マダガスカル島に闘いの風雨が吹き荒れる……………!!
EP3-6に続く・・・・